今回はエンジンスタジアムでの一幕。楽しんでいただけると幸いです。
「お疲れ様です、ラウラさん」
出迎えてくれたヤローさんにアマージョを渡していると、ユウリたちが申し訳なさそうな表情を浮かべていることに気付く。
「どうしたんだ?」
「こっちはシーソーコンビが出て来たけど逃げられちゃった…」
「こっちはアルルカンだ。俺達を足止めするのが目的だとか言ってたからまだなにかやらかすかも…」
「ダイマックス……やはり好きになれませんね」
「ネズさんのダイマックス嫌いは相変わらずですねえ。しかしさっきのダイマックスは妙でした」
そういうヤローさんに、さっきの戦いを思い出す。そう言えば、ふみつけばかりでろくに技を使ってなかったな。
「トレーナーはいなかった。アルルカンの手持ちって訳じゃなさそうだったしな。それに、ろくに技も使わずただ暴れてくるのみだったぞ。戸惑ってる、が正しいか」
「シーソーコンビとやらの仕業で間違いないでしょうね」
「言い負かしてやりましたが相変わらずムカつく奴等でした」
「すまん…我の従兄弟が本当にすまん…」
「アマージョのトレーナーも見当たりませんし、とりあえずターフジムが責任を持って保護します。では僕はこれで。チャンピオン、何かあった時はいつでも呼んでくださいね」
そう言ってユウリに何かを渡してアマージョを連れて去って行くヤローさん。…俺達も外に出るか。何故かネズさんも着いてきた。アイツらに思うところでもあるのかな。
「シーソーコンビは実験が成功した、次はもっと強いポケモンをダイマックスさせようと言ってました。他にもやらかすと見て間違いないでしょう」
「最終的にはザシアンとザマゼンタの本性を暴くとも言ってた」
「これからもどんどんポケモンをダイマックスさせるとも言ってたぞ」
「アレが奴らの言う計画とやらなのだろう」
「ろくでもないですね。そんなことして何の意味があるのやら」
「となると…次はまさか」
ネズさん、ユウリ、ホップ、モコウ、ムツキの言葉から、次の事件が起こる場所が何となくわかった時、ちょうどいいタイミングでソニアさんがやってきた。
「あっ、いたいた!みんな、それにネズさん!大変だよ!ターフスタジアムのガラル粒子反応が治まったかと思ったら…今度は各地のジムスタジアムで膨大なガラル粒子が観測されたの!」
「他のスタジアムでダイマックスポケモンが暴れているですと?マリィが心配です…!」
「あ、スパイクタウンは大丈夫っぽいです。バウスタジアムにエンジンスタジアム、ラテラルスタジアムにアラベスクスタジアム、キルクススタジアムにナックルスタジアムで反応が」
つまり、こことスパイクタウン以外のジムが全部か。シーソーコンビだけの仕業じゃないな、もっとたくさん仲間がいるのか。しかし六ヶ所か。…俺、ユウリ、ホップ、モコウ、ムツキ、ネズさん…むう。
「そもそもスパイクタウンはダイマックスエリアじゃないし大丈夫じゃないか?」
「そうだね。それに何かあってもマリィは強いし」
「ユウリに言われるなら間違いないな」
「しかし六個のジムでですか…ちょうど六人いると、なるほど」
ムツキも俺と同じことを考えたのか、俺の顔を見て頷く。
「なら六人で分かれて一人ずつ各地のジムに救援に向かうのはどうだ?それなら早く済む。この面子なら実力も申し分ないだろ。俺はカブさんの救援に行く」
「そうですね。ジムリーダーが自分のジムで手いっぱいの中動けるのは俺達だけですか…いい考えじゃないですか、ラウラ。俺はバウスタジアムですかね…特に理由はありませんが」
「じゃあ私はビートが気になるからアラベスクに行くね」
「なら我はキバナの所に行くぞ。あそこはもはや顔なじみだ、放っておけん」
「では私はキルクスに。マクワに借りを返せますしね」
「じゃあ俺はラテラルに向かうぞ!」
「シーソーコンビとアルルカンのことは私に任せておいて!ネットの目撃情報で居場所特定してやるわ!」
そして俺達は己の手持ちもしくはそらとぶタクシーで各地に飛び立った。
頭のユキハミが落ちないように急ぎながらエンジンスタジアムに辿り着くと、ちょうどカブさんが観客やスタッフを避難させていたところだった。
「カブさん!」
「ラウラか!ここは危ないぞ。どうしてここに?」
「手伝いに来たんだ。ダイマックスポケモンが暴れてるんだろ?」
「ああそうさ。ジムスタジアムが大変なんだ。敵は強くてね、1人で相手するには難儀していたんだ。君ほどの実力者が力を貸してくれるなら頼もしさが燃え上がるよ」
「俺は単なる蟲使いですから…チャンピオンになれませんでしたし」
「なあに。次があるさ。諦めなければ人間、何度でもどこまでも上に上がれるものさ、炎みたいにね。この僕が保証しよう。では、行こうか」
2人でバトルコート内に入ると、とんでもない熱気が押し寄せてきた。これは日照り…と、炎上している…!?
