今回は後日談のガラルスタートーナメント編その二です。楽しんでいただけると幸いです。
「てっぺきです、アーマーガア!」
すなあらしで視界が塞がれた中でムツキの指示が聞こえてきた。こちらを消耗させて耐久戦に持ち込むつもりか?とにかくすなあらしをどうにかしなければ。
「もう一度、あまごい!」
「へびにらみがそう簡単にさせませんよ!」
念入りにとさらにかけてくるキリエさん。すなあらしは継続し、オニシズクモの動きは完全に封じられた。だけど現実のへびにらみはゲームと異なり、見ている間しか麻痺は起こらない技だ。サダイジャもこれで動けまい。その間にモコウが動けばいい。
「アーマーガアにおにびだ!」
「させません!ボディプレス!」
おにびを放つロトムだが、アーマーガアの影は天高く飛翔して急降下。すなあらしの中からロトムに襲いかかり、押し潰す。すなあらしのダメージもあり戦闘不能だ。てっぺきは自分の防御力で威力が変わるボディプレスの威力を上げるためだったか。
「やられたならやられたなりにできることはあるぞ!カメックス、あまごいだ!」
次に出したカメックスがあまごいを行い、すなあらしから豪雨に天気が変わる。するとキリエはそれを見るなりボールにサダイジャを戻し、ダイマックスバンドから溢れるエネルギーで巨大化させ振りかぶった。
「あの相手にはこっちの方がよさそうなので使わせてもらいますね、ムツキちゃん」
「最強のジムリーダーだった母さんを信じます!存分に暴れてください!」
「砂塵よ吹き荒れろ、その巨躯を持って世界を竜巻に飲み込みなさい!キョダイマックス!」
ムツキのキョダイマックス口上を思わせる口上(キリエさんの方が本家か?)で巨大化したボールを落としたかと思うと後方に蹴り飛ばすと、鼻の穴がより膨らんで大砲の様になり体も更に長くなって逆方向にとぐろを巻いた巨大な竜巻の様な姿に変わったサダイジャが咆哮を上げる。元最強のジムリーダーのキョダイマックス、つまり切札か。ドリュウズが等身大の切札ならこいつは試合でのダイマックスありきの切札なんだろうな。
「ちっ…だがあまごい状態なら勝ち目はある!モコウ!」
「おうとも。ヨロイ島で身に着けた我が新たなキョダイなる力を見せてくれよう!」
そう言ってカメックスをボールに戻し、ダイマックスバンドから溢れるエネルギーで巨大化させ振りかぶるモコウ。
「我の生き様をこの世に見せつけろ!激流の如く蹂躙する戦艦と化せ!キョダイマックス!」
肥大化した胴体の甲羅に31門にも及ぶ大小様々な大砲が生えた、まるで生きた戦艦や移動要塞とも言うべき姿となったカメックスが敵に背中を向けて咆哮を上げる。ところどころカラーリングも変わっていてとても強そうだ。キョダイマックスした亀と蛇が甲羅越しに睨み合う。
「キョダイサジン!」
「キョダイホウゲキ!」
「ボディプレス!」
「アクアブレイクで迎え撃て!」
上空で鋭利な砂塵と数多の砲撃がせめぎ合い、地上では飛来したアーマーガアとまひから解放されたオニシズクモのアクアブレイクが激突する。観客の歓声が凄い。いわゆる激熱な戦いだからだろうか。
「オニシズクモ、そこからさらにバブルこうせん!」
「っアイアンヘッド!」
鬩ぎ合いながらなんとか持ち上げた右前脚からの泡の光線が炸裂して怯んだもののアイアンヘッドで巻き返してくるアーマーガア。そして上空では三度目のキョダイホウゲキとキョダイサジンがぶつかり合う。なんであまごいありの水技に地面技で対抗してるんだあの人…?さすがムツキの母親と言うか練度が桁違いだ。
「距離を取りなさい、アーマーガア!」
「逃がすな、バブルこうせん!」
「ハイドロポンプでアーマーガアを追い詰めろ!」
「させません、カメックスにへびにらみ!」
キョダイホウゲキとキョダイサジンの影響でこちらはすなじごく、あちらはうずしお状態になっているフィールドで、距離を取った両者の睨み合いと牽制が続く。距離を取ったアーマーガアに攻撃は届かないので、うずしおに囚われているサダイジャに攻撃を集中することにする。
「オニシズクモ、サダイジャにバブルこうせん!」
「カメックス、クイックターンでサダイジャを狙え!」
バブルこうせんが炸裂したそこに小規模の波に乗ったカメックスの体当たりがサダイジャに炸裂、戦闘不能にするとモコウの元に戻って行く。交代したのはパッチラゴンだ。同時に雨が晴れる。ここまでか。
「私達を最後の一匹まで追い込むとは…では、本気で行ってよろしいのですね?」
「最初から本気で行ってくださいよ…」
三日月の様な笑みを作ったキリエさんが繰り出したのは、ドリュウズ。キリエさんの切札だ。あ、やばい。ガチだこの人。
「パッチラゴン、ドリュウズは気にせずアーマーガアにでんげきくちばしだ!」
「させませんよ。じしん」
「「っ、避けろ!」」
ビシッ!と地面に手を打ちつけるドリュウズ。それだけで、オニシズクモとパッチラゴンの足元から土柱が隆起する。さらに土柱が次々と隆起して、まるで土柱のジャングルの様になるフィールド。ドリュウズの姿が見えない、何をしているのかわからない。アーマーガアは…いない?
