今回はダフネVSサタリアその3。楽しんでいただけると幸いです。
《「決まったああああああ!ダフネ選手の奇策が再び炸裂!ランターン、沈むっっ!まるで二年前猛威を振るった蟲使いラウラと電気使いモコウの戦いの再来を見ているようだああああっ!」》
サタリアが繰り出してきたエモンガに対してヘラクロスを戻し、実況を聞きながら深呼吸して考える。おそらく必要最低限のダメージでここまで持ってこれた。しかしラウラさんなら一体も失うことなくここまで来れていただろう。大袈裟すぎる実況だ。
《「ここでルールのおさらいをしましょう!ルールは伝説・幻禁止の5VS5のシングルバトル!ここまでダフネ選手はアーマルドが戦闘不能、クワガノンとグソクムシャとヘラクロスが無視できないダメージを受け、イオルブのみ無傷!対してサタリア選手はトゲデマル、エレキブル、ランターンが戦闘不能!エモンガがダメージを受け、残り一匹は無傷といった状況!これはダフネ選手が少しばかり有利だが、まだ手札を一枚見せてないサタリア選手も負けてないぞ!どうなる白熱する第二試合!」》
「よし。決めました、行きましょう!クワガノン!」
私が選んだのは空中戦。エモンガの強みはでんき・ひこうという珍しい複合タイプによる空中戦が可能なところだ。ふゆうの特性を持つクワガノンで対抗する。体力は残り少ないから速攻で決める。
「クワガノン、ねばねばネット!」
「エモンガ、アクロバット!」
クワガノンの放った粘着く糸を、アクロバットな動きで回避して突撃。素早く何度も体当たりを仕掛けてくるエモンガ。素早さでは完全に負けてる。だけど至近距離に持ち込めば…!
「そこです、むしのさざめ……」
「アンコール!」
「なっ!?」
至近距離からのむしのさざめきで方向感覚を狂わせて地面に落とし、あなをほるでフィニッシュ。そこまで考えていた計画が一瞬で水の泡にされた。アンコール、直前に使った技を強制的に繰り返させる技。もうクワガノンは、ねばねばネットしか撃てなくなった。
「ボルトチェンジ!」
狼狽えるクワガノンの頭上を取り、電撃を飛ばして攻撃を与えながらボールに引っ込んでいくエモンガ。最後のポケモンが、来る!
「行くよ、ピカチュウ!」
「ピカチュウですって…!?」
繰り出されたのはまさかのピカチュウ。モコウさんとのジム戦で見たパルスワンかピカチュウの進化系のライチュウだと思っていたが、まさかの進化せずにここまできたのはびっくりした。確かに普段はピカチュウのパーカーを着ているけど、そんなに好きなんですか!?いや落ち着け。サタリアのピカチュウの特徴は何といってもどくどくを覚えていることだ。警戒しないと。
「ねばねばネットで足場を固めてください!」
「アイアンテール!」
「ピッカア!」
あなをほるをしたいところだがアンコールでできないので、ねばねばネットを本来の使い方である足元に展開して動きを阻害するのを狙うが、エモンガのいた頭上から急降下してきた鋼と化した尻尾で糸を叩き斬り、フィールドが砕けた勢いに乗って跳躍する。
「かげぶんしん!」
「ピカピカピ!」
そのまま空中で五体に分身、狼狽えるクワガノンに一斉に襲い掛かる。まずい…!?
「アイアンテール!」
「「「「「ピッカチュウ!!」」」」」
強烈な一撃が叩き込まれ、フィールドに叩きつけられるクワガノン。戦闘不能だ。お疲れ様です、クワガノン。兄さん、力を貸してください!
「交代、グソクムシャ!であいがしら!」
「どくどく!」
繰り出された瞬間、脅威的な速さで突撃し目の前のピカチュウに繰り出したグソクムシャの拳に、紫色の光を帯びたピカチュウの尻尾が突き刺さり、同時に掻き消えるピカチュウ。分身を攻撃してしまったらしい。しかも、猛毒まで受けてしまった。ききかいひが発動しない体力まで削られて一気に決められたらどうしようもない。
「ボルトチェンジにアンコール、かげぶんしんにどくどく……ガチすぎませんかねえ!?」
「イッシュ地方を凍らせた伝説ポケモンを味方と一緒にとはいえ倒した相手にガチにならないほうがおかしいよ!」
「それもそうですね!」
くそぅ。プラズマ団との戦闘が全部放送されていたから手札を全部晒してしまっているに等しい。グレイの差し金だったらしいがおのれグレイ。
「猛毒でやられる前に終わらせます!アクアブレイク!」
「かげぶんしん!」
ピカチュウに直撃しようとしていたアクアブレイクを受けたピカチュウが掻き消えて、周囲に次々と10体も出現するピカチュウの分身。まずい、ピカチュウの代名詞が来る…!?
