今回はVS蟲使い兄妹。楽しんでいただけると幸いです。
初めて出会った、俺以外の蟲使いを名乗る兄妹とのダブルバトル。口ぶりからして俺がこの雪原に来るのを待っていたらしい二人。兄の方はやる気十分、妹のダフネは嫌々だが侮れないものを感じる。
「であいがしらだ!」
「でんじは!」
「ビークイン、ぼうぎょしれい!モスノウ、ふぶきだ!」
このビークインはぬしを務めていたこともあり、特別だ。一週間の間に色々試して見た所、ダブルバトルでは全ての技を二体同時に行使できることに気付いた。簡単に言うとエアスラッシュをエアカッターの上位互換にできる訳だ。それだけでなく二体分のダメージを片方に集中することもできる。グソクムシャの強烈な一撃とでんじはを同時に防ぎ、一方的にふぶきを叩き込む。天気があられだから必中のふぶきだ、痛かろう。
「ビークイン、グソクムシャにエアスラッシュ!モスノウはデンヂムシにれいとうビーム!」
「グソクムシャ、避けろ!」
「デンヂムシ、ねばねばネット!」
ふぶきに続けて繰り出した、必殺とも言える一撃はしかし。なんとグソクムシャはふぶきで認識できてなかったはずのエアスラッシュを察知したように横に回避、デンヂムシも糸の網を展開してれいとうビームを防いでしまった。なんだ今のは!?
「とくせい、ききかいひ。俺のグソクムシャは俺と共に鍛え、デメリットともいえる特性をきけんよちと同等のものに仕上げている!自分の体力が半分以上削られる一撃ならば察知できる!」
「貴女のモスノウは伝説ポケモンを倒すほどのれいとうビームが凶悪ですが、盾を用意すれば恐るるに足りません」
そう腕組みしてしてやったりと笑みを浮かべるローレルと、おどおどとしながらもこちらを見つめるダフネ。なるほどな、この攻防でわかった。努力でデメリットを己の武器にした兄と、才能で対策を立てる妹。この二人、強い…!
「しかし、そのビークインは掲示板で語られていたすごく強いビークインか、なるほど強いな!」
「兄さん。まずはビークインから落とさないと」
「わかっているさ、ダフネ!何か策はあるか!」
「では例の奴です、兄さん!デンヂムシ、いとをはく!」
「そうか!ではいくぞ、振り回せグソクムシャ!」
「ほうでん!」
「なっ!?」
デンヂムシが糸をグソクムシャの腕に巻き付けたかと思えば、デンヂムシが宙に浮いた。否、振り回されてまるでチェーンアレイの様だ。さらに電気を放出し、電撃が何度も何度もビークインとモスノウに襲いかかる。振り回されながら放電することでグソクムシャに当たらないようにしているのか。
「なるほど、な!モスノウ、グソクムシャにれいとうビーム!ビークインはそのままぼうぎょしれいで防ぐんだ!」
「防げますか?!ねばねばネット!」
「アクアブレイクだ!」
何とか対処しようと試みるも、れいとうビームはアクアブレイクの水飛沫を盾にして防がれ、さらにしもべたちも、振り回されながらばら撒かれたねばねばネットで地面に張り付けられてしまいビークインはもろに攻撃を受けてしまう。
「俺達のコンビネーション、どうだ!これならばラウラ!お前であろうと勝てるぞ!」
「兄さん、油断しないでください。ラウラさんと言えば奇策の名手。なにをしてくるかわかりません」
「そうだな、ダフネ!油断せずにいくぞ!ミサイルばりだ!」
振り回されるデンヂムシ、の合間から放たれる複数の光弾がビークインとモスノウに降り注ぐ。しかしこちらには防御に長けたビークインがいるのだ。
「ビークイン、パワージェム!そしてエアスラッシュだ!」
発射前のパワージェムを壁にして防ぎ、続けてねばねばネットで拘束されているしもべたちを風の刃で解放する。未だに飛ばしてくるねばねばネットだが、所詮は糸だ。風に弱い。
「モスノウ、ふぶきでねばねばネットを吹き飛ばせ!ビークイン、こうげきしれい!グソクムシャを取り囲め!」
「ならば、兄さん!スパーク!」
「渾身の力で振り下ろせグソクムシャ!」
さらに糸を長くして、天高く舞い上がるデンヂムシの体が電気に包まれ、まるで落雷の如く急速落下。同時に、こうげきしれいによる円陣が一斉にグソクムシャに襲いかかり四方八方から貫いたが、同時にビークインは渾身の一撃を受けてダウンしてしまった。グソクムシャは未だに健在で、デンヂムシをグルグル振り回してこちらの隙を窺っている。厄介だな本当に…!
「…雪原、か。ならこうだ。モスノウ、ちょうのまい。…そしてふぶきだ」
瞬間、モスノウの姿が掻き消えた。ラランテスのはなふぶきやウルガモスの太陽もそうだが、自分の色や特性を利用した擬態は蟲としては基本中の基本もいいところだ。上手く活用していかないとな!
