今回は次章への幕間。ユウリVSダンデです。次章のキーパーソンとなる新キャラが二人登場します。楽しんでいただけると幸いです。
あれから三日後。実はユウリに倒されていたらしいローズ委員長は逮捕され、無事ユウリとダンデの決戦が行われた。ムゲンダイナを手にしたユウリと、チャンピオンダンデの対決は白熱した。
「ムゲンダイナ!かえんほうしゃ!」
「キングシールドだギルガルド!」
「そのままギルガルドを掴んで地面に叩きつけてかえんほうしゃ!」
「なに!?」
キングシールドを維持したギルガルドをガシリと掴み、地面に叩きつけたうえで防御が崩れるまでかえんほうしゃを放つムゲンダイナ。ムゲンダイナの元々の強さにユウリの指示が加わったことでもはや無敵だった。戦闘不能になったギルガルドをボールに戻し、ニッと笑みを浮かべるダンデさん。
「最高のチャレンジャーの最強のポケモンの組み合わせは伊達じゃないな。ワクワクさせるじゃないか…!」
「私は貴方に勝って頂点に立つ!それぐらいしないとあの子にふさわしくないから!」
続けて繰り出されたドサイドンと組み合うムゲンダイナ。チャンピオンダンデは驕ることなく、ムゲンダイナと直接戦った俺達に技構成を聞きに来ていたからこその選択だろう。ダイマックスほうは何タイプの技かは知らんが、それでもかえんほうしゃとクロスポイズンは防げる。
「じしん!」
「引っくり返してりゅうのはどう!」
組み合った状態から効果抜群であるじしんを起こし、キリエさんを思わせる地面の隆起で攻撃するチャンピオンだったが、ムゲンダイナは浮かび上がってキリエさんほど伸びない隆起を回避、掴んだままだったドサイドンの腕を引っ張り上げて体勢を変えて放り投げ、空中でりゅうのはどうを浴びせて大爆発を起こした。…三日でどんな鍛え方したらあの動きが出来るんだ…
「くっ…圧倒的な勝利こそできなくなってしまったが、それでもチャンピオンタイムは終わらない!ドラパルト!」
「交代、インテレオン」
ムゲンダイナだけ使うことなく、インテレオンを繰り出すユウリ。この三日間で知ったが、あいつは戦う相手の情報を仕入れるだけ仕入れて戦略を練るガチタイプの人間だ。ホテルの自室で過去のダンデの試合を見て、技構成を頭に叩き込んでいた。だからこその選択、ムゲンダイナさえ負けてしまうかもしれないポケモンなのだろう。
「効果抜群を狙い勝利を手繰り寄せる!10まんボルト!」
「みずのはどうで受け流して、ねらいうち!」
俺のデンチュラの時と同じく、電撃を純水の盾で受け流したかと思えば指先を純水の盾に突っ込んで先端を出して水流を叩きつけるインテレオン。チャンピオンほどのポケモンが相手でも冷静に対処して見せるその姿は歴戦の勇士そのものだ。
「くっ…シャドーボール!」
「ふいうち!」
そして一瞬で駆け寄りシャドーボールを放とうとしていたドラパルトを尻尾のアッパーカットで打ち上げ、戦闘不能にした。
「インテレオンか。メッソンだった頃とは見違えた!ならば俺はこのポケモンで応えよう…ゴリランダー!」
不敵に笑んだダンデが繰り出したのはゴリランダー。それに対し、ユウリは交代することなく構える。
「インテレオン…ダンデさんが連れて行ったサルノリがここまで強くなったんだよ。私達も成長を見せつけないとね!」
「ゴリランダー!ドラムアタックだ!」
「よく見て避けて!ねらいうち!」
太鼓を叩き、地面から太い蔦を繰り出すゴリランダー。それをするすると避けながらゴリランダーの顔目掛けて水を飛ばし、目くらまししてその隙に飛び込むインテレオン。
「とんぼがえり!」
そして二段蹴りが炸裂、反動でユウリのボールに戻っていくインテレオン。よろめくゴリランダーの前に降り立ったのは、セキタンザンだ。
「ヒートスタンプ!」
「10まんばりき!」
跳躍したセキタンザンの火球を纏った踏み潰しと、全身の力を込めて振るったゴリランダーの拳が交差する。結果は相討ち。ゴリランダーの拳はセキタンザンの急所を捉えたが、勢いのまま潰されてしまった。ダンデの初白星が相討ちだということにどよめく観客席。続けて繰り出されたオノノクスと、ムゲンダイナの視線が交差する。
「じしんだ!」
「跳躍してダイマックスほう!」
バンッと尻尾が大地を打ち鳴らし、上空に舞い上がるムゲンダイナ。その体勢で放たれたマゼンタ色の光線はオノノクスを飲み込み、戦闘不能にした。そして観客のボルテージが頂点に達する。ダンデは、最後の一体だけでも簡単に6タテしてしまう化け物だからだ。
「まだまだチャンピオンタイムは終わらない!終わらせないッ!!」
「正念場だね!交代、インテレオン!相棒と一緒にチャンピオンを越える!」
共に繰り出されるのはパートナーのリザードンとインテレオン。同時にボールに戻し、ダイマックスバンドを輝かせ巨大化したボールを同時に投擲する二人の強者。
「リザードンの本気を見せよう!キョダイマックスタイム!!」
「その激流で全てを洗い流せ!ダイマックスだよインテレオン!」
