今回はラウラ・モコウ・ローレルVS操られたユウリ。楽しんでいただければ幸いです。
同時刻。カンムリ雪原のとある遺跡の入り口で、少女と女性が腰を抜かしていた。
「い、今出て行ったのはなんだったんだ…?」
「か、雷に見えましたが…と一瞬過ぎて確証もないことを言ってみます」
条件を整え、遺跡の扉を開けたその瞬間。雷の如きスピードで飛び出したナニカは、彼方の山の方へと突き進んでいき、だいぶ離れたここまで轟く雷鳴が鳴った。そこに、地を駆ける鳥ポケモンに乗ってもう一人少女が現れる。
「ルミ、リヅキ姉さん。なにかあったんです?」
「こっちが知りたいです、と最愛の妹に説明できないことを残念に思います」
「まあでも、目的の奴はいるみたいだ。好きでもないポケモンを三匹も捕まえた甲斐はあった」
その眼前の遺跡の中には、呆然としている竜の頭部の様なポケモンがいた。
突如現れ、モコウを守るように立ちはだかるそいつ。電球のようなシルエットのそれは電気エネルギーで構成されており、唯一電気エネルギーじゃない青い金具でまるでツインテールの様に縛られて手足の様になっていて、顔には点字の様な物が刻まれている。レジアイス、レジスチル、レジロック、そのどれとも似てるがどれとも違う。名づけるならレジエレキか…?図鑑が反応し、見てみると本当にレジエレキだった。新たなレジ一族…!?
「…モコウお前、何でそいつに好かれてるんだ?」
「どちらかというと我が知りたいが、敵ではないらしい」
ご主人様!ご主人様!大丈夫?とでも言うようにピョンピョン跳ねながらモコウの様子を確かめるレジエレキ。モコウは疑問符を浮かべていたが、スマホロトムで確認したモコウは恐る恐るクイックボールを取り出した。
「レジエレキ。共に戦ってくれるか?」
「っ、させません!クワガノン、ねばねばネット!」
それを邪魔しようとするダフネがひんしのクワガノンに指示してねばねばする蜘蛛の巣を飛ばしてきたが、レジエレキがその間に割り込み電撃の体で焼き焦がしてしまった。
「なんでお前が我を選んだのかは知らん。だが大事な友達を取り戻すために、力を貸してくれ」
モコウの言葉に頷いたレジエレキは自らボールのスイッチに触れて入り込み、続けて自ら飛び出してくる。あまりな早業に、妨害しようとしていたダフネも呆気にとられた。
「こうなればあなたもさいみんじゅつで…!」
「そうなんどもさせるか!でんじは!」
モコウにも催眠をかけようとイオルブに指示しようとするダフネだがしかし、まるで早撃ちの様に放たれた電撃を喰らって麻痺するイオルブ。いくらなんでも速すぎないか?
「くっ…ユウリさん!」
「ウーラオス。すいりゅうれんだ」
「こっちはこっちで危ないんだったな!」
ムゲンダイナが倒されたのを見て、すぐさまウーラオスに切り替えてきたユウリの攻撃が俺のビークインを襲う。だがそれは、目の前に立ちはだかったグソクムシャに防がれた。
「てっぺき。これ以上の悪事はさせんぞダフネ!」
「兄さんまで…邪魔です!クワガノン、グソクムシャとビークインにほうでん!」
「ぼうぎょしれい。そのままエアスラッシュだ!」
クワガノンから放たれたほうでんをしもべたちで防ぎ切り、返しに風の刃を放つ。瀕死だったクワガノンは戦闘不能、イオルブは「サイドチェンジ」でザシアンと交代して回避、ウーラオスとザシアンはまともに浴びて後退する。
「イオルブ、バドレックスにむしのていこう!ユウリさんは全部出してラウラさん、兄さん、モコウさんの相手をしてください!」
「チャンピオンでもやれることには限度があるぞ…なんて、ユウリには関係ない話か」
「レジエレキにみずのはどう。グソクムシャにつるのムチ。ビークインにアシッドボムとすいりゅうれんだ。バドレックスにじゃれつく」
「…なんであの数のポケモンに指示ができるんだ?」
「ローレル、もっともな疑問だが相手はチャンピオンだ。常識が通じるか」
繰り出されたインテレオン、フシギバナ、シュバルゴは己が主人の異変に一瞬狼狽えるもウーラオスとザシアン共に指示通りに攻撃を仕掛け、俺達も対抗する。ユウリの実力じゃダフネに手を出すのは無理そうだ。まずはこいつらを沈める!
