インフィニット・ストラトス~2度目人生で宇宙へ~ 作:とあるP
久しぶりにこちらの作品の更新になります。
それでは本編をどうぞ!
シャルルの件で相談をしにきた晃はその日の夜、寮監室に赴いた。
「夜分遅くに失礼いたします。田島 晃です」
『た、田島か!少し待ってくれ!』
「はぁ、いいですけど…」
そう言って、10分程待ったが、その間部屋の中からは物をひっくり返すほどの大きな音が聞こえてきた。
ドガーーン
何かあったと思い晃はドアを開けると、部屋の中はゴミ屋敷と言っていいほど散らかっていた。
「織斑先生!?大丈夫ですか?」
『だ、大丈夫だ!気にしないでくれ!』
「しかし…すみません。失礼します」
『あ、田島!』
「織斑先生!…ってなんですかこの部屋は?」
「あぅぅ~///」
部屋へと通じる廊下には、酒瓶や缶ビールが転がっており台所にはつまみがそのまま放置している。更に、服は干しっぱなしでしわくちゃになっている。辛うじて、下着は無かったが、よく見ると押入れに赤色の布が見えている。
これを見た晃は相談する前に先ずは、ここをどうにかする事を選んだ。
「ち、違うんだ!田島!」
「何が違うんですか?」
「それは…その…そう!最近忙しくてなぁろくに飯や家事が出来てなくてな…それに仕事が溜まってしまって…その…」
「はぁ…わかりました。それじゃあ僕は台所と廊下を掃除するので織斑先生は部屋の中を掃除してください」
「…怒らないのか?」
「別にいいです。その代わり僕のOKが出るまで何度でもやり直しさせますかね」
「は、はい…」
こうして、
そして、2時間かけてようやくOKが出たので本題に入る事が出来た。
「すまんな田島。部屋の掃除を手伝って貰っただけではなく料理もしてもらうとは…」
「別にいいですよ。こちらこそ貴重なお時間を頂いたので…それで相談したいことですが」
そこからは、デュノアが女子であること。デュノア社が経営難に陥っていること。更には一夏が自分で解決しようとしていることを全て話し出した。それを聞いた千冬はまたしても、頭を抱えてしまった。
「…以上が相談の内容です」
「そうか…一夏の奴どうして私に話してくれなかったんだ」
「恐らくですけど織斑は、自分一人で解決して“シャルルを守った”と言う箔が欲しいんでしょう」
「事の重大さに気がつかなかったのか…わかった。すまなかったな田島」
そう言って、千冬は頭を下げてきた。それを晃は必死になって止めた。
「やめてください。貴女が頭を下げる必要なんてありませんよ」
「いや、アイツの心配事を察してやれなかった。それに昼間のボーデヴィッヒの件だってそうだ。あんな風に育てた覚えはなかったのにな」
「それじゃあ、ボーデヴィッヒさんはかつての教え子だったんですか?」
「ああ、実はな…」
そこからは千冬の過去の話しだった。モンドグロッソ2連覇がかかった大事な試合の前に一夏が何者かに誘拐された。誘拐犯の要求は『モンドグロッソの棄権』だった。犯人側の要求を飲むため、千冬はモンドグロッソ決勝戦を棄権した。そして、ドイツ軍の協力の下一夏を救出する事に成功した。その見返りとして、1年間ドイツにてISの教鞭を取った。
その時居たのがラウラだった。
「…という事があってな。だからボーデヴィッヒはかつての教え子だったんだ」
「教え子というよりも、熱狂的な信者の様な感覚に見えましたがね」
「ああ、力を求める余りあんな感情しか持ち合わせていなくてな…本題に戻ろう」
「ええ、僕が考えた計画は2つです」
晃の考え方はこうだ。まず、晃のIS【Space Knight】のコア人格に依頼し、デュノア社のネットワークにハッキングする。そこでデュノア社社長のアルベール・デュノアとコンタクトを取る。
次に、アルベール・デュノアを元凶であるシャノワール・デュノアと引き離してデュノア社から亡命させ、IS学園の技術統括責任者としてトップで迎え入れる。
最後にデュノア社の不正を全世界に知らせ、デュノア社を倒産させる。
「と言うプランがあるんですが、いかがでしょうか?」
「うむ、いい考えだ。だが、問題点がある」
「ええ、亡命に成功したとしたらシャルルは二度とフランスの地を踏めないでしょう」
「ああ、それにフランス政府がIS委員会に難癖をつけてデュノアを強制送還させるかもしれん…」
「そうですよね…」
「うむむ…どうしたものか」
そんな風に悩んでいると1本の電話が晃にかかってきた。知らない番号だったが出てみる事にした。
「もしもし?」
『ハロハロ~!アッキー元気だった?』
「その声…束さんですか?」
『ピンポン!ピンポン!ピンポン!大~正~解!大天災の束さんだよ!』
「た、束だと!田島スピーカーモードにしてくれ!」
「わかりました」
『あれ?その声はもしかしてちーちゃん?』
「そうだ。このバカ兎め。田島にまで迷惑をかけおって」
『まぁまぁいいじゃん!それよりも、アッキーはその子を救いたいの?』
「僕は…ただ生きることに絶望している子を野放しにしておくのは嫌なので…」
「田島…」
『ふ~んまぁアッキーがする事に束さんは賛成だけどね。それで段取りだけど、基本的にアッキーの作戦を主軸としてイレギュラーが起こったら、束さんがフォローするよ』
「ありがとうございます。束さん」
「束。今回の件だが公になるとIS学園側としても困る。そうならないように、細心の注意を払って行うぞ」
