ダフネたちがナックルジムを攻略している頃。ラウラと言う即戦力を手に入れた新生プラズマ団が、プラズマフリゲートでカンムリ雪原の巨人の寝床へと赴いていた。
「ようやくだ。ようやく、我が計画も最終段階に移行する」
そう宣言するグレイはもちろん、シュバルツ、ヴァイス、ダークトリニティ他各地に分散されていたプラズマ団したっぱも勢揃いであり、新生プラズマ団が勢ぞろいしたこの場では、彼らの計画も大詰めとなっていた。
「親愛なる同士諸君。各地のトレーナーから
そう宣言するグレイに呼応するしたっぱたち。グレイ自らの手で、類い稀なる頭脳による巧みな話術を用いて勧誘、懐柔した者でほとんどが構成されているしたっぱたちの信頼は厚く、士気はとてつもなく高い。
「作戦内容は簡単だ。ここに、強欲にも伝説の力を個人で保有していたジムリーダーや研究者から救済したレジアイス、レジロック、レジスチル、レジドラゴ、レジエレキがいる。これによりこの、レジギガスの生息する巣穴へ入れるようになる。諸君らは幹部をリーダーとした四人体制で順番に赴き、限界まで戦闘し、レジギガスを弱らせていくのだ。たとえどんなに強大かつ強力無比な最強の伝説のポケモンであろうと、数には敵わぬ。我らが最大の強みである数の利で、我らが大願を成就するための戦力を確実に獲得するのだ!」
『『ウオオオオオオオオオ!!』』
したっぱたちの士気を高める雄叫びに満足げに頷くと、幹部に向き直るグレイ。その目には確かな信頼があった。
「ヴァイス、シュバルツ。ダークトリニティ。お前たちも頼むぞ。したっぱたちをまとめ上げ、レジギガスを我が手に…!」
「了解ですよォ、ボス」
「我らが大願成就のために…!」
「「「御意」」」
「そうだ、こいつも幹部として扱え。あれから三日…ようやく、言うことを聞く様になったのでな」
そう言ってグレイが手招きすると、空に待機していたプラズマフリゲートの甲板から飛び降り、手にしたプレシャスボールから出したゲノセクトに乗って降下してきた少女が飛び降りるとグレイの前に傅く。その姿を見て驚くシュバルツとヴァイス。
「グレイ様、この者は…!大丈夫なのですか…!?」
「ハッハッハ!確かに味方だったらこれほど心強いものはいないですね!さすがグレイ様!」
「心配するなシュバルツ。彼女はダークトリニティと同じく、私の必死な
グレイに傅くのは、小柄な体に灰色の戦闘服の様な物を着込みシュバルツのものと同じ軍帽を被った長い赤髪の少女。タイツ状になっている二の腕や太腿、踝などに黒い帯状の温熱サポーターを付けていて首元にプラズマ団のシンボルが描かれた白のマフラーを巻いて口元を隠しており物静かな雰囲気を漂わせる。
「私の忠実なる
「ああ、任せてくれグレイ。お前を王にする為なら俺は巨人だろうがなんだろうがぶっ潰してやる」
紛れもなく彼女は、アクロママシーン改により、「ゲーチス=グレイ」と洗脳されたダークトリニティの様に「グレイの理解者」として洗脳されたジムリーダー・ラウラその人だった。
既に数多のプラズマ団が倒れ。6番目の部隊としてしたっぱ三人を連れて、二回目となる巣穴の空間に降り立った俺は、目の前に聳え立つ異様な圧力を感じさせる巨体で咆哮を上げるダイマックスレジギガスを見上げて溜め息を吐く。これでしたっぱを入れ替えて幹部たちが挑んで12回目。まだまだしたっぱはいるが、それを統率する幹部に余裕がなくなってきた。グレイから聞いていた通り、レベル100なのは間違いないらしい。しかも、俺達第六部隊が来る前に既にスロースタートは終わってるらしく、全力全開モードだ。
「グレイ曰くこの世界最強のポケモン、か」
最初にグレイから聞いた時にはレベル100なんて野生に存在するのか、とツッコんだものだ。俺の知らない間にこんなヤバい奴まで実装されているとはな。システムは知らんがゲームでもこいつを捕まえるのは至難の技だろう。あのムツキとルミがスロースタート状態でもあっさり倒されたのも頷ける。……そんな情報何時に聞いたんだっけか。思い出そうとすると凍傷がずきりと痛む。まあ、どうでもいい。やるべきことはひとつだ。
「グレイを王にするために、やるぞお前らあ!」
「「「おう!」」」
俺はマッシブーンを、したっぱAことエーダはローブシンを、したっぱBことボルドーはバタフリーを、したっぱCことカーターはクレッフィを繰り出した。いいな、特にボルドー!お前のセンスはいい!
