今回はついにホップが登場。VSホップ前半戦となります。楽しんでいただけると幸いです。
砂塵の窪地。砂嵐が吹き荒れる文字通りの窪地で、いわ、じめん、はがね、ドラゴンタイプの屈強なポケモンが数多く生息しているワイルドエリアの危険地帯だ。そんな中を2日ほど彷徨いながら、俺はナックルシティに戻った時のことを思い返していた。
「遅かったなラウラよ!どうだ!私が、じゃない、我が一番乗りだ!」
「おお、やったのか」
道路の中心に立っていたかと思えば、俺を見つけるなり全てを揃えるとメダルの形状になるジムバッジを掲げ、にんまり笑うモコウに笑みを返す。こいつは、やりとげたんだな。
「最速!最強!それがこの我、でんきつかいのモコウだ!」
「ああ、お前は本当にすごいよ。間違いなく、ジムチャレンジ最速だ。だけど、最強ってのはいただけないな。トーナメントで勝つのはこの俺だ」
「ほう、言うではないかラウラよ。ならばとっとと集めてこい!我は一足先にシュートシティに向かって調整をするのでな!」
そんな会話の後にモコウとは別れた。今頃最後の町、シュートシティに向かっていることだろう。あいつは俺がジムバッジを揃えることを当たり前だと認識してくれていた。なんというか、負けられないな。そんなことを考えながら覗いた巣穴で見つけた、目的のポケモンを。その強固な身体に息をのむ。正直むしポケモンでダメージを与えられる気がしないが、やるしかない。
「行くぞオニシズクモ!ダイマックス!」
さて、強敵だがドラピオンの時よりはマシだろう。気張って行くぞ!
「つ、疲れた…」
わかってはいたがダイマックスしていたこともあり堅すぎて時間が相当かかった。半日ぐらい費やしていたかもしれん。ボロボロになりながらナックルシティに戻ると、そこにはユウリと、なぜかポプラさんとビートの姿が。なんかポプラさんがビートにセクハラまがいのピンク!の押し付けをしたかと思うとそのまま連れて行ってしまった。…なんだったんだ?
「ユウリ、今のは…なんだったんだ?」
「あ、ラウラ。えっと…オーディションかな?それよりどうしたのこんなところで?」
「ちょっとワイルドエリアでポケモンを探していたんだ。2日も経てば追い付かれるか…」
「六匹目かあ。私はこれ!って感じのポケモンがいないんだよね…」
「じゃあ俺はポケモンセンターに向かうから。またな」
「うん、またね」
ユウリと別れてポケモンセンターで一休み。なんか揺れたけど地震かな?と自己完結してロトム図鑑で新しい仲間のステータスとわざを確認、次のジムの対策を練る。
「キョダイセキタンザンのキョダイフンセキ…いわタイプ以外のポケモンにスリップダメージを与える技か。きあいのタスキを持たせたテッカニンでも耐えられないな…うん?いわタイプ以外?」
新しいポケモンと、その情報を見比べる。そしてリュックの中のわざレコードも見比べる。…あれ、これセキタンザンまでこいつを出さずに行けば勝機あるんじゃ…。
「どこかで試したいな」
リュックを担ぎ、地図を見ながらポケモンセンターを出て、東の七番道路を目指す。七番道路を北上すれば次の町、キルクスタウンか。ふむ、温泉街か、砂塵の窪地で汚れたし蟲ポケモンたちをゆっくり湯に浸からせたいな。
「ん?」
七番道路の橋に差し掛かると、ユウリがチャンピオンにそっくりな少年と戦っていた。もしかしてアレがホップか?
「ホップ、いくよ!インテレオン!ねらいうち!」
「エースバーン!怖気づくな!かえんボールだぞ!」
ユウリの、ジメレオンが進化したであろうインテレオンと、ホップと思われる少年の兎の様なサッカー選手の様なエースバーンが繰り出した技がぶつかり、水蒸気が発生。何も見えなくなる。
「アクロバットだぞ!」
「ふいうち!」
そして決着は意外なほどあっさりついた。ユウリの勝ちだ。負けたというのにホップは満足げな笑みを浮かべている。いいライバルなんだな、と思った。
「旅に出る前…テレビで見ている兄貴はただただ強く眩しかった。今ならどれだけ強いのか…俺になにが足りないのか分かる。お前が言った、ラウラって人の言葉のおかげだ!だけどユウリだけじゃない、俺も強くなっているぞ!お前よりスピードは遅くてもな。相手にしてくれてサンキューだ!決めた!キルクスタウンでジムバッジを勝ち取ったらまたお前にビシッと戦いを挑むぞ!」
「もちろん、こっちこそ!答えを見つけられたみたいでよかったよ、ホップ!」
「ああ、いい勝負だった。俺も負けられないな、ユウリ」
各々自分のポケモン達を回復する二人に歩み寄ると、二人は目に見えて驚愕した。こっそり見るつもりはなかったが、橋のど真ん中で戦っているのが悪い。
「ラウラ。追い付いてきたんだ」
「方針は決まったからな。そっちがホップってやつか?」
「そういうそっちはラウラだな。礼を言うぞ!ユウリから聞かされたアンタの言葉で俺の願いが分かってきた…俺は兄貴と戦いたい…!いや、無敵のチャンピオンである兄貴に勝ちたいんだ!勝つんだ!そのためにも俺は強くなる!頼む!俺と戦ってほしいんだぞ!」
「望むところだ。ユウリ、悪いが立会人してくれるか?」
「いいよ。ホップもラウラと戦ったらなにか掴めると思うよ!」
「それは買いかぶりすぎだ」
俺は蟲ポケモンが好きなだけのただのジムチャレンジャーだからな。むしろユウリと戦った方が何か掴める気がする。
「5VS5!先に全部倒された方の負け!それでいい?」
「ああ、いくぞ!」
「来い、チャンピオンの弟!」
▽ポケモントレーナーの ホップが 勝負を しかけてきた!