「10まんボルト!」
「アクアブレイク!」
水を纏うことでダメージを分散させようとするが、全方位から放たれた10まんボルトを耐えきれるわけもなく、崩れ落ちるグソクムシャ。イオルブとヘラクロスにダメージを与えないためとはいえ、ごめんなさいグソクムシャ。
「いきますよ……イオルブ!」
「なら交代、エモンガ!」
おそらく切札なのだろうピカチュウを温存させるべくエモンガに交代するサタリア。むしタイプの弱点であるひこうタイプであるエモンガを攻略しないと、ヘラクロスではほとんど勝ち目がない。やるしかない。
「エモンガ!アクロバット!」
「サイドチェンジ!」
「ええ!?」
サイドチェンジ。本来は味方と場所を入れ替える技、だけど私たちが使った場合、相手と場所を入れ替える技になる。アクロバットで突撃してきたエモンガと場所を入れ替え、空ぶらせる。そしてアンコールを撃たれたとしても、延々と場所を入れ替えるだけだ。これで封じた!
「エレキボール!」
「ミラーコート!」
今度は入れ替わってもいいように弧を描いてエレキボールを撃ちながら移動するエモンガだったが、ミラーコートを展開して跳ね返す。当たりはしないが、効かないということを意識に根付かせることが目的だ。
「連続でエレキボール!」
「サイドチェンジ、ミラーコート!」
エレキボールを乱れ打ちさせるサタリア。それに対して場所を入れ替えながらミラーコートを展開、跳ね返し、自らに飛んでくるエレキボールを避ける羽目になるエモンガ。焦れ、焦れ…!
「卑怯、なあ…!」
「どくどくかげぶんしんを使う人に言われたくないです。さいみんじゅつ!」
「っ、アクロバット!」
「サイドチェンジ」
絶対に当たりたくない技であろうさいみんじゅつを、アクロバットで無理矢理回避したエモンガと場所を入れ替える。
「ミラーコート!」
「なにを……!」
「もう一度サイドチェンジです!」
そしてミラーコートを張ってから、また位置を入れ替える。これで終わりだ。
「もういい、入れ替わられてもアクロバットで追いすがれ!」
「エモ!…エモォ!?」
「え?」
明かに苛立ってごり押しをしようとするサタリアの言葉に頷いたエモンガが高速で動いてイオルブに追いすがろうとするが、見えない壁にぶつかって逆にダメージを受ける。
「……ご存じの通り、私にとってエモンガは天敵です。だからこそどんな手を使ってでも動きを封じる必要があった」
「…まさか!」
「そのまさかです」
気付いたらしいサタリア。サイドチェンジからのミラーコート。その繰り返しで、私は技を反射する檻を形成、エモンガを閉じ込めたのだ。
「害悪には害悪を。正々堂々とは言えませんが、卑怯者、悪役の汚名を被るのは今更です」
「エモンガ、もど……」
「判断が遅い!サイコキネシス!」
エモンガをボールに戻して外に出そうとしたらしいサタリアだったが、その前にサイコキネシスでエモンガを捕らえ、ミラーコートの壁に次から次へとピンボールのごとく叩きつける。さすがに耐えきれず、崩れ落ちるエモンガ。
「そんな、ばかな……でも負けない、負けられない!ピカチュウ!いくよ!」
「イオルブ、ここからは真っ向勝負です!」
ピカチュウの入ったボールを構えるサタリアと、ボールにイオルブを戻して構える私。ダイマックスバンドから溢れるエネルギーでボールを巨大化させて、共に投げつける。
「「キョダイマックス!!」」
サイドチェンジとかいう不義遊戯。
・ダフネ
卑怯上等蟲使い。真面目にヘラクロスの天敵のエモンガはどうしようもなかったから手段は選ばないことにした。イオルブの技構成はサイコキネシス、ミラーコート、さいみんじゅつ、サイドチェンジとかいうゲームだとなにがしたいのかよくわからない構成。
・サタリア
卑怯上等稲妻らぶうぉりあー。モコウの隣に立つために妥協しなかった結果、ダフネのスイッチを入れることに。こっちはゲームでも通用しそうなガチ構成。手持ちはトゲデマル、エレキブル、ランターン、エモンガ、ピカチュウ(キョダイマックス)。あと今回は5VS5のため出番がなかったパルスワン。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。