今回はVSムゲンダイナの続きです。楽しんでいただけると幸いです。
対峙するのはおそらく、この地方の伝説ポケモンであろうムゲンダイナ。名前をそのまま訳すなら無限の力か…もしかしたら無限のエネルギーを使えるポケモンなのか?咆哮と共に放たれたりゅうのはどうを、横に広がって回避する俺達。意識しなくても自然に円形に取り囲む形になった。
「テッカニン、つばめがえし!」
「ダーテング!ねこだまし!」
「ロトム、ハイドロポンプ!」
「ウォーグル!ブレイククロー!」
「バイウール―!すてみタックルだぞ!」
一斉に襲いかかる俺達。しかしねこだましで一瞬怯んだムゲンダイナはその場で横に回転してかえんほうしゃを放ち、ハイドロポンプさえ蒸発させながらポケモン達を弾き飛ばす。テッカニンは大ダメージだ、戻すしかない。
「マルヤクデ!抑え込むんだ!」
交代するなりするりとムゲンダイナの猛攻を避けてムゲンダイナの背骨に当たる部分に巻き付き、ほのおのうずを放つマルヤクデ。そのまま背骨を焼いて折ってしまえ!
「駄目!でかいのが来る、みんな離れて!」
なにかを察知したユウリがそう叫んだ瞬間、マゼンタ色に輝くムゲンダイナの全身。骨格の隙間を利用して全方位に向けられたマゼンタ色の光線はマルヤクデを引き剥がして吹き飛ばし、ユウリ達のポケモンも同時に撃ち落とされる。トレーナーはポケモンが受けてくれたことで何とか無事だった。
「ダンデさんのポケモンが一撃でやられたダイマックスほうだ!あれをどうにかしないと…」
「なら麻痺させる!ほっぺすりすりだストリンダー!」
「私も、お願いストリンダー!ほっぺすりすり!」
モコウとユウリのWストリンダーが同時にムゲンダイナに肉薄する。しかしその口元には蒼い光が漏れていて。放たれたりゅうのはどうで纏めて薙ぎ払われる。
「こうなったら…!」
「切札で…!」
「一気に倒すぞ!」
「先程突き落とされた借りは返させてもらうぞ!」
「母さんのポケモンを倒してくれたお礼をしてやります!」
同時に切札ポケモンを繰り出す俺達。ドラピオン、セキタンザン、カビゴン、パッチラゴン、ルチャブルが並ぶ。この面子ならどうだ!
「こおりのきばで動きを止めろドラピオン!」
「セキタンザン、ボディプレスからじしんを叩き込んで!」
「カビゴン、真正面から10まんばりき!」
「最大火力をぶちこめ!でんげきくちばし!」
「ルチャブル!渾身の一撃を!とびひざげり!」
俺のドラピオンのこおりのきばによる氷結でその巨体を床に拘束したところに、四方八方から同時攻撃が叩き込まれる。特にユウリのセキタンザンのじしんはかなり効いたようで咆哮を上げるムゲンダイナ。しかし口からの火炎放射で凍結の拘束を破ったかと思うとそのまま一回転。かえんほうしゃはムゲンダイナを中心に炎の竜巻となってその熱風で俺達を押し戻す。セキタンザンやカビゴンの重量級でさえ吹き飛ばされる風圧にたじろいでいると、竜巻が収まったかと思えば間合いに誰もいないのに毒を纏った爪を振りかぶるムゲンダイナ。今度は何だ…!?
「これは…クロスポイズンか…!?」
ドラピオンも憶えている技だが、信じられないのはⅩ状に振るった瞬間、飛ぶ斬撃となって繰り出されたこと。刃を伴った毒の斬撃は床を溶かしながら迫り、避けきれなかったセキタンザンに炸裂するとその表面を融解させ戦闘不能にしてしまった。慌ててボールに戻し、代わりにアーマーガアを繰り出すユウリ。
「セキタンザン!?戻って!」
「どく・ドラゴンで間違いなさそうだがなんだあのでたらめな攻撃は…物理に特化したセキタンザンをあっさり倒すクロスポイズンとは…」
「名前の通り、エネルギーが無限だとでも言うのか…!?」
俺の呟きに続いたモコウの言葉に、嫌な予感しかしない。そして、ムゲンダイナの攻撃を避けるためとはいえバラバラになっていたのは悪手だった。ムゲンダイナは標的を一人に絞り、その口に炎を溢れさせたのだ。病弱であるが故にあまり動けずエレベーター前に陣取っていたムツキへと。
「っ!?」
「ムツキ!」
「カビゴン!」
近くにいた俺の背にしがみ付いたままのデンチュラが糸を伸ばすが、間に合わない。反対側にいたホップもカビゴンを向かわせるも、遅すぎる。誰もがムツキに襲いかかる惨劇を想像し、目を見開いたその時。
「デスバーン!」
ムツキの前に飛び出し、炎が炸裂する瞬間に石版の様なポケモンを繰り出して防いだものの衝撃でデスバーンもろとも吹き飛ばされた人物がいた。キリエさんだ。慌てて崩れ落ちるように駆け寄るムツキ。俺とホップもそれに続き、第二波から守るようにカビゴンとドラピオンが立ちはだかる。
「母さん!なんで…」
