今回はVSレイスポス。楽しんでいただければ幸いです。
その後、バドレックスににんじんの種を見せに行くとモコウがてょわわわぁ~んされ、種を埋める土壌にふさわしいところは二つあると説明され、ユウリと二人で話し合って「死者を弔いし墓標の傍らにある畑」…つまりはいにしえの墓地でにんじんを育てることになった。豊穣の王だけあってすぐ成長できるらしい。
「ここか、カブルモを捕まえた場所だな」
「
「墓場のにんじんか、なんかかっこいいな!てょわわわぁ~ん。ごほん。畑の一つに辿り着いたのであるな。この畑にはくろいにんじんが実る。曖昧な記憶ではあるがゴーストタイプの愛馬がよく食していた野菜である。では種まきを頼むである」
「アギルダー、頼む」
アギルダーを繰り出し、高速で種を植える。さすが、仕事が速い。進化した力を試したいのか積極的にしてくれた。
「カラカラカラ…うむ!小気味よい土さばきであった。余を忘れて捕まえていたと聞いた時は不敬なと思ったが、速き仕事をする良きポケモンである。よい、許す」
「そう言ってくれると助かる。俺にもやらなきゃいけないことがあるからな」
「やらなきゃいけないこと…?」
「次は余の番であるな。今こそ力を見せようぞ…!」
そう言うと奇妙な掛け声で奇妙なダンスを踊り出すバドレックス。同時にモコウも動いているのがなんか笑える。すると青いオーラを纏い始めた畑から、シュポンとくろいにんじんが一本生えてきた。
「数多の種子をまき、実らせたのはただ一つ…落ちぶれし我が力、ああなげかわしい、なげかわしい…しかしこの嘆きともまもなく別れの時!さあ人の子よ。そのくろいにんじんを力の限り引っこ抜くのである」
「了解!」
そう言って片手で引っこ抜くユウリに思わずドン引きする。お前フィジカルもあんのな…ポケモンの一撃に耐えれるぐらいタフでフィジカルもあるって、お前本当にトレーナーか?
「人の子よ。よくぞやったである。そのにんじんを用いれば我が愛馬を誘き寄せること叶いし!あとは余の力を増幅させるキズナのタヅナさえあれば容易く愛馬を乗りこなせるが…もはや人間からあれを捧げられることはないであろう」
その時だった。墓場の横を遮るように走る黒い馬の様なポケモンがいた。走り去って行くその姿を見て驚くバドレックス。あれが愛馬か?
「あやつは我が愛馬…レイスポス!?あの黒く輝く毛並み!粗暴狼藉に走る姿!出逢いし頃と微塵も変わらぬ。ああ懐かし、懐かしや…おそらくあ奴はにんじんの匂いを感じ取ったが詳しい場所まではわからぬと見た」
「おい、あの方角って確かフリーズ村じゃないか?」
「村ににんじんを奪いに行ったってこと?」
「だとすると人の子よ。フリーズ村が危うい!」
「お、おい待て!」
「ラウラ、乗って!」
そう言ってふわふわ浮かぶモコウを引き連れて急いで村に向かうバドレックスを、ユウリが繰り出して搭乗したザシアンの後ろに乗り込み追いかけ、フリーズ村に辿り着くと村は大騒ぎになっていた。畑にレイスポスが乱入していたのである。
「待て!頼むぞ、アギルダー!」
「それ以上暴れるのはさせないよ、シュバルゴ!」
にんじんがないと見るや村人達に襲いかかろうとしていたレイスポスの前に立ちはだかり、アギルダーとシュバルゴを繰り出す俺とユウリ。
「みずしゅりけん!」
「アシッドボム!」
「バクロォース!!」
牽制に放った攻撃を、軽々と避けてしまうレイスポス。するとユウリの持つくろいにんじんに気付いたのかあからさまにユウリを狙って突進してくるレイスポスと、それを真正面から受け止めて見せるシュバルゴ。
「シュバルゴ!至近距離からアシッドボム!」
「アギルダー、お前もアシッドボムだ!」
レイスポスを受け止めながら毒液の弾を吐き出すシュバルゴに合わせて毒液弾を背中から浴びせるアギルダー。レイスポスの体勢が崩れ、後退してシャドーボールを連射してきたところを追撃すべく狙う。
「むしのさざめきだ!」
「アイアンヘッド!」
シャドーボールの連射を避けながら音の衝撃波を放つアギルダーと、シャドーボールを受けながら突撃し鋼の頭部を叩きつけるシュバルゴ。対照的な二体の連携が、レイスポスを追い詰めていく。
「フス ブフルス…」
するとくろいきりを放ち、姿を隠したかと思うとシャドーボールを連射するレイスポス。不意を突かれたシャドーボールを受けたアギルダーは吹き飛ばされ、俺達に向けられたシャドーボールはシュバルゴが防いでくれた。
