今回はダフネVS新キャラ。推薦状を手に入れる前の一幕です。楽しんでいただけると幸いです。
バウタウンから駅に乗り、推薦状をもらうべくハロンタウンに繋がるブラッシータウンへと向かう。なんてことのない田舎道だ。程なくしてハロンタウンに着くだろう。
「なにか騒がしいですが…なにかあったのでしょうか?」
ブラッシータウンの方が騒がしい。何か事件があったようだ。二年前も研究所の壁が破壊される事件があったが…多分関係はなさそうだ。こんな田舎でなにがあったのか、少し気になったが先を急ぐことにした。
「…?」
草むらで何かが動いた気がする。念のためにアーマルドを出して警戒する。ここらへんのポケモンは弱い個体が多いが、それでもポケモンだ。警戒しておいて損はない。草むらから飛び出してきたのは、ゴルバットだった。
「なっ!?まもる!」
ここには生息してないポケモンの登場に驚いたが、即座に指示。エアカッターを防ぎきる。明確な敵意を感じる。これは、野生じゃない?
「トレーナーがいますね。出て来なさい!」
そう叫ぶと、闇夜に溶ける黒づくめの戦闘服を着た男が出てきた。マスクで口元が隠れていて黒い軍帽を深く被っていて表情が良く分からない。
「威勢のいいお嬢さんだ。今から大事な大事なポケモンを奪われるなんて夢にも思ってないふぬけた面だ。こんな
「…その格好。噂のプラズマ団ですか」
「わかっているなら話が早い。ポケモンを解放しろ。これは救済だ。拒否権はない」
「お断りさせてもらいます!アーマルド、しおみず!」
「ゴルバット、ファストガード!」
反撃にと繰り出したしおみずが防がれる。この人、強い…!
「我が与えられし真名はシュバルツ。グレイ様率いる新生プラズマ団の幹部だ。舐めてもらっては困る」
「ペラペラ情報を明かすんですね。そんなに捕まりたいんでしょうか?」
アーマルドに警戒してもらいながらジリジリと後退する。
「否。むしろ広めてもらいたいのだ、我等プラズマ団の活動を!先刻もそこの研究所から伝説のポケモンを救済したばかりだが、広める人間は多い方がいい」
「伝説ポケモンを…強奪した?」
「勘違いするな、これも救済だ。その帰り道でこんなお嬢さんに囚われている哀れなポケモン達を救済しようと言う訳だ。わかったならば、
逃げようと思ったが、それだけはちょっと個人的に見逃せない。過去の自分自身を思い出すからだ。ボールを二つ取り出し、同時に繰り出す。私の頼れるポケモン達を。
「クワガノン、イオルブ」
「…解放する気はなさそうだな」
「この子達は、私が心から愛せていなかったポケモン達です。これから存分に愛を与えようというのに、その邪魔はさせません!強奪した伝説ポケモンとやらも返してもらいます!」
「それはできぬ相談だ。ゴルバット、エアカッター」
「アーマルド、まもる」
複数の風の刃が空を切って襲いかかり、アーマルドが前に出て私達を守る。すると前に出たのはクワガノン。後ろからイオルブも続く。
「クワガノン、ほうでん!イオルブ、サイコキネシス!」
「ファストガード」
うちのパーティーの最大火力を簡単に防いでみせるプラズマ団のシュバルツ。明らかに格上だ。戦いを挑んだのは、間違いだった。
「あやしいひかりだ」
「!?」
咄嗟に三匹をボールに戻したけど、私自身が光の直撃を受けて混乱する。足取りがおぼつかない。不味い、強奪犯の前で無防備を晒してしまった。そして腹部にもらった強烈な衝撃に蹲ってしまう。
「つばさでうつ。まさかポケモンを庇うとは。心優しいものなのかもしれないが…我らの救済にプラズマ団以外のポケモントレーナーは必要ない」
「ぐっ…」
そう言って私の腰のホルダーからボールを奪い取って行くシュバルツの手を、何とか握りしめる。残った力を振り絞るも、簡単に振りほどかされてしまった。
「ふむ、トレーナーは未熟なれど強きいいポケモンだ。グレイ様への手土産が出来た。我等プラズマ団の戦力にふさわしい」
「かえ、して……」
「安心しろ。我らの目的を達成したらこやつらも救済の対象だ。悪くはしない。むしろ我等の偉業の助けとなるのだ、誇るがいい」
そう言ってシュバルツは去って行き、私の意識も途切れた。
「行かせるか!ほうでん!」
「むっ!?」
ゴルバットの脚を掴み空を飛んで東の海の方へと逃げようとしていたところを、指向性を持たせたほうでんで撃ち落とす。そのことに驚きを隠せないらしいプラズマ団の男の前に、俺は立ちはだかった。
「ソニア博士の連絡でブラッシータウンに急いで向かっていたら俺の知り合いも襲いやがって…」
「貴様は……今の技術、ジムリーダーか?!」
「俺はターフジムの新ジムリーダー、ラウラだ。逃がさないぞ、プラズマ団のしたっぱが」
「私をしたっぱなどと一緒にするな!グレイ様より賜りし我が真名、シュバルツ!プラズマ団の幹部だ!」
したっぱなんかにルミが倒されるなんておかしいとは思ったが、まさか幹部か。しかも俺の知らない名前の。七賢人でもダークトリニティでもない、なんなんだこいつ。プラズマ団がガラルに出始めたってだけでも驚きなのに、幹部までいるってことはガラルでなんかやらかす気か?
