ポケットモンスター蟲【本編完結】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。実はプロットだけ書いててあとは書いてすぐ投稿というスタイルを取ってます。書き溜め苦手です。なので最近連続投稿が途切れないかちょっと心配してます。一ヶ月はこのペースを保ちたい。

今回はVSネズ戦リベンジ最終戦。楽しんでいただけると幸いです。


VSスカタンク

 ステルスロックに乗って空中に浮くようにして警戒するデンチュラと、それを見上げるカラマネロ。ステルスロックでカラマネロは身動きが取れず、トレーナー同士、相手の出方を窺う。痺れを切らしたのはネズさんだった。

 

 

「カラマネロ!サイコカッター!」

 

「避けてぶつけろ、デンチュラ!」

 

 

 触手が三日月を描くように振るわれ放たれた念動力の刃を上空に跳び上がることで回避、糸を伸ばしてステルスロックに引っ掛けて空中で一回転することで遠心力をつけてカラマネロに叩きつけるデンチュラ。

 

 

「そんなものぶっ壊せ!つじぎりだ!」

 

「少し右を向いていとをはく!」

 

 

 十字に斬り裂かれ、透明な岩石が姿を現し粉塵が舞う。俺はデンチュラの位置を覚え、カラマネロの右触手の場所を指示。糸を巻き付かせ、カラマネロは嫌がって振り払おうとする。

 

 

「待て、カラマネロ!」

 

「もう遅い!きゅうけつだ!」

 

 

 引っ張られ、糸を縮ませた勢いで粉塵から飛び出してきたデンチュラがカラマネロに喰らい付く。

 

 

「冷静にしっぺがえしだ!」

 

「ほうでんで寄せ付けるな!」

 

 

 体力を吸い取ってる間にも触手によるしっぺが襲いかかろうとするが、ほうでんさせて退ける。なにかされたら厄介なのなら、相手に好き勝手させなければいい。カラマネロが倒れ、続けて繰り出されたスカタンクに尖った岩が食い込む。

 

 

「…随分とスタイルが変わったな!その成長は祝おう!だが次は越えられるかな!?ふいうち、どくどくだスカタンク!」

 

「いとをはくで上に逃げろ!」

 

 

 文字通り、ふいうちでスカタンクが襲ってきたので、それを受けつつステルスロックの足場に逃げるデンチュラ。どくどくをギリギリ回避する。俺が待ちのスタイルを取ってることに気付いて耐久戦にしようとしてきたか。

 

 

「ならお前の音色を響かせろスカタンク!いやなおととバークアウトだ!」

 

「なっ!?」

 

 

 同時に二つの音攻撃を放ってきたスカタンクに、デンチュラが硬直してしまう。

 

 

「落ち着いてエレキネットだ、スカタンクを拘束しろ!」

 

「バークアウトで迎撃して、回り込め!」

 

 

 エレキネットで拘束を試みるが、声の衝撃波で吹き飛ばされてしまう。音で怯んでいる間にデンチュラの死角である背後に移動するスカタンク。

 

 

「ふいうち!」

 

「交代だ!」

 

 

 ゲームのポケモンとしてだが、ふいうちの対処法はある。まずは変化技を使うこと。これは現実においては意味をなさない。攻撃する時に成功率が上がるだけで別に単に不意を突いて攻撃することが出来るからだ。もう一つが、ポケモンを交代することだ。攻撃対象がいなくなれば空ぶる。自明の理だ。

 

 

「イワパレス!」

 

「またそいつか!だがそれなら容赦はしないぜ!どくどくだスカタンク!」

 

 

 交代したイワパレスがまともに毒を浴びてしまう。だが、問題ない。体力が尽きるまでに終わらせるまでだ。なにせ、からをやぶるを使わなくても、効果抜群の技を持っているのだから。

 

 

「ふいうち!」

 

「あなをほるだ!」

 

「なにっ!?」

 

 

 攻撃をその防御力で受けながらも地面に潜るイワパレス。時間をかければ猛毒が回る。だけど焦ったら避けられて反撃される。ネズとスカタンクは地面の起伏を見て警戒している。…ならこれはどうだ?

