ポケットモンスター蟲【本編完結】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。ジャッジ機能とやらに今更気付いたので使ってみたら旅パのほとんどがそんな大したことない能力だったと知って軽くショックを受けました。性格ととくせい厳選したウオノラゴンが一番いいってどういうことなの…?

今回はラウラVSユウリ決着。セミファイナルトーナメントを制するのはどっちだ!楽しんでいただけると幸いです。


VSセキタンザン

「お願い、ストリンダー!」

 

 

 アーマーガアが倒れ、次に繰り出されたのはローなすがたのストリンダー。モコウの時もそうだったが、特性:パンクロックの火力でごり押しするつもりか。実際、ストリンダーにはそれができる火力がある。本気の時のネズさんがあくタイプでもないのに使うポケモンだ、決して侮れない。だが俺のドラピオンも並のポケモンじゃないぞ。

 

 

「オーバードライブ!」

 

「こおりのきばで防御だ!」

 

 

 前世の理科で習ったが、氷は電気を通しにくい。こおりのきばで氷壁を作り上げ、電撃を纏った音波を防ぐ。次にしてくる行動まで、見えていた。

 

 

「ばくおんぱで氷壁を破壊して!」

 

「悪いが、こいつは再放送だ」

 

 

 モコウとの戦いのな!少々シチュエーションは違うが、ばくおんぱで破壊しに来ることは見えていた。氷壁とその周りに漂う靄で姿を雲隠れしたドラピオンは回り込み、ストリンダーの背後を取っていたのだ。ドラピオンは指示がなくとも戦闘経験が多いからこれができる、不意を突くには最適だった。ばくおんぱをもろに受けてしまったが、そんなことは関係ない。

 

 

「っ、後ろ!ほっぺすりすり!」

 

(急所)を狙え!つじぎり!」

 

 

 ヒュンヒュン、と二回続けて振るわれた音と共にどさりと倒れる音がする。麻痺をもらってしまったが、ストリンダーも撃破した。後二体……!

 

 

「皆、ラウラ対策で育てたポケモンだったのにこうも容易く……三日三晩かけて捕まえたドラピオンは伊達じゃないってこと?」

 

 

 インテレオンを繰り出しながらそうぼやくユウリに、不敵に笑んで見せる。

 

 

「まあな。こいつのポテンシャルは三日三晩戦った俺が一番理解している。麻痺程度じゃ止まらないぞ」

 

「でも、ストリンダーは仕事はしたよ。一番厄介なのはむしタイプじゃないドラピオンだった。麻痺していたら私のインテレオンには追い付けない!」

 

「お前、まさか最初から……!?」

 

 

 アーマーガアで押し切れるならそれでいい、駄目だった場合はストリンダーでダメージを与えながら麻痺を優先させる。そういうことか!

 

 

「インテレオン、周りを走りながらねらいうち!」

 

「動けなくても関係ない!地面にこおりのきばだ!」

 

 

 麻痺してすばやく動けなくなったドラピオンに、その場でこおりのきばを指示。周囲を凍らせようとするが、体に痺れが走ったのかドラピオンは動かない。そこに連続で水流が直撃し、体力が削られていく。

 

 

「くっ……クロスポイズンを地面に当てて撹乱だ!」

 

 

 絶え間なく襲いかかる遠距離攻撃にこおりのきばが間に合わないと悟った俺は、その場でクロスポイズンを指示。毒飛沫と砂塵が舞い、コート全体を覆い隠す。擬似的な煙幕だ。

 

 

「四方八方にミサイルばりだ!」

 

 

 ドラピオンも見えない中で、狙いを定めず広範囲攻撃を指示する。しかし、それは悪手だった。ユウリはトレーナーとしての腕も化け物だった。

 

 

「何かが光った!右に回避!」

 

「は!?」

 

 

 ユウリの奴、煙幕の中からのミサイルばりを肉眼で目視しやがった。お前は複眼持ちか!?実は蟲ポケモンだと言われても全然納得できるぞ!

