今回はラウラVSユウリのセミファイナルトーナメント決勝戦前半戦となります。最初だけユウリ視点。楽しんでいただけると幸いです。
ラウラは天才だ。蟲ポケモンを好んで、蟲ポケモンを理解して、蟲ポケモンの弱さを戦略で補って、蟲ポケモンの強さを最大限に活かしてくる。それだけじゃない、ジムチャレンジ初参加でトレーナーになりたてのはずなのにへんかわざを理解して活用し、地形を利用し、相手の技を利用し、とにかく使えるものは何でも使って貪欲に勝ちにくる。
ビートやマリィ、ホップにモコウ、ジムリーダーたち、これまで戦ってきた強敵たちが、ネズとムツキを除いて誰一人勝てなかったという、その強さは本物だ。そして何より、戦った相手の心をもそのバトルで魅了する。心底楽しいのだ。いつの間にか笑っているのだ。女性でありながら男性的でもあるためか、男女問わず楽しそうにバトルをするその姿に魅入られる。
かく言う私もその一人だ。だからこそ、ラウラに勝つために努力した。彼女の戦いを確認できるだけ全て確認し、なにが動揺を誘えるのかを網羅し、技の傾向を確認し、バトルの癖を把握、手持ちポケモンも全て分析した。ラウラ戦用のポケモンも捕獲し育成した。足りない経験を得るため片っ端から野良トレーナーにポケモン勝負を挑んだ。野生ポケモンにも遭遇する側から勝負をしかけた。一歩間違えればストーカー紛いの行動だが、全ては勝つためだ。そんなことをしているうちに、自然にジム戦を簡単に越えられるぐらいに強くなった。
そうして訪れた二戦目。私は敗北した。あと一歩だった。何が駄目だったのか、考えて、考えて、考えて。必ず勝つ!と考えていたから駄目なんだ。私も彼女みたいにバトルを心の底から楽しめばいいんだ、とその結論に至った。いつの間にか全てのジムを無敗で制覇していた。ちなみにネズと戦う前にラウラと出くわして挑んだ三戦目も普通に負けた。マリィやホップと全力でぶつかり、心の底からバトルを楽しんだ。
だけど私は羨ましい。ラウラと戦い、心と心をぶつけあう勝負を楽しんだムツキやモコウが羨ましい。でも、ラウラなら決勝まで来ると信じていた。速く、早く戦いたい!そんな意思を胸に、コートの中心に立つ。ああ、ラウラと戦うのが心の底から楽しみだ。
ユウリは天才だ。ホップの話によると、ポケモンを手にしたのはモコウと同じくジムチャレンジが始まってかららしい。それであそこまでポケモンを使いこなし、全ジム戦無敗という記録を叩きだした。あのダンデ以来の快挙だとか。つまり、俺とのバトルでしか負けてないという事である。野良試合で負けてなければ。それだけがアドバンテージだが、三度目の正直という言葉もある。ただでさえ才能の差を感じたラテラルタウンの時とは比べ物にならないだろう。
相手が次に出してくるポケモンが分かるかの如き予知にも近い直感、敵の手を先読みしているか如き戦術眼、的確に最適な技を選ぶセンス、相性不利を物ともしない戦略、全てが全て一級品。あれから全てのジムを無敗で乗り越えたユウリは、間違いなくあの時よりも何倍も強い。
勝てるのか?と不安になるが両頬を叩いて気を引き締める。勝てるのか?じゃない、勝つんだ。そしてチャンピオンにも打ち勝つ。これは決めたことだ、軽く見られがちな蟲ポケモン達の為にも、やりとげてみせる。
「待ってたよ、ラウラ」
「…待たせたな、ユウリ」
そう考えながらコートにやってくると、その中心で待つのは自信に満ち溢れた一人のトレーナー。こちらをジッと見つめて笑みを浮かべるその姿からは、とても緊張など感じられない。王者の風格さえ感じる、チャンピオンのそれと同じだ。だが臆するわけにはいかない。
『お待たせしました!両選手の準備が整いましたので、ついにセミファイナルトーナメント決勝戦を開始いたします!ルールはこれまで同様5VS5のシングルバトル!変幻自在のむしつかい、ラウラ選手VSチャンピオン推薦の全ジム戦無敗のトレーナー、ユウリ選手!チャンピオンカップに進めるのはどちらの選手だ!』
「俺はお前に勝ってチャンピオンカップに参加する。そしてダンデを倒して、蟲ポケモンこそ最強で最高なのだと証明してみせる」
「それが貴女の戦う理由なんだね、ラウラ。ムツキとモコウが羨ましいよ。貴女とあんな熱いバトルを演じられるなんて。戦ってる時の二人とも、凄い楽しそうだった。お願い!私も、熱くさせてよ!ラウラ!」
▽ポケモントレーナーの ユウリが 勝負を しかけてきた!
「お願い、ダーテング!」
「頼むぞ、テッカニン!」
ユウリが繰り出したのは彼女のエースであるダーテング。対して俺はテッカニン。相性の上では勝っているが、決して侮れる相手ではない。
「つばめがえし!」
「ねこだまし!」
これだ。乾いた音と共に、テッカニンの動きが固まる。これをされる前に攻撃したかった…!