「ボルドー、お前のバタフリーはキョダイマックスできるんだったな!?とにかく状態異常を重ねがけにしろ!先行部隊がもうどくとこんらんとやけどを重複させているようだがこれにまひかねむりが入ると楽になる!」
「了解!」
「エーダは俺のマッシブーンと共に奴の攻撃を受け止めつつ反撃だ!バタフリーに攻撃を向かせるな!」
「わかりました!」
「カーターはとにかくサポートに徹しろ!決してサポートを絶やすなよ!」
「承知したッス!」
「来るぞ、構えろ!」
指示を速やかに伝えると、レジギガスの巨体が動き出す。拳を構え、ただ振り下ろすだけの一撃。狙いはバタフリーだ。ボルドーの擬似ダイマックスバンドにダイマックス粒子が溜まるまで、攻撃させるわけにはいかない。なにせ蟲は耐久に難ありだからな!
「マッシブーン、受け止めろ!」
「リフレクター!」
それを、バタフリーの前に飛び出したマッシブーンが両腕を突き出して受け止める。カーターのクレッフィで物理に対する防御力が上がったおかげで持ち堪える。
「ばかぢから!」
「アームハンマー!」
「まきびし!」
マッシブーンが力の限りレジギガスの拳を持ち上げて、そこに飛び込んだエーダのローブシンが手にしたコンクリート柱を振り上げ打ち上げる。右腕が打ち上げられて、体勢を崩して後退したレジギガスはカーターのクレッフィが巻いたまきびしに足を乗せて分かりやすく悶絶する。隙だらけだ。
「キョダイマックスだ、バタフリー!キョダイコワク!」
そこに襲いかかるボルドーのバタフリーのキョダイコワクが襲いかかり、レジギガスはまひしたのか分かりやすくその動きが鈍る。これでこんらん・もうどく・やけど・まひ状態の重複だ。そうなったらスロースタートとなんら変わらないなあ!
「たたみかけろ、グロウパンチ!」
「きあいパンチ!」
「キョダイコワク!」
「ミラーショット!」
そこに襲いかかる俺達第六部隊の一斉攻撃。押されつつあるレジギガスは、それでも胸の点字の様な部位を光らせて右手でマッシブーンを簡単に握り包んでしまった。固有技のにぎりつぶすか!だがな!
「そのマッシブーンは見かけ倒しの筋肉じゃないぞ…!」
グググググッ、と力任せに無理やり開閉された右拳からマッシブーンがにぎりつぶされる勢いを利用して上空に飛び出した。天高くで拳を構えて急降下する姿は、前世で見たヒーローの様で。
「決めろ!グロウパンチ!」
急降下からの拳が頭頂部に炸裂。レジギガスの巨体がズズズズズッと轟音を立てて崩れ落ち、俺は通信機を取り出して作戦成功をグレイに伝えるのだった。
グレイの理解者、つまり親友として洗脳されたラウラ。言動はあまり変わらないけど記憶とかねつ造されてる模様。
・ラウラ
悪堕ちした元主人公。ジムリーダーからプラズマ団幹部に。転生者同士苦難を共にしてきたグレイの理解者、という洗脳。キュレムのこごえるせかい直撃により全身低体温症に苛まれており麦わら帽子の代わりに軍帽とマフラーを身に着けるようになった。温熱サポーターはポケスペのサキとジュピターのが元ネタ。服装はシュバルツのと一緒。
・グレイ
新生プラズマ団の王。懐柔できそうな人間は天才な頭脳を駆使した口八丁で相手の一番求めていることを提示することで丸め込み、敵対する者は完全敗北させることで精神に隙ができたところをアクロママシーン改で洗脳することで前プラズマ団に負けない一大組織を築き上げた男。部下からはカリスマ的存在として見られており、その実態は知られていない。その目的はレジギガスで…?
・シュバルツ
強力な幹部を求めたグレイにその強さを見込まれ、ゲーチスでもNでもアクロマでも成し遂げられたなかったポケモン救済を成し遂げると説得されて白ズマ団を裏切り幹部になった男。ゲーチスに心酔していたことをよく知っていたダークトリニティさえグレイに仕えたことで王として尊敬している。
・ヴァイス
元々その実力で黒ズマ団にスカウトされたしたっぱだったが、ろくに暴れさせてくれないゲーチスやアクロマに不満を抱いていたところ、壊滅した際に現れ強力な幹部を求めたグレイの提示した「好きに暴れられる」と言う条件に二つ返事で頷き幹部となった女。
・ダークトリニティ
プラズマ団をゲーチスに断りなく私的に使役していたグレイに襲撃するも返り討ちにされ、「ゲーチス=グレイ」だとアクロママシーン改で洗脳された三人組。
・エーダ
新生プラズマ団のしたっぱA。元黒ズマ団。サイトウに憧れたチャレンジャーからローブシンを強奪し使っている。名前の由来は「Aだ」。
・ボルドー
新生プラズマ団のしたっぱB。元黒ズマ団。ラウラに憧れたチャレンジャーからバタフリー(キョダイマックス個体)を強奪して使っている。名前の由来は頭文字Bで適当。
・カーター
新生プラズマ団のしたっぱC。元白ズマ団。トレーナーに捨てられていたクレッフィを保護して使っている。名前の由来は頭文字Cで適当。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。