今回はガラルテロ事件その後の話。
「シュバルツとヴァイスは警察病院へ移送、グレイとダークトリニティは拘束後に逮捕、したっぱも同上です。空中に巨大蜘蛛の巣で縫い止められたプラズマフリゲートから全員回収するのは骨が折れました」
「お疲れ様だ、キリエさん。国際警察のリラさんとハンサムさんが来たら引き渡してくれ」
あれから三日。そう会話するのは、ガラルポケモンリーグ委員長ダンデとその秘書であるキリエ。場所はバトルタワーの会議室。キリエはこの三日、空中のプラズマフリゲートへの足場作りという作業を行っていたため少々泥にまみれており、ダンデはハンカチを手渡す。そこにはNとその部下、女神たちの姿もあった。
「お疲れ様、ダンデ。君が居なければ今頃大惨事になっていただろう」
「いいや。俺はちょっと援護をしただけだ。頑張ったのはラウラやユウリ、ダフネたち勇気あるチャレンジャーたちだ。まさかチャレンジャーに君の旧知の仲がいるとは思わなかったがね」
「ダビと名乗っていたトウヤのことだね。僕もシュートスタジアムのモニターを見るまで気付かなかったよ。僕でも気付かない完璧な変装だった。大方、正体を隠して一からトレーナーとして戦いたかったんだろうね。チャンピオンになることを選ばず、挑戦者で居続ける…彼はそう言う男だ。だから手持ちのともだちの声も、美しい」
そう語るNの顔は実に楽しそうな笑みで、ダンデも笑みが溢れる。
「君のところのプラズマ団…白いプラズマ団の援助は実に助かるよ。何分、氷漬けなんていう災害は初めてでね」
「ある意味僕らの身内の仕業なんだ。これぐらい、なんてことないさ。一年前もイッシュのソウリュウでやった救助を別の地方でやることになるとは思わなかったけどね」
現在、氷漬けにされたシュートシティは未だに氷が全て溶けてない物の、N派の白いプラズマ団と言う、以前もイッシュのソウリュウシティの氷結災害が起きた際に救助活動した者達の協力のおかげで住民のほとんどが救助されていた。
「ところで、トウヤから連絡があったのだけど、いつごろセミファイナルトーナメントは再開されるんだい?」
「うーん、メジャージムリーダー7人とラウラの代理だったヤローがレジギガスとの戦いで重傷を負い、ラウラも脳と体の検査で、チャレンジャーの一人であるジュリも凍傷やらで入院中。凍り付いたシュートシティの復興、プラズマフリゲートの撤去も合わせると……軽く見積もっても一ヶ月後だろうか」
「それに加えてレジギガスに破壊されたワイルドエリアの修繕作業もありますね。こちらはトーナメントにはあまり影響しませんが放っておくわけにもいかず。ゲンシカイオーガの出現で一部が水没していたりするので」
「そんなもろもろの復興作業で忙しいから、トーナメントの開催は当分できないだろう」
「わかった。そう伝えておくよ。…さて、僕も彼らを手伝おうかな」
「…ああ、動けない俺の分まで手伝ってくれている彼らに感謝を伝えてくれないか」
「了解したよ、ダンデ。彼等はお人好しだから気にしないと思うけどね」
Nの言う通り、復興作業をしているのは白いプラズマ団やリーグスタッフ、ポケモンレンジャーだけではない。レッド、ヒビキ、ユウキ、ヒカリ、トウヤ、メイ、セレナ、ミヅキ、そしてユウリと言った、あの事件で奮闘した各地のチャンピオン・元チャンピオンも率先して復興作業を手伝っているのだ。リーグ委員長という立場上それに参加できないダンデは歯噛みしている訳である。
「…なあキリエさん、やはり俺も…」
「ダメです。オリーヴさんも今頑張っているのに、委員長が仕事しないでどうするんですか」
「だよなあ…」
Nが去ったその場で、キリエに釘を刺されたダンデは肩を落とすのだった。
一方、ナックルシティのかつてムツキが入院していた例の病院の一室で。入院しているジュリのお見舞いにきたダフネとラウラの姿があった。どちらも普段着であり、ラウラの頭の麦わら帽子の上にはキャタピーがいる。
「ジュリさん、本当に大丈夫なんです?」
「大丈夫大丈夫、右半身が痺れて右目が開けれないぐらいだけだよ」
「それ大丈夫って言わないぞ」
氷結から解放されたばかりの身体で、高空で暴風に吹かれながらゴルーグと共に無茶したため症状が悪化しているというのに空元気で応えるジュリに呆れるダフネとラウラ。