そして、巨大化し姿を変えたリザードンと、巨大化したインテレオンが並び立つ。相性はユウリが上。だが、リザードンにはソーラービームがあったはずだ。
「ダイソウゲンだ!」
先にダンデが指示をして、巨大な植物とグラスフィールドが生い茂る。効果抜群の大ダメージを受け、よろめくインテレオン。だがしかし、倒れない。なにかを咀嚼しているようにも見える。ダンデはその答えに行きついたらしく驚愕の表情を浮かべた。
「リンドのみか…!?」
「私、勉強しました。ラウラの期待に応えるため、全力で貴方に勝つために!インテレオン!げきりゅうの、ダイストリーム!」
げきりゅう。みずタイプの御三家ポケモンが持つ、ピンチになったらみずタイプの技の威力が上がるとくせいの入った大いなる水の一撃がリザードンに炸裂。レベルもすばやさもリザードンの方が上だったが、戦略でそれを覆したユウリの勝利…結果だけ見れば圧勝だった。ダンデはリザードンをボールに戻すと帽子で目元を隠し、何かを押し殺すようにしてからニッと笑い、帽子を空に投げて煌びやかな笑みを観客の俺達に見せた。
「チャンピオン・タイム・イズ・オーバー!!最高の試合にありがとうだ!」
観客の歓声が爆音で鳴り響く。無敗のチャンピオンが敗北し、新たなチャンピオンが生まれた。ガラルの歴史に残る試合に歓声を上げない者はいないだろう。俺は周りの皆を見渡し、ぽつりと呟く。
「…俺達のライバルは、強いな」
「ああ、ユウリは凄い奴だぞ」
「うん、自慢のライバルたい」
「ええ。癪ですがね」
「我らも負けられないな」
「もっと強くなりましょう」
「今度は僕らの誰かが、あそこに立つんだ」
ホップ、マリィ、ビート、モコウ、ムツキ、ナグサ。ユウリのライバルだった、もしかしたらあそこに立っていたかもしれない俺達は打倒ユウリを誓った。
「ユウリくん、おめでとう!無敵のチャンピオンを倒した君が新しいチャンピオンだ!君という素晴らしすぎるポケモントレーナーを心の底から称賛する!君が強くなった今、俺も未来のことを考えよう!未来に繋がる今現在を、俺達大人もよりよくする!さあユウリ!これからも自分自身と!パートナーのポケモンを信じて突き進め!自分たちが望む明るい未来をつくるために!」
俺達が信じる明るい未来か。むしポケモンの評価が改まれば感無量なんだがなあ。
「今ここに!新しい伝説が生まれた。ユウリ!凄い力を持つものならどんな未来も描けるだろう!ユウリが見せてくれる未来をみんなで楽しみにしようぜ!少女よ、君の望む未来がここにある!」
「私の望む未来……はい!」
そんな、歓声を上げて湧き立つ会場の裏で。
「あーあ、負けちゃったチャンピオンもいい笑顔をしてさー。もっと文句言ってもいいじゃない、伝説ポケモンなんかでチャンピオンに挑むなんてさ。勝って当たり前じゃん。みんな笑顔でつまらないつまらないつまらないー。ねー、そう思わない?ルミちゃん」
「あの最強のドラゴンポケモン欲しい欲しい欲しい…なんでムツキ選手があそこに立たないであの女が立っているのかも物申したいけどあのムゲンダイナすっごくほしい…!」
「うわぁ…ムツキ選手狂いとドラゴンタイプ狂いが一緒に出てすっごい顔をしている…いいね!最高の顔だよ、ルミちゃん!あの二人を唆して嗤って愉しめるガラル全土を巻き込んだ騒動を起こそうと思うんだけどさ、君も手伝わない?」
「ハアハア。…なにすればいいんだ?アルルカン」
「うーん、そうだなあ。ソニア博士の助手とか?」
「え゛」
マタドガスを連れている黒いタキシードでシルクハットを被った黒づくめの少年「アルルカン」と、ウオノラゴンを連れている白い髪に紅い瞳の白づくめの少女「ルミ」による不穏な会話が行われていたのを、誰も知らない。
「ラウラ!私勝ったよ!見ていてくれた?!」
「ああ、見ていたよ!見ていたから騒ぐのはやめろ!?」
ユウリが俺に向かってダンデと一緒にブンブン手を振ったことで視線がこちらに集中して俺達の顔が真っ赤になったのは言うまでもない。
アルルカンもルミも過去作のオリキャラが元ネタだったり。
・ラウラ
今回は完全に観戦者である主人公。
・ユウリ
新チャンピオン。鬼に金棒、ユウリにムゲンダイナ。
・ホップビート&マリィ&モコウ&ムツキ&ナグサ
ライバルズ。仲良くラウラを中心に並んで観戦していた。マサル君?知らない子ですね…
・ダンデ
チャンピオンだった男。ムゲンダイナを操るユウリにワクワクした。何と言われようと自分がユウリに実力で敗北したと感じた。
・アルルカン
他者の笑顔をつまらないと嘲るサイコパス。見た目は紳士だが中身は悪辣な子供そのもの。名前(本名じゃない通称)の由来は道化師で自称。ガラルマタドガスを連れている。
・ルミ
ドラゴン狂いでムツキ狂いというキャラが濃い狂人。アルビノ少女。白衣の様な上着を着ているが研究者じゃない。名前の由来はカルミア。ウオノラゴンを連れている。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。