今回はVSマッシブーン。ラウラは立ち直れるのか。楽しんでいただけると幸いです。
ガラル各地に現れたという、正体不明のポケモンたち。そして俺達の前に降り立った謎の蟲ポケモン、マッシブーン。何かが起ころうとしているのは間違いない。
「まずはこいつからか…!ドラピオン!」
「行くぞ!カメックス!」
見るからにパワータイプのマッシブーンに対し、モコウと共にパワータイプのポケモンを繰り出す。
「クロスポイズン!」
「みずのはどう!」
するとマッシブーンは一跳躍で攻撃を回避、背中の翅を羽ばたかせて突進、拳を振るってカメックスを殴り飛ばす。カメックスを殴り飛ばして隣に降り立ったマッシブーンに驚き固まるドラピオンをも屠らんと振るわれた拳に、咄嗟に指示を出す。
「つじぎり!」
二連撃で何とか弾き返すドラピオン。攻撃力が明らかに上がっている。グロウパンチか?
「ババァルクウッ!!」
拳のラッシュに見舞われ、防御の体勢を取りながら押されていくドラピオン。俺達と三日三晩戦ったパワーファイターが押されているだと!?
「こうなったらフェローチェで…」
そう、フェローチェの入ったネットボールを取り出すも、ユウリの泣いている顔が頭をよぎる。こいつを使えば、あいつを裏切ったって言っているようなものか。迷っているうちにばかぢからと思われる技で投げ飛ばされ、戦闘不能になるドラピオン。
「くっ…モスノウ!れいとうビーム!」
「ライボルト!ワイルドボルト!」
モスノウがれいとうビームを繰り出した横からライボルトが電撃を纏って突っ込む。するとマッシブーンはれいとうビームを拳で受け止め、凍り付いた拳でライボルトを殴りつけて迎撃した。氷を電撃から身を守るのに利用された!?さらに跳躍して凍り付いた拳でモスノウを氷が砕ける程の勢いで殴りつけて撃墜、着地してポージングするマッシブーン。
「モスノウ!?」
「ライボルト!ほのおのきば!」
そこにライボルトが炎を牙に纏って突撃するも、両側面からガッシリと胴体を掴まれて持ち上げられ、背中に口吻を突き刺され体力を奪われるとポイッと投げ捨てられる。きゅうけつか。
「こいつ…強いぞ!」
「ならば、切札で行くしかあるまい!レジエレキ!」
モコウはレジエレキを繰り出す中、俺はフェローチェを出すか出さないか迷う。あのパワーに対抗するには同じく攻撃力に特化しているフェローチェを出すのが最適解だろう。だけど……結局、出せなかった。
「くそっ、ビークイン!エアスラッシュ!」
恐らくタイプはフェローチェと同じむし・かくとう。ならばと相性有利なビークインで挑むも、地面を殴りつけたことで生まれた岩盤でエアスラッシュを防がれ、さらにそれを殴りつけてストーンエッジしてきたマッシブーンを前にあっけなく倒され、咄嗟にデンチュラを繰り出す。グロウパンチ、ばかぢから、きゅうけつ、ストーエッジ。わざ構成は分かった。だがシンプルに強すぎる。というかストーンエッジ持ってるなら俺の蟲ポケモンはほぼ全員アウトだ。
「サンダープリズン!…無理やり破るだと!?」
レジエレキの雷の檻も力ずくで破るマッシブーンに打つ手がない。レジエレキが高速で翻弄しているが、それだけだ。渾身のばかぢからでデンチュラが大地ごと吹き飛ばされ、こうなったらとフェローチェを出そうと心に決めたその時…!
「きゃああああああああ!?」
「どわああああああああ!?」
そんな悲鳴を上げて、巣穴からムツキとルミが飛び出してきた。慌てて俺がムツキを、モコウがルミを横抱きで受け止める。こっぴどくやられたようで二人とも悔しげだ。
「なんですかあの巨人…練度が桁違いです…私の鳥ポケモンみんな握り潰されちゃったんですけど…って何事ですか!?」
「スロースタートだったか?のろまっちゃのろまだが強すぎて話にならないぞ…ってどうした、なにこの惨状」
砕けた地面やらひっくり返った岩盤やら見て、最後にマッシブーンを確認し目が点になる二人。まあ、そうなるよな…
「ガラル全土でこいつみたいな正体不明のポケモンが暴れてるらしい。苦戦中だ」
「…貴女が蟲相手にやる気出さないなんてどうしたんです?今更ですがラウラいるところに必ずいるユウリがいないことになにか関係が?」
地面に降ろすとそう尋ねてくるムツキに、なんて返すか迷ったが簡潔に伝えることにした。
「…蟲ばっか考えて、あいつを傷つけた」
「それで喧嘩別れしたと。…ふむ。ルミ、ちょっとこの馬鹿と話があるので貴女のレジドラゴ達であれの相手をしていてください。恐らく通常のポケモンでは歯が立ちません」
「任された!」
レジエレキと小競り合いするマッシブーンを見ながら、顎に手をやりルミに指示するムツキ。ルミは言われるなりレジドラゴ、レジロック、レジスチル、レジアイスを繰り出してマッシブーンを取り囲んだ。それでもレジロックの巨体を殴り飛ばすマッシブーンがヤバいが、ムツキはそれどころじゃないらしい。
