今回はラウラが手に入れたい蟲ポケモンとの戦い。楽しんでいただければ幸いです。
フェローチェに逃げられ、フリーズ村に戻ってくると、ちょうどユウリとモコウがバドレックスと会話(?)しているところだった。モコウの服がユウリと同じものに変わっているところを見ると一度着替えて来たらしい。
「またか!?てょわわわぁ~ん……うむ、では人の子よ。愛馬についてなにかわかったであるか?」
「うん、えっと…あ、ラウラ!こっちこっち!今、王様に頼まれて愛馬を探してたんだ」
「王様?」
「バドレックスって呼ぶのなんか違うかなって。それで、襲撃者はどうだった?」
呼ばれて歩み寄ると、バドレックス(モコウ)も襲撃者の正体が知りたいのか押し黙る。俺は図鑑を開いてフェローチェの画面を映しながら答えた。
「フェローチェっていう美しいポケモンだった。アローラ地方のポケモンらしいから、恐らくだがトレーナーに逃がされるかして混乱し、周りを警戒していた風に見えた。なんで襲ってきたのかは謎のままだがな。あんな綺麗なポケモンが悪気があってやったわけがないからな、保護したいのが本音だ。てか捕まえる、絶対」
「…ふーん、フェローチェねえ」
「どうしたユウリ」
「なんでもない!」
なんかユウリの様子がおかしい。怒っているようだが何かしたか俺?
「それで王様。愛馬の好物がわかったよ」
「分かったであるか!共にいたのが遥か昔で余は忘れてしまっていた…愛馬の好物があればあやつをおびき寄せられるやも!」
「その好物ってなんなんだ?」
「文献によればにんじんだってさ」
調べなくてもわかったんじゃないかそれ?しかし王様口調のモコウ、全然違和感ないな。ベストマッチって奴だ。
「ほう!にんじんであるか!たしかにあやつは何らかの作物を前にすると飛び付いて、抑えるのに骨を折ったである。今思えばそれがにんじんだったであるな!人の子よ!さすがであるぞ!」
「村長さんやピオニーさんのおかげだよ。私一人じゃ調べものできなかった」
「謙遜するでない。あとはにんじんさえあれば行方知れずの愛馬をおびき寄せること叶いし。村の人間はにんじんを育てているであろうか?種の一つでもあれば余が育むことも可能であるが…」
「にんじんの種ね。探してみるか」
「うん、王様。モコウを戻してください」
「あいわかった。人手は必要である故な。………ハッ!ううむ、未だに慣れぬな。妙な安心感に包まれているから嫌ではないが」
そう言って肩を回して伸びをするモコウ。あのポーズの中で固まるとそりゃ体も強張るわな。
「…んん?どうしたユウリ、眉間に皺が寄ってるぞ」
「なんでもないよ?」
「そうかあ?…ラウラ、お前なにかしたんじゃないか?」
「それがさっぱりわからん。フェローチェってポケモンを絶対捕まえるって宣言しただけだぞ」
「……あー」
図鑑のフェローチェの画像を見せながらそう言うと、何かを察したのか微妙な顔になるモコウ。なんなんだよ。
その後、三人で手分けしてにんじんの種を探すことになったのだが、その前に一つ提案しておかないといけない。
「ユウリ、頼みたいことがある」
「なに?ラウラ」
「なんでそんなに怒ってるのかは知らないが、捕まえてほしい蟲ポケモンがいる。チョボマキっていうんだが」
「私が捕まえるの?ラウラがじゃなくて?」
「ああ。俺がこれから捕まえてくるカブルモと交換してほしいんだ」
「交換…!?いいよ、やるやる!むしろ私以外に頼むのは許さないから!」
「お、おう。乗り気で助かるよ」
図鑑でチョボマキの生息地を見るなり全速力で駆け出していくユウリを見送ると、モコウがジト目で見て来ていた。
「なんだ?」
「…お前、交換する理由は一体なんだ?」
「そりゃあ、フェローチェを捕まえるためだ」
「………それ、ユウリには言うなよ?」
「なんでだ?」
「チャンピオンの逆鱗など誰も触れたくないからだ」
「???」
よくわからないが、モコウの言うことだ。従っておくとしよう。
「見つけた。カブルモ…!」
やってきたのはいにしえの墓地。そこで目的のカブルモを見つけた。カブトムシの様な角が特徴の小さな体のポケモンだ。カブルモは俺が狙っていることに気付いたのか、角を突き出して突進を繰り出してきた。
「うおっと。デンチュラ!いとをはく!」
横っ飛びで回避するのと同時にデンチュラを繰り出し、糸を飛ばして角に巻き付かせる。するとカブルモは全身の力を振り絞って身を捻り、デンチュラを逆に宙に持ち上げて地面に叩きつけてしまった。強い、捕まえ甲斐があるな。
「エレキネット!」
