今回はムツキたちとの合流、最終章開幕です。楽しんでいただけると幸いです。
VSレジギガス
一夜明けてもユウリが戻ってこないことに不安を覚えた俺は、大人に頼るのも悪くないと考え、ピオニーに相談していた。
「よーし、全面的に悪いのはラウラ!お前だ!お前は副隊長として伝説を追いつつ隊長を捜すことを命じるぜ!」
事情を聞いたピオニーの言葉がこれだった。伝説を追う必要はあるのか…?
「お、おう…」
「元気がないぞ!しゃきっとしろ!ラウラ副隊長!」
「ラウラ。我らの当初の目的であるムツキ捜しにユウリを捜すことが追加されただけだ。行くぞ」
「ああ、悪いなモコウ…」
ユウリの気持ちを裏切った。そう自覚してから、やる気が起きない。ユウリに会って謝りたいのに、姿さえ見せてくれない。このまま謝れなかったら、そう思うと嫌な予感がするんだ。
「…やっと辿り着いたが」
「なにもいないな」
ムツキを捜してやってきたのは、伝説の鳥ポケモンが集うという赤い葉と巨大な木の実が目立つ巨樹が聳え立つ、ダイ木の丘。しかし見渡せども件の鳥ポケモンは見つからない。タイミングが悪いのか、それとも…
「既にムツキが捕まえた?」
「そう考えるのが妥当だろうな。奴め、一体どこにいるのやら…」
ムツキと連絡がつかないってのがまず謎なんだよな。根は真面目だから俺達はともかくキリエさんに定期連絡しないとは考え辛い。リヅキさんやルミもついてるんだ。だとすると…
「なあ、これ…」
「うん?」
モコウが何かを見つけて、木の根元を見やる。そこには破壊されたスマホロトムと思われる残骸が落ちていた。
「…つまり、通信機器が破壊されたと」
「恐らく件の鳥ポケモンにだな。連絡がつかない理由は分かった。あとは行方だ」
「フリーズ村にはいなかったからカンムリ雪原のどこかだとは思うが…ユウリといい、ムツキといい、本当にどこにいるんだ…」
「とりあえず、次の巨人伝説の場所に向かうか」
「そうするか…」
カンムリ雪原は広い。…未だに、ユウリも、ムツキも、どちらの居場所とも、手がかりすら見つからなかった。
「ここらしいが…既に、開け放たれている?」
とりあえず巨人が眠るという場所の一つに来てみたが、既に扉は開け放たれていて。他の三つを回ってみるも、同じだった。
「むっ?レジエレキ、どうした?」
最後の場所に来ると、ボールが震えたのかモコウが繰り出したレジエレキがピョンピョン跳ねて指先(?)で遺跡を指し示す。まるで、自分はここから来たとでも言うように。
「…つまり、解放した奴がいる?」
ピオニーのメモによると遺跡に眠っているのは氷の巨人…レジアイス、岩の巨人…レジロック、鋼の巨人…レジスチル。そして最後の遺跡に眠るのは二体で雷の巨人…レジエレキとまだ見ぬ竜の巨人だという。名づけるとしたらレジドラゴだろうか。多分あってる気がする。
「竜の巨人…まさか?」
「おい、竜と言えば奴か?」
「鳥ポケモンがムツキだとするなら、ルミの趣味にも付き合ったと思うんだよな…」
あれで真面目なムツキのことだ、三鳥を捕まえることに協力したお礼としてルミの趣味にも付き合ったに違いない。レジドラゴと思われるそれどころか、この最後の遺跡を開く鍵でもある他の三体を捕まえたのも恐らくは…
「モコウ、地図に巨人に関係する場所ないか?」
「なぜだ?」
「そこぐらいしかいる可能性がない」
「なるほど。…巨人の寝床と言う場所があるぞ」
「そこだ、行くぞ!」
今はもうとにかくムツキに会いたい。今の不甲斐無い俺を罵倒してほしい。さんざんモコウにも怒鳴られたが、誰かに糾弾して欲しい。逃げかもしれないが、それでも…!
「ムツキ!」
地図を参照して巨人の寝床にやってくると、そこには並べられた岩を調べているムツキ、ルミ、リヅキさんの姿が。俺の声に反応して振り返るムツキ。その傍らには、サンダーによく似たなんかダチョウみたいな鳥ポケモンがいた。
「あれ?ラウラにモコウじゃないですか。お久しぶりです。なんでこんなところに?ユウリと共にヨロイ島に行ったはずでは?」
「お前な!スマホロトム壊れたんだったらフリーズ村に行くなりでちゃんと連絡しろ!キリエさんがガチで心配して泣きついてきたんだからな!」
「…姉さんが連絡していたものと」
「あー、そういえば私のスマホロトムが充電切れだということをすっかり伝え忘れてました、と忘れやすい性格の自分を叱咤します」
ポコポコ自分で頭を殴るリヅキに、ムツキと共に冷めた視線を向けていると、笑っているルミが目に入る。…こいつのスマホロトムはどうしたんだ?
