KAMENRIDER LUCIFEL ~Betrayal of God~   作:ワガマキリ

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プロローグ GENERATION-5

「人はアギトを受け入れるだろう。人間の無限の可能性として」

 

人がアギトを受け入れるなんて、信じる人はまだいるのだろうか

 

信じていた人がいたならば、そいつはバカか相当なお人好しだろう。

 

俺たちがこんな目に遭うと知っていれば、誰も信じなかったはずだ…

 

現在。俺達部隊は東京にいた。

 

街は壊れ、死体が倒れこみ、銃声が惜しまなく鳴り響いていた。

 

夫婦で暮らしていただろう、一軒家の瓦礫を影に、奇声をあげる「奴ら」を警戒しながら、武器のメーターを確認した。

 

「…残弾10…多くて2体か3体か…」

 

「私は残弾10で、吉田は弾切れです…」

 

「通信機はもう動かないか… 吉田、お前はもう無理だ、撤退しろ。俺が時間を稼ぐ。純香、吉田を担いでいけ、本部に現状を伝えてこい。俺達は元々奴らの壊滅、そして情報収集のためにきたんだ。全滅するわけにはいかない。」

 

横になっていた吉田が、何とか起き上がり俺に言った

 

「隊長…なに…言ってるんすか…俺は…まだ戦えます…」

 

それは無理な話だ

 

吉田は奴らにミサイルを放った。が、跳ね返され自爆してしまい、身体中が焼け焦げてしまっていのだ。

 

本来なら重症で、即手術しなければならないレベルだ。

 

「バカを言え。痛みを押し殺しながら言っても説得力がないぞ、怪我人が戦場に残っても邪魔だ。冷静になれ」

 

「…」

 

「…じゃないですか」

 

「なんだ」

 

「…冷静じゃないのは隊長じゃないですか!」

 

とっさに口をふさいだ。

 

奴らは耳が敏感だ。大声や銃声をあげればすぐよってくるだろう。

 

すぐに周りを警戒したが、他の味方の銃声音に、声は書き消されていたようだった。

 

一息つき、純香を見ると、半壊したバイザー越しに、歪んだ顔になってしまった彼女から、一筋の涙が見えた。

 

「…冷静じゃないのは隊長ですよ…私たちは隊長と違って怪我を負ってるんです…このまま生存率が低い私たちが撤退するよりも、まだ深い怪我を負っていない、隊長が行ってください。…民間人は怪我人優先、軍人は生存率の高さを優先するよう、学ばせていたのは隊長ですよ」

 

「…ならお前たちも一緒にこい …お前たちを見捨てたくない」

 

「バカに…しないで…ください…隊長は…自信の教えを…破るん…ですか…俺は…俺たちは…まだ…戦えるって…言ってる…んです…先に…撤退…してて…ください…すぐ…追い付き…ますから…」

 

「それに誰かが動きだしたら、奴らにすぐに気づかれます。…私たちが簡単に死ぬと思いますか?隊長は強いですけど、私たちだって対アンノウンの訓練を積んできてるんですからね」

 

「隊長…行って…ください…」

 

この選択は、誰もが簡単に答えをだせるものではないだろう。吉田や純香は俺の大事な部下だ。俺は5年この2人と

同じ釜の飯を食ってきた中だ。置いて行けるわけがない。

 

だが、俺は隊長だ。

 

「……すまない」

 

俺は彼女たちを尻目に、重い鎧を動かしながら走った。

 

彼女は腹がえぐれていた。

 

彼女も痛みを我慢していたのだ

遠目だったが、鎧が何とか腸が飛び出るのを防いでいる状態だ。彼女も吉田のように立っていられないはずだ。それなのに、何事も無さそうに俺の前で過ごしていた。

 

…そんな中でも辛い顔を見せずに俺を優先したんだ。その願いを無駄にするわけにはいかない。

 

「絶対に助けを呼ぶ。それまで…耐えていてくれ…」

 

 

500m程走った所だった。

 

後ろから、銃声のあと、悲鳴が聞こえた

 

「きゃぁぁ!!」

 

俺は耳に響く絶望と痛みの叫び声を遮るように走った。

 

「痛い!痛い!痛いぃ!!」

 

この結末は見えていたはずた。

 

「アァァ!!」

 

それでも俺を行かせた。何としても、俺だけでも撤退し、一軍人として、情報伝達をする必要があった。 

 

