魔法科高校の星光の殲滅者   作:狩村 花蓮

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前書きと言われてなかなかいい案が浮かばない私がいます。本来であれば追憶編は原作だと後の方に当たりますが、この小説では転生という手段を取っている以上飛ばすわけにはいきませんでした。という訳で追憶編からのスタートです。第二話、どうぞ。



2021/08/11 シュテルの出自に関すること、時系列などの再整理をしました。





追憶編
第二話 追憶編 Ⅰ 始まりと接触


ここはどこだろうか、知らない天井だ。そして私は今、見覚えのある二人に抱かれています。確かに私は言いました。ある家庭と関係の深い人間として転生させてくれって。

 

しかし、しかしですよ?こんなことって・・・・・・・・

 

(四葉真夜の子供って、どういうことだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)

 

その声とは裏腹に、その赤子はその産声を上げた。

 

四葉真夜の手によって四葉家に生まれたイレギュラー、シュテル・ヨツバ・スタークス。彼女の魔法技能は目を見張るものがあった。齢3にして、一般的な魔法技能、そのすべての魔法が行使可能という実験結果をたたき出した。

 

しかも、精神干渉系魔法に関しては、親である真夜すら凌ぐほどだという。これは、そのあとに生まれた、後に司波達也と呼ばれる少年よりも四葉家を震撼させた。やろうと思えば高難度の魔法である分解や再生なども使え

 

戦略級魔法すら行使可能というこの事実を聞いた当時の四葉家当主、四葉元造は弟である四葉英作の助言もあり、分家である黒羽家、その当主である黒羽重蔵に”何故か”暗殺技術を含めた戦闘術を叩き込むように頼んだ。

 

その時、弟の英作に何を吹き混まれたのかはいまだ分かっていない。そしてシュテルは5歳にして、裏社会へと足を踏み入れた。最初は、四葉家から出された指令、それに指定されていた人物の特定から始まり、時には奇襲で、またある時は色仕掛けで対象を殺していった。

 

それは何も犯罪者だけではなかった。時にはマフィアを、時には軍の脱走兵を、またある時には四葉家が管理している捕虜収監所にいたすでに用済みの捕虜などを、シュテルはまだ物心もついていない年齢で、その手にかけたのだ。

 

しかも彼女は、やっていることを理解せず、まるでゲーム感覚で無表情のまま人の命を奪っていったのだ。殺されたものは、死の直前、その顔を見て何を思ったのだろう?今となっては分からないことずくめだ。

 

しかも、彼女の使う魔法は、現存するすべての魔法とは全く違う技術で構成されていた。治療魔法を使えば瀕死の患者だろうが問答無用で完璧に治し、跡は一切残らない。彼女がひとたび攻撃に転じれば彼女の髪の色と同じ黒が混じったような

 

可視化されるほどのサイオンの塊が、逃げるものをどこまでも追いかけ肉塊へと変えていく。しかもサイオンを検知する機器などにそれは引っかからない。傍目に見れば突然人が爆散したように見えるだろう。

 

死体という情報も魔法の痕跡も残らない彼女の殺しは後処理が楽という点でかなり重宝された。ところが、彼女はそれでも人だった。自身や家族に害を及ぼすなら躊躇はしない冷徹な目を持つ少女、それでも彼女はまだ年頃の女の子だったのだ。

 

彼女が10歳のころ、人で言う物心がつく年頃、彼女は今まで自分が何をしていたのか悟った。そして彼女は、壊れたのだ。始まりは、部屋の中から聞こえた絶叫だった。使用人は何事かと焦り、ドアをノックせずに部屋に入った。

 

するとそこには、部屋に置かれていたカッターナイフで自身ののどを搔っ切ろうとしているシュテルの姿。慌てて使用人が止めに入るが、その間シュテルはいつもの冷徹で寡黙だった彼女とは打って変わり、

 

まるで劫火に焼かれて泣き叫ぶ人間のように、ただ狂ったように、「死なせて!」と叫んでいたらしい。彼女は四葉元造の娘である深夜と真夜の手によって止められ、眠らされた。そして、このことを知った四葉元造は

 

自身が行ったことがどれほどシュテルの負担になっていたかを知ることとなった。そしてそれを容認した四葉真夜もまた然りであった。その後、シュテルは真夜の精神干渉系魔法やメンタルカウンセリングなどによってかろうじて心が壊れずに立ち直った。

 

そして、彼女は裏の世界から足を洗い、今では真夜や深夜と一緒に割と平和に暮らしている。しかし彼女の心はどこか、歪んでいるように見えたそうだ。時々、窓の外を見上げたかと思えば、涙を流し刃物に手をかけようとすることが何度かあったらしい。

