今回はVSルミ後半戦。楽しんでいただけると幸いです。
ポケモンBWのストーリーのラスボスとも言っていい存在、プラズマ団のゲーチス。その切り札でもあるサザンドラは、とある理由からポケモンファンでは有名だ。
曰く、こいつ一体だけでパーティーが壊滅した。曰く、本来存在しないレベル54のサザンドラだったためプラズマ団に改造された個体なんじゃないか。曰く、大抵のパーティーなら弱点タイプを持っていても「りゅうのはどう」「きあいだま」「なみのり」「だいもんじ」を覚えているため返り討ちにされた。曰く、直前で手に入るゼクロムレシラムの禁止級伝説ポケモンでも返り討ちにされる凄まじい強さ。曰く、続編のBW2ではいのちのたまを持った上で最大火力のやつあたりをしてくる悪夢。チャンピオンのアイリスまで先鋒として使ってくるもんだからサザンドラの名はとにかく上がった。その世代ドンピシャな俺にとってサザンドラはトラウマに等しい。当時はフェアリーなんて言うサザンドラの天敵はいなかったためとにかく苦戦したのだ。
まあ、今もフェアリータイプは持ってないが。ドラピオンで十分だと思っていたがアブリー辺りでも捕まえておくべきだろうか。
「きあいだま!」
「交代、テッカニン!つるぎのまいで防御だ」
ルミのサザンドラに対しテッカニンを繰り出し、放たれるエネルギー弾をつるぎのまいで弾き飛ばす。先述の通り、オールマイティに戦えるのがサザンドラの強みだ。その代わり大技が多い、受けるドラピオンより避けて弾けるテッカニンの方が有利のはずだ。
「だいもんじ!」
「かげぶんしんで避けてシザークロス!」
放たれる大の字の炎をくるりと回転して避けて斬撃を叩き込むテッカニン。効果は抜群だ。しかし両手?の口で刃を噛みつかれてしまい、逃げれなくなってしまう。サザンドラは三つ首のドラゴンだ。独立して動くのだという。
「そいつはなんでも噛み付く癖があってなあ!ドラゴンダイブ!」
「テッカニン!?」
そのまま地面に叩きつけられた上で体当たりを押し付けられ、テッカニンは戦闘不能になってしまった。もう一度ドラピオンを繰り出し、考える。つるぎのまいシザークロスのダメージが入ってるし、とにかくこおりのきばを当てれば勝ちか。
「近づかせるなきあいだま!」
「こおりのきばで防御だ!」
「無駄だだいもんじ!」
「つじぎりで相殺しろ!」
技の応酬が繰り広げられる。後手に回っている上に距離を取られているこちらが不利か。なら近づけるまでだ。
「追い込むようにミサイルばり!」
「逃げきれサザンドラ!」
六つの光弾がサザンドラを狙って放たれ、高速で空を舞い逃れるサザンドラ。迎撃しないってことはあくのはどうは持ってなさそうだ。わざ構成はBW1と2のゲーチスのサザンドラをミックスさせた感じだ。おそらく物理よりの、だいもんじときあいだまをサブウェポンにした両刀の型か。ということは残りの技はおそらくかみくだく…こおりのきばを警戒して使えない感じだな。だがな、こっちにも奥の手はあるんだよ。
「クロスポイズン!」
「なんのつもりだ…!?」
ムゲンダイナ戦で嫌というほど味わった、飛ぶ斬撃のクロスポイズン。ドラピオンは悔しかったのか、それを短距離とはいえマスターしていた。ミサイルばりで射線上に誘導されたサザンドラはまともに喰らい、体勢が崩れる。今だ!