 

 

「背後を取れ!がんせきほう!」

 

「バークアウトだ!」

 

 

 言われるままにスカタンクの背後に飛び出し、岩石を集束させた砲弾を叩き込むイワパレス。スカタンクは死角からの攻撃を避けきれずにまともに受けるも、戦闘不能にはならず返しのバークアウトが襲う。イワパレスは防御に比べると特防が低いポケモンだ。結構ダメージが入り、猛毒のダメージも喰らう。そしてなにより、俺は賭けに負けた。

 

 

「がんせきほうの反動でイワパレスは動けないよなあ?!もう一発、バークアウトだ!」

 

「…よくやった」

 

 

 がんせきほうははかいこうせんと同じで反動がでかい技だ。結果、猛毒のダメージも響きスカタンクを倒しきれずにイワパレスが倒されてしまった。

 

 

「…アンタのスカタンクは厄介だ。倒すと誘爆してこっちにまで被害が出る。だから」

 

 

 そう言ってボールを放り投げると、出てきたのはマルヤクデ。今回の修行で新たな技を覚えたこいつなら、やれる。

 

 

「遠くからやらせてもらう。ほのおのムチ!」

 

「っ!?」

 

 

 本来、ゲームならばスカタンクに炎の技はいまいち通じない。だがこれは現実だ。ガスを武器にするスカタンクには、文字通り炎は誘爆する(・・・・)。大爆発が起きて、マルヤクデは咄嗟に屈んで衝撃から逃れる。肝が据わっているというか、妙にタフなスカタンクに一気にとどめを刺すには、あなをほるかこれしかないと思った。あなをほるはタイミング次第で避けられてしまうってのが辛い所で実際そうなったから次点の策として用意したが、効果は抜群だったようだ。

 

 

「スカタンク!…まさか、そんなクレイジーな方法で倒しに来るとはな…だったらコイツでフィナーレだ!こんじょう(・・・・・)見せろよタチフサグマ!」

 

「間髪入れずおにびだ!」

 

 

 来た。ネズさんの切札、タチフサグマ。ステルスロックでダメージを与えた所に、まずはやけどで攻撃力を奪う。まだこちらは三体残ってる。あとはじっくりと攻めれば行けるはずだ。

 

 

「まきついてほのおのうず!」

 

「ブロッキング!」

 

 

 繰り出したのはマルヤクデの十八番。むしわざは覚えていないが、マルヤクデにはこれがある。防御体勢のまま縛り上げ、ほのおのうずに包み込む。やったか!?

 

 

「残念ながらそいつは悪手だ。じごくづき!」

 

 

 グエッと、マルヤクデが短い悲鳴を上げて拘束を解いてしまう。喉元に強烈な一撃が叩き込まれたのだ。気管を攻撃されて怯まないポケモンなどいない、えげつない技だ…いや待て。なんで、やけど状態のはずなのにあんなに威力が出る?

 

 

「ほのおのムチ!」

 

「シャドークローだ!」

 

 

 咄嗟に指示をするが、炎の鞭は影を纏った爪で掻き消され、そのまま一撃で落とされてしまう。あの火力は異常だ。するとネズさんがマイクを手にシャウトする。

 

 

「特性、こんじょう!やけどはむしろサンキューだ!」

 

「なるほどな…!」

 

 

 特性も調べておくべきだった。やけどにしたのは悪手か。だけどステルスロックやほのおのうずにやけどのダメージも馬鹿にならない筈だ。

 

 

「たのむぞ、オニシズクモ!」

 

「それが最後の一匹か。根性見せつけてやれよタチフサグマ!シャドークロー!」

 

「金網に逃げろ!」

 

 

 コンクリートの地面を砕く爪の一撃がオニシズクモのいた場所を抉り取る。オニシズクモはすぐ真横の金網に引っ付き、身構えていた。ブロッキング、シャドークロー、じごくづき。あと一つ技が判明してないけどこれしかない。

 

 

「とびかかる!」

 

「待ってたぜ、この瞬間(とき)を!カウンター!」

 

「っ!?」

 

 

 オニシズクモのとびかかりはスウェーの様な動きで避けられ、その顎に強烈なアッパーが叩き込まれる。とびかかりの勢いも利用したその一撃は、オニシズクモを一撃で落とすには十分すぎる威力だった。虎の子を用意してたのか…!

