インフィニット・ストラトス~2度目人生で宇宙へ~ 作:とあるP
第4話 クラス対抗戦~前編~
1組との合同授業が終わった放課後。晃は自室へと戻っている途中に、総合案内所に1人の女子生徒がいた。
栗色の髪をツインテールにし、肩だしIS制服にカスタマイズした子は、どこか嘆いているように見えた。
「あ~もう!職員室ってどこにあるのよ…この学園広すぎ~!」
別に無視しても良いかと思ったが、後味の悪い事になりそうだと思い、晃は助けることにした。
「どうかしましたか?」
「あ、ちょっといい?職員室の場所を知りたいんだけど」
「ああ、それならここから反対側の方にあるから案内しますよ」
「ありがとう~!私
「僕は田島 晃と言いますよ。凰さん」
「鈴でいいわよ。他の人もそう言っているし」
「では、鈴さんで」
「まぁそれでもいいわ。それよりも晃って2人目の男性操縦者かしら?」
「その認識で合っていると思いますよ」
「そうよねぇ~アタシも一夏が動かしたって知って大慌てしたもん」
「…織斑と知り合いなの?」
「ええそうよ。一夏とは幼馴染なのよ」
「…そうなんだ。着いたよ。ここが職員室になるよ」
「そう、ありがとうね。それじゃあまた明日ね」
そう言って鈴は職員室の中に入って行くのであった。それを見送った晃は自室に戻ってシャワーを浴びたが、頭の中ではモヤモヤしていた。
晃には親しい友人がいない。それこそ、最も信頼できる人はIS学園に入るまでいなかった。
転生してから極力関わらないようにして来たからだ。だから、一夏に鈴の様な幼馴染がいる事に、少しだけ嫉妬してしまった。
「…幼馴染か」
考えても仕方ないと思った晃は、考えるのをやめて寝ることにした。
次の日。昨日約束した通り、ISの特訓を千冬と行うためにISスーツを着て第4アリーナに来てみると思いもよらない人がいた。
「あれ、箒?」
「おはよう。晃」
「おはよう。珍しいね、箒がここにいるなんて」
「ああ、千冬さんが特訓に付き合うなんて滅多にないからな。それに、戦い方を少しでも近くで見ておきたいからな」
「そうなんだ。ところで織斑は?」
「一夏なら、多分寝ているんじゃあないか」
「…そっか、アイツの事だから邪魔しに来ると思ったよ」
「無理もない。千冬さんから師事を受けるなんてないからな」
「そうだよな。この機会を最大限に活かすようにするよ」
「来たな。田島」
「織斑先生、朝早くからありがとうございます」
箒と雑談している時に、ジャージ姿の千冬が現れた。手には2本の竹刀が握られていた。
「これから特訓を始めるが、初っ端からISを使った訓練は出来ない。そこで、お前の実力を知るために少し打ち合ってもらう」
そして、2本の竹刀の内1本を晃に投げると、千冬は正眼の構えをした。晃はどうすればいいか分からなかったが、とりあえず千冬と同じ構えをするのであった。
「よし、構えは様になっているな。何処からでもいい。遠慮なく打ってこい」
「それじゃあ、行きます!!」
それから1時間費やしてたっぷりと打ち合いをしていた。途中、晃が倒れてしまう場面があったが根をあげることなく、最後までやり切った。
そして、朝食まで30分となった時に1日目の訓練は終わった。晃は終わる頃には汗だくで地面に大の字に倒れていた。
「田島。これからは、この特訓もトレーニングメニューに加えておけ」
「ハァ、ハァ、は、はい…わかり、ました…」