今度は電撃迸る蜘蛛の巣を飛ばすも、角で斬り裂かれてしまいカブルモに届かない。つるぎのまいか、いい技を覚えている。さらに口から毒の塊を飛ばしてくるカブルモ。デンチュラは横っ飛びで回避してほうでんを叩き込むも、それより先に角による斬撃を叩き込むカブルモ。さらに連続で斬りつけ、そのたびに威力が上がって行く。れんぞくぎりか、これ以上は不味い。
「交代、モスノウ!」
雪景色に溶け込み五度目のれんぞくぎりを回避するモスノウ。カブルモは周囲を見渡してモスノウの姿を探すも、見つかるはずがない。
「ふぶき!」
吹雪を発生させ、カブルモを凍りつかせていく。アシッドボムを周囲に飛ばして応戦するも命中することはなく、カブルモは氷像と化して戦闘不能になった。ネットボールを取り出し、氷漬けのカブルモに当てて捕獲。何とかゲットに成功する。…交代するのは、迷うがハッサムにするか。あのポケモンが入るなら役割被りそうだしな。
「…ふう。とんでもない暴れっ子だったな。ユウリの手に渡ったらもっと強くなりそうだ」
カブルモが進化したあのポケモンを使役するユウリを幻視する。案外、似合うかもしれないなあ。
フリーズ村に戻ると、呆れ顔のモコウとわくわくが抑えきれないとでも言うような顔のユウリが待っていた。その手には甲冑に隠れた小さなおちょぼ口のポケモン、チョボマキが抱えられていた。
「今戻ったぞ。どうだった?」
「お前たち二人が探さないだろうと思って我は村中でにんじんの種をゲットしておいたぞ」
さすがモコウ。俺達の中で一番真面目な性格をしているだけあるな。正直、すっかり忘れていたぞ。
「ラウララウラ!チョボマキ捕まえてきたよ!」
「おう。俺もカブルモを捕まえて来たぞ。さっそく交換してみるか」
通信交換。ガラル地方ではスマホロトムを介して行う特殊な交換方法だ。この方法でしか進化しない、いわゆる「換わる」ポケモンがいる。俺の持つハッサムとかがそうだが、どうやって進化したのか本当に謎だ。そして、カブルモとチョボマキはブラックホワイト時代からいたポケモンで、このペアで通信交換することで進化する。チョボマキは己の身を守る甲冑を脱ぎ去りすばやさを得て、カブルモがその甲冑を着込んで強靭な堅さを手に入れ強くなるのだ。
「…よろしくな、アギルダー」
交換したチョボマキが進化した、まるで覆面ヒーローや忍者の様な出で立ちのポケモン、アギルダーがぐっと握り拳を作りこちらに向けた。
「よろしく!シュバルゴ!」
交換したカブルモが進化した、重騎兵の様な姿のポケモン、シュバルゴが両手の槍を掲げてやる気十分とでも言うように咆哮を上げた。
「通信進化か、初めて見たな」
「この二匹の種族は特別なんだ。通信交換による電磁波を受けてこんな特殊な進化をするらしい」
「そうなんだ。…ローズ委員長もシュバルゴを持ってたし、使いこなしてラウラをボコボコにしてみせる!」
「単純な強さよりも必要なのは工夫の強さだ。アギルダーを使いこなして俺はお前に勝つぞ」
「…とりあえず、にんじんの種を手に入れたことを伝えに行くぞ。バドレックスのこと忘れるなよお前たち」
「「め、面目ない」」
ユウリと二人して平謝りしながら、俺達はバドレックスの元へと向かうのだった。
通信交換は我がトラウマ。剣盾は交換で進化するポケモンも野生でゲットできるから優しい。
・ラウラ
フェローチェを捕まえるためにアギルダーを欲していた主人公。あんなに強いカブルモを手放すのはちょっと惜しいなと思ってる。通信交換できなかった勢なので普通に嬉しかったりする。
・ユウリ
フェローチェに夢中なラウラに不満たらたらな原作主人公。バドレックスの頼みよりラウラとの交換を優先した。機嫌を直した通信交換がフェローチェを捕まえるためだと知ったらモコウ曰く「逆鱗に触れることになる」。
・モコウ
なんだかんだでバドレックスのことを一番考えてる人。真面目な性分が見え隠れ。そこらへんもバドレックスに気に入られている一因らしい。
・チョボマキ→アギルダー♂
とくせい:かるわざ
わざ:アシッドボム
みずしゅりけん
かげぶんしん
むしのさざめき
もちもの:なし
備考:おくびょうな性格。ちょっぴり強情。
・カブルモ→シュバルゴ♀
とくせい:だっぴ→シェルアーマー
わざ:つつく→アイアンヘッド
れんぞくぎり
つるぎのまい
アシッドボム
もちもの:なし
備考:てれやな性格。ちょっぴりみえっぱり。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。