今回はVSルリナ。では、楽しんでいただけると幸いです。
巨大な橋を渡り、真夜中のバウタウンに辿り着いた俺達。だがすぐにそらとぶタクシーを呼び出した。目的地はワイルドエリアだ。
昨日、主人公みたいな奴と戦った。いや、主人公じゃないのかあれは。戦ってる途中で御三家っぽいポケモンが進化するとか主人公以外にいるか?…いや、ライバル枠がいるか…いやいや、あんな普通そうで実は美人なビジュアル、間違いなく主人公だ。
課題が出来た。やはりというかなんというか、むしポケモンは耐久力が低すぎる。タンクが必要だ。もしくはテッカニンのつるぎのまいバトンタッチを十全に活かせる物理アタッカーが。バチュルのメインウェポンのきゅうけつがあまり通じないひこうタイプ相手だとエレキネットメインで戦わないといけないため、噛み合わなかったのだ。そろそろ三匹に増やしてもいいと思うのだ。
ワイルドエリア駅にやってきて、うららか草原ので光の柱が立つ巣穴を見つけ、中に入る。そこにいたのは、巨大な蜘蛛の様なポケモン。
「早速出くわすとは運がいいな…バチュル!ダイマックスだ!」
俺は普通のポケモンバトルならともかく、ダイマックスバトルは得意ではない。ダイマックスの使いどころ、ダイマックスわざの天候操作に能力上昇下降、ダイウォールの使いどころなど戦略性はあるっちゃあるが、俺がプレイしてきたものとは違いすぎたからだ。
なので単純に、こんな広い空間だと小細工も出来ないのでごり押ししかない。
「バチュル、ダイサンダー!」
それから数刻後。激闘の末に目標のポケモンを捕まえた俺は朝になるまでワイルドエリアを巡った後、早朝にバウジムに挑んでいた。ややこしい水仕掛けを何とか攻略し、ジムトレーナーをバウタウンで拾った「じしゃく」を持たせたバチュルの威力が上がったエレキネットで蹴散らしながらゴールに辿り着く。
『本日のバウスタジアム第一の挑戦者は、背番号064!超新星とも噂されるむしつかい、ラウラ選手!対するはジムリーダー、ルリナ!3VS3のシングルバトルです!』
スタジアムの中心に立った俺の前に立つのは、黒と青が混ざったロングヘアーと褐色肌が特徴的な鋭い目つきの女性。身に着けているユニフォームは陸上選手みたいだ。たしか背番号049。レイジングウェイブ・ルリナ。以前見た試合だとグソクムシャを使っていた。仲良くなれそうだ。
「朝早くからご苦労様。よくぞいらっしゃいました!貴方がヤローくんをダイマックスなしで倒したっていうラウラさんね。私のミッション、控えめに言っても難しいのによくクリアしたわね。あなた、ポケモントレーナーとして冴えた頭脳の持ち主なのね」
「いや、あの仕掛け普通に難しかったぞ。抜けれたのは偶々だ」
「あら、そうなの。でも、ダイマックスなしでダイマックスポケモンを倒すなんていう冴えた頭脳でどんな作戦を繰りだそうとも、私と自慢のパートナーが全て流し去ってあげるから!」
▽ジムリーダーの ルリナが 勝負を しかけてきた!
左足を頭上まで上げて野球のピッチングのように大きく腕を振り抜いて豪快に投げられたダイブボールから飛び出したのは、トサキント。空中に浮いているのはさすが不思議な生き物といったところか。ならばと俺は、ここまで温存してきた新入りの入ったネットボールを手にする。
「初陣だ!暴れろ、オニシズクモ!」
出てきたのは、頭部を水泡で覆った大きな蜘蛛の様なポケモン。とくせい:すいほう。ほのおタイプの技で受けるダメージを半減し、やけど状態にならず、みずタイプの技の威力を2倍にする強力な特性を持ったみず・むしタイプのポケモンだ。
「テッカニンじゃ…ない!?」
「俺の試合を見て警戒していたようだが残念だったな、とびかかる!」
そしてなにより、とくぼうが高い。とくこうわざが多いみずタイプとの相性はバツグンだ。
「つのでつくで応戦しなさい!」
「かみついてやれ!」
応戦として突き出されたつのを、噛み付いて文字通り白歯どり。振り放そうと暴れるトサキントに喰らい付く。
「そのまま零距離からバブルこうせんだ、ぶっ放せ!」
「くっ、こうそくいどうで振り放しなさい!」
トサキントはこうそくで空中を泳いで振り放そうとするが、突き出された前足からダメージがある泡がまるで機関銃の如く放たれてパンパンパンパンと破裂。体勢が崩れた所で、オニシズクモは足でがっしりと地面を掴み、頭を振り上げた。
「決めろ、すいほうからバブルこうせん!」
そして落ちてきたトサキントにすいほうが泡立って放たれた巨大な泡の連撃が炸裂。トサキントは戦闘不能となった。
「なんてこと…みずタイプだからその威力が分かってはいたけど、むしポケモンをああも使いこなすなんて…いきなさい、サシカマス!」
「交代だ、バチュル!」