「なに、最後まで全力でやってのけたのだ。それだけ疲れるのは当たり前だ」
「そう、ですかね…」
「ああ、アイツも最初はこんな感じだった。それに比べればお前の方がマシな方だ」
「…ありがとうございました」
「うむ。精進しろよ」
そう言って、千冬と箒は出て行った。晃は自室に戻ってシャワーを浴びるのであった。
~千冬・箒side~
「篠ノ之。田島は剣道の経験はあるのか?」
「え?さぁ、初めてだと思ってます」
私は、自室に帰る途中に千冬さんに聞かれて曖昧な事しか言えなった。
「今日訓練してわかった事だが、田島は初心者ながら、私の型をして来た。しかも今日は初日だから軽めにしたが、苦しいとか言っていない」
「晃もここに来てから日々体力作りに励んでいましたからね」
「ほう?何だかずっと傍で見ているような言いぶりだな」
「な、なんでもないですよ!///」
「まぁ、田島はモテそうだからな」
「え!?」
「どうした?田島がモテては不味いのか?」
「そ、そんな事ないですよ」
確かに晃は一夏と違って日々努力しているように見える。しかし、焦っているような感じがしていた。
だが、アイツは3組だから、直接的なアドバイスは出来ない。だから、遠くで見守るしかないかもしれないな…
~千冬・箒side out~
朝一の特訓を終えてシャワーを浴びた晃は制服に着替えて教室に向かっていた。時間的に朝飯は無理と判断して、ゼリーとカロリー〇イトで済ませてしまった。そして、続々とクラスメイトが集まって来た。
「おはよう。晃君」
「おはようございマス。晃サン」
「おはよう。アキラ」
「おはよう、みんな」
「見てたわよ。織斑先生との特訓。アンタ日本の剣道なんて出来たのね」
「そんな事ないよ。ただ織斑先生の型を真似しただけだからね」
「それでも凄いよ!晃君」
「ハイ!流石晃サンデス」
「アハハ…ありがとうね」
そんな事を話していると、ロゼッタ先生が現れたので、3人はそれぞれの席に着いた。
昼休み。いつもの様に4人で食事を取ろうと食堂に向かったら、先客が居た。
「お!晃じゃないか!」
「…」
「なぁ、お前も来いよ!鈴が話したがっているんだ」
「…どうする?」
「入口に居てもしょうがないでしょ。行きましょう」
「ですね」
「ハイ」
「はぁ~わかったよ」
晃はため息をつくと、仕方なく一夏達の席に向かって行った。そこには、鈴の他に箒、セシリアの姿もあった。
どうやら晃達が来る前に、ひと悶着あったようだ。
「で、どこまで話したっけ?」
「一夏!この女が幼馴染ってどういうことよ!」
「ああ、箒の事か?箒とは小4まで一緒だったらだろ?小5から中学校までは鈴と一緒だったからな。だから、箒はファースト幼馴染。鈴はセカンド幼馴染ってことだ」
「ああ、そうことね」
一夏はそう説明したが、晃は(幼馴染にファーストもセカンドもあるのか)と疑問に思っていた。そして、鈴は晃達に向き合った。
「初めまして。中国代表候補生の凰鈴音よ。宜しくね」
「ジャマイカ代表候補生のターニャ・アジャイルよ。会えてうれしいわ」
「晃君クラスメイトの高橋あやめです。よろしくお願いしますね。凰さん」
「サーシャ言いマス。ヨロシクお願いシマス」
「初めまして。イギリス代表候補生のセシリア・オルコットですわ。以後お見知りおきを」
「篠ノ之 箒だ」