「こおりのきば!」
一撃。捕らえさえすれば効果抜群ならば一撃で仕留めるドラピオンのこおりのきばが炸裂。凍り付いたサザンドラが崩れ落ちる。強敵だったな。最後の一匹なのか、震える手でボールを構えるルミ。
「…なあ、納得したか?俺とムツキは、全力で戦ってあの結果になったんだ」
「うるさい!ムツキ選手は最強なんだ。あんな、セミファイナルトーナメントの初戦で負けるなんて何かの間違いなんだよ!」
ジャラランガを繰り出し絶叫するルミ。肩で息をしながら、ルミは語る。
「私はな…ドラゴン以外を使いながらドラゴン使いを騙るキバナが許せなくて、大好きなドラゴンポケモンでぶちのめすためにジムチャレンジに参加したんだ。チャンピオンとかはどうでもよかった。ドラゴンポケモンの強さで三つのジムを乗り越えた先で、ムツキ選手と出会った。勝負を挑んで、負けるはずないと豪語していたのに…負けた。ワシボンの圧倒的な強さで!」
聞けばウォーグルの進化前であるワシボンで自分のポケモンを4タテされたのだという。最強だと自負していたドラゴンポケモンをあっさりと一匹で倒されて、ムツキの強さを痛感したのだと。
「お前みたいな小手先を使うような強さじゃないんだ。理由がいらない、圧倒的な強さ!しかもあれで練度上げの途中なのだと言う!わかるか?フェアリーでもないのに、ワシボン一匹で自慢のドラゴンポケモン達を倒された時の絶望を!」
「…わかるさ。俺も負けた口だ」
交代して来なきゃ一匹に倒されていただろうし、アイツの凄さはよく知っている。言うなれば努力の天才だ。地道なレベル上げが得意な奴を俺はムツキ以外に知らん。だが俺の言葉が聞こえなかったのか、ヒートアップするルミ。
「私は己が強いのだと自負していたが、ドラゴンの在るべき姿を彼女に見た!彼女に倣って練度を上げる修行をしてみたが中々上がらない!倣えば倣うほど力量の差を思い知る!これであそこまで強いムツキ選手はすごい、あの人は最強なのだと確信した。チャンピオンになれるのはああいう人間なのだと。それをお前が卑怯で反則なデンチュラやそのドラピオンで崩した。私はそれを絶対に許さない。蟲なんかにあの人が負けた事実を、お前ごと消し去ってやる」
こいつ…支離滅裂すぎる。自分の物差しの強さしか測れていない。都合の悪いことは見て見ないふりをするタイプの人間だ。おそらく、ユウリやダンデのことも見ないでムツキより弱いと吐き捨てているのだろう。正直哀れだが、聞き捨てならないことを言ったな?許さんぞ。
「キョダイデンチュラがいなかったら確かに負けていた。だがな、訂正しろよ。俺の蟲たちは卑怯でも反則でもねえ!生まれ持った力だ!蟲なんかだと?その蟲に負けたのはお前の憧れたムツキなんだよ!」
「黙れ黙れ黙れ!まずは目障りな蟲を叩き潰して、それからお前だ!ソウルビート!」
「地面にこおりのきば!」
「スケイルノイズ!」
大地に突き立てられ、ジャラランガを拘束せんと迫る氷結が、音の衝撃波で破壊されドラピオンも吹き飛ばされ戦闘不能になってしまう。あのソウルビートという技、恐らくは自分の体力を削って能力を上げる技か。なんて威力だ。だが、それならその技を利用する。
「頼むぞ、オニシズクモ」
「知っているぞ!オニシズクモにジャラランガを倒せる技はないとなあ!」
「…それはどうかな?」
「スケイルノイズだ!」
再び放たれる衝撃波に、ルミは勝ち誇った笑みを浮かべる。ジャラランガを倒せなかったとき、俺はオニシズクモを温存すると心に決めていた。何故ならあの技はムゲンダイナ戦でしか披露してないのだから。逆転の一手を、解き放つ。
「ミラーコート!」
「なに!?」
衝撃波を受けた鏡の盾が、光線としてジャラランガに跳ね返す。絶大な威力が仇になったな。
「俺の勝ちだ」
「…そんな…ラウラが、本当に強いはずが……ムツキ選手が、ラウラに本当に負けたなんて、そんな…」
「私は、ラウラに敗北しましたよ」