「私達がするのはいつだって同じこと!ぼうふう!」
ユウリの必勝パターン。ねこだましからのぼうふう。これで大抵のポケモンは倒される。だがしかし、あらかじめ分かっていたら対処は可能だ。
「予定通り、風に乗れ!」
「っ!」
ダメージを受けながらも吹き荒れる風に乗って上空に逃れ、最小限のダメージに抑えるテッカニン。ここからだ!
「シザークロス!」
「リーフブレードで受け止めて!」
テッカニンの両腕による斬撃を、緑色の光を纏った右手の葉団扇で受け止めるダーテング。一筋縄じゃいかないか…?
「ふいうち!」
「!?」
「ぼうふう!」
鍔競り合っていた次の瞬間振るわれた左腕の一撃がテッカニンの顎を捉える。不意を突かれてふらついたところに暴風が叩き込まれて戦闘不能になってしまった。
「ダーテングがここまで苦戦するなんて…さすがだね!」
「嫌味にしか聞こえないぞ…実質ノーダメージじゃないか。頼むぞマルヤクデ!」
「ねこだまし!ぼうふう!」
再びねこだましからの暴風が放たれ、ダーテングを中心に風が吹き荒れる。それに打ち上げられたマルヤクデの目は、まだ死んでいない。
「ほのおのうずだ!」
暴風に乗ってほのおのうずが逆回転して炎の竜巻の様になって暴風を飲み込んでいき、コートのど真ん中で巨大な火柱が上がる。それが消えた時、ダーテングは倒れ伏していた。
「そんな…ダーテング!」
「自分を中心にぼうふうを放っていたのが
「っ…インテレオン!」
続けて繰り出されたのはインテレオン。素早い動きでマルヤクデを翻弄し、一定の距離を取り続ける。よく鍛えられてるな。
「ねらいうち!」
「ほのおのムチだ!」
宙返りしながら放たれた水流を、ほのおのムチで相殺。水蒸気が辺り一帯に広がり視界を奪う。これもユウリの計算済みか?
「炎で場所が丸見えだよ!ふいうち!」
瞬間、水蒸気の中を素早い動きで駆け抜けてきたインテレオンの尻尾の一撃がマルヤクデを捉えてダウン。戦闘不能になったマルヤクデをボールに戻し、思考する。オニシズクモはあのポケモンの相手をするためにまだ出せない。デンチュラはキョダイマックス要員として温存したい。なら選択肢は一つしかない。
「ドラピオン!」
「とんぼがえり!」
交代した瞬間を狙われた。駆けてきたインテレオンの飛び蹴りを受け、ドラピオンが怯んだところでボールに戻って行くインテレオン。そして繰り出されたのは、アーマーガア。アオガラスが進化したのか。はがねタイプでドラピオンのメインウェポンであるクロスポイズンを封じられたわけだ。いい交代だ、感動的だな。だがドラピオンの前では無意味だ。
「ミサイルばりで撃ち落とせ!」
「ドリルくちばしで蹴散らしちゃえ!」
放たれるは誘導ミサイルの如き光弾六連射。しかしアーマーガアは翼を畳んで高速回転、その身をドリルの様にしてミサイルばりを全て明後日の方向に弾き飛ばし、その勢いのまま翼を広げ、羽ばたいて加速しドラピオンに突撃してきた。
「ブレイブバード!」
「ドラピオン!受け止めろ!」
「なっ!?」
両腕で翼を胴体を挟み込み、強烈な一撃を受け止めるドラピオン。それぐらいの攻撃なんざ、ドラピオンはこれまで幾度も受けて来たんだ。そして敗北を重ねたことで積み重なった熱き闘志は瞳に燃え上がっている。負けられないと叫んでいる。そんなドラピオンが今更耐えられない訳がない!
「こおりのきばだ!」
「は、はがねのつばさ!」
はがねタイプが入っているとはいえひこうタイプ。広げようとした翼をがっしり掴んだまま、噛み付いて完全に凍りつかせるドラピオン。氷像となったアーマーガアがゴロリと転がり、実況の審判が戦闘不能と判断した。勝負はここからだ。
ユウリがちょっとめんどくさいタイプのストーカーみたくなってしまった。反省はしていない。
・ラウラ
ユウリを天才と称する蟲の女王。蟲ポケモンこそ最強で最高なのだと証明するために全力で戦う。ユウリ対策は万全のつもり。特にアーマーガアと以前繰り出していたストリンダーに至ってはムツキ、モコウという使い手と戦ったためどうすればいいのか作戦は決めている。ふいうちがとことん苦手だとユウリにばれている。
・ユウリ
ラウラのライバルにして大ファン。この世界で最もラウラを理解していると言っても過言じゃないぐらいのめり込んでる。バトルの才能の開花とバトルジャンキーな性質はラウラ対策をしているうちに自然とそうなった。望めるならば、永遠にラウラと戦っていたいと思ってる。ちなみにポケモンは五匹しか持ってなかったりする。
・ダーテング♂
とくせい:はやおき
わざ:ねこだまし
リーフブレード
ふいうち
ぼうふう
もちもの:こうかくレンズ
備考:おだやかな性格。食べるのが大好き。ユウリのエースポケモン。じんつうりきを忘れてふいうちを覚えた。
・アーマーガア♂
とくせい:きんちょうかん
わざ:ブレイブバード
はがねのつばさ
ちょうはつ
ドリルくちばし
もちもの:するどいくちばし
備考:てれやな性格。負けん気が強い。アオガラスが進化した。ちょうはつでへんかわざをさせない要員。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。