今回はダイキノコ収穫後の一幕。楽しんでいただけると幸いです。
あれからさらに二つダイキノコを集めてマスター道場に戻っていると、途中でユウリとモコウと合流。なんでも、ユウリがクララさんと戦って圧勝したらしい。フシギソウで。…もう進化させてるのはいいとして、どくタイプ使い相手にフシギソウって、ええ…。ちなみにモコウも戦って危なげなく勝ったそうだ。これで三人とも勝ち越しってことになるな。
「ユウリ」
「うん、なに?」
「お前、何度俺を驚かせれば気が済むんだ?」
「ええ!?」
「だよな、我おかしくないよな…」
側にコリンクを連れたモコウが遠い目でカメールを抱えていた。お前は何も間違ってない、うん。二人ともそれぞれダイキノコを三つ見つけたようだ。これでお題はクリアか。
「ちょっとミツバさんに聞いてみるね」
そう言ってスマホロトムを取り出すユウリ。…お前、コミュ力強いな、とモコウと二人して戦慄した。元引き籠もりにコミュ力を求めるな。そういえばモコウは箱入り娘だったな。仲間よ…!え、厳密には仲間違う?そんなー。
「えっと…他の人にも聞いたらしいけど私たち三人が一番乗りだって。あとラウラとモコウ、二人ともミツバさんに連絡先言わないで来たでしょ。困ってたよ」
「「申し訳ない…」」
いやほんと、まことに申し訳ない。
マスター道場に戻ると、クララさん以外の門下生が集まり落ち込んでる中でマスタード師が何やら話していたところで、俺達に気付くと笑顔で出迎えてくれた。
「ユウリちん!ラウラちん!モコウちん!いぇーい!おっかえりー!ダイキノコゲットおめでとん!2つ目の修行、クリアだよん!」
「修行だったんですかねこれ…」
「細かいことは気にしない!他の門下生はみんな森で迷っちゃってダイキノコ見つけるどころじゃなかったみたいだねー。三人以外の皆は残念だけど不合格かも……」
俺達よりもこの島にいるのに変な話である。ワイルドエリアに比べたら迷う要素ないと思うんだがなあ。そういえばクララさんがまだなのか。
「さてとりあえず腹ごしらえ!ダイキノコでダイスープ!作ってもらおうよん!」
そう言って台所に向かうマスタード師を追うと、ちょうどミツバさんがナベを作っていたところだった。うん、いい匂いだ。ユウリの家だとカレー三昧だったから久しい別の料理にちょっと涙が出そうだ。おいユウリ、レトルトカレーを取り出すな。やめろ。お前のカレー狂は相変わらずだな。
「…うん!味付けはカンペキ!あとは三人が持ち帰ったダイキノコを水で洗って入れるだけね!」
「ハァハァ……おかみさん!待ってェ…!」
「クララちゃん!どうしたんだいそんなに息切らして!」
そこに現れたのはクララさん。その手にはダイキノコが三つ握られていた。
「う、うち……私もダイキノコ手に入れたよ!」
「おぉー!さっすがクララちん!よく頑張ったねー。2つ目の修行四人目のクリアだよん!」
その言葉を聞いて号泣するクララさん。根は努力家なんだろうな。
「師匠…おかみさん。初めてワガママ言わせて。そのダイスープには私のダイキノコを使って!私の頑張りを皆に味わってほしいの!」
「クララちゃん…ふっ、そんなのお安い御用さ!いいよね、三人とも。こんなに真剣なの珍しくてさ」
「もちろんです!」
「まあ、はい」
「いいぞ。先輩の頑張りとやらを味わおうじゃないか」
モジャンボを相手したり結構苦労したが、まあいいだろう。断る理由もないしな。
「…でもあんたがワガママ言うのは全然初めてじゃないよ?」
「おかみさん…!」
「三人とも、余ったダイキノコは自由に使っていいからね」
キョダイマックスさせるダイキノコ、か。そういえばユウリのインテレオンもキョダイマックスする種族だったな。おあつらえ向きじゃないか?俺は普通に食材として使うがな。
「はい、おまちどうさま!マスター道場名物、ダイスープだよ!」
「ワシちゃん腹ペコ!いただきまーす!」
「「「「「いただきます!」」」」」
そしてできたのは、マゼンタ色の小さな雲が蓋の上に漂う大きな鍋。ちょっとムゲンダイナの事件を思い出した。マスタード師の言葉に合わせて門下生全員で両手を合わせて声を合わせる。…俺の死んだ当時のご時世じゃだいぶ珍しい光景だな。他人がこんなにも多く同じ鍋を囲うとは。マスタード師の説明によると、人間が飲んでも特段何も起きないが、特定のポケモンが飲むことでキョダイマックスできるようになるらしい。なるほどなあ。美味い。
「それでは改めて!みんな2つ目の修行おつかれちゃん!アーンド…ごちそうさまでしたー!」
「「「「「ごちそうさまでしたー!」」」」」
「あ、2つ目の修行をクリアした四人は話があるからあとでワシちゃんの部屋にカモンね!」
まあ、なんだ。皆での食事は楽しかった。いい体験ができたな。マスタード師に呼ばれたので四人してマスタード師の部屋に向かう。心なしかクララさんも憑き物が落ちたっぽい顔になっていた。