 

 

「多分、その先にいる!みずのはどう!」

 

「っ……こおりのきばで防御だ!」

 

 

 さらにミサイルばりの飛んできた先からドラピオンの居場所を特定してきた。咄嗟にこおりのきばの氷壁で防御を指示、砂塵を吹き飛ばしながら迫った水の塊を防いで氷が砕け散る。砕け散った先には、指先を構えたインテレオンがいた。みずのはどうはこちらに防御させて崩す為か!?

 

 

「ねらいうち!」

 

 

 インテレオンの指先から放たれた高圧水流がドラピオンの顔面に炸裂。その巨体が崩れ落ちる。

 

 

「くっ……しょうがないか、頼むぞデンチュラ!」

 

 

 最後に出す予定だったがやむを得ない。相手の最後の一匹であろうポケモンのためにオニシズクモは出せない。ダイマックスなしで倒すしかない。

 

 

「ほうでん!」

 

「みずのはどうで電気を逃がして!」

 

 

 放たれたほうでんを、みずのはどうを大きく横に広げることで通電させて分散させるインテレオン。電撃対策は完璧ってことか。

 

 

「ねらいうち!」

 

「いとをはくで横に避けろ!」

 

 

 狙いを引き絞られて放たれる高圧水流を、次々と糸を伸ばして避けていくデンチュラ。なんとか隙を見て放電をブチ当てるしかないが……いや、待て。どうせあと二匹なら……そう考え、デンチュラをボールに戻してダイマックスバンドを輝かせる。

 

 

「ここで切るぞ、キョダイマックスだデンチュラ!」

 

「なっ!?」

 

 

 モコウと同じ、最後じゃないタイミングでのダイマックス権の行使。みるみる巨大化して姿を変えていくデンチュラに対し、焦ってダイマックスを使ったりはしないユウリ。その表情は勝ちを確信している様だった。

 

 

「デンチュラ!キョダイクモノスだ!」

 

「ふいうち!」

 

 

 こちらの攻撃が決まる前に先制攻撃を受けたものの、巨大なエレキネットでコートに押し付けられたインテレオンは感電して沈黙。効果は抜群だ。

 

 

「ここでダイマックスを切るんだ……うん、モコウもしていたけど確かに有効だね!これからはタイミングに縛られないダイマックスが流行りそう!でもいいの?オニシズクモに使わなくて。私の最後の手持ち……知ってるよね?」

 

 

 そう言って繰り出されたのはセキタンザン。そうだ、蟲ポケモンの天敵。マクワ戦でも戦ったほのお・いわタイプのせきたんポケモン。こいつのためにオニシズクモを温存していた。だがデンチュラにダイマックスを切ったのも間違いではない。

 

 

「キョダイクモノスには麻痺効果がある。それを喰らったセキタンザンなどオニシズクモの敵じゃないさ」

 

「……それはどうかな?このセキタンザンはラウラ!貴女のためだけに調整したポケモンだよ!ダイマックス!」

 

 

 キョダイマックスの様に姿を変えずに巨大化し、キョダイデンチュラと相対するセキタンザン。絶望的な状況のはずなのに、その目に曇りはない。なんだ、その自信はどこからくるユウリ……?

 

 

「キョダイクモノス!」

 

「ダイバーン!」

 

 

 巨大なエレキネットと巨大な炎が交差する。天気はひでり状態になり、キョダイデンチュラは黒焦げになり沈黙。縮んでボールに戻って行く。よく頑張った。あとはオニシズクモが……!?俺の視界の先で、セキタンザンが何かを咀嚼。すると麻痺していたその動きが、何事も無かったかのように動く。……クラボのみか!

