……ところで前回のビートくんの爆弾発言には誰も気づかなかったようで残念。
今回はVSユウリ二戦目。成長したユウリがラウラに牙を剥きます。楽しんでいただけると幸いです。
遺跡が崩れ、現れた謎の石像。蟲じゃなかったので興味が出なかったため、二人に任せてその場を去って市場で掘り出しものを巡っていると、ソニアさんとの会話を終えたらしいユウリが走って駆けよってきた。
「どうしたんだユウリ。そんなに慌てて」
「はあ、はあ…あの!私と、勝負してくれないかな!?」
「そう言うと思ったよ」
手にしていた割れたポットを店のおっちゃんに返しながら以前マリィと戦った六番道路名物のディグダ像前に向かう。戦えそうなフィールドにはそこしか心当たりがなかった。
「5VS5のフルバトル、でいいか?」
「うん!不利だろうがなんだろうが覆して見せる!」
▽ポケモントレーナーの ユウリが 勝負を しかけてきた!
「いけ、ドラピオン」
「いって、ジメレオン!」
初手はビート戦と同じくドラピオン。ユウリはエースから先に出す性格なのかジメレオン。以前、バチュルが倒され辛酸を舐めさせられた相手だ。
「クロスポイズン!」
「とんぼがえり!」
クロスポイズンが直撃する直前、効果抜群とまでは行かないまでも結構効果があるむしタイプのとんぼがえりが炸裂、した上に空振り逃げられてしまう。バトンタッチと違い攻撃しながらボールに戻る技。なるほど、エースなのに様子見だったのか。
「お願い、ストリンダー!」
そして繰り出されたのは、モコウも持っているストリンダー。だがモコウのストリンダーと異なり黄色のハイのすがたではなく水色に電撃が輝くローのすがただ。おとわざを凶悪な威力にするポケモンだ。要注意だな。
「オーバードライブ!」
「こおりのきばだ!」
「それはわかっていたよ!続けてばくおんぱ!」
電撃を纏った音の攻撃をこおりのきばを大地に突きたて生成した氷壁で防ぐも、破壊された瞬間を狙って爆音が轟いて巨大な衝撃波がドラピオンに炸裂。その巨体が揺らぐ。
「もう一回、ばくおんぱ!」
「体勢を低くしてつじぎりだ!」
再び放たれた衝撃波の届く範囲を覚えた俺は体勢を低くして駆け抜けることを指示。自由に動く体を活かして地面と並列になったドラピオンは疾走し斬撃を叩き込む。ストリンダーはとっこうに優れているが防御はそこまでないポケモンだ。一撃で落とす。
「なら…ダーテング!」
「はっ!格好の餌食だ!クロスポイズン!」
次に繰り出されたくさ・あくタイプのダーテングに、タイプ相性がいいことに俺は油断した。油断してしまった。
「ねこだまし!」
「なっ!?」
パンッ!と乾いた音がして、攻撃を繰り出そうとしていたドラピオンが怯む。その一瞬の隙は、命中率が低い技でも当てるには最適だった。
「ぼうふう!」
「…やるじゃないか」
空に打ち上げられて地面に叩きつけられ、戦闘不能になったドラピオンをボールに戻して戦慄する。ミサイルばりで牽制していればこうはならなかった。油断することを見越してくさタイプのダーテングを出したのだとしたら…とんでもないやり手だ。このユウリという少女、以前より明らかに成長している。これが主人公か…
「油断するな、マルヤクデ!」
相性に置いては絶対的なものがあるほのお・むしのマルヤクデを繰り出す。ねこだましを警戒し、ぼうふうにさえ当たらなければ取るに足らない相手のはずだ。すばやさでは勝っているはずだから、打ってくるとしたら先手を取れるふいうちか…?なら変化技で…
「おにび!」
「じんつうりき!」
「なに!?」
ふいうちではなかった。俺が状態異常にしてくるだろうことを見越してのじんつうりき。効果はいまいちだが、怯んでしまう。怯ませて確実に攻撃を当てる、がメイン戦法なのだと気付くには遅かった。
「ぼうふう!」
「…さすがだな」
打ち上げられて戦闘不能になったマルヤクデをボールに戻しつつ戦慄する。まるでこちらの手を先読みしているかの如き戦術眼。的確に最適な技を選ぶセンス。相性不利を物ともしない戦略。ああ、これだ。俺が求めているのは、ムツキやこの先のジムリーダーに勝つために必要なのは、それだ。
「これ以上はさせないぞ、テッカニン。つばめがえし」
「速い…!?」
目にも留まらない速度でテッカニンが一撃で仕留める。ストリンダ―を倒した今、こいつに対抗できるポケモンはいないはず…
「トロッゴン!」
「は?」
予想外の、いわ・ほのおタイプのトロッコの様なポケモンを繰り出してきた。だがよく考えたら、前回テッカニン…というかむしタイプに負けたのだから、それ対策をしてないはずがなかった。ユウリは完全に、俺に勝ちに来てる。
「ロックブラスト!」
「かげぶんしんからのつるぎのまいだ!」
連続で放たれる岩石を、分身して回避。さらに連続で放たれる岩をつるぎのまいで防御しつつ攻撃力を上げていく。前世の赤い人が言っていた。当たらなければどうということはないと!