 

今のところは外傷をおっているわけではなく、大けがもしていない。しかしどこかおかしいような彼女。サスペンスドラマを見せれば殺人のシーンを見るや否や奇声を上げその場にうずくまることもしばしばあった。

 

”あまりにも精神が弱すぎる”。四葉家が彼女に下した判定はその一言に尽きる。冷徹に人を殺した彼女は、あり得ないほど精神が常人にそっくりだったのだ。まるでがわだけの仕事人のような感じである。

 

人を殺す。・・・・・・・・ひいては人を傷つけることに対しての耐性が彼女にはなさ過ぎたのである。

 


 

私、渡辺彩香。なんやかんやあって魔法科高校の劣等生の世界に転生しました。しかも、あの四葉の実の娘にです。小さいころに人殺しをさせられて危うく精神異常者一歩手前まで行きましたが何とか持ち直しました。

 

しかし、それからというものなんやかんやありましていろいろとおかしなことになっています。

 

そう、彼女こそ、転生をした渡辺彩香もとい、シュテル・ヨツバ・スタークスその人である。彼女が転生して既に13年が経過している。(ちなみに達也と深雪が生まれたのはシュテルが生まれた翌年のことである)

 

「ドウシテコウナッタ?」

 

もうすぐ彼女は中学生となるため、今日は四葉真夜と会うことになっている。しかし彼女は乗り気ではなかった。なんでかって?それは、

 

「お母さま、シュテルです。ただいま参りました。」

「・・・・・・・・ハッ!ちょちょっと待っててね?今開けるわ。」

 

そう、この人の性格があまりにも原作と離れすぎているからだ。えぇっと?この人こんな家族思いな、家族Loveな人だったっけ?原作だともっと冷たい人だと思ってたんだけど・・・・・・・・全くそうは見えない。

 

むしろ親バカレベルだと思ってる。えぇ思ってますとも。彼女はその重い足を引きずりながら部屋へと入っていく。

 

「お母さま、いったい何に手間取っていたので?」

「すこし、残っていた仕事を終わらせました。あなたが来るのだから、終わらせておくのが常でしょ?」

 

と、男が見たら即オチ2コマを引き起こしそうな笑顔をシュテルに向けるのは四葉真夜。シュテルを生んだ肉親である。しかし彼女は事故で生殖機能を失っていたはずだが、なぜシュテルを産めたのか。

 

その疑問を問うても、のらりくらりとかわす真夜は、やはり後ろめたいことがあるのだろう。こうして、彩香もとい、シュテルと真夜の祝賀会(という名の食事会)が始まった。

 

「そういえばシュテル。あなたは深雪を知っているかしら?」

「はい、知っています。彼女の能力は、そのものを比べると私よりも数段上です。ただ、まだ扱い方に難ありだとは思いますが、今の年齢でそれほどまでの力があるのは純粋にすごいと私は思います。」

「やはりあなたの目にもそう映るのね。」

 

司波深雪、真夜の姉である司波深夜の実の娘にして、シュテルの一つ年下、最初に魔法を触った時すでに、その時現役で活躍していたシュテルの実力を、ゆうに上回る魔法師の素質を見せた、とても外見が整った美少女である。

 

彼女と深雪が初めて会ったのは、シュテルが8歳のころで、その時はシュテルが任務終わりで久方ぶりに家に帰ってきた時である。その当時、海外の大学を飛び級で合格したことになっているシュテルは、学校には行かず黒羽のもとで任務に就いていたのだ。

 

しかし彼女は気になっていた。それは直属の上司である黒羽貢から聞かされたあることについてだった。それは、シュテルに並ぶ秀才が四葉に増えたというもの。何でも、初めて魔法に触れたはずなのに、振動・減速系の魔法に関してはシュテルを上回り

 

それ以外の魔法の素質も若干勝るという何とも素晴らしい評価をもらったそうだ。

 

(素晴らしい才能を持っているようですね。・・・・・・・・私で勝てるでしょうか?)