 

 

「ムツキ戦で披露してその時効果も喋っていたのに、その対策をしないとでも?」

 

「……それもそうだな。オニシズクモ!」

 

 

 大丈夫だ、こいつの特性「すいほう」と最強クラスの水タイプの物理技なら、大概とくぼうよりに育てるセキタンザンならばひでり状態であろうと四倍ダメージだ、一発で倒せる。

 

 

「アクアブレイクだ!」

 

「ダイロック!」

 

 

 渾身の一撃がセキタンザンに炸裂。その巨体がぐらりと傾く……が、ダメージに表情を歪めている物の耐えてしまうセキタンザン。何故だ!?直後、ダイロックが直撃し、効果抜群の一撃を何とか耐えるオニシズクモ。あと一発当てれば行けるか?天気はすなあらしに変わり、いわタイプは特防が1.5倍になるが関係ない。すばやさはこちらが勝っているんだ、いける…!

 

 

「アクアブレイク!」

 

「ダイロック!」

 

 

 しかしそんな思惑を裏切り、オニシズクモより先に行動したセキタンザンのダイロックが直撃。オニシズクモは耐えきれず、崩れ落ちた。真っ白になる頭で、その理由を思い出す。じょうききかん。ほのお・みずの攻撃を受けるとすばやさが6段階上昇する特性。アクアブレイクで一撃で落とせなかった時点で、俺の敗北は確定していたわけだ。

 

 

『決着!決着です!ジムチャレンジをクリアした8人のポケモントレーナーによるセミファイナルトーナメント!勝ったのはっ、ユウリ選手!ラウラ選手は惜しくもここで敗退となります!』

 

「……私のセキタンザンはね。貴女のオニシズクモの得意技であるアクアブレイクを受け止めるためだけに防御面を意識して育てたの。ひでりもあって、それで四倍ダメージを半分程度に抑えられた。私、ラウラに勝つためにいろいろ頑張ったんだ。貴女のことを研究して、得た結論がこの子だよ」

 

「メインウェポンのアクアブレイクよりもサブウェポンであるバブルこうせんを撃っていれば勝てていたかもしれないってか。……ああ、悔しいなあ」

 

 

 俺の癖、俺の使う技の傾向、全てを知りつくされた故の敗北、か。オニシズクモを出した時点で勝利を確信していたこともあり、だいぶ堪える。ユウリの思惑さえ読み切れば、勝っていたかもしれない……後悔してもし足りない。

 デンチュラ、テッカニン、オニシズクモ、マルヤクデ、ドラピオン、イワパレス。そしてムツキ、モコウ……お前たちとの約束、守れなかった。俺は悔しさを胸に抱き、ユウリと共に大歓声広がるコートを後にした。




まさかのラウラ敗北ルートとなります。チャンピオンになって終わりもなんか違うかなって。

・ラウラ
最善を尽くしたとは思っているけど実際はユウリに終始手玉に取られていた蟲の女王。オニシズクモさえ温存すればセキタンザンを突破できると考えていたのが裏目に出た。生前の得意科目は理科。

・ユウリ
全ての手持ちにラウラ対策をしていたラウラガチ勢の原作主人公。四度目の正直、ついにラウラに勝利した。動体視力など身体スペックも高い。六匹目はデンチュラにしようかなとか思ってる。

・インテレオン♀
とくせい:げきりゅう
わざ:みずのはどう
   ねらいうち
   ふいうち
   とんぼがえり
もちもの:しんぴのしずく
備考:おくびょうな性格。辛抱強い。ユウリの相棒。電気を逃すみずのはどうの猛練習した。ねらいうちの精度がすごい。

・セキタンザン♀
とくせい:じょうききかん
わざ:ヒートスタンプ
   いわなだれ
   ボディプレス
   じしん
もちもの:クラボのみ
備考:てれやな性格。ケンカをするのが好き。オニシズクモ対策のために防御全振りで育てられた、ユウリの切札。デンチュラのキョダイクモノス対策もばっちり。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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