今回はセミファイナルトーナメント四回戦。ラウラVSムツキのリベンジマッチ!共に成長した二人はどんな戦いを繰り広げるのか。楽しんでいただけると幸いです。
「モコウは無事勝ち抜いたか」
控室でモコウの雄姿を見届けた俺は、リーグスタッフに呼ばれてスタジアム内に足を運ぶ。反対側からゆっくりと歩いてくるのはムツキ。歩けるぐらいには回復したようで何よりだ。
『続きましては、第4試合!ルールはこれまで同様5VS5のシングルバトル!むしポケモンつかいのラウラ選手VSひこうタイプ使いのムツキ選手、特定タイプのエキスパート同士の対決その二です!』
「初戦が貴女とは、まるで運命ですね。前みたいな無様は見せないで下さいよ?」
「心配無用。あの時の俺じゃないさ。リベンジマッチだ。蟲の底力見せてやるよ」
▽ひこうつかいの ムツキが 勝負を しかけてきた!
そして試合開始の合図と共に、俺はイワパレスを、ムツキはオンバーンを繰り出した。
「ひこうタイプ対策してきたみたいですが練度の差の前では無駄です!りゅうのはどう!」
「ステルスロック!」
前回と同じく、ムツキのポケモンは基本的に補助技無しのフルアタ構成だ。オンバーンの攻撃を受け止め、尖った岩石をばら撒く。これでひこうタイプの動きは制限されたはずだ…!?
「マクワもその戦法をやってきましたよ!なので、もう何も考えずに撃ちまくることにしました!」
「なに!?」
「りゅうのはどうです!」
文字通り、竜の形をしたエネルギー弾を連射してくるオンバーン。ステルスロックを微塵も警戒しておらず、掠ってダメージを受けている。ムツキらしいといえばらしいが、それは悪手だぞ。
「強力な攻撃…当たらなければどうということはない!からをやぶる!ステルスロックを利用して翻弄しろ!」
りゅうのはどうを受けたと思えば背負っていた岩盤から抜け出したイワパレスが殻を破ってステルスロック上を跳ねて高速で移動。オンバーンを翻弄してステルスロックにぶつけていく。
「もう全部吹き飛ばしてしまいましょう!ぼうふう!」
「ステルスロックにしがみついてがんせきほうだ!」
翼を大きく羽ばたかせて荒れ狂う暴風を発生させるオンバーン。だがぼうふうはあくまで吹き飛ばして叩きつける技。イワパレスはステルスロックにしがみついて耐え凌ぎ、ぼうふうを終えたオンバーンに飛びついてがんせきほうを炸裂させ戦闘不能にした。
「むっ…私のオンバーンの攻撃を凌ぐとは大した防御力ですね。フワライド!」
「来たな。交代だ、オニシズクモ!」
繰り出されたのは前回はムツキが唯一戦術らしい戦術を使ったフワライド。ステルスロックでダメージを受けたのを見届け、俺はがんせきほうの反動で動けなくなったイワパレスを一度戻し、オニシズクモを繰り出す。前回、俺とオニシズクモはこいつにしてやられた。それを覚えているのかやる気満々と言った様子のオニシズクモに頷く。やるぞ!
「そらをとぶ!」
「気を付けろオニシズクモ!」
ステルスロックのない上空へ移動したフワライドに、俺達は警戒する。ステルスロックがあるとはいえ、ムツキとの戦いはドラピオンとイワパレス以外はひこうタイプの技の直撃をもらったら負けだ。
「例の奴です」
「はっ?」
急降下してくるフワライドの攻撃を飛び退いて避けたかと思えば、そのまま粉塵を起こすと共に姿を消すフワライド。一瞬頭が真っ白になるが、ルミナスメイズの森のことを思い出す。そういうことか…!