「敵はコータスだ。僕のポケモン達でも奴の炎の強さに押されてしまう」
「なるほど。なら、お前の出番だな。オニシズクモ、ダイマックスだ!」
前回の戦いで学んだ。このタイプには、初手からダイマックスが効果的だと。
「ダイストリームで天気を雨に変えるんだ!」
放たれた激流が雨雲となって雨を降らし、コータスの放つ炎で炎上していたフィールドを鎮火させた。これなら自由に戦える!すると手足を引っ込めてこうそくスピンするコータス。さらにこうそくスピンしながらかえんほうしゃとふんえんを放ち、雨の下だというのに爆炎が辺り一帯に広がって火の海を作り、避けに徹する俺達。オニシズクモはダイレクトに炎を喰らっているが問題はなさそうだ。
「厄介な…」
「僕が動きを止める!エンニュート!りゅうのはどうだ!」
「オニシズクモ、コータスを抑え込んで零距離からダイストリームだ!」
カブさんのエンニュートのりゅうのはどうが回転を遅めて、オニシズクモが組み付いて動きを止めた所に零距離から水流を叩き込み、コータスは爆発して戦闘不能となって俺とカブさんは自然にハイタッチした。
「どうにか事態の火消しができたようだ。暴れていたコータスはエンジンスタジアムでしばらく休ませてあげるよ」
「トレーナーが見つからなかったらカブさんの手持ちにしてやってください。アイツ、根性あったんで」
「うん、僕もそう思った。いい眼を持っているね、ラウラ。僕としてはぜひとも君をうちのジムトレーナーに迎えたいんだが…どうだろう?」
その言葉に、胸が高鳴った。憧れのカブさんの元で、戦える…?
「…俺、マルヤクデしかほのおポケモン持ってませんけど」
「ジムトレーナーにはジム戦用のポケモンがレンタルされるからそこは気にしなくていいさ。経験を積めば君はジムリーダーにもなれる素質があるんだ。もちろん、今でも君はチャンピオンの座が似合うと思っているけどね」
「…いいんですか?そのうち、むしタイプのジムリーダーとして独立して貴方をマイナーリーグに蹴落とすことになるかもですよ?」
「その時はその時さ。それに見くびってもらっちゃ困る。これでもマイナーリーグに一度落ちてから這い上がって来たんだ。そう簡単に負けないさ。…どうかな?」
そんな笑顔で、そんな風に言われたら、断れるわけないじゃないか。
「…………俺でよければ、喜んで」
「僕も嬉しいよ。…そうだ、君はまだやるべきことが残っているんだろう?ならばそれを成し遂げて、ここに来るんだ。僕は何時でも待っている」
「はい!」
「若者よ行け!健闘を祈る!」
カブさんのエールを背に受け、俺はエンジンスタジアムを飛び出した。目指すはソニアさんの研究所だ。みんなも戻ってるはずだ、急ごう。
コータスと言ったらポケスペのホムラの回転するコータスが思い出深い。
・ラウラ
憧れのカブの窮地に駆けつける主人公。エンジンジムのジムトレーナーになった。
・ネズ
ジムリーダーをやめたため手伝うことに。シーソーコンビに髪型と白黒コーデを馬鹿にされた。特に理由はないけどバウスタジアムの救援に。
・ユウリ
アラベスクスタジアムに救援に向かったところ、既に解決していたビートと対決。ムゲンダイナでフェアリータイプをボコボコにした。
・モコウ
顔なじみになってるナックルスタジアムに救援に向かい、パッチラゴンとパッチルドンで無双した。
・ムツキ
苦汁を飲まされたキルクススタジアムに救援に。もはやいわタイプなど敵ではないと言わんばかりにルチャブルとアーマーガアで無双した。
・ホップ
ラテラルジムに救援に。バイウール―でかくとうタイプを倒す快挙を果たす。
・ソニア&ヤロー
原作通り。
・カブ
本気メンバーで挑んだが妙に強化されたコータスに手古摺っていたところにやってきたラウラにジムトレーナーにならないか持ちかける。チャンピオンになるだろうと確信していたぐらいにラウラの実力を信頼している。過去があるからこその言葉。
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