全員が自己紹介をしたのを確認したので、食事をする事にした。そんな中晃達はおもむろに立ち上がった。
「どうしたの?晃?」
「ごめんね、僕達食券を買っていないから、これから買って来るよ。先に食べていていいから」
そう言って、食券買ってくるのであった。晃はサバの味噌煮、あやめとサーシャはサンドイッチ。ターニャはハンバーグ定食にした。
そして、4人は鈴達のテーブルで一緒に食べていた。時折、一夏が話したがっていたが、鈴に邪魔されてそれどころではなかった。
昼休みも終わり、談笑していると話しは次のクラス対抗戦の話題になった。
「そう言えば一夏、アンタ一組のクラス代表になったんだって」
「そうなんだよ。おかしいよな、セシリアに負けたのにさぁ」
「一夏さんは圧倒的に戦う機会が少ないですからね。場数を稼ぐためにもクラス代表になっていただいた方が、手っ取り早いと思ましてね」
「へぇ~そうだったのね。じゃあ、3組は?」
「3組は僕だよ」
「そうなんだぜ!晃のISとっても強いんだぜ」
「…そんな事ないよ」
「へぇ~ねぇ晃。今度手合わせしない?」
「いいけど、その前に箒とセシリアからも言われているんだ。それが終わってからね」
「あらら、意外とモテるのね」
「晃君どういうこと!」
「晃サン!」
「アキラ!アンタね私と言うものが居ながらそんな事していたの!」
「ええ!」
この言い方に晃は驚くしかなかった。あやめとサーシャはよく一緒にいるから何とかなく、分かっていたが。ターニャにたっては、知り合って間もないのに、「晃は私の物!」みたいな言い方をしてる。
「はぁ、なら鈴さん。手合わせはクラス対抗戦の後で構わないかな?」
「ええ、アタシもいきなり言って悪かったわ」
「なら、これで失礼するよ」
「じゃあ、また後でね」
「またな~晃~!」
最後に一夏が何か言っていたが、それを聞きく前に晃は食堂を後にした。そして、午後の授業が始まった。
IS学園にも、通常の高校と同じ5教科の科目がある。転生した晃にとっては朝飯前だが、サボるわけにはいかない。淡々と授業が進み、気が付けば放課後になっていた。
放課後は生徒会長との特訓になる。朝は織斑先生との特訓で基礎知識・体力作りを行う。放課後は楯無との特訓により応用と判断力を養う。
これは、ロゼッタ先生からのプランで晃様に組立られた内容であった。最短で強くなるにはこれくらいしないといけない。
晃は自身のIS【Space Knight】を纏いながら楯無からの攻撃を避けていた。
「ほらほら!逃げてばっかりじゃあ当てられないわよ!」
「チィ!」
晃がいくら舌打ちしても相手は待ってくれない。ここぞとばかりに攻撃をしてくるので、避けるので精一杯になってしまう。また、ある程度距離を離してもすぐに追いついてくる。それでも晃は反撃の隙を伺っていた。
「そこだ!」
「残念♪」
「グハ!」
「ほら、ほら、私はここよ~」
「…そうですね!」
「おっと」
「せぃ!はっ!とりゃ!」
「お、とっ」
「もらった!」
「甘いわよ♪」
寸前の所で躱されて空へ逃げた楯無。それを確認した晃も空へと飛んだ。
「そろそろ終わりにしようかしら」
「…奇遇ですね。僕もそう思っていましたよ」
「あら?何か秘策があるのかしら?」
「ええ、とっておきのがね」
「ふぅ~ん。ならお姉さんも頑張らないとね」
「行きます!」
晃はその場から勢い良く上昇した。そしてレイを呼び出した。
レイ、いる?