「バトンタッチ!オニシズクモ、アクアブレイクだ!」
「しまっ…ニトロチャージ!」
交代して、すばやさとこうげきりょくが上昇しているオニシズクモが凄まじい速度で炎を纏って突撃してきたトロッゴンと正面衝突、水飛沫を上げて吹き飛ばす。こうなるともう、俺の蟲ポケモンは止まらない。
「アオガラス!ドリルくちばし!」
「ディグダ像を利用してとびかかれ!」
続けて出された、以前のココガラが進化したであろうアオガラスの回転しながらの突撃を、オニシズクモはディグダ像の壁面に引っ付いて回避。回転が止まったところにその背中にとびかかりガッシリとしがみ付く。さすがにこれは読めなかっただろ?重要な文化遺産を使うなんてな。
「なっ!?ドリルくちばしで振り払って!」
「遅い!かみつく!」
さらに背中から首元に噛み付き、アオガラスは地面に崩れ落ちてオニシズクモは華麗に着地。威嚇の様に前足を掲げる。可愛い。そしてこうなれば勝敗は必然で。
「くっ…お願い、ジメレオン!みずのはどう!」
「決めてやれ、デンチュラ。ほうでんだ!」
最後の対決の勝敗はあっけなく、一撃で決まった。
「…たはー!やっぱり強い!さすがだね、ラウラ!」
「ユウリこそ…負けるかと思って冷や冷やしたぞ」
「つるぎのまいで防御は読めなかったなあ。あんなこともできるんだ」
「ダーテングであそこまでやられるとは思わなかった。いいポケモンだ」
才能あふれるライバルの屈託のない笑顔に、ああ、こいつは負けすらすぐに飲み込めるんだなと感心する。引きずった俺とは大違いだ。こいつは間違いなく、同期の中で最も才能に溢れている。今は俺が勝ってるが、そのうち俺どころかモコウやあのムツキすら乗り越えて、ユウリは同期のトップに立つだろう。超えないといけない壁が増えたな。
「じゃあ俺は行くよ。また課題が出来た。いつもユウリのおかげだ、ありがとう」
「もしかして、私のせいでラウラがどんどん強くなってる!?」
「いや、まあ、そんなことは…ある、かな?」
「やっぱり!?…うーん、ホップも手持ちを入れ替えて頑張ってるみたいだし、私もなにか考えないとかなあ…」
「ホップ?」
「うん、私のお隣さんで一番のライバル!チャンピオンダンデの弟なんだ!…でも、ビートに負けて自信を無くしちゃって…」
「…その気持ちは、ちょっとわかるなあ」
そのホップも、自分より優れた奴と戦って差を感じてしまった類だろう。チャンピオンの弟ならなおさらだ。さんざん馬鹿にされて、卑下されて、自信を粉々にされたんだろう。だけど、だけどだ。
「そのホップって奴も、俺と同じようにポケモンを信じる心が残ってるなら大丈夫だ。きっとな」
「うん!そうだね!ところでなにがあったの?」
「理不尽な台風みたいな奴と戦って惨敗してな。ユウリもひこうタイプ使いには気を付けろよ」
「わかった。心配してくれてありがとう。じゃあまた会おうね、ラウラ!」
「ああ、またな。クイズと婆さんには気を付けろよ、マジで」
「???」
疑問符を浮かべ目が点になったユウリを背に置いて旅立つ。目的地はナックルシティ、そしてワイルドエリアの砂塵の窪地だ。そろそろ六匹目も検討しないといけない時期だ。今の手持ちで次のジムに勝てるビジョンが見えないからな。…そういやモコウはキバナに勝ったのだろうか、などと考えつつナックルシティへの帰路につくのだった。
ダーテングで相性が悪い蟲ポケモン二体を倒すユウリの化け物っぷりよ。
・ラウラ
ユウリの才能を再確認して戦慄する我らが主人公。遺跡にはまるで興味ない。同期が最速攻略者、レべリングの鬼、才能の塊と化け物揃いで戦々恐々している。そろそろ六匹目追加予定。
・ユウリ
相手が次に出してくるポケモンが分かる予知にも近い直感、敵の手を先読みしているか如き戦術眼、的確に最適な技を選ぶセンス、相性不利を物ともしない戦略、と才能溢れるラウラのライバルの一人。手持ちのポケモンが妙にごついのは、本人曰く可愛いポケモン捕まえていたら進化したらごつくなっただけ。幼馴染のホップを心配してる。
・ストリンダー(ローなすがた)♀
とくせい:パンクロック
わざ:オーバードライブ
ばくおんぱ
どくづき
ほっぺすりすり
もちもの:シルクのスカーフ
備考:さみしがりな性格。イタズラが好き。前回の戦いの直後から赤ん坊の頃から育てたユウリの新たな主砲。モコウのストリンダーはハイなすがたなので差別化してる。
・ダーテング♂
とくせい:はやおき
わざ:ねこだまし
リーフブレード
じんつうりき
ぼうふう
もちもの:こうかくレンズ
備考:おだやかな性格。食べるのが大好き。以前出番がなかったタネボーが進化した。現時点でのユウリの切札。
・トロッゴン♀
とくせい:じょうききかん
わざ:ニトロチャージ
ロックブラスト
うちおとす
やきつくす
もちもの:たべのこし
備考:てれやな性格。ケンカをするのが好き。前回の戦いの直後ラウラ対策に捕まえたタンドンが進化したポケモン。ユウリのチームのタンクを務める。
・アオガラス♂
とくせい:きんちょうかん
わざ:ついばむ
つめとぎ
つけあがる
ドリルくちばし
もちもの:するどいくちばし
備考:てれやな性格。負けん気が強い。ココガラが進化した。
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