「今度は下に警戒しろ!」
「ゴーストダイブ」
自身の影から飛び出してきたのを、間一髪逃れるオニシズクモ。するとムツキはそらをとぶとゴーストダイブを不規則に繰り返し、上空と真下からの連続攻撃…否、爆撃とも言っていい攻撃が絶え間なく襲いかかる。
『これは、ゴースト・ひこうタイプであるフワライドならではの戦法!ラウラ選手のオニシズクモ、なんとか耐えていますがこれは時間の問題かあ!?』
「好き勝手言ってくれるな…!」
ふと聞こえてきた実況に悪態を吐きながら考える。オニシズクモのすいほうが振動を感知して震えてくれてるから何とか避けていられるが、実況の言う通り時間の問題だ。あの、垂直落下と気球であるが故の急速上昇を利用した攻撃はそれほど厄介だ。
「どうです、以前の私とは比べ物になりませんよ!この戦法でマクワやキバナに勝利したのですから!」
そう腕組みして踏ん反り返るムツキ。こんな奥の手を用意してたのかムツキの奴め、ドヤ顔なのが腹が立つ。だが…最近覚えた戦法なのだろう、不規則だと思っていたが一定のリズムを刻んでいて安直だ。タイミングが読めて来たぞ。ゴーストダイブで影に飛び込んで、オニシズクモのすいほうの波紋を確認して…
「そこだ、とびかかる!」
「なあ!?」
そらをとぶために飛び出してきたところに、がっしりと組み付いて共に上昇するオニシズクモ。引っ付けたらこっちのもんだ。
「振り落としなさい!」
「バブルこうせんだ!」
引っ付き前足の先端からバブルこうせんを放って零距離からダメージを与えながら急速上昇するオニシズクモが、急停止したフワライドから勢いを殺せずに吹っ飛んで空に投げ出される。だけど、上は取ったぞ。
「シャドーボール!」
「急降下の勢いを利用してアクアブレイクだ!」
紫色のエネルギー弾で迎撃せんとするフワライドに、落下の勢いそのままにアクアブレイクを発動したオニシズクモが隕石の如く迫り、エネルギー弾を真正面から打ち破って激突。やったか?と思ったがムツキは諦めていなかった。
「そらをとぶです!」
「なに!?」
アクアブレイクが直撃する寸前に、上空でさらに空へ、つまりオニシズクモに自ら突っ込んだフワライドが激突。共に落下してきた二体は、どちらも共に戦闘不能だった。
「以前戦ったポケモンでも侮れませんね。…いえ、貴女を敗北させたからこそでしょうか。でも、ただでは負けませんよ」
「よく咄嗟にあの判断が出来たな…次だ。ドラピオン!」
「ならば私は再びこの子で打倒して見せましょう。ルチャブル!」
共に、接近戦専門の物理特化型ポケモンが繰り出される。因縁の敵を前に、雪辱を晴らさんとすべく殺気を漲らせるドラピオン。対して挑発するようにクイクイと指を動かし不敵に笑むルチャブル。技の「ちょうはつ」ではないが、頭に来たようで怒り心頭と言った様子のドラピオンに話しかける。
「落ち着け、奴は素早いからまずは足を奪うぞ。お前ならやれる、信じてるぞ」
すると落ち着きを取り戻したドラピオンが両腕を振り上げて威嚇、眉を顰めるルチャブル。それを見てムツキが不敵に笑んだ。
「イワパレス以外は同じポケモンで戦ってるんです、あの時と同じにならないでくださいよ」
「お前のおかげで俺は、俺達は敗北を知った。だから強くなれたんだ。いくぞドラピオン、こおりのきばで大地を凍らせろ!」
「っ!」
冷気を纏った牙をフィールドに突き刺し、氷漬けにしていくドラピオンに、ムツキが見せたのは満面の笑みだった。
「予習済みです。とびはねる!」
「なに!?」
ひこうタイプでありながら地を駆けるルチャブルの足を奪うべく放った技は、天高く跳躍したルチャブルに回避されてしまう。しまった、あいつはあれで影で努力を怠らないタイプだ。今までの試合の映像をムツキが見てない訳がない。
「その高さからフライングプレス!」
「ミサイルばりで迎え撃て!」
まるでさっきのオニシズクモの意趣返しと言わんばかりに隕石の如く腹ばいに急降下してくるルチャブルに、大地をも砕くミサイルばりを全弾叩き込むが、相性が悪いせいかビクともしない。なら賭けに出るしかないだろう!
「タイミングは任せる、クロスポイズン!」
「つばめがえし!」
「なに!?」
ルチャブルの急所を狙って放たれた毒を纏った交差の斬撃は、ルチャブルが空中で身を捻ったことで空振りに終わり、呆けてしまったドラピオンを尻目に氷結した大地に降り立って踏み込んだルチャブルは加速して突撃してきていて。あの、大仰な攻撃は隙を作るための囮だと!?
「ドラピオンがタフなのは知っているんですよ!とびひざげり!」
「もう一度クロスポイズンだ!」
我に返ったドラピオンの振り下ろしと、ルチャブルの飛び込みが交差。ドラピオンの攻撃は当てることが出来たものの急所は狙えず、胴体に強烈な一撃をもらったドラピオンは崩れ落ちた。…これは完敗だ。
「これでイーブンです。此処からは圧勝して見せましょう」
「言ってろ。お前にだけは、負けられない!テッカニン!」
行くぞテッカニン。生まれ変わったお前の力を見せてやれ!
フワライドもルチャブルも書いていて楽しいぐらい暴れさせてみました。
・ラウラ
レベルだけが戦いじゃないと言わんばかりに、ステルスロックを活用したりすいほうを利用したりと奇策を見せつける蟲の女王。ムツキのポケモンに対する戦術は全部考えており、技術でレベルの差を補っている。オニシズクモとドラピオンがやられたことは計算外であり、ムツキの成長に正直一番驚いているがマクワ戦を見せた自分のせいである。
・ムツキ
ラウラVSマクワの戦いから、自分なりのスタイルを見出した空の大天使。言うなれば力任せな戦術。元々強力だったのが付け焼刃とはいえ戦術を手に入れてさらに強くなった。フワライドの上下爆撃は自信作。ルチャブルのフェイント攻撃は、実はドラピオンのクロスポイズンが危ういと見抜いて咄嗟に指示したもの。ド派手ながら繊細な戦闘スタイルは母親の才能を受け継いでいる。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。