「私のゴルバットを撃ち落としたその技術は称賛しよう。だが、そう簡単には負けぬぞ、小娘が!エアカッターだ!」
「デンチュラ、避けてエレキネット!」
エアカッターを回避させエレキネットで攻撃。しかしつばさでうつで叩き落される。こいつのゴルバット、かなりの練度だ。というか普通に強い。
「つばさでうつ!」
「飛びかかれ!きゅうけつ!」
高速で飛来した一撃を、こちらから飛び付くことで受け止める。組み付かれたことで落下するゴルバット。地上に激突するする寸前でデンチュラは飛び退きダメージを免れる。
「ほうでんだ!」
「ファストガード!」
ほうでんが防がれてしまう。先制攻撃を完全に防ぐ技か。厄介だな。
「エアカッター!」
「ほうでん!」
風の刃と電撃がぶつかり、弾け飛んだため思わず怯む。ひこうタイプの技ででんきタイプの技に対抗するってどんな鍛え方してるんだ。俺も人のこと言えないけど。すると俺が怯んだ隙を突いてゴルバットの脚を掴むシュバルツ。逃げるつもりか!?
「むう、今の私では貴様には勝てないようだ。そろそろお暇させてもらおう。あやしいひかりだ!」
「ちい!デンチュラ、いとをはく!」
咄嗟に目を瞑りながら指示、飛び立つ音が聞こえ、目を開けると既に空の彼方に飛んでいくシュバルツの姿。足元で混乱しているデンチュラをあやして混乱を解くと、一つのモンスターボールを差し出してきた。これは…ダフネのポケモンか。一匹だけでも取り返せてよしとするべきか、いや…
「…悪い、ダフネ。ルミ」
とりあえずダフネを病院に連れて行って、リーグ委員長のダンデさんに連絡だな。
目を覚ますと、知らない天井で。腹部から鈍痛がして思わず押さえながら周りを見渡すと病室の様だった。枕元の机に一つのモンスターボールが置かれていて、気を失う前のできごとを思い出した私は慌てて中を見やる。そこには、沈んだ表情のイオルブがいた。あと二匹は?まさか…
「目を覚ましたか」
そこにやってきたのは、ラウラさん。ばつが悪そうな表情を浮かべたラウラさんに、何か知っていると悟った私はベッドから降りて掴みかかる。
「ラウラさん!私のアーマルドは、クワガノンは…!」
「…悪い。イオルブしか取り返せなかった。恐らくプラズマ団のシュバルツと名乗ったあいつに…」
「そんな、なんで……」
無力に打ちひしがれる私に、ラウラさんは何も声をかけられないのか立ち尽くしていた。
ダフネを挫折させていくスタイル。
・ダフネ
過去のこともあり、伝説ポケモンを強奪なんて見逃せなかった主人公。蟲ポケモンを大事にするあまりあやしいひかりから庇ってしまった結果、イオルブ以外を強奪されてしまう。ちなみにムツキが入院していた病院で担当ナースはリヅキである。
・ラウラ
ユウリ宅でダフネを待っていたところ、研究所を襲撃されたとソニアから連絡をもらって急いでいたら途中でダフネがやられるところに遭遇しシュバルツと対決するも逃げられてしまった元主人公。ちなみにユウリはチャンピオンの仕事中で不在の出来事だった。
・シュバルツ
新生プラズマ団の幹部の一人。名前の由来はドイツ語で「黒色」。グレイと言う名の現トップに忠誠を誓っている軍人気質な男。心の底から「救済」を成し遂げようとしている。ルミからレジ系ポケモン四体を強奪し、通りすがりのダフネからもクワガノンとアーマルドを強奪した。
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