「なに!?」
「消えた、いや周りの景色を利用した擬態…!?兄さん、周囲に警戒して!」
やっぱり警戒すべきは妹の方だな。こちらの策をすぐ看破してきた。だが甘いな。もう既に攻撃は放たれている。あられの勢いが強くなる中、チェーンアレイ攻撃をやめて背中合わせに辺りを警戒するグソクムシャとデンヂムシ。その体が、徐々に凍り付いて行き異変に気付く兄妹。
「これは…!?」
「まさか、ふぶき?」
「ご明察。あられに乗せて気付かれないようにふぶきを打たせてもらった。全力でふぶきだモスノウ!」
吹雪が吹き荒れ、何も見えなくなる。しかしモスノウは別だ。その複眼は、吹雪の中だろうと正確に敵の居場所を捉える。
「グソクムシャにれいとうビーム!」
「グソクムシャ、避けろ!」
「そいつは無理な相談だ」
凍った足でどう避ける?直撃をもらったグソクムシャが凍り付き、氷像となって倒れる音と共に吹雪が止み、姿を現すモスノウ。デンヂムシの足元は凍り付き、動けそうにないが、ダフネはまだ諦めていない。
「ほうでん!」
「ちょうのまいで避けてかられいとうビームだ!」
ひらりひらりと、蝶の如く優雅に舞うモスノウ。ムシブギョーって漫画で知ったが、蝶って言うのは外敵の多い日中を生き抜くため、決して真っ直ぐに飛ばず不規則に飛ぶことで身を守る生態があるらしい。モスノウは本来真っ直ぐにしか飛べない蛾だが、ポケモンとは不思議な生き物。技で蝶を再現することは可能。そして、ちょうのまいとは、狙って当てれるものじゃない。
「
ほうでんの合間を刺すようなれいとうビームが炸裂、デンヂムシは崩れ落ちた。信じられないとでも言うような顔でグソクムシャをボールに戻すローレルと、分かっていましたと言わんばかりに溜め息を吐きながらデンヂムシをボールに戻すダフネ。何から何まで対照的な兄妹だ。
「馬鹿な…俺達が、ダブルバトルで負けた…だと」
「兄さん…やっぱり、ラウラさんは強いです。同じ分野の蟲ポケモンで勝つのは無謀すぎる」
「だが、俺は蟲以外を使うことはない!わかっているだろう、ダフネ」
「…そうですね、兄さん。………蟲以外を使えば簡単に勝てるのにな」
「いい勝負だった。負けるかと思ったぞ。いいグソクムシャとデンヂムシだった」
そう言って近づくと、ローレルが手を差し出してきたのでガッシリと握手する。気持ちのいい相手だ。
「ああ、いい勝負だった!俺達はまだカンムリ雪原で武者修行するから、また会ったらバトルしてくれ!今度は他のメンバーも紹介しよう!」
「ああ、楽しみだ!蟲ポケモンを好きな人間に悪い奴はいないな!そうだ、俺の他の蟲ポケモンも見せてやるよ、みんな出てこい」
デンチュラ、モスノウ、ドラピオン、ハッサム、ウルガモス、そしてビークイン。これが今回連れてきたメンバーだ。すると分かりやすく目を輝かせるローレルと、ビクッと肩を震わせて遠ざかるダフネ。しかしデンチュラ達はわかりやすくダフネに興味を持ち、近づいて行く。
「こ、こ、こっちに来ないで~!」
絶叫しながら逃げるダフネと、それを追いかけるデンチュラ達に、ローレルと二人して止めるべきかどうか悩む。デンチュラ達なら危害も加えないし、なによりダフネも好きになるかもだしな!
「…いや、止めろよ…」
いつの間にかやってきていたモコウに呆れられた。解せぬ。
ムシブギョーはいいぞ。蟲好きは読むべき。
・ラウラ
擬態、ちょうのまいなど蟲ならではの戦法で同じ蟲ポケモン使いを倒して見せた主人公。知識こそ力を地で行ってる。ビークインのゲームだったらチートにも程がある性能には思わず唖然とした。
・モコウ
宿が決まったのでラウラを探しに来たら女の子を追い回す蟲ポケモンを見てええ…となった。
・ローレル
蟲ポケモン至上主義な兄貴。己も鍛え、ポケモンも鍛える努力の男。作戦は大体妹に任せているぐらい信頼している。
・ダフネ
蟲嫌いだけど何故か蟲に好かれる妹。蟲ポケモンは苦手だが、戦略においては割とぶっ飛び気味というか天才を発揮する。蟲ポケモンじゃなくて他のポケモンを使いたいけど兄が許してくれない。
・グソクムシャ♂
とくせい:ききかいひ
わざ:であいがしら
アクアブレイク
てっぺき
ミサイルばり
もちもの:なし
備考:ゆうかんな性格。よく物を散らかす。ききかいひで危険予知できる。
・デンヂムシ♀
とくせい:バッテリー
わざ:スパーク
ほうでん
ねばねばネット
でんじは
もちもの:なし
備考:むじゃきな性格。とてもきちょうめん。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。