「ユウリちん、ラウラちん、モコウちん、クララちん、集まってくれてありがちょー」
「師匠!話って一体なんですかァ?」
「うん、それねー。チミたち四人には…マスター道場3つの修行の3つ目…ファイナルラストアルティメットザ・サードを受けてもらうよん!」
「ファイナル?」
「ラスト?アルティメット?」
「ザ・サード?」
よくわからんがなんかすごいのだけは伝わった。
「ファイナルラストアルティメットザ・サードですってェ!?」
「知ってるんですかクララさん?」
「…えーと、つまり最後の修行ってことォ?」
「あ、うんそうね…」
クララさんもわからなかったらしい。マスタード師もちょっと残念そうだ。
「第2の修行をクリアできたのはチミたちだけ!今まで互いに切磋琢磨してきたチミたち四人は…勝ち抜き!ダイマックスポケモン勝負で雌雄を決するべし!」
「私達が戦う!?それが最後の修行!?」
「うむん!ルールはシンプル!ワシちゃんがくじ引きで組み合わせを決めておいたから、4VS4のシングルバトルで二回勝ち抜いた子が合格ね!合格者にはマスター道場ひでんのヨロイを授けるよん!」
「「「なるほど」」」
つまり、セミファイナルトーナメントみたいなもんか。わかりやすくていいな。色違いのグソクムシャは必ずゲットしてやる…!そして壁に貼られた表には、俺とクララさん、ユウリとモコウの対戦カードが。…これは、早くもユウリにリベンジの機会が得られるか…?
「なぬ!?いきなりユウリか!?マジかぁ…」
「手加減はしないよモコウ!」
「ついにここまで……やっと……でも…」
「よろしくお願いしますね、クララさん」
笑いかけてみたが、なんかクララさんの様子がおかしい。これはなんかやらかす人間の目だ。チャンピオンカップの日の画面に映っていたローズさんと同じ目をしている気がする。ちょっと警戒すべきだな。
「まずはラウラちんとクララちんね!勝負の場所はマスター道場裏のバトルコート!あそこはパワースポットだから思う存分ダイマックスで……」
「こ、こうしちゃいられない!早めに現場入りして心の準備しなくっちゃ!じゃあ私先に行ってるから。君はヤドンの様にゆーっくり準備してくるといいよォー!」
「…じゃあ、お言葉に甘えて。マスタード師、バトル前に調整してもいいです?」
「もちろんいいよー。……クララちんはねーなまじセンスがあるもんだから今まで本気で物事に向き合うことが無くってねー。道場の訓練もテキトーにこなしてたのよん。でも三人が来てからあの子、変わったね!努力できる才能がやっと花開いたのかな?でも…あのやる気が悪い方向に向かわなければいいね」
「大丈夫です、何があっても全力で挑みますから!」
そう言うと、マスタード師は嬉しそうに笑った。…さてと。クララさんはどくタイプ使いだからな、切札は用意しておかないと。「ラウラと戦える!」と嬉しそうに回っているユウリと、頭を抱えているモコウに向き直る。
「フシデを進化させたい。手伝ってくれるか、二人とも」
「もちろん!」
「我はちょっとユウリに本気で勝ちたいから作戦考えるためすまん、力になれん」
「そうか…頑張れ、モコウ。お前は最速でジムチャレンジをクリアした女だろ」
「うむ、うむ!チャンピオンだろうが負けはせぬ!我は最強になるのだからな!」
モコウを元気づけて、表に出るとユウリのフシギソウとフシデを戦わせる。せめて進化手前までは経験値を稼ぎたいところだ。
「フシギソウ!しびれごな!」
「ユウリお前!これレべリングだってわかってるか!?」
「れべりんぐ?」
「あー、お前に頼った俺が馬鹿だった!」
調整だろうが全力で勝負しにくるユウリとは、二度と調整に誘わないと心に決めた。
リアルな世界でレべリングという言葉が存在するのかどうか。
・ラウラ
クララに不穏な何かを察知してフシデの調整に入る主人公。ユウリの家がカレー三昧だったこともあり、ダイスープの味は気に行った。例のウイルスが蔓延している時期に転生した。
・ユウリ
バトルジャンキーでラウラスキーでカレー狂い。モコウと戦う事よりもラウラと戦えることにしか目が行ってない。調整だろうが全力で戦うバトル馬鹿。
・モコウ
ユウリと戦うと知らされて青い顔のツッコミ役。コリンクも捕まえた。なんとか勝つためにガチで戦法を考えるけど諦め気味。最速最強になるんだよ!
・クララ
ローズ委員長の様な不穏さがある道場の先輩。死ぬ気でダイキノコを集めてきた。ラウラの強さは理解しているのでなんか企んでる模様。
・マスタード
クララを心配している師匠。三人が来てくれてよかったと思ってる。そろそろ三人の本気が見たい。
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