ポケットモンスター蟲【本編完結】   作:放仮ごdz

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ギリギリ間に合った!バイオハザードの方に集中していてこんな時間になってしまいました。申し訳ねえ。

今回はラウラが陥落したことによる影響がダフネたちを襲う…?楽しんでいただけると幸いです。


VSバンギラス

 アラベスクタウンで三人とも無事フェアリーバッジを手に入れ、ナックルシティに戻る三人旅。ルミナスメイズの森、ラテラルタウン、6番道路と抜けて行く。夜になり、もうすぐナックルシティに着くかといったところで突然のすなあらしに襲われる私達。

 

 

「あと少しだってのにいきなりなんですか!?」

 

「この道路ってすなあらし発生したっけ!?」

 

「でもたしか、ガラルですなあらしってワイルドエリアにしか発生しない筈じゃ…!?」

 

 

 凄まじい勢いで吹きつけて来て目も開けれないすなあらしに、三人揃って吹き飛ばされない様にひと固めになって踏ん張る私達。お互いに触れて居場所を把握しているが、夜なことも相まって1m先を見ることも叶わない。音も凄くて叫ばないとお互いの声も聞こえない状況だ。

 

 

「つまりポケモンがすなあらしを発生させていると、そういうわけですね!」

 

「多分だけどね!うぇっぷ!砂が口に入ったー!?」

 

「ああもう怒った!ヨハルを困らせるな!アマルルガ!」

 

 

 するとキレてヤユイになったヨハルが取り出したボールを地面に叩きつけてアマルルガを繰り出し、特性のゆきふらしが発動。すなあらしからあられへと天気が変わり、一息つく。寒いけどすなあらしよりはマシだ。

 

 

「助かりましたヤユイ…寒いですが」

 

「砂が積もった後にあられが降り積もってすごいことになってるけど…」

 

「贅沢言わないでよ。すなあらしよりはマシでしょ?」

 

 

 すると、崖の上からなにかが飛び降りて来て、とんでもない重量による地響きを起こして私達は転倒する。クレーターを作ったそこにいたのは、よろいポケモン、バンギラス。蟲ポケモンでもないのに進化前が蛹なサナギラスに進化することから兄さんが手持ちにするか悩んでいたのを覚えている、超強力と称される部類のポケモンだ。だが、こんなところにいていいポケモンじゃない。

 

 

「バンギラス…!すなあらしの正体は、こいつ…!」

 

「ワイルドエリアに生息しているはずのポケモンだよね!?なんでここに!?」

 

「捨てるなら捨てるでちゃんとした場所に捨ててよね!アマルルガ、じしん!」

 

 

 恐らくはヤユイさんの言ってる通り、多分プラズマ団の影響で解放されたポケモンだろうか。バンギラスは真下から襲いかかってきた揺れ、その姿からは想像もつかない身軽さで跳躍して回避、着地する。

 

 

「あの速さ…まさか、ロックカット?でもたしかUSUMまで…じゃない、ガラル地方のバンギラスは覚えない筈なんだけど…」

 

「つまり、他地方から連れて来てガラルで手放したポケモンってことですか?そんな傍迷惑な!」

 

「そりゃ怒り狂うわな。なんで襲ってくるのか知らないけど…ふぶき!」

 

 

 出た。ヤユイのアマルルガの切札級の大規模ふぶき、通称ブリザード。しかしそれを物ともせずにノッシノッシと歩み寄り、アマルルガの首を掴んで引っ張り下ろすと技でもなんでもない頭突きを頭部に叩き込んでふらつかせるバンギラス。

 

 

「喧嘩殺法…!?」

 

「今の、技でもなんでもないですよね!?」

 

「やってくれたな…?組み付いて逃がすな、じしん!」

 

 

 首を巻き付け、じしんを放つアマルルガ。切り立った崖で構成されている6番道路が罅割れ、凄まじい揺れが私達にも襲いかかるが何とか耐える。ポケウッドにメカバンギラス?があったことも含めて、まるで映画の怪獣大決戦さながらな光景だ。効果抜群、しかも至近距離。結構効いたはずだがバンギラスは倒れず。むしろアマルルガの首を持ち上げて胴体を振り回し、崖の岩壁に勢いよく叩きつけてアマルルガをダウンさせてしまった。

 

 

「アマルルガ!?」

 

「こいつ、前に戦ったキテルグマみたいな強敵だ…ダフネ、加勢するよ!ゴビット!」

 

「はい、ジュリさん!グソクムシャ!」

 

 

 バンギラスのタイプはいわ・あく。いわタイプは私のむしタイプに、あくタイプはジュリさんのゴーストタイプに強い。つまり、私達二人の天敵。だからヤユイに任せていたのだが、そうも言っていられない。このバンギラスは、明らかに私達の命を狙っている。少しでも有利なタイプで挑むしかない。

 

 

「グソクムシャ、であいがしら!」

 

「ゴビット、ばくれつパンチ!」

 

 

 グソクムシャとゴビットのダブルパンチが挟み撃ちでバンギラスを狙うも、バンギラスは全身を輝かせて再び天高く跳躍して回避。少し離れた場所に着地すると口元に黒いエネルギーを溜めて放射。漆黒の光線…あくのはどうが放たれて、咄嗟にグソクムシャがが私達の前に出て庇う。むしタイプにはあくタイプの技は通じない…!

