今回はダフネ&シュバルツVSグレイ。楽しんでいただけると幸いです。
シュバルツの案内した部屋にあったポケモンセンターにもあるような機械で手持ちのポケモンを回復し、ワープポイントに乗って決戦の舞台に赴くと、まさにユウリさんが圧倒されているところだった。近くには泡を吹いて倒れ伏したラウラさんと、完全ではないが氷像にされたジュリさんがいた。その奥には、白と黒の男が…アレがグレイだろうか。
「グレイ様!」
「…シュバルツか。どうした、加勢に来たのか?いらぬ心配だ。…いや、何故その女を連れている?」
「聞きたいことがあってまいりました!」
シュバルツは泣きそうな顔で、妖しい笑みを浮かべるグレイに物申す。ユウリさんはその隙を突こうとしていたが、速すぎる何かの攻撃でウーラオスは防戦一方だった。
「なんだシュバルツ。今は忙しいから話なら後に…」
「グレイ様は、本当にポケモン救済を志しているのですか!?」
「…ほう?」
シュバルツの問いかけに、眉を顰めるグレイは大きなため息をついて、闇の様な暗い瞳でシュバルツを見下ろした。そこからは感情をまるで感じない。恐ろしく感じて、思わず後ずさる。
「ああ、私はポケモン救済を目指しているぞ?世界の王になるのはそのためだ。本当にポケモンを救済するならば、地方一つに囚われずに全ての人間に影響を及ばさなければならない。そのための力の提示だ。このことについては何度も言っただろう?」
「だが!だがしかし!解放されたあとのポケモンたちについてはお考えなのですか!?もし、貴方が王になり、いっせいにポケモンが解放されれば全てのポケモンが路頭に迷うことになるのでは…なにか、お考えなのですよね!?」
「ああ、それか。それはだな……考えていない」
「…やはり、そうなのですか…?」
グレイの心無い言葉に、怖気づくシュバルツ。やはりか。あの男、王になるのが目的なだけでポケモン解放とか、プラズマ団が謳っていることについては何も考えていないんだ。
「だがいいではないか。ポケモン解放は成し遂げられる。お前の悲願は達成できる。そう、約束しただろう?この私が、Nでもゲーチスでも成し遂げられなかったポケモン解放を成し遂げてやろうとな」
「確かに私はそう言われて貴方に忠誠を誓った。だが、だが!私が目指したのはポケモン解放ではない!ポケモン救済だ!貴方がそんな無責任な王であろうというのならば!」
「だとするなら、どうするというのだ?」
「私は貴方を止める!止めて見せる!」
「助太刀しますよ、シュバルツ!」
ボールを構えてクロバットを出すシュバルツに、私もイオルブを繰り出して構える。するとグレイは両手でマスターボールを構えた。高速で動くポケモンはそのままユウリさんとウーラオスの相手をさせるようだ。
「そうか。ならばお前も我が敵だ。さすがに3VS1は分が悪い。加減はしないぞ、伝説の力を見せてやれ。――キュレム」
そして繰り出されたのは、見たこともないポケモン。凍てついた灰色の身体を持つ巨大なドラゴンポケモンは咆哮を上げる。こいつのせいで、ジュリさんがあんなことに…!?
「こごえるせかい」
「ファストガードだ!」
「ミラーコート!」
放たれた冷気の渦が巨大化した竜巻を、エネルギーの壁で防御するシュバルツとクロバットと、ミラーコートで跳ね返そうと試みる私とイオルブ。しかし跳ね返した光線は維持される竜巻に飲み込まれて打ち消され、さらにはファストガードも砕かれて凄まじい冷気の渦が私達を吹き飛ばす。咄嗟にクロバットとイオルブが庇ってくれたが、二体とも氷像になって床に倒れ伏していた。なんという力ですか…!
「シュバルツ、本気で行きますよ!ヘラクロス、メガシンカです!」
「ああ、行くぞダフネ!シャンデラ!」
私はヘラクロスを繰り出し即メガシンカ、シュバルツはシャンデラを繰り出す。あの火力なら対抗できるはずです!
「ほのおのうず!」
「ハハハハハ!さすがは俺自らスカウトした幹部だ!キュレムにも対抗できるのかお前は、凄まじいな!お前が敵になって本当に悲しいぞ、シュバルツ!」
炎の大竜巻が冷気の大竜巻と激突。室内だと言うのに凄まじい風が吹き荒れる。すごい、伝説ポケモンとも対抗できるなんて…!