(はい。マスター)
例のアレ、試してみるよ
(しかし、アレはまだ…)
わかってるよ。今回は試運転だから、全力で使わないよ
(本当ですか?時々マスターは嘘をつきますからね)
そ、ソンナコトナイヨ
(カタコトになっていますよ。…はぁ、今回は大目に見ますからね)
レイとの思念通信を終えて楯無と再び対峙した。
「ねぇ?何しているの?」
「ちょっとした作戦会議ですよ。それじゃあ行きますよ!」
「ええ!」
そう言って、晃はある呪文を唱え始めた
『我は騎士、我は騎士団長、我は近衛騎兵、そして、我は世界を統べる王となる!刮目せよ!全知全能の王の姿を!』
そう言うと、以前の様に晃のIS【Space Knight】が黄金色の輝きを見せた。そして楯無に向かって行った。
「な、何よあれ!」
『行くぞ!』
「き、来なさい!」
『フン!』
「は、早い!」
『こっちだ!』
「え…きゃ!」
楯無は目の前に来た晃に攻撃を使用としたが、寸前の所で消えてしまい背中から攻撃を受けて、逆にダメージをおってしまった。その後は晃の独壇場だった。
『セイ!ハァ!ドリャア!』
「何で当たらないの!」
『フン!』
「キャーーー!」
「更識楯無SEエンプティ!勝者田島晃!」
そして、楯無のSEが0になり特訓は終了した。ミステリアス・レイディが待機状態に戻るのと同時に晃のISも通常モードに戻っていた。今回は倒れることはなかった。
「ちょっと!田島君強くない!」
「いゃ~今回は
「それでちょっとなの!」
『田島。遠慮することはない。こいつは前回の事があるから、遠慮する必要なんてなかったんだぞ』
「織斑先生?」
そこには、管制室でマイクを握っている千冬とマリンが居た。マリンは晃に何かあった時の為に待機していた。
『そうだ。そいつは、IS初心者のお前に大技を出したんだからな』
「織斑先生!」
「そう言えば、そうでしたね」
「田島君!」
「冗談ですよ。けど、これからは気をつけてくださいね」
「は、はい!」
これで楯無との訓練は終了した。晃はライラに整備を依頼すると、自室に戻ろうとしたが、その前に立ちはだかる人がいた。
「マリンさん?」
「元気そうで何よりだ」
「ええ、おかげさまで…」
そう言って、晃はマリンの横を通り過ぎようとしたが、捕まってしまった。
「ちょっと待て」
「どうしたんですか?早く帰りたいんですけど」
「田島、どうしてそんなに汗をかいている?」
「!」
「動悸も早いし、脈拍数も不安定だ」
「…離してください。大丈夫ですよから」
「大丈夫かどうかは、医者である私が決める。付いて来い」
マリンは有無を言わせることなく晃の腕を掴んで、保健室に引っ張って行った。そして、聴診器を当てて診察をし始めた。
「…フム。大分落ち着いて来たな」
「ですから、大丈夫だと言ったじゃあないですか」
「そう言っても、君は先のクラス代表決定戦で昏睡状態が3日間も続いたんだ。心配にはなるさ」
「…ありがとうございます」
「まぁ、大分体力が付いてきたから大丈夫だと思うがね。念には念を入れてね」
「もう帰ってもいいですか?」
「ああ、引き留めてしまって悪かったね」
「いえ、それじゃあ失礼しました」
晃が保健室を出て直ぐにマリンは手元のカルテを見た。そのカルテには「田島 晃」と書かれており、晃が以前昏睡状態に陥った時に彼のカルテを作成していた。
しかし、そこには様々な不明な点があった。
(どうも気になる部分がある。彼は16だと言うのに、骨格、体の構造が成人男性その物の様に見える。加えて、あの異常なまでの疲労度だ)
マリンは様々な疑問を出てきたが、全ては憶測であり事実では無い。
「まぁ、気長に待とうか」
そう言ってマリンは晃のカルテに『○月×日異常なし』と記入して、保健室を後にした。
その日の放課後。楯無との冬との特訓が終わって自室に戻る途中、ベンチに1人佇んでいる女子生徒がいた。
「あれは、鈴さん?」
「あ、晃…」
「どうしたんですか。こんな所で?」
「ちょっとね…」
「ふ~ん…風邪ひかないでくださいね」
「って!ちょっと!話し聞きなさいよ」
「なんで?」
「心配じゃあないの!」
「…別に」
「…アンタ友達いないでしょ」
「……」
「何か言いなさいよ」
「ソンナコトナイヨ…」
「どうだか…」
結局晃は鈴の悩みを聞くために、自室に招待した。部屋にはこれといって無駄なものがなく綺麗に整っていた。
「案外片付いているのね」
「元々そんなに物を持ってないからね。とりあえずお茶でも飲みましか?」