『ラジャー!それじゃあまたね~』
そう言って、束は電話を切った。晃も作戦決行日を明後日として寮監室を後にした。
そして、作戦決行日。幸いにも学園は休みで、ほとんどの生徒達がIS学園を離れている中晃は第三アリーナのピットにいた。
その中には、千冬、ロゼッタ、シャルルそして、ターニャの姿があった。千冬は万が一の事を考えてターニャを護衛として付けたのだ。
「それじゃあ織斑先生行ってきます」
「うむ。無事で帰って来るんだぞ」
「晃…ごめんね。僕の事で…」
「気にするなって言うのは無理があるから、僕が戻るまで織斑のこと頼んだよ」
「…わかったよ」
「無事で帰って来るんだよ坊や」
「それじゃあ、行ってきます。行くよレイ」
(了解です。マスター)
そう言って、晃とターニャはIS【Space Knight】と【ウルバリン】を纏った。そして、ピットから飛び出して行った。
目指すはフランスのデュノア社本社である。なお、束が事前にフランス政府に圧力をかけて2人がフランスに行く事は事前に伝えてある。
そして、ISを使い1時間弱でフランスはデュノア社にたどり着いた。受付にアルベール・デュノアとの面会を要求した晃は早速彼との面会を果たしたのだった。
「失礼します。社長、IS学園からのお客様です」
「入ってもらえ」
「失礼します。IS学園の田島 晃です。彼女はジャマイカ代表候補生のターニャ・アジャイルさんです」
「初めまして、ジャマイカ代表候補生のターニャ・アジャイルです」
「こちらこそ、デュノア社社長。アルベール・デュノアだ」
「早速ですがデュノア社長。少しだけPCをお借りしても宜しいでしょうか?」
「ああ、構わないが…」
「失礼します」
そう言って、晃はアルベールのPCからある人物へ連絡した。その先に居たのは、シャルルと千冬がいた。
『…お父さん』
「…シャルル。それにブリュンヒルデも居るということは」
「ええ、既にシャルルさんが女性である事はバレています」
「なんだと!」
「ご安心ください。この件を知っているのは極一部の人間です。ですが、事を大事にしたくありませんので、早速本題に移ります」
「本題だと?」
「ええ、単刀直入に申し上げます。アルベール社長、日本に亡命なさいませんか?」
「なんだと?会社を捨てろと言うのか!」
「違います。今回の件、妻のシャノワール・デュノアさんが仕組んだ事は明白です。だが、貴方は事前に察知してシャルルをIS学園へ避難させた」
「…」
「目的は後妻であるシャノワールさんからシャルルを守りたかった。違いますか?」
『お父さん…』
「…そうだ。彼女は会社の利益だけを考えて行動していた。そして、私とジャンヌとの間に生まれたシャルルを毛嫌いしていた」
『…』
「だが、彼女にIS適性があると知ると目の色を変えて来た。そして、シャルルに男装させ3人目の男性操縦者と偽り、広告塔として使いだしたのだ」
「…」
「だから、私は国際情勢が一切干渉しないIS学園へとシャルルを避難させたんだ…すまなかった」
『お父さん…ありがとう』
それを聞いたシャルルは涙を流していた。自分は捨てられたんじゃない…父親から疎まれていたんじゃない。むしろ大事にされていたと…
「それで、アルベールさん。これは先程の提案に追加ですが、亡命先は「IS学園技術顧問」と「株式会社スペースノイドの社長」になります」
「ちょっと待って、「IS学園技術顧問」は分かるが、なぜ「株式会社スペースノイド」と言う会社社長になるんだ?」
「それには、この人から説明してもらいましょう」
そう言って、再びPCを操作させてある人物とコンタクトを取った。その人物こそ世界中が血眼になって探している大天災篠ノ之束本人だった。
『ハロハロ~!大天災の束さんだよ~』
「た、束博士!どうしてここに!」
『どうしてって?アッキーに協力しているんだよ。凡人の君でもわかるだろ』
「は、はぁ…」
『さっき話したことだけど「株式会社スペースノイド」はアッキーと私の夢でもあるISを宇宙で使う為の第一歩なんだよ。その為に凡人の技術を使いたいって言ってんだよ』
「そういうことです。力を貸して頂けないでしょうか?」
「…魅力的な話しだが、私一人ではどうにもできない」
「そこで、まだシャノワール・デュノアの息がかかっていない社員を引き抜いて欲しいのです。そこから会社を設立しアルベールさんに社長を行ってほしいのです」
『お父さん、お願いします!晃の力になって!』
「シャルル…わかりました。このアルベール・デュノアの力をお貸し致しましょう」
そう言って、晃とアルベールは握手をした。
とりあえず、アルベールには社員の確保を行ってもらう為一旦別れて晃とターニャはフランスを後にするのであった。
晃とターニャが帰った後のIS学園。千冬とシャルルは安堵した顔をしていた。
「ふぅ~何とかなったな。それにしても田島には驚かされる」
「そうですよね。あの交渉力には驚いています」
「本当に一夏や篠ノ之と同い年かと思うと怪しくなってくる。こういう所を学んで欲しいものだ」
「ただ、これで全部が解決したわけではない」
「え?」
「日本に亡命するとなると、故郷のフランスに戻れるかどうかわからんからな」
「ええ!それはちょっと…」
「まぁその事も考慮して田島に任せてある。今は田島を信じようではないか」
「わかりました」
そう言って、シャルルと千冬は部屋を後にするのであった。