「つまり?蟲ポケモンばっかにかまけて、心無い言葉を言ってしまったと。今の貴女は二つのことにウジウジしてるんですか。なんとも情けないですね。どこぞの恋愛漫画の主人公のつもりですか?貴女はヒロインってガラでもないでしょう」
「グッ…そんなつもりは」
「そんなの似合わないから、とっとと自分のやるべきことをやって堂々とユウリに謝ってきなさい。今の貴女こそユウリが許すはずないでしょう。え、ウジウジしてれば許されるとでも思ったんですか?謝りもしないで烏滸がましいですよ!馬鹿なんですか!ああ、蟲馬鹿でしたね貴女は!」
「…そうだな、俺は大馬鹿だ」
その言葉で、踏ん切りがついた。まさかムツキの罵倒に救われるなんてな。初めて出会った時からは考えられない事だ。俺は、手にしたままだったボールの中を見やる。悪かった。お前は何も悪くない、出せなかったのは…これ以上、ユウリに何か言われることを俺が恐れていたからだ。
「フェローチェ。力を貸してくれるか?」
俺の言葉に頷くフェローチェを、即座に繰り出す。見たことないポケモンであるフェローチェに驚くモコウ以外の面々。だが俺は気にせず、レジ達に囲まれて中央に追いやられているマッシブーンを見やり指示をする。
「フェローチェ、とびはねる!」
「レジエレキ、でんじは!」
「レジロック、がんせきふうじ!」
「行きなさいフリーザー、サイコキネシス!」
天高く跳躍したフェローチェに反応し、ポージングして拳を構えるマッシブーンだったが、レジエレキのでんじはとレジロックの投げた岩石、ムツキの繰り出した俺の知るのとは全く違うフリーザーの念動力がその行動を妨げ、渾身の急降下蹴りがマッシブーンの胴体に炸裂、崩れ落ちた所にネットボールを投擲。
「モコウ、ムツキ!俺はユウリのところに行く!お前たちはガラル中で戦ってるみんなの救援を!」
マッシブーンの入ったボールを手に取るなりフェローチェに掴まって、その場から高速で離脱した。
「ユウリのことは頼んだぞー!」
「世話が焼けますね、まったく」
「ムツキにだけは言われたくないでしょうね、と私は呆れます」
「ソニアやホップが心配だ、私達も急ぐぞ!」
俺を横抱きにするフェローチェの健脚で山をほとんど一瞬で越え、ハロンタウンを抜け、線路沿いに進んで見えてきたのはワイルドエリア。ここのどこかにいるはずだ、と空を見上げるとナックルシティのタワートップの真上に輝く、空に開いた巨大な穴が見えた。それに反応するフェローチェ。
「お前、あれから来たのか?」
頷くフェローチェ。もしかしてあそこにユウリが…?そう考え、ナックルシティに向かうと、そこでは破壊された町並みと、その奥で何か巨大な口の様なポケモンと戦うキバナ、そして人々を避難誘導していたスーツを着こなした女性がいた。その顔に見覚えがあった俺が首を傾げていると、女性はフェローチェに抱えられた俺に気付くと驚愕して駆け寄ってきた。
「それはまさか、BEAUTY!?貴女が捕まえたんですか?!」
「え、ええ…」
「たしか、ブラックナイト事件を収めたラウラさん、でしたね。私はリラ。国際警察のものです」
「リラ!?」
その名前で思い出した。なんか印象が全然違うけどポケモンエメラルドで苦汁を味わされたタワータイクーン・リラだ。ホウエンにいるはずの彼女がなぜここに!?国際警察ってハンサムとかのあれか!?大混乱に陥る俺であった。
「遅いなあ。早く私を捕まえないと、ガラルが滅びちゃうよ?ラウラぁ」
タワートップに浮かぶ小さな夜空の中で少女は待ちきれないとばかりに恍惚とした笑みを浮かべていた。
いきなりリラが国際警察として登場して驚いたあの頃の気持ちを代弁してみました。
・ラウラ
ムツキに叱咤激励され、さらっとマッシブーンを捕獲してユウリの元に向かう主人公。国際警察にも存在を知られている。フェローチェのスピードに耐えている化け物スペックの蟲馬鹿。
・モコウ
ユウリのことはラウラに任せることにしたツッコミ役。
・ムツキ
レジギガスに惨敗したけどやるべきことはやったひこうつかい。ラウラを失意に落としたり失意から引き摺り出したり、良くも悪くもラウラに一番影響を与える人。
・ルミ
レジ四体を使いこなすやべーやつ。
・リヅキ
ムツキに世話を焼かされている人。
・リラ
サンムーン系統に登場した国際警察。避難誘導していたところ、フェローチェをウルトラボールなしで捕まえているラウラに驚愕した。ちなみにハンサムも別の場所で避難誘導している。
・キバナ
アクジキングと激闘を繰り広げているジムリーダー。結構苦戦中。
・グローリアビースト
ラウラを待ち侘びて物騒なこと言ってる人。暇。自分の居場所を伝えなくとも来てくれると信じてる乙女。
・マッシブーン
とくせい:ビーストブースト
わざ:グロウパンチ
きゅうけつ
ばかぢから
ストーンエッジ
もちもの:なし
備考:いじっぱりな性格。暴れることが好き。ウルトラホールから出てきたものの、自分のいた場所とは違いすぎて混乱、大暴れした。筋肉で何でも解決するタイプ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。