「いいの?」
「客なんだ。ゆっくりしてくれ」
「…ありがとう」
そう言って、2人分のお茶を用意すると晃は話すように促した。
「それで、どうしたんだ?」
「実は…」
話しを聞いた晃は呆れて物も言えない想いだった。話しを聞いてみると、一夏と鈴は小学校の時に“ある約束”をしていた。それは『大きくなったら毎日味噌汁を作ってあげる』の中国版で『大きくなったら毎日酢豚を作ってあげる』と言い約束した。
その話しを今日したら、思わぬことに解釈していた。何と、一夏は『大きくなったら毎日酢豚奢ってやる』と思っていた。これには鈴も怒らずにはいられなかった。そして、頬に一発入れて来た。
流石にこの話しを聞いた晃は
「あほくさ…」
「ちょっと!こっちは真剣に悩んでんのよ」
「はぁ~だったら言わせてもらいますよ。どうして、その時にちゃんと想いを伝えていなかったんですか?」
「そ、それは…恥ずかしかったし///」
「その結果が今の状況じゃあないですか?」
「え?」
「僕が見る限り、大半の女性陣が織斑の事狙っているし、箒も何だか訳ありみたいだしね」
「うっ!」
「それに、例えが悪すぎる。もっとストレートに言わないと」
「はぁ~そうよね…」
「…それで?どうするんですか?」
「そんなの…ちゃんとハッキリさせるわよ」
「へぇ~何か手立てはあるの?」
「次のクラス対抗戦に勝ったら、勝者の言うことを何でも聞いてもらう約束をするわ!」
鈴はそう高らかに宣言した。その事を聞いた晃は「もう好きにやってくれ…」と投げやりになった。
そして、千冬と楯無の特訓を経て、迎えたクラス対抗戦。組み合わせによると1組と2組で行われて、3組は4組で行われる。対戦表には次の通りになっていた。
第一試合
織斑 一夏 VS 凰 鈴音
第二試合
田島 晃 VS 更識 簪
晃は4組の更識の文字に既視感を出した。
「更識?そう言えば会長の苗字も更識だったな。何か関係性があるのかな?」
「あちゃ~簪ちゃんね?」
「知り合いですか?」
「知り合いも何も、私の妹よ」
「そうだったんですね」
「ええ、けど簪ちゃんと仲良くなくてね…」
「ふ~ん」
実際晃にも妹がいるが、仲は良い方だから、楯無の言葉がよく分からなかった。
そう言っていると、妙な視線を感じ振り返ってみるとそこには、楯無と同じ髪色だがメガネをかけており、明るい姉とは反対にちょっと暗いイメージがある女の子が柱の影からこちらを覗いていた。
その子は晃の事をジッと見ながら徐々に近づいて来た。
「……」
「えっと…更識簪さん?」
「…うん」
「僕に何か用かな?」
「…別に」
「そっか…」
「…うん」
「……」
「……」
ちょっとした沈黙が流れた後アリーナの方からワァァァァ!と声が上がった。どうやら第一試合が始まったらしい。
晃は観戦しようとしてアリーナに向かおうとしたら、簪の姿はそこにはなかった。
「あれ更識さんは?」
「簪ちゃんなら、もう行っちゃたわよ」
「そうですか…」
「ほら、私達も行きましょう」
「はい」
そう言いって、晃は楯無と一緒に向かうのであった。
アリーナの通路で楯無と別れて、クラスメイがいる場所へと向かった。あやめとサーシャは生のISバトルに興奮しており、ターニャに至っては代表候補生視点で分析をしていた。
「晃君どこ行っていたの?」
「そうですヨ。心配したんデスヨ」
「ごめんね。ちょっと迷っちゃって」
「それもいいけど、今いいところよ」
鈴のIS【甲龍】は第3世代型、近距離格闘型でパワータイプ+格闘と射撃の複合型であった。肩にある肩の非固定浮遊部位(アンロックユニット)に特徴的な棘付き装甲(スパイク・アーマー)を持ち、スライドした中に衝撃砲2門を両肩に装備している。
一夏は何とか鈴に近づこうとした。しかし、見えないところから衝撃が発生し一夏を襲った。
「ターニャさん、あれは?」
「あれは、龍砲よ」
「龍砲?」
「ええ、龍砲はね簡単に言えば、馬鹿でかい衝撃力を持った空気砲よ」
「え?」
「空間自体に圧力をかけて砲身を生成するのよ。だから、砲身も砲弾も眼に見えないのが特徴よ。その上、砲身斜角がほぼ制限なしで撃てるわ」
「凄いねターニャさん!」
「ふ、フン///このくらい、代表候補生にとっては朝飯前よ///」
ターニャが詳しく説明している時に事件が起きた。一夏が鈴に斬りかかろうとした瞬間、アリーナのバリアを突き破るくらいのビーム光線が、グランドに落ちたのだ。
ドコーーン!!
