そんなわけで今回は野生ポケモン戦。あのキャラも再登場します。では、楽しんでいただけると幸いです。
エンジンスタジアムで憧れの男、カブさんに勝利した俺は、観客の目を気にせずオニシズクモに抱き着いた。よくやった、本当によくやった!お前を仲間にしてよかった!
「いいポケモン。いいトレーナーだ。君達は勝って当然だよ、ラウラ!」
そう笑顔で俺を称えてくれるカブさんに、自然と笑顔になり脱力する。しかしまだ終わってないことを思い出して立ち上がり、シャキッと緩んだ顔を整えるとカブさんは笑っていた。
「ジムチャレンジ初めの関門と呼ばれるこのカブに勝つとは!僕の長年の経験をラウラ、君の才能が上回ったな!僕もまだまだ学ばないとね!」
「みんなのおかげです。私は全然すごくない、だけどむしポケモンたちの可能性が、私を強くしてくれたんです」
「それもある、がその愛ゆえに虫ポケモンたちを使いこなせる才能は君の物だよラウラ。君達は間違いなく最高のチームになる!今日は戦えてよかったよ!僕に勝った証としてほのおバッジを贈ろう!」
握手して、ほのおバッジを受け取る。ああ、本当に…勝ったんだな。
「ダイマックスを使わない、と聞いてもしかして苦手なのかと思っていたがそんなことはなかったね。ダイマックスによって僕たちのポケモン勝負はガラル地方の文化となった。そして文化を担うのは君達、若いトレーナーの役目だよ」
そう言って観客席に視線を向けるカブさん。釣られて見てみると、そこには見覚えのある顔が。というか、ゴスロリ服が俺の麦わら帽子並に目立っている。先に行ってるはずのモコウが何でいるんだ…。
「もっとも、ただ守るのではなく君達でより良いものにするんだ。僕たち大人は支えるから!君達なら出来る。君達の才能は僕が保証しよう」
そう言って笑うカブさんに、心が温かくなった。この人は俺を信頼してくれているのだと。
受付フロアに戻り、記念品としておにびのわざマシンとユニフォームのほのおセットをもらっていると、そこに満面の笑みを浮かべたモコウがやってきた。
「モコウ。どうしたんだこんなところで油を売っていて」
「ラウラ!お前とバチュルたちなら大丈夫!と分かっていても、さすがにむしでほのおにどう勝つのか気になってな。ラテラルジムを突破して、どうせ早朝に挑むのだろうと見に来たのだ」
「早いな。もう四つ目のジム突破か」
「我の地元だからな。ひとっとびで戻れるんだ。お前はこれからどうするんだ?」
「バッジを手に入れたらどうしても欲しいポケモンがワイルドエリアにいてな。そいつを捕獲してからナックルシティに向かうよ」
「ちょうどよかった。我もワイルドエリアに欲しいポケモンがいて捕獲しようと思ってたんだ。ついていっていいか?」
「別に面白くもなんともないと思うが…いいぞ?」
そんな会話をして共にワイルドエリアに向かっていると、ふと振り返ったモコウが「ん?」と声を上げて立ちどまる。なんなのか気になって振り向くと、そこにはカブさんが走って来ていた。
「カブさん?」
「ジムリーダーなのに見送りか?」
「はっはっは。モコウ、君はあまりにも速すぎてできなかったのでね。話を聞いたところサイトウまで撃破しているようだが、ラウラと一緒に見送らせてくれ。ジムバッジを三個も集められずにジムチャレンジを挫折したトレーナーは数多くいる…だから僕に勝ったものはみんな見送ることにしているんだよ」
「そうだったのか、それはすまないことをした。なにぶん、最速最強を自負していてだな」
モコウが踏ん反り返っていると、そこにルリナさんとヤローさんがやってくる。息も絶え絶えなところを見ると、急いでやって来たらしい。
「ふう、間に合った…そらとぶタクシーさまさまだよ。今度は間に合ったようね。ラウラにモコウ、おめでとう!カブさんに勝つなんて凄いよ!」
「カブさんからジムバッジをもらえるジムチャレンジャーは本当に少ないんだ。だから応援の意味でみんなで見送りをするんだな。今現在、君たち二人だけがカブさんを突破している、誇るべきことだよ」
そうなのか、一番はモコウだろうとは思ってたけど、俺は二番乗りなのか。さすが登竜門と呼ばれるだけはあるな、カブさん。
「ということで君達に声援を贈ろう!いけいけ!モコウ!やれやれ!ラウラ!…君達を待ち構えるジムリーダーはツワモノぞろいだ。だが君達なら勝ちぬける!ポケモンを信じて突き進め!」
「ふむ、礼を言うぞカブ殿たち!我ら二人で決勝戦をするためガンガン勝ち続けてみせよう!」