 

 

「さあ、ここから先は敗北への一方通行だ!」

 

「なら勝利への道を無理やり作る!デンチュラ!」

 

 

 デンチュラ、タチフサグマ。双方共に満身創痍。デンチュラの方がまだ体力が少し有り余ってる感じか。効果抜群を狙おうにもあのカウンターが怖い。ここは…

 

 

「跳び回りながらほうでんだ!」

 

「ブロッキングで耐えろタチフサグマ!」

 

 

 空中のステルスロックを跳び回って翻弄しながらほうでんで攻める。やけどとほのおのうずの追加ダメージはまだ続いている。避け続ければ、俺の勝ちだ。

 

 

「そのままタチフサグマを感電させてやれ!」

 

「シャドークローを大きくして振り回せ!」

 

 

 ブロッキングの体勢から両腕を振るってほうでんを打ち消したかと思えば、纏った影を大きくして、広範囲をステルスロックごと薙ぎ払うタチフサグマ。デンチュラは電灯に糸を飛ばして空中で横に飛び退いて逃れ、タチフサグマは影の爪を振り回してデンチュラを追従、破壊された瓦礫が周りに散乱する。

 

 

「ジムリーダーが街を破壊していいのかよ!」

 

「これぐらいしないとお前に勝てないんだよ!俺のおごりだ受け止めてみせろチャレンジャー!」

 

「丁重にお断りする!逃げろデンチュラ!」

 

 

 今あれを喰らえば高火力+急所で一撃で落とされてしまう。現に、瓦礫は鉄筋が剥き出しだ。…うん?これ、使えるか?

 

 

「エレキネット!そのまま、ほうでんだ!」

 

「なにを…!?」

 

 

 しかしそんな愚直な攻撃、狙ってくださいと言っているようなものだ。エレキネットで足を拘束、その場に留めると俺の指示に従いほうでんをタチフサグマにぶつけるデンチュラ。そして次の瞬間、不思議なことが起こった。

 

 

「くっ、ブロッキング!」

 

「こいつでとどめだ!」

 

 

 ほうでんをブロッキングで受け続けたタチフサグマの体が帯電し、一瞬の電磁石みたいな状態になったのだ。結果、周りの鉄筋剥き出しのコンクリートの瓦礫が浮かび上がり、タチフサグマに殺到。意図してない方向からの連続の打撃に怯むタチフサグマの両腕を、ブロッキングの体勢のまま糸で拘束するデンチュラ。

 

 

「いとをはく、からのきゅうけつだ!」

 

「カウンター!…を、封じられた!?」

 

 

 フラフラで両腕も縛られたタチフサグマの頭上を取り、スイングから急降下して首筋に牙を突きたてるデンチュラ。タチフサグマは体力を奪われ、瓦礫に包まれた姿でバタリと倒れる。

 

 

「なんてタフなポケモンだ…俺の勝ちだ、ネズさん」

 

「参りました。俺もポケモンも出し切りましたよ…」

 

 

 大惨事になった周囲を見渡しながら溜め息を吐くネズさん。興奮していたとはいえ、やってしまったって顔だ。あとでマリィにでも知られたら叱られることが目に見える。

 

 

「まあ、この惨状はともかく君と戦えてよかったね。俺のポケモン達はそう感じているみたいですよ。俺を越える奇策の数々、感服しました。あくのジムバッジ、あくバッジですよ」

 

 

 そう言ってバッジを手渡してくれるネズさん。これであとは最後の一つ、キバナだけだ。待ってろよモコウ、ユウリ。俺はお前たちにすぐに追いついて見せる。そう決意を新たに、俺はスパイクタウンを後にするのだった。




 決まり手はポケスペ二章のVSりかけいのおとこを参考にしました。ほうでん書いてたらなんか思い出した。

・ラウラ
奇策に次ぐ奇策でなんとかネズを打倒したむしつかい。曰く過去最大に苦戦した。手持ちはむしわざを覚えてないのが半分だが、バランスよく育てているため別に困ってはないが時々攻め手に欠けることがある。ちなみにむしわざを覚えているのはデンチュラ(きゅうけつ、いとをはく)、オニシズクモ(とびかかる)、ドラピオン(ミサイルばり)。

・ネズ
イワパレスのあなをほる、スカタンクの大爆発、タチフサグマのシャドークローと今回の戦いでスパイクタウンを大いに傷つけたスパイクタウンジムリーダー。直すついでに町を綺麗にしようかなと思ってる。こんじょうカウンター、シャドークローがえげつない。

・マルヤクデ♀
とくせい:しろいけむり
わざ:ほのおのうず
   えんまく→ほのおのムチ
   まきつく
   おにび
もちもの:もくたん
備考:うっかりやな性格。暴れることが好き。スカタンクを大爆発させたあと、タチフサグマにやけどを負わせるという危うく戦犯になりそうだった。むしわざを覚えてないが火力は申し分ない。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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