次に出てきたのは、鋭いダーツの様なマスの様なポケモン。たしか、すばやさに優れていたはずだ。オニシズクモはすばやいポケモンではないので、単純に相性有利なバチュルを繰り出す。
「アクアジェット!」
「地面にエレキネット!」
水を纏って高速で突撃してきた攻撃を、地面にエレキネットを張ることにより、トランポリンの様に空中に飛び出し回避。真っ直ぐ突っ込んできたサシカマスはエレキネットの電流を浴びて弱り、これ幸いと俺はバチュルをボールに戻した。
「準備しようか、テッカニン!」
「しまっ…いや、なにもさせずに倒すのよ!アクアジェットからのみだれづき!」
「つるぎのまいで弾き返せ!」
水を纏った高速のみだれづきという大雨の様な連打が襲いくるも、つるぎのまいで防御。
「怯ませなさい!かみつく!」
「こっちの方が速い!かげぶんしん!」
その勢いのままのかみつきも、かげぶんしんで回避。着々と準備を進める。
「つるぎのま…」
「なら逃がさないわ!うずしお!」
「っ!させるな、れんぞくぎり!」
高速の一撃が、渦巻いた水の奔流を形作っていたサシカマスを斬り裂き戦闘不能にする。危なかった。もしうずしおを繰り出されていたらバトンタッチで逃げられないところだった。さすがに対策は持ってたか。
「最後の一匹じゃないの、隠し玉のポケモンなのよ!こうなったら正々堂々、真正面から打ち破るわ!スタジアムを海に変えましょう!カジリガメ、ダイマックスなさい!」
最後に巨大化したボールから繰り出されたのは、顎が立派な巨大なカメの様なポケモン。みず・いわタイプのポケモン、カジリガメ。前に見たキョダイマックスじゃないのか。なら、勝機はある。
「私達からのおくりもの、全身で受け止めてよ!ダイストリーム!」
「ノーサンキューだ。上空に逃げてバトンタッチだ。暴れろ、オニシズクモ!」
巨大な鉄砲水を何とか避けて、オニシズクモに交換することはできたが、フィールドを雨にしてきた。みずタイプのわざの威力を上げて来たか。だったらそれ以上の速さで攻略するまでだ。
「っ、バチュルじゃないのね。ダイストリーム…いや、ダイロック!」
「判断が遅い!アクアブレイクだ!」
瞬間、足元を高速で駆け抜け懐に潜り込んだオニシズクモの、すいほうに包まれた頭部による渾身の一撃が炸裂。テッカバトンによるつるぎのまいの攻撃二倍+すいほうによる威力二倍だ。耐えきれるはずもなく、大爆発を起こしたカジリガメはみるみる縮んで崩れ落ち、ボールに戻る。
「なっ…!なんたることっ!!自慢の最強メンバーなのにまとめて押し流されちゃった!…完敗ね」
頭を掻きむしりながら悔しそうな表情を見せたかと思うと、すぐ冷静に戻るルリナ。面白い人だな。
「ふぅ。手合わせして分かりました。オニシズクモ…ヤローくんとの試合で見なかった子だけど、よく鍛えられてるわね。大方、ワイルドエリアで捕まえた後に鍛錬でもしたのかしら?」
「はい。今の俺…私に足りない物を、突貫だけど補いました。次は本気の貴方と…特に、グソクムシャと戦ってみたいです」
「あら。本当にむしポケモンが好きなのね。すばらしいスピリットを見せてもらったわ。ジムチャレンジに勝ち進みチャンピオンに挑むのも夢じゃない。あなたたち…ジムバッジを受け取るのにふさわしいのよ!」
そう言って握手を交わす。危ない、と思うシーンが何度かあったバトルだった。でもカブさんに挑む前にオニシズクモのいいデモンストレーションになった。…俺を推薦してくれたカブさんに、あのマルヤクデに、俺は勝てるのだろうか。いや、勝つんだ。
第二鉱山で鍛えてから向かうとするかな、と目処を付け、俺はバウスタジアムから出るのであった。
今後苦手タイプ相手のメインウェポンとなるオニシズクモのお披露目回。
・ラウラ
夕方にユウリ戦、夜にダイマックスオニシズクモとの激闘、朝方までワイルドエリアの野生ポケモンとバトルを繰り広げて徹夜テンションだった人。エンジンシティのジムリーダー・カブに推薦された。カブさんは憧れの人で恩人。
・オニシズクモ♀
とくせい:すいほう
わざ:とびかかる
アクアブレイク
バブルこうせん
かみつく
もちもの:おうじゃのしるし
備考:おだやかな性格。打たれ強い。アグレッシブな戦法が得意で、自分にこうげきりょくとすばやさを与えてくれるラウラを慕っている。うららか草原の巣穴に生息していた。モデルは放仮ごが捕獲した☆5オニシズクモ。
・ルリナ
みずタイプのジムりーダー。自分がライバルと認めるヤローの敵討ちをする気満々だったが、空回りして翻弄されまくる。最終的にラウラのことを認めた他、みず・むしタイプの使い手として好印象を抱いた模様。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。