「俺達が最後に残るって決まったわけじゃないけどな。…まあ、期待に応えられるよう、頑張ります」
そう言って、俺達はワイルドエリアに旅立つのだった。
それから数日。モコウとは目的地が違ったため既にちょっと前に別れて、俺はワイルドエリア北への入り口の橋付近で立ち往生していた。目的のポケモンが強すぎたためである。
「バチュル、エレキネット!テッカニン、れんぞくぎり!オニシズクモ、バブルこうせん!ヤクデ、ひのこ!」
手持ち総動員で立ち向かう。ゲームではできない強力な戦法だが、その分全てのポケモンに気を配らないといけないため、かなりの重労働だ。そうでもしないと勝てないポケモンだった。
「野生のドラピオン…ここまで強いとはな。三日三晩戦ってるっていうのに全然応えてない」
ドラピオン。ばけさそりポケモン。タイプはどく・あくとむしタイプではないが、立派な蟲ポケモンの一体だ。タンクになる高火力の蟲ポケモンを思い浮かべた時、ワイルドエリアでたびたび見かけたこのポケモンを思い出したのだ。どく・あくタイプは弱点がじめんタイプだけと少ない。何より防御力が高くタフだ。何せうちのポケモン総動員して、こっちはきずぐすりなどを何度も使ってるのに、奴は回復なしで三日三晩耐えているのだ。今日は一度撤退してボールもありったけ買って来た。今日こそゲットしてやる。
「テッカニン、バチュルを掴んでかげぶんしん!バチュルはいとをはくだ!」
作戦を変える。ひんしにするのではなく、身動きを封じる。四方八方から糸で雁字搦めにされ、嫌がり拘束を解こうと暴れるドラピオン。
「オニシズクモ、背後からとびかかる!」
さらに追撃を指示し、オニシズクモが背中に飛び乗るも、尻尾で迎撃されてしまう。ならばと俺は、新入りに指示を出した。
「ヤクデ!奴の腕にまきついてひのこだ!」
言われるなり、小柄な体を目いっぱい飛び跳ねさせてドラピオンの振り回す腕に巻きつき、零距離で火の粉を放つヤクデ。まだ小さいから戦力外だと思っていたがそんなことはなく、かなり動けるポテンシャルの持ち主だった。カブさんに感謝しかない。
「っ!」
すると不思議なことが起こった。ヤクデが光り輝き、ドラピオンとタメを張れる大きさになったのだ。カブさんの相棒でもあるマルヤクデだ。この戦いで相当経験値を稼いだらしい。
「マルヤクデ!まきつく攻撃!」
その巨体でグルグルとドラピオンの全身を這い回るマルヤクデ。ただ巻きつくだけではない、ひのこがほのおのうずに変わり、バチュル達が離れた所を炎で閉じ込めてしまった。ああ、何度俺を魅了すれば気がすむんだお前たちは!
「今は夜、ならこいつだ…ダークボール!」
そして投擲。いつもはネットボールを使うのだが、むしタイプではないのでそれ相応の物を用意した。ドラピオンはボールにすんなり入り、諦めたのかカチッと音を立ててボールの揺れが静まる。三日三晩をかけた激闘を制し、俺はそのまま草むらに倒れて熟睡するのだった。
むし統一と言ったな。あれは嘘だ。正確には蟲統一だ。
・ラウラ
また三日三晩戦い続けるとかいう人間離れしていることをやってる二番手の女。ポケモンなんじゃないかなってぐらい体力あるが、虫が絡んだ時限定。ドラピオン以外はネットボールで捕獲している。ちなみに今更だが背番号はそのまま
・モコウ
一日だけでほのおジムとかくとうジムをクリアした最速の女。ナックルシティ入口のリーグスタッフにジムバッジを見せた後ラテラルタウンにそらとぶタクシーで帰還し、その帰りにエンジンシティに舞い戻った。ライバルの動向が気になるお年頃。我は友人が欲しかったのだ…(どっかの巨神風)
・マルヤクデ♀
とくせい:しろいけむり
わざ:ほのおのうず
えんまく
まきつく
おにび
もちもの:もくたん
備考:うっかりやな性格。暴れることが好き。ドラピオンとの戦いで急成長。わざマシンでおにびを覚えてドラピオン戦で貢献していた。まきついてからのほのおのうずが凶悪。特殊な個体。図鑑で見るとボールと名前の間に変なマークがついてる。
・ドラピオン♀
とくせい:カブトアーマー
わざ:クロスポイズン
ミサイルばり
つじぎり
こおりのきば
もちもの:くろいヘドロ
備考:れいせいな性格。我慢強い。くろいヘドロで異様にしぶとかったエンジンリバーサイドの主の様なポケモン。人間嫌いだが、三日三晩己の相手をしたラウラに心を許し始めた。あまり言うことを聞かないためもっとバッジを集めよう。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。