「なんで一人でグレイに挑むなんて無茶をしたんですか!死んでいたかもしれないんですよ!私、ジュリさんが本当に死んだかと思って……」
「洗脳から解かれて目を覚ました時にお前の氷像を見た時の俺の気持ち、わかるか?」
「それはごめんなさい…だけど、グレイとは同類として、どうしても止めたかったの…」
「同類…?」
ジュリの言葉に首をかしげるダフネだが、ラウラは合点が言ったようで溜め息を吐く。
「俺も似たようなことを思ってターフタウンで一人で挑んで氷漬けにされたから人の事は言えないけどな、実力差ぐらいわかれ。あいつ、普通にチャンピオンのそれと同等の強さだからな?」
「ごめんなさい……あれ、なんでお兄ちゃん氷漬けにされたのに元気なの?」
「このグレイが発明したとかいう温熱サポーターのおかげだ」
「もしかして、ポケスペのジュピターとサキのアレかな?」
「多分な。これとあの服だけは感謝してる」
「お兄ちゃんが女装に目覚めるなんて~…」
「失礼な、今は女装じゃねえ」
「あのー…」
兄妹水入らずで会話していると、おずおずと合間に入るダフネ。その顔は疑問符だらけだった。
「同類とか、ポケスペ?とか、今はとか、どういう意味なんです…?お二人とグレイは関係者なのでしょうか…?」
「…あー。気にするな、と言っても気になるよなあ」
「だけど説明すると長いんだ。聞かなかったことにしてくれないかな?」
「はあ…まあ、いいですけど…」
ラウラとジュリの困った笑みに、諦めるしかないダフネ。こればかりは言えないな、と転生者・転移者の兄妹はアイコンタクトで通じ合う。
「じゃあ俺は他の病室に見舞いに行くから」
そう言ってジュリの病室を後にしたラウラが訪れたのは、二人部屋の病室。ラウラは深呼吸してからノックして返事が返ってくると中に入る。
「…よう。二週間ぶり…ぐらいか?」
「「ラウラ!」」
その部屋にいたのは、ラウラの親友。ムツキとモコウだった。二人はベッドの上から訪問者の顔を見て嬉しそうに声を上げる。
「悪い、グレイに負けてプラズマ団幹部なんてやってた」
「いや、いや!お前が無事でよかったぞ!」
「完全に無事って訳じゃないがな」
「あなたがいないとつまらないですよ。二度と私達の前からいなくならないでください」
「ムツキが素直に俺を歓迎するとはな…」
「私をなんだと思ってるんですか?」
「「罵倒癖の悪魔」」
「なんだとー!」
ラウラとモコウ二人揃って言われて憤慨するムツキ。ああ、かつての空気が戻ってきた、とラウラは破顔する。そして何かを思い出したのか鞄からクイックボールを取りだしてモコウに突き出す。
「そうだ、モコウ。ダンデさんに頼まれてこいつを持って来た」
「それは、もしかして…」
「ああ。プラズマ団の洗脳からようやく解放されたお前の守護神だ」
「レジエレキ…!お前、よく帰ってきた!」
受け取るなりボールから出して、小柄ながらも部屋中を縦横無尽に駆け巡り飛びついてくるレジエレキに感涙するモコウと、微笑ましそうに見つめるラウラとムツキ。しかしその騒がしい音を聞きつけたのかリヅキがやって来て。
「病室では静かにしなさい!」
「「「はい…」」」
トーナメント編は戦闘シーンを思いつくまでお待ちください……さすがにネタが尽きた。
・ダフネ
一応まだ主人公。ラウラとジュリの違和感に気付くも、知らないふりをすることにした。
・ラウラ
温熱サポーターを愛用している前主人公。心配をかけたため会わないといけない人間がいっぱい。
・ダンデ
後処理に追い回されているリーグ委員長。Nとは友人の関係に。レッドのお礼をどうするか考え中。
・キリエ
プラズマフリゲートからプラズマ団を捕まえる際にお得意のじしんで通路を作り活躍。ダンデのサポートに徹している。
・N
白いプラズマ団を率いて復興に協力している。
・原作主人公ズ
レッド、ヒビキ、ユウキ、ヒカリ、トウヤ、メイ、セレナ、ミヅキ、ユウリ。復興を手伝っている。
・ジュリ
キュレムの氷結をもろに受けたほか無茶したため入院中。ヨハルはダフネたちが来る前にお見舞いに来た後どこかに行ったらしい。
・モコウ
親友のラウラ、レジエレキと再会して涙腺がヤバい。
・ムツキ
ラウラを心配しすぎて罵倒もでてこなかった。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。