今回はグレイVSユウリ。時系列はレジギガス無双の頃です。楽しんでいただけると幸いです。
「…クッソ……」
「ジュリ!?生きてる!?」
右半身を見る。完全に凍り付いてしまっている。動かしたら割れてしまいそうだ。左半身を見る。動く、どういうわけか左腕と、左側の顔だけ無事で済んだらしい。この状態で見届けろってか。身動きが取れないのは変わらないが。駆け寄ってくるユウリさんに、右唇を凍らせられてるから迂闊に喋れないけどサムズアップして無事を伝えた左手で、器用に腰に回してボールを確認する。無事なのは一個だけか。グレイにばれないように手に取り、中身を確認する。…あー、君さえ出せてればなあ。
「とりあえずジュリはジッとしていて!」
ユウリさんがグレイへと向かっていく。その手にはげんきのかたまりが三つあるから手持ちを全快にして挑むのだろう。グレイのポケモンをもう少し削れればなあ。結局、一体も倒せなかった。悪の組織の首領は伊達じゃない。
「――その女の惨状を見てなお、私に勝てるとでも思っているのか?チャンピオン」
「勝つよ。私からラウラを奪った貴方に勝って、本当の意味で取り戻す!ジュリを元に戻させる!」
「やってみろ。メガシンカ、メタグロス」
「ウーラオス!」
メガメタグロスと、ウーラオスが激突する。相性はメタグロスが上だけど、サイコキネシスを使う前に足を振り上げ蹴りつけて黙らせている。強い。技を使わせない。ただそれだけなのに、シンプルに強い。
「アームハンマー!コメットパンチ!バレットパンチ!」
「すいりゅうれんだ!」
四本の腕をフルに使い、コンピューターに匹敵する頭脳で組み立てたタイミングを絶妙にずらして放たれた強力な打撃を、水の流れの如く拳打で受け止めたばかりか殴って弾いてしまい、その勢いでがら空きの胴体下に連撃を叩き込むウーラオス。強すぎる。
「ほのおのパンチ!」
「バレットパンチ!」
とどめの炎を纏った正拳突きを、最速の拳で防ごうとするグレイだが、防御の拳をあらぬ方向に弾き飛ばしたウーラオスはそのまま顔面に叩き込み、メガメタグロスはグレイの頭上を吹き飛んで壁に叩きつけられ、メガシンカが解けて崩れ落ちた。
「くっ…ゼブライカ!ワイルドボルト!10まんボルト!」
「交代、バドレックス!こうそくいどう!アストラルビット!」
二匹の馬が、玉座の間を駆け巡る。ワイルドボルトとこうそくいどうでぶつかり合い、霊体弾と電撃が飛び交い、相殺する。私にはそれぐらいしかわからない。凄い高速バトルだ。アレを目で終えている二人は化け物じゃなかろうか。すると、場が動いた。ゼブライカがボルトチェンジを使ったのだ。
「交代、ゼクロム!らいげき!」
「!?」
「バドレックス、避けに徹して!」
声が出ないまでも驚愕する。まさか、メイさんからあのポケモンも強奪したというのか?その巨体にバドレックスもレイスポスを操る手綱を引っ張って急停止。放たれる雷撃を避け始める。しかし妙だ。雷撃が直撃した床は爆煙こそ上がっているが何の変哲もない。まさか、幻影か?
「交代、ウツロイド。どくどく!べノムショック!」
「ナイトバースト!」
どくどくべノムショックと言うこの世界ならではの即コンボを使ってきたウツロイドに、元の姿に戻ったゾロアークが闇の奔流を両手の間に溜めて跳躍、頭上からウツロイドに叩き込んだ。吹き飛ぶウツロイド。よくわからないが、戦闘不能らしい。
「偽物なんて、卑怯な手を使うね?」
「卑怯は敗者の戯言よ。要は勝てばいい。勝てば正義だ」
「ごめん、ウツロイド。ゆっくり休んでて。ウーラオス!」
「交代だゾロアーク。ゼブライカ!」
今度は相性が悪い組み合わせ。ユウリさんは交代することなくウーラオスを向かわせる。
「飛んで火に入る水タイプだ!ワイルドボルト!」
「ほのおのパンチですいりゅうれんだ!」
瞬間、炎を纏った拳でワイルドボルトを止めたかと思うと、そのまま両手に炎を纏い水の流れの様な連撃を繰り出しゼブライカを殴り飛ばすウーラオス。全身にやけどを負ったゼブライカは鉄の床に叩きつけられて戦闘不能となった。技と技を組み合わせる事なんてのもできるのか…。現実のポケモンバトル、奥が深いなあ。
「やはり準伝説は強いな。刃を殴れるか?ケルディオ!しんぴのつるぎ!」
「交代、フシギバナ!メガシンカ、いくよ!」
繰り出したフシギバナでしんぴのつるぎを受け止めながら、メガシンカさせるユウリさん。メガシンカしたことで鋭くなった葉っぱを飛ばし、エネルギーの刃を弾いて打ち上げて行く。
「はっぱカッター!」
「ハイドロポンプで逃げろ!」
足の裏から水流を出して逃れるケルディオ。それを追いかけはっぱカッターが放たれ、着地したところで目を輝かせるユウリさん。
「ハードプラント!」
くさタイプの究極技、太い蔓の束がケルディオに殺到。技を出させることなく、飲み込んで戦闘不能にした。使ったら反動で動けなくなる究極技の使いどころが上手すぎないだろうか。ちゃんとインテレオンに交代しているし。
「そろそろ本気を出してよ。その程度の実力でラウラが負けるわけがないじゃん」
「そう言っていられるのも今の内だぞ。加減はしなくていいぞ、キュレム」
手にしたマスターボールから繰り出されたのは、私をこんな状態にした張本人…張本ポケモンであるキュレムだ。私をこんな中途半端で拘束できるほどの技量を持つ、最強とも謳われるドラゴンポケモンにユウリさん、勝てるのか?