「レロォース!!」
「させるか、アギルダー!」
シュバルゴに守られている俺達を襲うのは難しいと考えたのか、村人の老婆を狙って襲いかかるレイスポスから老婆を抱えて回避、守ることに成功するアギルダー。さらにバドレックスがなにやら叫び、レイスポスはその場で停止すると村の外に逃げ出してしまった。
「大丈夫か婆さん?ユウリ、ここは頼んだ!行くぞアギルダー!」
老婆の無事を確認するとアギルダーの肩に手をかけ、横抱きでアギルダーに持ち上げられてレイスポスを追いかける。
「とにかく大人しくさせないとバドレックスの元に連れて行くことも出来ないな。フェローチェを捕まえる予行練習だ、奴を倒すぞアギルダー!」
レイスポスの放つシャドーボールを避けながら、とあるきのみを取り出してアギルダーに持たせる。カムラのみ。ゲームなら体力が4分の1になった時に使用することですばやさが一段階上がるきのみだ。だがこれはゲームじゃない、現実だ。どのタイミングでも食すことができる。
「特性かるわざ!持っている道具がなくなることですばやさが二倍になる特性だ!逃げられると思うなよ!」
俺を下ろして、目にも留まらぬスピードで駆け抜けてレイスポスの前に立ちはだかるアギルダー。するとレイスポスを止めた先に、見覚えのある二人がバトルしていた。傍らにはキャンプがあることからここを拠点にしているらしい。
「な、なにごとですか!?」
「おっ、ラウラ!こんなところでなにしているんだ?」
「えっ、ダフネにローレル、お前たちこそこんなところでなにやってるんだ?」
ここ、山の中腹なんだが。……というか、アノプスにグソクムシャとアイアントとタイレーツが負けてるって何があったんだろう…ちょっとそのバトル見たいんだが。
「そりゃあ修行だとも!山籠もりは基本中の基本!ダフネとポケモンバトルして地力を上げてるんだ!」
「負けてるみたいだが?」
「……タイプ相性の絶対的な差が通じないってどうすれば勝てるんだろうな…」
「お前も苦労してることは分かった、うん」
というか強蟲ポケモンの一角であるアイアントを、進化もしてないアノプスで仕留めるってダフネの才能ヤバすぎないか?すると件のダフネがおずおずと目の前に出てきて。
「…あの」
「どうした、ダフネ」
「そういやアギルダーとレイスポスは何処だ?」
「そのレイスポスってポケモン…二人が話している間に逃げちゃいましたけど」
「「なに!?」」
ダフネの指差す先を見れば、駆けて行くレイスポスと、その背中に引っ付いて引っ張ろうとしている物のパワーが足りなくて引き摺られているアギルダーの姿が。
「ちょっ、おま…待ちやがれ!アギルダー、戻れ…って遠すぎるか。ビークイン、空から奴を追いかけて居場所を教えてくれ!」
「待て、俺達も行くぞ!いいな、ダフネ!」
「はい、兄さん!」
ビークインを繰り出して後を追わせ、俺も行こうとするとローレルとダフネが協力すると言いだして頷く。その時、ダフネが不気味な笑みを浮かべていたがもう一度見た時には真面目な顔をしていて。気のせいだったかな?と思いつつ、キャンプをしまったリュックを背負ったローレルと、ナベやらを入れたボストンバッグを担いだダフネと共に先を急ぐ俺であった。……アギルダー、無事かなあ。
避けるアギルダーと受けるシュバルゴの連携を書きたかったので満足。
・ラウラ
現実とゲームの世界の違いを活用している主人公。ポケスペのジュピターのモジャンボの戦い方は理に適ってたんだなと実感した。周りが超人多くてちょっと自信を失いかけているけど、アギルダーのスピードに耐えている時点で十分超人である。
・ユウリ
ポケモンの拳に耐え、片手でにんじんを引っこ抜くフィジカルも持つ原作主人公。ガラル空手を学んだらポケモンとも戦えそう。初めて使う受けるスタイルのシュバルゴをあっさり使いこなしている。
・モコウ
もはやてょわれることに慣れてきたツッコミ役。このあとユウリと協力してキズナのタヅナをピオニーの協力なしで作り上げた器用な娘。
・ローレル
実は妹に勝ったことがない蟲使いの兄。手持ちはグソクムシャ、アイアント、タイレーツと速攻型で割とガチ。持ち物はリュックに入れて運ぶ。
・ダフネ
実は兄に一度も負けたことがない蟲使いの妹。手持ちはデンヂムシ、アノプス、あと一匹。持ち物はボストンバッグに入れて運ぶ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。