【挿絵表示】
イメージとちょっと違いましたが美しい…当初のイメージより断然こちらが好きです。そして相変わらずクオリティが凄いんじゃあ…本当にありがとうございます!やる気がすっごい湧きました!
今回はVSフェローチェです!そして物語も終盤へ。楽しんでいただけると幸いです。
「行くぞ、アギルダー!」
高速で動き出したフェローチェに合わせる様に、カムラのみを新たに持たせたアギルダーを繰り出しすばやさを一段階上昇+二倍にする。高速でぶつかり合う二体の蟲。押し負けたのは、アギルダーだった。予想通り、攻撃力も高いのか。ならば!
「かげぶんしん!」
「!」
高速を保ったまま分身するアギルダー。フェローチェは立ちどまり、キョロキョロと周囲のアギルダーを見渡してシュッ!と脚を素早く振るうと三体のアギルダーが掻き消えた。今のは確か、トリプルキックか。何て速さだ、三発じゃなくて一発にしか見えなかったぞ。そのままアギルダーの分身をトリプルキックで掻き消していくフェローチェに、さすがに看過できないので次の指示をする。
「みずしゅりけん!」
かげぶんしんはどんな仕組みなのかは知らないが、実体のない分身を作りだす技だ。そして、影分身はそれぞれから実体のある技を繰り出せるという謎仕様だ。結果、みずしゅりけんで囲まれ一斉攻撃を受けるフェローチェ。しかしとびあがることで回避、降りてくる勢いのままアギルダーの一体を踏みつけて地面に踏み込みとびかかり、空中で脚を振るい三匹を消し去る。
「なんてやつだ、お前は!」
とびはねる、とびかかる、とびひざげり、トリプルキックを一切の間もなく繋げて使ってくるその力に、酔い痴れ震える。ああ、お前は最高だ!
「フェローチェ、お前は蟲ポケモンの希望だ!デンチュラ!」
アギルダーを出したままデンチュラも繰り出す。一対一で勝てるようなポケモンじゃない。ポケモンを越えたナニカだ。ならば出し惜しみはしないさ!
「辺り一帯にエレキネットをばらまけ!」
アギルダーの間を縫うようにエレキネットをばらまく。これだけでフェローチェが動ける範囲は狭めた。すると今度は山肌を蹴ってとびかかるを連打するフェローチェ。地面のエレキネットに触れることなくアギルダーとデンチュラを狙っていくのはさすがとしか言いようがない。
「ウルガモス、ひのこ!モスノウ、ふぶき!」
続けて繰り出した二体で上空の吹雪から降り注ぐ火の雨という極限状態を作り出してフェローチェを追い詰める。これで空中には飛べまい。ならばとエレキネットの間を掻い潜るフェローチェ。ここまでしてまだ暴れられるのか。すごいな!
「ビークイン、全体にエアスラッシュ!ドラピオンはミサイルばり!」
俺の切札でもある二体を導入。全体攻撃でフェローチェを狙う。おそらく防御力は低く、素早さと攻撃力に全振りしているのだということは容易に想像がつく。そしてついに、エアスラッシュとミサイルばりとひのこの雨を掻い潜っていたフェローチェの動きが止まる。エレキネットだ。
「アギルダー、みずしゅりけん!デンチュラ、エレキネット!ウルガモス、フレアドライブ!モスノウ、れいとうビーム!ビークイン、エアスラッシュ!ドラピオン、クロスポイズン!」
俺の手持ち全員の、全力攻撃がフェローチェに炸裂。エレキネットで痺れながらも数々の攻撃を素早い身のこなしで避けていたフェローチェだったが、最後のクロスポイズンを受けてついに倒れる。
「そこだ!」
倒れ伏したフェローチェに、取り出したネットボールを叩きつけて捕獲。ボールはぷるぷると震えていたピタッと静止。俺はボールを拾い上げ、空に掲げた。
「フェローチェ、ゲットだ!」
うおおおおおおおおお!と絶叫を上げていると、どうやらバドレックスを無事捕獲したらしく側に連れたユウリとレジエレキを連れたモコウがやってきた。
「なにを叫んでいるんだお前は…まさか、例の奴か?」
「例の奴って?」
首を傾げているユウリの手を掴み、ぶんぶん振り回す。その時俺は、モコウに釘を刺された内容をすっかり忘れていた。
「ユウリ。お前が交換してくれたアギルダーのおかげでフェローチェを捕獲できたよ、ありがとう」
「おまっ!?」
「え…?」
すると目の光を失い俯くユウリ。またダフネか!?と辺りを見渡すも、いるはずがない。どうしたんだろうと首を傾げていると、モコウのラリアットが俺の首を刈り取った。
「ぐえっ!?」
「おまっ、お前なあ!それだけはユウリに言うなと!我が!言わんかったかあああああああ!?」
「言ったような気もするが…ギブギブギブギブ!?」
首を締め上げてぶんぶん振り回してくるモコウの肩をタップする。全員出している俺のポケモン達もどうにか止めようとするがオロオロするのみだ。そろそろ意識が飛びそうなんじゃが!なんかさっきからユウリが目の光を失って微動だにしないし!