戦意喪失し狼狽えるルミ。そこに空からやってきたのは、ムツキだった。血塗れの俺とボロボロの周囲を見て何があったのか察したのか溜め息を吐くムツキはルミに向き直る。
「あ、シーソーコンビならユウリ達が追いかけて行きましたのでご安心を。それで、なんで貴方達が戦っていたのかは知りませんが、私のためにしたのだと言うのなら大きなお世話です」
「ムツキ、選手……こんな蟲使いにやられたなんて、認めていいのか?貴方は最強だろう?」
「そもそも私、最強は目指していませんし。それにラウラには何時か自分の力でリベンジします。私自身の力でです。そのために、力を貸してくれませんか?」
そう言って項垂れるルミに手を差し伸べるムツキ。…ネットでは空の大天使と呼ばれていたが、確かにその名にふさわしいな。
「私…は…貴女の覇道を見ていられればそれで…」
「ならなおさらです。ラウラを追い詰める程の実力者なんて、修行相手に持ってこいじゃないですか。キバナのところでジムトレーナーやるより経験たまりそうです」
「…天使って、貴女のことを言うんだな」
「はえ!?」
褒められて動揺するムツキ。憧れのトレーナーに求めてもらって気分が高揚しているルミ。それを呑気に見守る俺。だからこそか、何かに気付いたオニシズクモの警戒の声に気付くのが、遅れてしまった。
「サイケこうせん」
「……ごふっ」
ルミが、腹部に強烈な光線に撃ち抜かれて背中から吹き飛ばされた。慌てて俺とムツキで周囲を見渡すと、木の上に奴がいた。側にはオーベムを侍らせている。
「あーあ、ルミちゃんならラウラをボッコボコにしてくれると思っていたのにさ。負けた上に満足げな顔ってどういうことだよ。でもその苦しみ悶える顔で溜飲は下がったからこれぐらいで許してあげる」
「アルル、カン…貴様…!」
「そういう契約だったじゃん?君は僕に面白い光景を見せる。僕は君にラウラをぶちのめす機会を与える。なのに契約を破ってもらっちゃ困るよ。まあいいや、極上のものを見れる時がもうすぐ来るからね」
「バブルこうせん!」
「おっと危ない。じゃあ間に合えばまた会おうね。テレポート」
俺の指示したオニシズクモのバブルこうせんを飛び降りて避けながらテレポートで姿を消したアルルカンに拳を握りしめる。…あいつ、仲間さえ自分の駒か。ってことはシーソーコンビも…?
「ムツキ、ルミを病院に連れて行け。それで、シーソーコンビの向かった場所ってのは…」
「ムゲンダイナが暴れたあそこです。私のアーマーガアを貸しますので急いで行ってください。送り届けたら私の元に戻ってくるよう躾けているので心配しないでOKです」
「わかった。ルミを頼んだぞ」
ムツキにルミを任して、ムツキの色違いアーマーガアの背に乗って飛び立つ。間に合ってくれよ…!
ルミはめんどくさい系大ファン。アルルカンはマジ外道。
・ラウラ
サザンドラの脅威に悩まされながらも、蟲なら有利やと思い出した主人公。当時はだいもんじやいわなだれでボコボコにされたトラウマがある。
・ルミ
練度上げればドラゴンでもフェアリーに勝てると根性論を地で行くドラゴン使い。つまり馬鹿。ムツキの前だと大人しくなる。手持ちを揃えると「九頭竜」になる。
・ムツキ
ソニアの研究所に駆けつけてみればなんかバトルを繰り広げていた光景が見えた上にルミの姿が見えたのでユウリ達に先に行かせて様子を見に来た。自分の力でラウラに勝つのが目標。
・アルルカン
見たいものの為ならどこまでも残酷になれるエセ紳士。人の心がない外道。オーベムを使って移動する。
・サザンドラ♂
とくせい:ふゆう
わざ:ドラゴンダイブ
かみくだく
だいもんじ
きあいだま
もちもの:なし
備考:おとなしい性格。打たれ強い。ルミの初期メンバー。モノズの頃から大事に育ててくれたルミに懐いており命令を厳守する。
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