今回はBWキュレム撃破後の一幕。楽しんでいただけると幸いです。
大爆発。真・いでんしのくさびを失ったことで体内のエネルギーを制御することができなくなったキュレムが暴発を起こし、大爆発が玉座の間を襲い、私達は吹き飛ばされる。
「し、死ぬかと思った…」
「あ、ジュリさん!無事でしたか!」
今の爆発の膨大な熱量で氷が溶けたのか、無事な姿のジュリさんに受け止められて難を逃れる。周りを見れば、トウヤさんも目を覚ましてシュバルツを受け止め、ラウラさんも痺れているユウリさんを守っていた。見れば、部屋全体が吹き飛び、天井と壁が一部しか残っていない悲惨なことになり、暴風が吹き荒れる中で元の姿に戻ったキュレムが倒れ伏す。しかし、ラウラさんに蹴り飛ばされていたグレイの姿は見えず……ガクンッと、斜めに傾き始めた。これは…!?
「まさか、落ちている!?」
「なんで!?あの爆発でどこかイカレたの!?」
「おいおい、この船には大量の団員も乗ってるんだぞ!?それにこのままじゃシュートシティに…!」
「ユウリ、起きれるか?ヤバいことになってるぞ」
「ぐう…なんのこれしきぃ…」
シュバルツを抱えながらそう言うトウヤさんの言う通りだ。この船にはプラズマ団員も多く乗っている。この場にはいないが、ヨハルやヴァイスだってどこかの部屋にいるはずだ。このままじゃみんな死んでしまう…でもなんで、いきなり落ち始めてるんだ?
「フハハハハハ!お前たちはもう、終わりだあ!」
そんな声が空から聞こえてきて、全員で顔を上げるとそこには、空を飛ぶグレイの姿が。あれは…赤いゲノセクトに乗っているんですか!?グレイはキュレムをボールに戻しながら狂気的に笑う。
「ゲノセクトのテクノバスターで機関部を破壊した!このままではしたっぱ共とシュートシティがお陀仏だ!せいぜい頑張って止めて見ろ!俺はその間に高飛びだ!死ななければ、捕まらなければ何度でもやり直せる!今度はギンガ団でも手駒にするかな!」
「お前、グレイ!いい加減にしろよお前!逃がすか!…俺の手持ちも使ってくれ、あとこれも!頼んだ!」
そう言ってボール4個とメガリングを私に手渡して、自らも繰り出したゲノセクトにしがみ付いて空を飛ぶラウラさん。しがみ付くラウラさんと違って、高速で飛行する赤いゲノセクトに直立するグレイ。何という身体能力だ。無駄にすごい。ってそれどころじゃない、なんとかしてこの落下するプラズマフリゲートを止めなければ!
「なにか、何か手は!?…これは」
ラウラさんの手持ちを確認し、思わず胸のメガペンダントと、ラウラさんのメガリングを確認。いや、足りない。私が無理をしても、足りない。あと一つあれば……。
「や、やっと来れた…なにがあったの!?」
そこに、ボロボロのヴァイスを担いでワープポイントからやってきたのはヨハル。いや、そちらこそなにがあったのかとツッコむ前に、その、ヴァイスの脚に付けられたものを見て、思わず駆け寄った。
「ヴァイス、すみません!お借りします!」
気絶しているらしいヴァイスの脚からメガアンクレットを取り外し、自分の左足に装着。メガリングも右手の中指に装着。左手でメガペンダントを握りしめる。それを見て驚くジュリさんとヨハル。ユウリさんとトウヤさん。こんなの、常人じゃ思いつきませんが…これしかない。
「な、なにを?」
「力ずくで落ちるのを止めます。止めて見せます」
キーストーンはもう一つの心臓の様な物。それを三つに増やすなんて自殺行為だが…やってやる!繰り出すのは、ヘラクロスとハッサム…そして、ラウラさんの六匹目。カイロス。その手にしているのはそれぞれのメガストーン、ヘラクロスナイト、ハッサムナイト、カイロスナイトだ。
「トリプル……メガシンカ!」
メガペンダント、メガリング、メガアンクレットのキーストーンから溢れる虹色の光とメガストーンの輝きが一つになり、光の膜に包まれるヘラクロス、ハッサム、カイロス。ヘラクロスは角を振りおろし、ハッサムはハサミを振るい、カイロスはハサミを振り上げて、光の膜を突き破る。同時に凄まじい負担が私に襲いかかる。
「ぐぅうううううう!」
「すごい…ポケスペのXY編のエックスみたいな…すごいよ、ダフネ!」
ジュリさんが興奮で声を上げる中で、それぞれメガシンカして変貌を遂げた蟲ポケモンたち。メガヘラクロス、メガハッサム、そして背中から翅が生えて自慢のハサミもさらに鋭く、鋭かった眼光がさらに鋭く血走ったような眼光を光らせるメガカイロスが爆誕。私はあまりの負担に膝をつきながらも、三匹にお願いする。
