ポケットモンスター蟲【本編完結】   作:放仮ごdz

27 / 179
どうも、放仮ごです。お気に入りが900を越えましたありがとうございます!

今回はセミファイナルトーナメント三回戦、モコウVSナグサ。モコウ視点となります。楽しんでいただけると幸いです。


VSチラチーノ

 セミファイナルトーナメントが始まった。一回戦はユウリとマリィ。ユウリが終始圧倒して勝利というあっけない結末に終わった。二回戦はホップVSマサルなる少年。こちらはマリィほど奮戦もできずに瞬殺だった。あの二人のうちどちらかと決勝で戦うことになる…侮れんな。

 

 

『続きましては、第三試合!ルールはこれまで同様5VS5のシングルバトル!でんきタイプつかいのモコウ選手VSノーマルタイプ使いのナグサ選手、特定タイプのエキスパート同士の対決その一です!』

 

 

 そんなアナウンスを受けて入場する。私、いや我は勝たねばならぬ。最速は成し遂げた。ならばあとは最強になる、なりさえすれば…あのムカつくセレブリティうるさい兄弟にでかい顔されないで済むし、父上たちは認めてくれる、はずだから…!

 

 

「勝負だ、ナグサ!手は抜かんからな!」

 

「もちろんだよ、モコウさん!全力で戦います!」

 

 

▽ノーマルつかいの ナグサが 勝負を しかけてきた!

 

 

 我とナグサが同時にボールを投げる。繰り出されたのは、バイウールー。我はライボルト。速攻で決めるぞ!

 

 

「ワイルドボルト!」

 

「コットンガード!」

 

 

 速攻最大火力は、モコモコに包まれ防御力をぐーんと上げたバイウールーに受け止められてしまった。だったら特殊技で…

 

 

「ボディプレス!」

 

「っ、バックステップで避けてほのおのきばで迎え撃て!」

 

 

 自分の防御力が高ければ高いほど威力が上がる技で上空に跳び上がったバイウールーが急降下してきたのを、ライボルトは後方に避けて、落ちてきたところに炎を纏った牙で噛み付いた。モコモコに引火し、炎上するバイウールー。隙だらけのそこに、叩き込まない訳がない。

 

 

「10まんボルト!」

 

「バトンタッチ」

 

 

 瞬間、バイウールーがボールに戻り出て来たチラチーノに電撃を散らされてしまう。ラウラ以外にその戦法を使うだと!?

 

 

「チラチーノのスカーフは染み出す油でコーティングされていて、ありとあらゆる攻撃を弾く。電撃だって通じない!」

 

「むう、電撃は効かず、さらに防御力も上がっているか…」

 

「ラウラさんの戦法を真似させてもらったんだ。僕は本気でチャンピオンを目指している!僕をなめてかかってるモコウさんじゃ勝てないよ!」

 

「むっ」

 

 

 その通りだ。正直、ラウラ以外眼中になかった。奴さえ倒せば優勝できると思い込んでいた。だが違うのだ。ナグサたちは、このセミファイナルトーナメントに参加している面子はどれも、あのジムチャレンジを乗り越えてきた強者だ。それが眼中にないなどと、傲慢にも程がある。

 

 

「我は驕っていたようだ。目を覚ましてくれたこと、感謝する。だが容赦はしないぞ!油と言ったな?ならば炎で焼いてくれる!ほのおのきば!」

 

「させない!チラチーノ!」

 

 

 我の指示に対し、ライボルトが繰り出したのは10まんボルト。見れば、チラチーノが電撃を弾きながら笑顔で拍手していた。指示なしで技を出したのか…!?

 

 

「アンコールか…!」

 

「この隙に叩くぞ!タネマシンガン!」

 

「10まんボルトで蹴散らせ!」

 

 

 手にした複数の種を口に含み、弾丸の如き勢いで吐き出されたそれを、電撃で蹴散らすがじり貧だ。交代するしかない。

 

 

「戻れ、ライボルト!行け、パッチラゴン!」

 

 

 我が次のポケモンを出すとざわめく観客席。この反応にももう慣れたな。とりあえずお返しをしてやろうか。

 

 

「ドラゴンテール!」

 

「しまっ…チラチーノ避けて…!?」

 

「遅い!」

 

 

 張り切っているパッチラゴンの尻尾のビンタがチラチーノの顔面に炸裂、吹き飛ばして強制的にポケモンを交代させる。出てきたのは不運なことにバイウールー。こちらとしてはラッキーだが。

 

 

「きしかいせいだ!」

 

「でんげきくちばし!」

 

 

 突撃してくるバイウールーを、勢いを利用して電撃を纏ったくちばしを叩き込んで戦闘不能にする。危なかった。

 

 

「なかなかクレバーな攻撃するじゃないかナグサ」

 

「ノーマルタイプを使うなら工夫が必要なんだ。頼むぞイエッサン!」

 

 

 次に繰り出したのは、確かノーマル・エスパータイプのイエッサン。見た目からして♂か。なにをしようとスピードと火力で潰してくれる!