「何今の音!」
「バリアが破られた!?」
『緊急事態発生!緊急事態発生!トーナメントは中止!来賓者は速やかに所定のシェルターに避難してください。繰り返します…』
「僕達も避難しよう」
『ええ(ハイ)』
先ほどの攻撃を受けて、会場はパニック状態になった。かくゆう晃達も近くのシェルターに避難する為に移動しようとしたが、とんでもない事が起きていた。
「あれ!ドアが開かないんだけど!」
「そんな!開けて!」ドンドン
「助けてーー!」
なんと、先ほどの攻撃でドアが開かなくなってしまっていた。仕方なく晃はロゼッタ先生に連絡を入れた。
「ロゼッタ先生、晃です」
『どうしたんだい坊や?』
「今、第四ゲートに居るんですけど、ドアが開か居ないんです」
『ちょっと待っててね…わかったよ。どうやらハッキングされているね』
「誰にです?」
『それはね…「ちょっと!アキラ、あれ!」』
「うん?」
ターニャの声を聞いてアリーナの方を見るとそこには…
「何だ…あれは…」
そこには、黒いフルスキャンの謎のISがいた。特徴としては、両腕は2倍近く大きく、ビーム砲が装備されている。また、顔には無数の穴が空いているが、腕や足の形、骨格までもが人間そのだった。
「フルスキャンのISは見たことけど、ここまで不気味な奴は見たことないわ」
「ロゼッタ先生。何ですかあのISは?」
『う~ん…今こっちでも調べているけど、多分あのISが原因かもしれないねぇ~』
「そうですか…ならこのドアを破壊します」
「えええ~!」
「アキラそれ本気!?」
「ああ、それしか方法がないんだろう」
「でもね…」
「それに、こんな状況を一気に打開するにはこれしかないんだ。いいですねロゼッタ先生」
『こっちがダメだって言っても聞かないんだろ坊やは…わかったよ』
「ありがとうございます」
『但し、戻ってきたら反省文10枚だからね』
「分かりました」
そう言って、晃はSpace Knightの待機状態である、三角形の青白いペンダントを握ってISを展開するのであった。
行くよレイ!
(はい、マスター)
Space Knightを纏った晃はドアから離れる様に指示した。
「皆さん下がって!」
「貴方は?」
「一年三組田島 晃です。今からこのドアを破壊します」
そう言って、両手剣を装備した晃はドアの前に立った。そして…
「フン!!」
バッキーン!
斜め上から振り下げられた剣によってドアは真っ二つになった。それを確認した晃は「押さないでください!」と注意喚起をしながら、避難誘導をしていた。
「晃君凄い!」
「流石晃デス!」
「ありがとう。2人も早く逃げて」
『うん(ハイ)』
「ほら、ターニャさんも」
「嫌よ!アタシは代表候補生。あのISを叩き潰すわ」
「…わかったよ」
そう言って、2人は謎のISと一夏・鈴がいるアリーナに向かうのであった。