「あなをほる、です」
「ブレイブバード!」
「モコウ、下だ!」
パッチラゴンの下からドリュウズが、オニシズクモの下からアーマーガアが同時に飛び出してきて大ダメージを受ける。そのまま空に舞い上がってムツキの側に戻るアーマーガアと、そのまま地中に潜って逃げるドリュウズ。あのドリュウズ、アーマーガアが飛べるほどの穴を地下に作りやがった!?
「空を駆るひこうタイプで地に潜るなど言語道断ですが…これぐらいしないとラウラ、貴女には勝てません!」
「バトルと言うのは必勝法を組み込めば後はその繰り返しで勝つのです。さあ、どこから来るか分からない攻撃、勝てますか!」
土柱で見えないがキリエさんの勝ち誇った顔が想像つく。だがなめるなよ?そのドリュウズに勝ったことがある俺だぞ?
「モコウ、オニシズクモに乗れ!」
「む?…なるほど、そういうことか!パッチラゴン!」
再び盛り上がる地面に対し、オニシズクモの頭部を足場にして跳躍するパッチラゴン。ドリュウズとアーマーガアの攻撃がオニシズクモに炸裂し、戦闘不能になる。…だがしかし。アーマーガアが飛びあがった先には、土柱に乗ったパッチラゴンがいた。
「土柱はこっちの視界も阻害するけど、そっちからも見えないよなあ!」
「でんげきくちばしだ!」
そして渾身の一撃が炸裂。倒れるアーマーガアと着地するパッチラゴン。これで残るはドリュウズ一体のみ!俺が最後に繰り出すのはデンチュラだ。じめんタイプだろうが俺の相棒は関係ない!
「ぐっ…母さんの派手なじしんのせいで見えなかったじゃないですか!」
「心配しないでムツキちゃん。母さん、すごく強いから」
そんな言葉と共に土柱がうねり、地中に戻って行く。何事だとモコウと共に身構えていると、土柱を地面に納めて完全にこちらを見据えたキリエさんがにやりと笑った。
「ダイマックスは一度のみ。だけど私のドリュウズには関係ないわ!じしん!」
「「はあ!?」」
変形し、地中に潜るドリュウズ。すると地響きとともに、フィールドが盛り上がって巨大なドリュウズを形作り、咆哮を上げる。…んなのありか。巨大ドリュウズ像は拳(?)を大地に叩きつけ、自身の腕を巨大な岩石として飛ばして攻撃してきた。まるでいわなだれだ。
「空だ!いとをはく!」
「ドラゴンテールで迎え撃て!」
巨大ドリュウズ像に糸を付け、舞い上がり回避するデンチュラと、尻尾を振るい岩を破壊するパッチラゴン。すると巨大ドリュウズ像は震わせた全身から土柱を伸ばして触手の様に襲いかかって来た。じしんか?デンチュラは糸を上手く撓ませてその猛攻を回避、しかしパッチラゴンは対処しきれずにクリーンヒット。倒れてしまう。
「頼むぞ、カメックス!だがどうすれば…」
「待てモコウ!カメックスにあまごいをさせろ!」
「なに?威力を上げるのか?」
「いいや、あれは土くれだ。水で溶けるはずだ」
前世で見たスパイダー●ン3という映画がある。それに登場した悪役の一人である砂男も、建築現場の砂を取り込むことで巨大化していた。その弱点とは水だ。泥になってしまえばじしんの鳴動で動かしているあの巨像は形成できない筈だ。
「なるほどな、あまごい!」
「しまっ…だがしかし、ドリュウズの速さの前には…!」
豪雨により崩れた巨体から飛び出してくるドリュウズ。しかし振りかぶられたその頭部が、何かに引っ掛かってつんのめった。デンチュラが咄嗟に張った糸だ。
「いとをはく。蜘蛛の横糸は見えにくく捕らえた物を離さない。知ってたか?」
「ナイスだラウラ。動けない的ならば外すことはないぞ!ハイドロポンプ!」
そしてカメックスの渾身の一撃が炸裂。ドリュウズは崩れ落ち、俺達の勝利が決まった。
相変わらず滅茶苦茶なキリエさん。この人とラウラが組むルートもあったんやで…?
・ラウラ
滅茶苦茶なキリエの策を前世知識でなんとかした主人公。できれば二度と戦いたくない。
・モコウ
キョダイカメックスを披露したラウラの相棒枠。クイックターンを覚えさせているなど、ヨロイ島で得たものは多い。
・ムツキ
母親におんぶにだっこだったひこうつかい。バトルの腕前はやはり他三人に劣る。
・キリエ
土柱のジャングルを形成したり、巨像を作って動かしたりやりたい放題な元ジムリーダー。追い詰められる最後まで本気を出さない悪癖がある。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。