「例え嫌われていても、守るぐらいは……母親として、大人として…できること…を…ムツキちゃんが無事でよかった…」
「母さん!母さん!?」
「気絶しただけだ、ムツキ」
「落ち着くんだぞ!とにかく安全な場所に…」
「…母さんのことは任せます、ホップ」
ホップにキリエさんを託し、ゆらりと、力なく立ち上がるムツキ。ずるずると足を引きずりながら、ルチャブルと共にムゲンダイナに向かっていく。それを追いかけるドラピオンと俺だったが、ムツキから溢れる怒りのオーラを幻視した気がした。
「…よくも、よくもやってくれましたね……私の母さんを!ひんしじゃすませませんよ…!ルチャブル!つばめがえし!」
瞬間、素早い動きでムゲンダイナに肉薄するルチャブルの鋭い一撃がムゲンダイナの右腕に炸裂。弾き飛ばすと「とびひざげり!」膝を顎に叩き込み、浮き上がるムゲンダイナの下に潜り込むとグググッと踏ん張り、凄まじい勢いで跳躍した。
「とびはねる!」
ムゲンダイナを突き飛ばしてひっくり返し、上空に舞い上がるルチャブルの、急降下による一撃がムゲンダイナのコアと思われる胸部に叩き込まれた。
「フライングプレス!」
まるで隕石の様な一撃が建物を揺らす。…やっぱり、キリエさんの娘なんだなと再認識した。あれはフライングプレスじゃないなにかだろ……怒りに燃えるムツキに慄く俺達。ユウリとモコウは何か言いたげで口をつぐみ、ホップはダンデとキリエさんをエレベーター前に引き寄せていた。多分みんなが言いたいことは一緒だ。
「あいつ1人でいいんじゃないかな?」
キリエさんのポケモン達、ダンデさんのポケモン達、俺達のポケモン達、そしてムツキの猛攻を受けて、やっと崩れ落ちたムゲンダイナ。しかしその全身にガラル粒子と思われるマゼンタ色の光が集束させていき、ロケットか花火の様に空へと舞い上がって行くムゲンダイナ。そして空でマゼンタ色の光を発し、その影響か瓦礫や物が浮かび上がり渦を巻く。…嘘だと言ってくれ、ここからが本気だと言うのか?
「…なんだ、あれ…」
マゼンタ色の暗雲から姿を現したのは、異様な姿に変貌したムゲンダイナ。先刻よりも長大な身体がマゼンタ色のコアを中心に渦を巻いた状態で固定され、その先端に5つの枝分かれした頭部と思わしき一つの巨大な手を伸ばした様なそれは、もはやポケモンには見えない。キョダイマックス?いや、大きさも150mは越えているし姿を変えるにしても変わりすぎだ!?名付けるとしたら奴の名にあやかってムゲンダイマックスだろうか。これが、おとぎ話のブラックナイトの真の姿か…。もはやポケモンじゃないだろ、これ。
「なんだよ…でかすぎるぞ…」
ダンデさんとキリエさんを置いて復帰したホップが声を上げる。あまりにでかすぎて、勝てるビジョンが見えない。咄嗟に守るようにデンチュラをボールに戻し、ドラピオンと共に構える。勝てるのか?じゃない、勝つしかない。
「一緒にやるぞ!」
「「「「おう!」」」」
満身創痍だろうが関係ない。やってやる!
次回、むしポケモンが大活躍!
・ラウラ
自分がやられたセキタンザンをあっさり倒したムゲンダイナに恐れすら感じている主人公。ブチギレムツキには思わずRXな台詞を吐いた。
・ユウリ
さらっとムゲンダイナのダイマックスほうを察知して最悪の事態を免れてる原作主人公。キリエを参考にボディプレスからじしんに繋げてみたりと新たな戦法を試している。セキタンザンがやられるのはさすがに想定外で珍しく焦っていたり。
・モコウ
ムゲンダイナのエネルギーが無限なんじゃないかと指摘。ラウラと同じくムゲンダイナの脅威を察知して恐れている。
・ムツキ
キリエをやられてブチギレ。母親を思わせる猛攻で通常形態のムゲンダイナを倒すことに成功。レベルの強さは伊達ではない。
・ホップ
救護班もやったり忙しい縁の下の力持ち。ダンデとキリエを避難させる大健闘。
・キリエ
追い付いて来たら愛娘が死にそうな場面に出くわして咄嗟に前に出た。母親として大人として意地を貫いた。イメージは完全に某時の王者の最終回の友である。
・ダンデ
気絶中。見事にお荷物と化した。
・ムゲンダイナ
まじめな性格なりに動けないムツキを狙うなど無駄に知能がいい。かえんほうしゃを炎の竜巻にしたり、クロスポイズンを飛ぶ斬撃にしたり、全方位にダイマックスほうを撃ったりやりたい放題だがムツキを怒らせたことで敗北。ムゲンダイマックスして最終決戦に挑む。
今作では千年後のガラルのエネルギー問題を解決するほどの無限大なエネルギーを持つ永久機関。具体的に言うと最大出力をポンポン撃ったり、PPが尽きない。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。