ホップが繰り出したのはくさ・ゴーストのオーロット。対して俺はテッカニン。タイプ相性も悪くないしいつものようにテッカバトンで一気に決める。
「つるぎのまい」
「あやしいひかり!」
「しまっ!?」
つるぎのまいで上げた攻撃力が
「ラウラ選手のテッカニンのバトンタッチはあまりにも有名なんだぞシャドークロー!」
「そうかい。俺も焼きが回ったな。交代だ、ドラピオン」
ゆっくりと歩いて迫ってきたオーロットの影を纏った爪を、交代したドラピオンが受け止める。体躯はほぼ互角。力勝負だ。
「尻尾からミサイルばりだ!」
「ウッドホーンで押しのけるんだぞ!」
体力を吸い取る枝角と、尻尾の爪から放たれる光弾が同時に炸裂。効果抜群だが体力を吸い取られた。大してダメージは入ってないと見ていいだろう。
「あやしいひかりだぞ!」
「目を瞑って俺を信じろ!前に一メートル直進、クロスポイズンだ!」
あやしいひかりも、ドラピオンが俺の指示通りに動いてオーロットを仕留めたことで攻略。ポケモンが判断できないならトレーナーが判断すればいい。
「いくんだぞ、カビゴン!」
「あくまでパワー勝負か、面白い!」
続けて出されたのは初代ポケモンから強ポケモンと知られているノーマルタイプのカビゴン。ドラピオンをも超える巨体に一瞬怖気づくも、すぐに気を取り直して指示する。
「距離を取れ、クロスポイズン!」
「のしかかりだぞ!」
間一髪。圧倒的重量から放たれるのしかかりをすんでのところで回避。その後頭部に毒を纏った交差した斬撃を浴びせ、毒状態にする。これで鈍いカビゴンから逃げ続ければいずれ毒で倒れる。そう思ってテッカニンに交代して、後悔した。
「ヘビーボンバーだぞ!」
「あの巨体で跳べるのか!?」
ヘビーボンバー。相手より重ければ重いほど威力が上がる技。交代したばかりのテッカニンは天高く跳躍して視界から消えたカビゴンを追い切れず、押し潰されてしまった。よく橋が崩れないな。もちろん戦闘不能。その技を考慮しなかった俺のミスだ。ごめん、テッカニン。
「なら作戦変更だ。デンチュラ!」
「たくわえるだぞ!」
「エレキネットだ」
たくわえてとくぼうとぼうぎょを上げてきたホップだが、こちらは目的が違う。カビゴンはもともと鈍いポケモンだ。跳躍時のすばやささえ奪ってしまえば脅威はない。足元をエレキネットで拘束され動けなくなったカビゴンに慌てるホップ。もう遅い!
「倒れるまでほうでんだ!」
「た、たくわえる!」
時間はかかったがなんとかカビゴンを倒すことに成功。そして次に繰り出されたのはクイタラン。むしポケモン、アイアントの天敵だ。正念場だな。あいつを出すか。
「初陣だ、イワパレス!」
俺の六匹目。イワパレス。此処に降臨だ。
ストーリー調整のためだけにワイルドエリアに閉じこもってるラウラには悪いと思ってる。だが私は謝らない。アイアントとかイオルブとか候補は色々いたんですがイワパレスになりました。ステータスは次回にて。
・ラウラ
六匹目捕獲のために砂嵐の中にいたため麦わら帽子を失くしそうになった人。ナックルシティが揺れたのにまるで気にせず、六匹目であるイワパレスを捕獲し、いわタイプのジムの攻略法も思いつく。有名になりすぎて対策を簡単に取られる羽目に。
・モコウ
無事キバナを攻略。今季のジムチャレンジ突破第一号となった。その日数、実に2週間。ふうせんなどのどうぐやらわざましん・わざレコードやらを総動員して攻略した。意外とまひが通ったりあまごいで天気を変えたりが刺さった模様。フライゴンは当分戦いたくないトラウマになった模様。
・ビート
背景でポプラさんに連行された人。ちなみに前々回、「心が奪われた」と爆弾発言かましてる。
・ユウリ
ラウラと再会した後ホップとバトル、圧勝した。前回との間にジメレオンがインテレオンに進化した。
・ホップ
今回初登場、ユウリのお隣さんにして一番のライバル。チャンピオンの弟。ビートと色々あって自信を無くしていたがラウラの言葉をユウリから受けて復活。そのためラウラは恩人に近い。話題のチャレンジャーであるラウラの攻略法はしっかり頭に入っているぞ!勤勉なんだな!
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。