「お願いします…プラズマフリゲートを、その力で受け止めて…!」
頷く三匹は翅を羽ばたかせて空へと飛び出していった。
「俺達も!レシラム!」
「うん、ムゲンダイナ!」
「私も…ゴルーグ!」
「えっと私は……飛べるポケモンいないからそこの人を任せて!」
トウヤさんはレシラムに、ユウリさんはムゲンダイナに、ジュリさんはゴルーグに乗って飛び出していき、残ったヨハルはヴァイスとシュバルツの手当てをする。その中で私は倒れ伏しながら、考える。なにか、他にも手はないか。
「逃がすか!ニトロチャージ!」
「右だゲノセクト!邪魔をするな、ラウラ!テクノバスター!」
自身が燃えるのも構わず、ゲノセクトに炎を纏わせて突撃させるも軽く避けられ、赤いゲノセクトを通常形態に戻してバランスよくその上に立って、反撃の火柱を放たせるグレイ。俺は黒焦げになりながらも、ゲノセクトの身体を無理やり引いて急制動を行い回避、赤いゲノセクトを飛行形態に変形させて逃げるグレイに追い縋る。
「ならこいつはどうだ…!シザークロス!」
「なに!?」
ボールを手にゲノセクトから飛び降りる。それに驚くグレイと赤いゲノセクトにゲノセクトの斬撃が叩き込まれ、俺はデンチュラを繰り出し背中に装着。糸を伸ばして赤いゲノセクトに伸ばしてくっつけ、二体のゲノセクトに次々と糸を飛ばしてスイング、追いかける。
「エレキネット!」
「貴様!スパ●ダーマンかなにかか!?」
「うるせえ!デンチュラと一心同体のなせる技だ!お前にできるか!?」
「空飛ぶ変態め、これでも喰らえ!テクノバスター!」
振り返り、通常形態に変形させた赤いゲノセクトから火柱を放ってくるグレイの攻撃を、ゲノセクトに糸を伸ばして大きくスイング、ゲノセクトたちの上まで移動して上空からグレイに飛びかかる。
「うおおおおお!」
「うおおおおおお!?」
空から襲いかかる俺と、迎撃すべく拳を構えるグレイ。奴の強烈な拳が俺の頬に炸裂し、殴り飛ばされる。いてえ。死ぬほどいてえ。だけど、諦めてたまるか!
「いとをはく!」
「ぬっ…ぬぅううううう!?」
奴の突き出した拳に糸を伸ばし、俺とデンチュラの重量に引っ張られ落ちそうになるグレイ。しかし常人離れした怪力で振り上げ、引っ張り上げられて上空に投げ捨てられる俺達。
「スーパーマサラ人の怪力をなめるな…!?」
「ああ…蟲のこともなめない方がいいぞ!特に蜘蛛はな!回れ回れ回れ~!」
追い付いてきたゲノセクトに乗り、未だ通常形態で空中に留まっている赤いゲノセクトとその上に乗るグレイの周りを、デンチュラから糸を吐きながら高速で回転し、グルグル巻きにしていく。赤いゲノセクトごと簀巻きにされたグレイをグルングルンとデンチュラとゲノセクトと力を合わせて振り回し、落ちて行くプラズマフリゲートのある方向を見やる。
「そこだ!飛んでけ!」
「ぐっ、おっ、おのれぇえええええええええ!?」
そして遠心力を伴わせて投げ飛ばし、グレイをプラズマフリゲートへ帰還させる。…あとは落ちるのを止めるだけだな。
「急ぐぞ、ゲノセクト!」
トリプル蟲ポケモンメガシンカ、これがやりたかった。
・ダフネ
主人公らしく無茶をした主人公。自らのペンダント、ラウラの指輪、ヴァイスのアンクレットを用いて負担が大きすぎるトリプルメガシンカを果たした。
・ラウラ
主人公らしくこっちも無茶した主人公。もう完全にスパイダーマン戦法を使いこなしている。グレイに殴られて痛いがそれよりも許せないが勝った。
・グレイ
プラズマフリゲートを落として高飛びしようとしていた小悪党。ちゃっかりキュレムを回収するなど小賢しい。格闘戦もできる。だが逃げられず、逆戻りすることに。
・ジュリ
爆発で氷が溶けて復活した転移者。ゴルーグに乗ってプラズマフリゲートを止めるべく奮闘する。
・ヨハル
異変を察知して気絶したヴァイスを連れて追い付いてきた二重人格。飛べるポケモンがいないのでヴァイスとシュバルツの治療を担当する。
・ユウリ
痺れから復活したチャンピオン。げんきのかけらで復活したムゲンダイナと共にプラズマフリゲートを止めるべく奮闘する。
・トウヤ
爆発で目が覚めたBW主人公。げんきのかけらで復活したレシラムと共にプラズマフリゲートを止めるべく奮闘する。そして…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。