 

 

「ゴビット、じだんだ!」

 

 

 そこに生じた隙を突いて大地を何度も踏みつけるゴビットの放った揺れが直撃、バンギラスの巨体がぐらつく。しかし倒れず、尻尾を地面に叩きつけて巨岩を目の前に形成。殴りつけて瓦礫を刃にして飛ばしてきた。ストーンエッジ…!?

 

 

「ゴビット、盾になって!」

 

「グソクムシャ!アクアブレイク!」

 

 

 今度はゴビットが前に出て受け止める。じめんタイプにいわタイプの技は効果が薄いのだ。そのまま突進し、水を纏った腕を叩きつけるグソクムシャ。水柱が立つも、そこにバンギラスの姿はなく。見上げると、やはり跳んでいて。その掲げられた両手には、大量の雪が抱えられていた。

 

 

「上です!グソクムシャ!」

 

「ヤバい、ゴビット!ばくれつパンチ!」

 

「ガラガラ!フレアドライブ!」

 

 

 

 放たれたのは、ゆきなだれ。標的がグソクムシャではなく、こちら。トレーナーへの憎悪が込められた雪雪崩に対して咄嗟にジュリさんの指示でゴビットが拳を振るい、ヤユイがガラガラを出して炎で熔かそうとするも圧倒的な質量に私達は押し潰されてしまい、咄嗟に目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…え?」

 

 

 何時までたっても来ない衝撃と、凍えるような寒さに目を開ける。そこには驚愕の表情を浮かべたジュリさんとヤユイがいて。どうやらかまくらみたいに雪が私達だけを避けてくれたらしいが、なんで…と二人の視線を追って見上げる。そこには、土の巨人が私達を庇うようにして存在していた。

 

 

「ゴビット…いや、ゴルーグ!」

 

 

 我に返ったジュリさんの呼びかけで両腕を振り上げながら立ち上がり、雪を吹き飛ばすゴルーグ。どうやらジュリさんのゴビットが進化したらしい巨人は、グソクムシャを踏みつけながらこちらを見てあんぐりと口を開けて固まっているバンギラスに対して拳を握り、身構える。

 

 

「ゴルーグ、気を付けて行くよ!」

 

 

 ジュリさんの呼びかけにゴルーグはガッツポーズを作って応えると、グソクムシャを軽々と持ち上げ、こちらに投げつけながらあくのはどうを放つバンギラス。するとゴルーグはグソクムシャをしっかり右手で受け止めた上で左手を突き出し、あくのはどうを掌で受けると握り潰して霧散させてしまう。こちらに向けてグソクムシャを下ろす余裕さえ感じられた。

 

 

「シャドーパンチ!」

 

 

 バンギラスに対しては効果が薄い物の、圧倒的質量となった拳の幻影を飛ばし、慌てて跳躍して逃れるバンギラス。しかしゴルーグは跳躍したバンギラスにも追従していて。どうやってかというと、飛んでいた。なんか足を引っ込めてロボットアニメよろしく炎を噴き出して空を飛んでいた。もうわけがわからない。

 

 

「ばくれつパンチ!」

 

 

 空中で身動きが取れず、ゆきなだれで対抗してきたバンギラスの攻撃を凄まじい空中制動で簡単に回避し、自ら近づいて鉄拳を叩き込むゴルーグ。顔面を殴り飛ばされたバンギラスは地面に叩きつけられ、また新たなクレーターを刻んだ。

 

 

「のろいを忘れて新たに覚えた新技、受けてみろ!ヘビーボンバー!」

 

 

 さらに、ジュリさんの指示で腕を組み鉄塊と化したゴルーグが空から隕石の如く飛来。クレーターの真ん中で動けないでいたバンギラスを押し潰し、戦闘不能にした。

 

 

「よっと」

 

 

 バンギラスをハイパーボールに入れ、一息つくジュリさんにつられて力が抜け、へたれこむ。し、死ぬかと思った……でもなんで、こんなに強いバンギラスが捨てられるようなことに……なにか、起きたんでしょうか。その答えを知るのは、ナックルシティに入ってすぐのことだった。




ゴルーグVSバンギラス。実質スーパーロボット大戦。

・ダフネ
バンギラスの殺意に殺されるかもしれないと臆していた主人公。

・ジュリ
土壇場でゴビットがゴルーグに進化、某第三の英雄の如く大暴れするゴルーグにご満悦な転移者。

・ヨハル/ヤユイ
野生のバンギラスにアマルルガが倒され、ガラガラの炎まで通じなかったことから地味に落ち込んでる二重人格。

・バンギラス♂
とくせい:すなおこし
わざ:あくのはどう
   ストーンエッジ
   ゆきなだれ
   ロックカット
もちもの:バンギラスナイト
備考:ゆうかんな性格。暴れることが好き。他地方から連れてこられ、ガラルで捨てられたと思われるポケモン。トレーナーに捨てられた愛憎が憎悪に染まり、見つけたトレーナーを片っ端から襲撃していた。ジュリに捕獲されたがもちろん使うつもりはなく、そのままポケモン協会に預けられることに。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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