「ラウラ、我はインテレオンとザシアンを封じるから他を頼む!サンダープリズン!」
まるで雷の檻の様な技を繰り出しインテレオンの水流を受け付けず、そのままバドレックスを守るように突進するレジエレキ。ユウリの手持ちで一番の実力者のインテレオンとムゲンダイナ、ザシアンを封じたのはさすが伝説と言える。正直助かる。ローレルはフシギバナの相手をし、俺が相手するのは何故か二体がかりのウーラオスとシュバルゴだが、俺のビークインには関係ない。攻撃をぼうぎょしれいで受け止め、強烈な一撃をお返ししてやる。
「ぼうぎょしれい。もう一度、エアスラッシュ!」
二体同時に風の刃がウーラオスとシュバルゴに襲いかかり、吹き飛ばす。するとユウリは恐るべき手に出た。
「ほのおのパンチ、すいりゅうれんだ」
「なに!?」
ビークインのぼうぎょしれいによるしもべたちを、炎を纏ったすいりゅうれんだで貫き効果抜群の一撃、否、連撃を叩き込んできたのだ。たまらず戦闘不能になるビークイン。そこに、俺目掛けて襲いかかるシュバルゴに、俺は咄嗟にドラピオンを繰り出して応戦する。
「操られてもバトルセンスは健在か…厄介だな。ドラピオン、こおりのきばで拘束しろ!」
「ウーラオス、地面にほのおのパンチ。シュバルゴはアイアンヘッド」
いつものこおりのきばの拘束を試みるも、同じように地面に広げられた炎で相殺されてしまい、その隙を突いたアイアンヘッドがドラピオンの頭部に炸裂、脳震盪になったのかぐらつくドラピオン。
「戻れ、ドラピオン!くそっ…ウルガモス!モスノウ!」
「ウルガモスにすいりゅうれんだ。モスノウにアイアンヘッド」
不利だと分かっていながらも繰り出した二体が一蹴される。蟲ポケモンは耐久力はないからな…ドラピオンの回復は遅いだろうし、使えるのはアギルダーとデンチュラ。デンチュラのメインウェポンであるほうでんはこんな狭い場所じゃ周りにも被害が及ぶ。ならば!
「アギルダー!かげぶんしん!」
繰り出すと同時に影分身で二体を取り囲むアギルダー。ウーラオスとシュバルゴは指示もなく背中合わせで構え、警戒する。問題は二体に効果抜群の技がないことだが、手数で補うか。
「みずしゅりけん!」
「ウーラオス、地面にかわらわり。シュバルゴ、空に目掛けてアシッドボム」
四方八方の影分身全てから放たれる水の手裏剣。しかしユウリの指示でウーラオスが地面を叩き割って壁を作って防ぎ、さらに空中で破裂した毒のシャワーがアギルダーたちを襲って分身が掻き消えてしまう。そんな手が!?
「アギルダー、逃げろ!」
「つばめがえし」
アギルダーに逃げるように指示するも、必中の鋭い蹴りが炸裂して崩れ落ちてしまう。ボールに戻しつつ、距離を詰めよってくるウーラオスとシュバルゴから逃げるようにジリジリと後退する。デンチュラで周りに被害を出さずに倒すことは不可能に近い。万事休すか。
「ここまでか…」
「ウーラオス、シュバルゴ。ラウラを襲え」
申し訳なさそうに俺を追い詰めるウーラオスとシュバルゴ。ポケモンはトレーナーの指示に逆らえないからしょうがないとはいえ、デンチュラのほうでんで俺ごとやるしかないか?いや、俺が大好き(多分)のユウリなら…!
「ユウリ!いい加減にしろ!お前、そんなさいみんじゅつに操られるほど簡単な性格してないだろ!」
「!」
「目を覚ませ!お前のポケモン達に、やりたくないことをやらせるな!」
「…!」
俺の言葉に反応するユウリ。一瞬だが目に光が戻った。もう少し声をかければ…そこで、ダフネが焦燥しきった顔でイオルブをこちらに向けた。
「させません!邪魔者は眠ってしまえ!さいみんじゅつ!」
「なっ…」
「「ラウラ!?」」
放たれた催眠念波に抗うことができず、崩れ落ちる俺を呼ぶモコウとローレルの声。最後にユウリの無感情でこちらを見つめる顔が見えて、俺は意識を失った。
「…ここは?」
目を覚ますと同時に違和感を感じる己の声。なんとなしにスマホを見ると、そこにはぼさぼさの黒髪にメガネの俺が映っていた。
催眠術に落ちたラウラが目覚めたのは…?
・ラウラ
操られたユウリに苦戦を強いられる主人公。催眠術に落ちて目覚めると別人に…?
・ユウリ
操られてなお、才能の片鱗を見せる原作主人公。五体同時に指示するというとんでも技を披露している。ラウラの呼びかけで戻りかける。
・モコウ
何故かレジエレキに懐かれているツッコミ役。ユウリの主力を抑える大健闘。
・2人の少女と1人の女性
同時刻にカンムリ雪原のどこかで遺跡を巡っていたらしい方々。彼女たちが遺跡を開いたことでレジエレキが飛び出した。一人は地を駆ける鳥ポケモンに乗ってる。
・ローレル
兄として妹を止めるべく奮闘するもフシギバナでグソクムシャを完封されている兄。妹にも勝てないのにチャンピオンに勝てるわけがなかった。
・ダフネ
あの手この手でバドレックスを捕まえるべく頑張る妹。モコウがレジエレキを手に入れたせいで焦燥しきってまともな判断ができなくなっておりユウリ任せになっていたが、そのユウリが戻りそうになったためさいみんじゅつを再度使用。ラウラを眠らせた。
・レジエレキ
とくせい:トランジスタ
わざ:かみなり
サンダープリズン
しんそく
でんじは
もちもの:なし
備考:やんちゃな性格。よく物を散らかす。封印が解かれた瞬間神殿から飛び出して、モコウを何故かご主人と認めて助けに現れ手持ちになる。
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