だが聞こえてしまった。

 

「隊長ぉぉぉおお!!!」

 

俺の名を、叫ぶ声を

 

あの二人は痛みに負け、俺に助けをよんだのだ。

 

彼女らの顔が頭に浮かんだ

 

「…クソッッ!!」

 

俺も良心に負け、心を押さえることができなかった。

 

俺は振り返り全速力で走り戻った。

 

ボンベの酸素量が薄くなるくらい全速力で走り続けた。

 

もうどうなろうと知ったことではない。あの二人は大事な部下で、家族だ。失いたくない。

 

隠れ蓑にしていた瓦礫の元についた。

 

だが、視界に入ったのは、奴ら数十匹の背中の、何かを喰らう姿だった。

 

彼女らはもう、戻らなくなっていた

 

吉田だったものは鎧こど皮をはがされ、骨が見えるほど肉を噛みちぎられ、臓器はむしりだされており、何とか人間の形を保ち、ぐちゃぐちゃになっていた。

 

純香はそこら辺にバラバラになっていた。壁や床が血に染め上がり湿っていた。奴らは彼女の装甲を無理矢理引き剥がし、まるでチキンのようにむしって食っていたのだ。

 

足元を見た。彼女の顔が血まみれで転がっていた。絶望と苦しみの中で恐怖で歪んだ顔をしていた。

 

 

奴らは顔が特徴的だ。個体差はあるが4本の角が生え、目が赤くトマトのように丸く、口は鋭く尖っている

 

俺はその時、奴らの顔がまるで俺を笑っているように見えた。

 

 

一瞬にして理性が飛んだ

 

「うぉぉぉおお!!」

 

俺は引き金を引き続けた。

 

弾がきれた。

 

ナイフを取り出し、怒りに任せ奴らを斬りつけた。

 

何度も、何度も。例え動かなくなっても何度も斬りつけた。

 

 

痛みを感じなくなってきた

 

奴らに切り裂かれ、

 

体から血が吹き出し、

 

視界が歪みながら、ふらふらと切り裂き続けていた。

 

奴らは俺がまだ倒れないとふみ、集団戦法をとり、一斉に襲い掛かってきた。

 

俺はもう、助からないだろう。助かる気もない。

 

身も心もズタズタにされた。

 

…二人の元に向かおう

 

 

その時

 

「ダーー…」

 

後ろから銃声が響いた。

 

俺のは弾が残っていないはずだ。

 

かといって味方は俺以外、ここまで戻って来るまでに銃声が聞こえなかったことから、全滅しているはず。

 

思ったもつかの間、何者かたちは一斉射撃で奴らを蹴散らしていた。

 

奴らが皆バラバラになったのを、俺は倒れかけた状態で一瞥し、振り返るとどうやら同軍のようだった。

 

一見するに彼らも撤退の途中だったんだろう。

 

出血量が多く、俺は力尽き、床に倒れた。

 

 

 

 

「グッ…」

 

身体中の痛みを感じながら、目を覚ますと装甲車の荷台に揺れながらも横になっていた。

 

「…俺は生きてたのか」

 

周りを見ると腕を失ったものや、両足がないもの、顔の一部がぶっ飛んでいるもの。ましてや民間人も乗り合わせていた。

 

皆悲痛な声を発している。まるで地獄だ

 

「起きたかい? …君は噛まれてないようだね、良かった…」

 

「…噛まれる?」

 

「ああ…知らないんだね… まぁすぐわかるよ、これから今後の事について防衛省の方から連絡があるんだ。その時に説明をしてくれる。今、俺達はこの車で「外」に向かってるんだ。」

 

俺は話が頭に入っていなかった。

 

自分だけ助かった。

 

任務はこれで達成できるが、二人は二度と戻らぬ人となってしまった。

 

「…あっ、見えてきたよ」

 

彼が指を指した。

 

そこには東西が見えなくなるほど長く建てられ、ビル20階建てを軽く越え、自動重火器が取り付けられ、鉄でできた無機質で巨大な壁が建設されていた。

 

「あれは「僕たち」人間を救う、希望の壁だよ。もうここまで完成してるとは思わなかったな~」

 

「…」

 

壁。

 

その差が今後の我々、いや、人類の運命を大きく変えることとなるとは、まだ俺は知る由もなかった

 

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