「そう言う感じか…ルミは?」
「私は素で研究所に忘れてきた」
「ええ…」
「ルミ、お前ドジっ子なのな…」
「モコウ、お前には言われたくないぞ」
ルミとモコウが睨み合っていると、ルミの腰のホルダーに付けられていたボール四つと、ラウラの腰のレジエレキが入れられたボールが浮かび上がった。何事だと全員で注目していると、中心の巣穴が光り輝く。
「…レジ系が全部揃って出てくるってことはもう間違いなくアイツか…?」
「ラウラ、知っているのか?」
「いや…知ってるっちゃ知ってるがナグサに教えた方がいいと思う」
俺は巨人達を創ったポケモン、レジギガスについて掻い摘んで話す。他地方の伝説を調べた時に知ったと。レジ系が揃った時しか出ない珍しいポケモンだと。恐らくだがこの巣穴にはレジギガスがいることを。確証はないが、多分間違いない。
「ふむ。いいでしょう。いつか母さんやユウリを越える身です、伝説が何ぼのもんじゃいです!」
「いややめとけ。ノーマルタイプの巨人だぞ?しかも巣穴ってことはダイマックスしてるってことだぞ?」
「このサンダー、ひこう・かくとうタイプでして!ノーマルタイプはもはや敵じゃないのです!それに伝説の三鳥を全部捕まえた私ですよ?行ってきます!」
「私も続くぞ!ノーマルにドラゴンが負けるかよ!」
そう言って一人で飛び込んでいくムツキと、続くルミ。リヅキさんはオロオロと立ちつくし、俺とモコウはその場で立ち尽くす。めんどうごとはもうごめんだ。…ムツキ、見ない間にアグレッシブになったな…
「そうだ、リヅキさん」
「はい、なんでしょう?と私は問いかけに応えるべくやる気を上げます」
「ここに来るまでにユウリ、見てません?」
「見ていませんが…なにかあったんですか?」
「ちょっと、大喧嘩しちゃって喧嘩別れに…捜してるんです、何か知りませんか?」
「そう言えば昨晩、空を浮かんでワイルドエリアに向かう何かを見ましたが…と寝ぼけ眼で見た光景を思い出します」
昨晩…わざわざこんな寒空の中を飛んでいたということはそれがユウリの可能性が高い。ワイルドエリアに逃げたのか…?
「モコウ!戻るぞガラル本土に!」
「ああ、ムツキたちは見つけたしな。我のスマホロトムを貸すのでキリエさんに連絡を入れるといい」
「ご丁寧にどうも、と私は礼を述べます」
リヅキさんがキリエさんに連絡を入れていた時だった。赤い何かが、巣穴の上に拳を叩きつけて降り立ったのだ。
「「「!?」」」
いわゆるスーパーヒーロー着地、をしたその存在は、マッスルだった。極限まで引き締まり盛り上がった筋肉が目立つ上半身。血の様に赤く美しい肉体美。その顔はまるで蚊の様で、感情を感じられない複眼が俺達を睨む。咄嗟にリヅキさんを庇うように立つ俺とモコウ。蟲ポケモン、なのだろう。だがユウリを失った今の俺にはあまり響かない。好みのはずなんだが、それどころの心境じゃないのだ。茫然とする俺からスマホロトムを手に取ったモコウが奴の正体を確認する。
「マッシブーン…やはり、フェローチェと同じアローラのチャンピオンが捕まえた個体の名だ!」
「じゃあこいつもフェローチェと同じ異質なポケモンってことか!?」
目的はわからないが、フェローチェと同じで無差別に人やポケモンを襲っているのだとしたら、この筋肉は間違いなくヤバい。するとモコウのスマホロトムでキリエさんと連絡していたリヅキさんが切迫した表情でこちらに告げた。
「二人とも、大変です!どこからか現れた正体不明のポケモンがガラル各地で襲撃していて、ジムリーダーや実力のあるトレーナーが対処に追われていると!」
「「なんだと!?」」
このマッシブーンもその一体ってことか。…フェローチェが原因のユウリの失踪。フェローチェと同じような謎のポケモン達の襲撃。これは偶然なのか?何か、嫌な予感がする…!
「ふんふん、ふふん♪」
ガラルの中心、ナックルシティ。そのタワートップに鼻歌を歌う、謎の存在。本来銀髪だった髪を黒髪に染めた少女は、宇宙の様な暗闇の中で浮かび、三日月の様な満面の笑みを浮かべていた。その名を、グローリアビーストという。
VSレジギガスと言ったな。実際戦うとは言ってない。
・ラウラ
いつもなら狂喜するマッシブーンにもそんなに反応を示さなくなった主人公。ユウリと喧嘩別れしたことでだいぶ気落ちしている。ムツキに罵倒されたい心境。
・モコウ
なし崩し的にラウラの相棒ポジに収まったツッコミ役。ラウラが動けないと見るやスマホロトムを手に取って敵を調べるなど大事な時に動ける人。
・ムツキ
三鳥にスマホロトムを壊されて音信不通になっていたひこうつかい。なんと、出くわした際に三匹とも捕まえるという無茶苦茶なことをやり遂げている。ガラルサンダーを足として使う。キリエを越えるためにレジギガスに挑むも…?
・ルミ
スマホロトムを研究所に忘れてしまって音信不通になってたドラゴンつかい。ムツキの舎弟的な感じになってる。レジロックレジスチルレジアイスをゲットし、レジエレキを解き放った張本人。レジドラゴをゲットした。ムツキと共にレジギガスに挑むも…?
・リヅキ
忘れっぽい性格で電池切れだとムツキに伝え忘れていたポンコツ看護師。ムツキの姉として健康管理していた。キリエに連絡していたところ、ガラル全体の危機を知る。
・グローリアビースト
謎の少女(棒読み)が、ブラックナイトの際にムゲンダイナが発した高エネルギーで発生したウルトラホールからフェローチェと共に迷い込んだUB01 PARASITEが融合したことで生まれた、かつてアローラに出現したマザービーストに酷似する存在。
UBと融合したことで少女自体が「Fall」としての特性を持ち、存在するだけでウルトラホールから数多のUBを呼び寄せてガラルを混乱に陥れる。ラウラ最後の敵は寄生「虫」である。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。