「ダフネ!グレイ様…いや、グレイにあの力を使わせてはならぬ!」
「あの力とは!?」
「使われたら、正真正銘の最強のドラゴンが君臨すると言うことだ!」
「とにかくぶっ飛ばせばいいんですね!ヘラクロス、メガホーンで突っ込んでインファイトです!」
冷気と炎の大竜巻がせめぎ合う中に、メガヘラクロスを突撃させる。メガホーンで冷気と炎の壁を突き破り、キュレムに肉薄。姿こそ見えないが、猛打撃が炸裂した音が聞こえた。
「見るからにこおりタイプですよね!ならば!ロックブラスト!」
「ドラゴンクローだ!」
直後、冷気と炎の壁を突き破って出てくるメガヘラクロス。戦闘不能とまでは行かないがボロボロだ。なんて力…こごえるせかいとかいう技を維持しながら他の技を出せるとは。恐るべし、伝説ポケモン。
「むっ…駄目だ、離れろダフネ!」
「え?」
「思っていたよりも耐えはしたが…無駄な抵抗だ」
炎の大竜巻が冷気の大竜巻に飲み込まれ、掻き消えて冷気の渦が私達を襲う。メガヘラクロスは全身から蒸気を噴出して冷気を防御、シュバルツもシャンデラのれんごくで防いでいるようだが、それでも吹き飛ばされてしまう。これ、ラウラさんにも当たってそうですが大丈夫なのか?と思わず見て見ると、何故か無事だった。…まさか?
「ヘラクロス!床ギリギリを飛んで突っ込んで!」
「何をする気だ、ダフネ?」
「なにをしようが無駄だ!こごえるせかい!」
蒸気を噴出して床ギリギリを飛行するメガヘラクロスに放たれるこごえるせかい。遠く離れた私達にも余波が来るが、直撃したはずのメガヘラクロスは、特に影響を受けることなく突撃していた。その光景に驚くグレイ。してやったりだ。
「なに!?」
「その技、どうやら大技であるが故に…床ギリギリには当たらないみたいですよ?ぶちかましなさい!インファイト!」
「れいとうビームで防御だ!」
れいとうビームで氷の壁を作って防御しようとするが無駄だ。蒸気を噴出して加速した一撃で氷の壁を破壊して肉薄。猛打撃を叩き込み、後退するキュレム。しかしドラゴンクローで薙ぎ払われる。でも、結構ダメージを与えたはずだ。このまま…!そう、構えたその時。グレイは懐から何かを取りだしていた。
「レジギガスもやられたと今、連絡が入った。レッドが来ると予想もできなかった俺の落ち度だ。それは認めよう。だが、だがな。主人公でもない奴に負けるのはこの俺のプライドが許さん!」
「まさか…アレを使う気か!止めろ、シャンデラ!」
「もう遅いぞシュバルツ。キュレムよ、真の力を解き放て…「真・いでんしのくさび」だ!」
それ…白と黒と灰色の楔の様な物がキュレムに突き刺さる。瞬間、右が赤い火炎に。左が青い電気に包まれるキュレムの姿が、氷が溶けて、変貌していく。
「…キュレムにはいでんしのくさびというアイテムでレシラムかゼクロムと融合することで至る真の姿がある。ブラックキュレム、ホワイトキュレムという」
その変貌を見ながら、淡々と説明を始めるシュバルツ。その中に聞き覚えのある名前があった。
「レシラムってトウヤさんの手持ちの?でもその二体は今ここには…」
「そうだ。レシラムはトウヤというトレーナーに、ゼクロムがN様…現在はメイというチャンピオンがそれぞれ有していたため、ゲーチスの野望以降その姿を実現することは叶わなかった。だがグレイは、ゲーチスの野望でブラックキュレムとレシラムが戦ったジャイアントホールにて…二体の血液を見つけたのだ」
「それってまさか…」
「プラズマ団驚異の科学力が成し遂げた偉業。かつて、キュレムがレシラム・ゼクロムと一体化していた時の姿を取り戻すことに成功した。それが…BWキュレム。4つのタイプを持つ最強のポケモンだ」
赤い炎と青い雷が弾ける。その竜が咆哮する。絶望が、そこに現れた。
キュレムの真の姿、という設定のBWキュレム。登場です。
・ダフネ
久々活躍主人公。こごえるせかいの弱点を見切ってキュレムに大打撃を与えた。ジュリを凍らせ、ラウラを洗脳し、シュバルツを騙したグレイへの怒りに燃える。
・ユウリ
ひとり謎のポケモンと戦うチャンピオン。ウーラオスで相手している間に回復を試みるがこごえるせかいの余波に邪魔され半ば凍り付かされる羽目に。
・ジュリ
現在身動きが取れない転移者。BWキュレムの登場に驚きを隠せない。あと助けて。
・シュバルツ
グレイの真意を聞いて、反旗を翻すことにしたプラズマ団幹部。キュレムの事情については幹部だけあってよく知っており、あのポケモンにだけは勝てないと考えている。何気にシャンデラでキュレムに対抗しているやべーやつ。
・グレイ
切札である「真・いでんしのくさび」を使いBWキュレムを爆誕させたプラズマ団のボス。プラズマ団の科学力と、自身の頭脳で作りだした。レジギガスまでやられたと無線で聞いて最終手段に出た。主人公でない人間にやられるのだけは我慢ならないらしい。
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