 

 

「まずはその足を奪う!イエッサン、トリックルームだ!」

 

「なんだと!?」

 

 

 フィールド全体を囲む四角状の空間が展開される。速ければ速いほど遅くなり、遅ければ遅いほど速くなる。我対策としてはドンピシャといっていい。…まあその対策もあるわけだが。

 

 

「交代だ」

 

「無駄だ!モコウさんのポケモンはみんなすばやいって調べはついて…はっ!?」

 

「そうとも。我のことを調べたなら知っているだろう。我のポケモンの中で最も鈍足なこやつのことをな!出番だ、パッチルドン!」

 

 

 

 私が繰り出したのは、パッチラゴンとよく似た顔と腕だが、下半身が凍り付いている魚の様という異様なポケモン。その名もパッチルドンだ。

 

 

「めいそう!」

 

「やらせるか、ゆきなだれ!」

 

「逃げろ、イエッサン!」

 

 

 めいそうを積もうとしてきたのでゆきなだれで妨害する。こいつは鈍足なポケモンだ。本来は耐えて強力な攻撃を叩き込むポケモンなのだが、トリックルームのおかげですばやく強力な攻撃を撃てるようになった。

 

 

「逃がすな、ほうでん!」

 

「イエッサン!くっ、めいそうだ!」

 

 

 なにを考えたのか立ち止まって冥想するイエッサンに、ほうでんが直撃する。とくぼうを上げると言っても限度があるぞ?

 

 

「アシストパワーだ!」

 

「っ!ゆきなだれ!」

 

 

 放たれた光線に、咄嗟にゆきなだれを指示。光線はパッチルドンに直撃し、同時にゆきなだれも炸裂。二体同時に戦闘不能になる。

 

 

「これであと四匹…いけ、ヨクバリス!」

 

「ふむ。…ロトム」

 

 

 ナグサが繰り出したのはヨクバリス。我はウォッシュロトム。タフさとスピードが自慢の一匹だ。

 

 

「のしかかり!」

 

「みがわりだ」

 

 

 ポコン、とロトムの姿が消え、人形が配置。ヨクバリスの攻撃を人形が受け止める。やはりロトムのみがわりを倒すほどの攻撃力も無いか。他に強力な技がある筈だ。

 

 

「ほうでんで様子見だ」

 

「くっ…ほおばる!」

 

「むっ?」

 

 

 放電を受けながら持っているきのみを食べるほおばる?何故このタイミングで?

 

 

「今だ!ゲップ!」

 

 

 その瞬間、ロトムの身代わり人形が消し飛んだ。なるほど、どくタイプの強力な技、ゲップ。たしか、戦闘中にきのみを消費した状態じゃないと撃てない代わりにはかいこうせんクラスの威力を誇る技。タイプ不一致とはいえこれは不味いな。

 

 

「逃げながらほうでん!」

 

「ゲップだ!」

 

 

 放電を受けながらすばやい身のこなしで紫色の気体を飛ばしてくるヨクバリス。トリックルームのおかげで速いとはいえあちらも大概タフだな。だがそろそろ…

 

 

「まひしてきたんじゃないか?」

 

「っ!?」

 

「ハイドロポンプ!」

 

 

 命中率が低い代わりに強力なみずタイプの技が炸裂し崩れ落ちるヨクバリス。ノーマルじゃなかったらたたりめを当てたかったがしょうがない。これで三体倒した訳だ。残り二体、チラチーノと…おそらくは、重量級のあいつだ。トリックルームが解除された。ここからだ。

 

 

「がんばれチラチーノ!」

 

「交代だ」

 

 

 まずは電撃を防いでしまうあのスカーフを攻略しなければ。となるとやはり…

 

 

「エース対決と行こうか!パッチラゴン!」

 

 

 物理に長けたこいつしかあるまい。

 

 

「でんげきくちばし!」

 

「ロックブラスト!」

 

 

 体毛を固めて放ってくるチラチーノの攻撃を受けながら突進、電撃を纏った嘴を叩き込むパッチラゴン。しかし電撃が拡散されて思ったよりダメージが出ない。

 

 

「つばめがえしで邪魔なスカーフを外してやれ!」

 

「させるなチラチーノ!スイープビンタ!」

 

 

 硬い尻尾での反撃をもらうが、つばめがえしで打ち上げてスカーフを胴体から引きはがす。そこが急所だ!