「ねらいうち!」
「れいとうビームだ」
インテレオンの突き出した指から放たれた水流を、れいとうビームで水流ごと撃ちぬいてインテレオンが指を構えた状態で凍りつかせるキュレム。氷像と化したインテレオンは動かない。もはや一撃必殺じゃないか。あんなの喰らったら私は死んでいたかもしれない。
「っ…ムゲンダイナ!かえんほうしゃ!」
「れいとうビーム!」
インテレオンを戻し、ムゲンダイナを繰り出して突っ込ませるユウリさん。その口から放たれた炎を凍らせて突撃して破壊しながらムゲンダイナと組み合うキュレム。炎をも凍らせるってそんな無茶苦茶な…
「ドラゴンクローだ」
「クロスポイズン!」
零距離での殴り合いを制したのは、キュレム。効果抜群の一撃がムゲンダイナのコアに突き刺さり、大ダメージでよろめき後退する。
「終わりだ。こごえるせかい」
「かえんほうしゃ!」
キュレムの周囲に漂う冷気が渦となって竜巻となり、それは広がっていき、炎を吐く抵抗虚しくムゲンダイナと、ユウリさんを飲み込んで。冷気の竜巻から、全身が薄く凍てついたユウリさんが吹き飛ばされて私の側に転がった。
「ムゲンダイナ!」
どうやらムゲンダイナがその身を挺して主人であるユウリさんを守ったらしい。冷気の竜巻が消え去ると、そこにはムゲンダイナの氷像が倒れ伏していた。
「ガラルの災厄、ブラックナイトも形無しだな!チャンピオンユウリよ、お前は知らないだろうから教えてやる。こいつはキュレム。史上最強のドラゴンポケモン、キュレムだ!フフフ、ハハハハハ!」
「くっ…フシギバナ!」
「だがこいつを使うと私も冷気で体が凍てついてしまうからな。交代してやろう。行け」
キュレムを戻して、その名を出さずにグレイが繰り出したポケモンが超高速で動き回ってメガフシギバナに四方八方から襲いかかる。メガフシギバナの巨体が宙に浮くほどの速さ。あれが、グレイの六匹目。なんだ、あのポケモンは?
「フハハハハハハ!最速のポケモンの力はどうだ!チャンピオンが手も足も出ないではないか!ニトロチャージ!」
その何かが炎を纏い、フシギバナに正面から激突。炎上させて戦闘不能にするも、なおも止まらない。
「バドレックス!アストラルビット!」
「無駄だ無駄だ!」
ユウリさんがバドレックスを繰り出して霊体弾を放って追従させるも、追い付かず消えて行く。速すぎて誘導する攻撃さえ届かないなんて…
「こうそくいどう!」
「付け焼刃なぞ無駄だ!シザークロス!」
そしてバドレックスも倒れ。ユウリさんは最後のポケモンであるウーラオスを繰り出すも、やはり超高速で攻撃されて苦い顔だ。アレに勝つ算段が思いつかないのだろう。私もそうだ。
「あと一体。俺が集めた最強のポケモン達なら、チャンピオン相手でも勝てるらしい」
「ぐっ…」
満面の笑みを浮かべるグレイ。ユウリさんでも勝てないなんて、一体誰が勝てるって…
「待ちなさい!」
「グレイ様!」
そこにやってきたのは、ダフネとシュバルツ。思わぬコンビに、思わず目を丸くした。
ユウリのポケモンさえ圧倒するグレイの手持ち。今の手持ちならチャンピオン相手でも勝てる戦力になってます。
・ジュリ
手加減されたこごえるせかいで顔の左側と左腕以外を凍りつかされた転移者。身動き取れないまでも、あと一匹だけ使えるポケモンでチャンスを待つ。
・ユウリ
ラウラの敵討ちだと燃えるチャンピオン。洗脳されたラウラを何とかするための手持ちであるウツロイドは本気の手持ちではないため、大苦戦に強いられる。今回連れてきた手持ちはウーラオス、インテレオン、ムゲンダイナ、バドレックス、フシギバナ、ウツロイド。
・グレイ
ついにチャンピオンを追い詰める実力を見せたプラズマ団のボス。手持ちはキュレム、ゾロアーク、ケルディオ、メタグロス、ゼブライカ、そして●●●。キュレムはとある理由でガチモンの「最強のドラゴンポケモン」となっている。
・ダフネ&シュバルツ
ユウリがやられるギリギリで到着。手持ちを完全回復させてきた。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。