「おーまーえーはー!少しは自分に振りかかっている好意をだなあ!?」
「あの……ほんとに…死ぬ…」
「いいや足りん!こうなったら意識が飛ぶまで反省して…てょわわわぁ~ん」
すると例のポーズで固まりモコウが浮かび上がったことで解放される俺。ゲホゲホと酸素を取り込んでいると、モコウを乗っ取ったバドレックスが言葉を紡ぐ。
「うむ、余も聞きたいことが在ったから止めさせてもらったぞ。それで質問だが、ラウラよ。おぬしの捕まえたポケモンとは余を襲ったあのポケモンか?少し見せてくれぬか」
「いいけど…ほれ」
手持ちの皆をボールに戻しながらフェローチェの入ったボールを差し出す。上部分が透けて中身が見える様になっているそれを覗き込んだバドレックスは少し考え込んでから口を開いた。
「やはりな。百年近くこの地にいるが、このようなポケモンを余は知らん」
「は?ここに住んでいるポケモンじゃないのか?」
「鳥や巨人どもとはわけが違う。この者は異質だ。この世の者とも思えん。ラウラよ、この世の者でない存在は災厄を招くぞ。ゆめゆめ忘れぬようにな」
そう言ってモコウを解放するバドレックス。…異質。この世の者とは思えない。じゃあフェローチェは一体、なんなんだ?ギラティナに近いポケモンだったりするのだろうか。…異世界から来たとか?
「…はあ、やってしまったものはしょうがないか。ユウリはお前が何とかするんだぞ」
「お、おう。とりあえず、役割被ってるしアギルダーと交代かなあ」
すると黙っていたユウリがゆらりとこちらに近づいてきた。俯いたままなのでその表情は見えないのが不気味だ。
「…ラウラ。私とのポケモン交換は、フェローチェを捕まえるだけのためだったの?」
「え、いやそうだけど…モコウはでんきタイプにこだわりがあるから頼めるのはユウリしかいないと思って。それよりも見てくれよ、フェローチェのこの姿!それにすごく強いんだぞ、フェローチェ!これならお前とのバトルでもいい勝負が…」
「フェローチェのことばかり……私はラウラにとってなんなの!?ただの都合のいい女だったの?ひどいよ!」
「ゆ、ユウリ!」
顔を上げると涙を溢れさせて俺を押しのけ、モコウの制止の声も聞かずに山の麓へと走り去って行くユウリ。慌ててバドレックスが追いかけていく中、俺は呆然と立ち尽くす。なんで、ユウリは泣いていた?
「…なあモコウ、俺…なんで?」
「お前なあ!ユウリはお前とのポケモン交換を、誰よりも信頼してくれている証だと喜んでいたんだぞ!シュバルゴを強く育てて、ラウラとのバトルでアギルダーと戦わせるんだって……ラウラ、嬉しいのは分かるが少しは周りの事も見ろ!お前の蟲好きはいいところでもあるが今回ばかりは悪癖が過ぎるぞ!」
「俺は……ユウリの気持ちを踏みにじったのか?」
フェローチェの入ったボールを握りしめたままその場に立ちつくし、モコウの非難の声を聴き続ける事しか出来なかった。なにか取り返しのつかないことをしてしまったんじゃという不安が俺の脳裏を埋め尽くしていたのだ。
夜も更け、下山。ユウリも戻っているだろうと考えてピオニーの民宿に戻るも、そこには何が起きたのか興味津々のピオニーしかいなくて。結局、明け方になってもユウリは戻ってくることはなかった。
「いつもいつも蟲ポケモンのことばかり……私をフェローチェを捕まえるためだけに利用するなんて、ひどいよ……でも好き、好きなのラウラ……!」
カンムリ雪原のどこかに張られたキャンプで、蹲り夜通し泣き腫らしていたユウリ。その声に引き寄せられるように、近づいてくる異質なナニカがいた。
「じぇるるっぷ……」
フェローチェがきっかけのラウラとユウリの決裂。物語が大きく動きます。
・ラウラ
フェローチェを捕まえて舞い上がってユウリの気持ちなど何も考えられなくなっていた主人公。親友であるユウリを傷つけたという事実に茫然自失となってしまう。本人はただ、強い蟲ポケモンと共にユウリと楽しく全力で戦いたかっただけだった。
・ユウリ
シュバルゴとアギルダーをラウラが形にしてくれた絆だと思っていたのにアギルダーをあっけなくフェローチェと交代すると聞いて裏切られた気持ちになって逃げだした今作のメインヒロイン。バドレックスを捕獲した。己よりもラウラが執着したフェローチェに嫉妬やら憎悪やら複雑な感情を抱く。一人でテントを張り傷心を癒す彼女に歩み寄ったのは…?
・モコウ
ユウリの恋心とラウラの鈍感に挟まれていた苦労人。多分一番ユウリのことを理解している。バドレックスに乗っ取られるのはもう慣れ過ぎて特に何も思わない。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。