 

 

「でんげきくちばし!」

 

 

 そして落ちてきたところに胴体に電撃を纏った嘴が炸裂。チラチーノは崩れ落ちた。

 

 

「ここまでとは…でも、僕たちは負けない!耐え忍んで勝機を見出す!カビゴン!」

 

 

 最後に繰り出されたのはやはりというかなんというか、カビゴン。それもただのカビゴンじゃないだろう。

 

 

「好きなだけ食べろ!相手ごと喰らい尽くす!キョダイマックス!」

 

 

 ボールに戻して巨大化させ、振りかぶって投擲するナグサ。キョダイマックスしてお腹が草木の茂った土地の様になり、その姿はまるで山のようなカビゴンと対峙するパッチラゴン。さあ、少しでもダメージを稼ぐんだ。

 

 

「でんげきくちばし!」

 

「ダイアース!」

 

 

 こちらの方が速く、でんげきくちばしが炸裂するも、手足をばたつかせたカビゴンの地割れの様な攻撃が炸裂、戦闘不能になるパッチラゴン。出すしかないか、虎の子を。

 

 

「いいだろう、お前に敬意を持って…本気で相手をしてくれよう!ストリンダー!」

 

 

 そして我が繰り出したのはハイのすがたのストリンダー。すぐにボールに戻し、片手で天高く放り投げる。

 

 

「我の生き様!我のロック魂をこの世に見せつけろ!雷鳴起こして雷神と化せ!キョダイマックス!」

 

 

 爬虫類を思わせる四つん這いになり、腰の尻尾は電波塔を思わせる形状に変化。背中には背ビレのような青い電撃が2列発せられ、赤紫になった胸部の発電機官の真ん中二つが水色になっている。キョダイマックスしたストリンダーとキョダイカビゴンが対峙する。

 

 

「キョダイサイセイ!」

 

「キョダイカンデン!」

 

 

 蓄えられた膨大な電力を集束させてエレキギター型の巨大な電気の塊を作り出し、力任せに叩きつけるストリンダー。その一撃は、回復しようとしていたカビゴンのどてっ腹に炸裂し一撃で沈めた。じしゃくの力を舐めるなよ?

 

 

『決着ー!激戦を制したのはでんきつかい、モコウ選手!圧倒的な火力を見せつけました!』

 

「…参りました。カビゴンが一撃で落とされるなら僕のポケモンは誰も敵わない」

 

「ナグサ、お前は強かった。我の全力を引き出せたことを誇りに思うがいい。だが私…ゴホン、我は最速最強。相手が悪かったな」

 

「その自信が強さの秘訣か…武運をお祈りします」

 

 

 ラウラよ。我は勝ったぞ。そんなひこうつかい、さっさと倒して上がってこい。痺れる戦いを我に見せてくれ。




モコウも十分主役を張れると思う。

・モコウ
最速最強を志すでんきつかい。セレブリティな兄弟なる知人がいる。父親たちに何かしらを認めてもらうのが目的。実はポケモン知識はラウラに匹敵するほど博識。

・ナグサ
惜しくも敗れたノーマルつかい。アンコールで妨害しつつ安全に準備して高火力で沈める戦法が得意。ラウラに憧れていてバトンタッチも活用する。ブラッシータウン出身の田舎者。

・バイウールー♂
とくせい:もふもふ
わざ:きしかいせい
   コットンガード
   バトンタッチ
   ボディプレス
もちもの:オボンのみ
備考:ゆうかんな性格。ケンカをするのが好き。防御力を上げてボディプレスかバトンタッチを使い分ける戦法をとる。

・チラチーノ♀
とくせい:スキルリンク
わざ:アンコール
   ロックブラスト
   タネマシンガン
   スイープビンタ
もちもの:オボンのみ
備考:ゆうかんな性格。のんびりするのが好き。アンコールで妨害しつつれんぞくわざで一気に仕留めるナグサの相棒。スカーフでありとあらゆる攻撃を防いでしまう。かわいい(重要)

・イエッサン♂
とくせい:シンクロ
わざ:めいそう
   アンコール
   アシストパワー
   トリックルーム
もちもの:オボンのみ
備考:れいせいな性格。物音に敏感。チームの要。アンコールで妨害しつつめいそう積んでアシストパワーを叩き込む。

・ヨクバリス♂
とくせい:ほおぶくろ
わざ:のしかかり
   ゲップ
   ほおばる
   かみつく
もちもの:オボンのみ
備考:しんちょうな性格。ちょっぴりみえっぱり。トリックルームで本領発揮する動けるデブ。

・カビゴン♀
とくせい:めんえき
わざ:ギガインパクト
   アームハンマー
   ヘビーボンバー
   10まんばりき
もちもの:オボンのみ
備考:ようきな性格。辛抱強い。ナグサの切札。タフさが自慢だったがキョダイストリンダーの前では無力だった。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。