 

そんなことを考えながら四葉家の母屋に入ってきたときに、入口にあった噴水をこらせた女の子が目に留まった。それこそが件の司波深雪だった。それからというものの、暇があれば深雪の魔法を見ることになった。

 

”何故か”身分を隠すことになったが。それからは”黒羽の構成員でかなりの実力がある下っ端”というなんだか凝っているような凝っていないような肩書を言い渡され、”メイドの修行をしている"という名目で、である。

 

何もそこまで徹底することはないと思うのだが・・・・・・・・

 

「そういえば、彼女には血のつながった兄がいましたね。」

「あぁ、あの子ね。魔法師としてはいろいろとアウトだけど、実戦ではあなた以外には絶対負けないと思うわよ。」

「お母さま。それは身内贔屓が過ぎます。私が彼とやりあったところで勝てる見込みは一割もありませんよ。」

 

そう、深雪の実の兄である達也には、ゲームで言うところの対魔法師とか、魔法師特攻とか言われそうな、魔法師に対しての切り札的なものが多数存在する。その中には魔法そのものを破壊するものまで含まれており

 

シュテルとて、魔法を破壊されては勝てるわけがないのだ。

 

「あら?でもあなた、アンティナイトのキャストジャミング程度なら問題なく魔法を行使できるのではなくて?」

「お母さま、それは魔法が発動しても破壊されなければ、です。魔法式そのものを破壊できる達也にとって、私など敵ではないでしょう。」

「あらまぁ。でもあなたにはあなたにしかない特別なものを持っているじゃない。であれば切り札なんて呼ばれないわよ。」

「えぇまぁ、それはそうですが・・・・・・・・。それでもですね。使う前に無力化されれば終わりですし、司波達也にはそれが可能だと思われます」

 

そう、シュテルには魔法式を必要としない魔法があるのだ。まぁ実際それの多くはCADと一体となったあるデバイスを使わなければ制御ができず、せいぜい使えるとして、バインドぐらいではある。

 

しかし彼女の神髄は、その正確無比な魔法の操り方にある。世界最巧と言われている、九島 烈でさえ、シュテルの操作能力と応用能力には勝てない。これは本人が実際にシュテルと戦った時の感想だ。

 

しかしそれだって、デバイスを破壊されたら意味を失う。だからこそ、シュテルは達也と戦いたくないのだ。

 

「それで?司波兄妹の話を持ち出したということは、それがらみなんでしょう?殺せという命令以外なら基本的に聞きますよ。」

「さすがね。あなたの洞察力には白旗を上げるわ。今回の命令は、あの兄妹の従姉として一緒に住んでほしいというものです。」

 

今、このお方は何と言ったのか?司波兄妹と住め、そうおっしゃったのか?シュテルはいまだ真夜の言葉を理解できずにいた。

 

「お母さま、それは何ですか?あの兄妹と衣食住を共にしろと?」

「えぇ、そういうことよ。あなたには彼らが暴走しないようにストッパーとなってほしいのと、これは個人的な目的ね。深夜の身を守ってほしいの。」

「しかし、あの人には専属のガーディアンがいたはずでは?」

「桜井穂波のことね。あなたも知っていると思うけど、彼女は調整体です。なので過度な魔法行使をすると最悪死んでしまいます。シュテル。我が子にこんなことを頼むのは母親として忍びないけど、どうか私の姉妹を守って頂戴。」

「・・・・・・・・はい、分かりました。」

 

シュテルは心の中で、今更殺人とかやってきた人間に言う言葉じゃないだろうと思いながら、渋々といった表情でその命令を受諾した。

 

 

同日 四葉家本家邸宅、深夜の部屋の前にシュテルはいた。真夜を連れて、だ。しかしいいのだろうか?とシュテルは思い始めていた。確か、真夜と深夜の仲は最悪だと聞いたが、本当にうまくいくのだろうか、と年甲斐もなく思ったからである。

 

真夜が深夜の部屋の扉をノックする。

 

「姉さん、私よ。入ってもいいかしら?」

「あら、真夜。いいわよ。どうぞ。」

 

真夜とシュテルは部屋の中へと足を進める。そこには、髪型が違うだけで、顔は真夜と変わらない美女、いや美魔女と言ったほうがいいか。司波深夜がベッドに寝ていた。深夜は体を起こすと、シュテルの方を向いた。

 

「あらシュテル、あなたも一緒だったのね。」

「はい、深夜叔母様。ご機嫌麗しゅうございます。」

「フフフっ、堅苦しいのはなしよ。私が許すわ。」

「はい、分かりました。叔母様。」

「それで真夜。今日は何の用?」

「姉さんの子供がいるじゃない。この子をその中に入れてほしいのよ。」

「あぁ、達也さんに深雪ね。あなたが私に頼み込んでくるなんて珍しいわね。分かったわ。私の子供ってことにしておくわ。改竄の方はよろしくお願いね。」

「分かったわ姉さん。シュテル、あなたはこれから姉さんの子供としてふるまいなさい。誰かの前で私と合ったら、叔母だといいなさい。分かった?」

「はい、分かりました。叔母様。」

「よろしい。じゃあ後はお願いね。」

 

そういって真夜は深夜の部屋を出ていく。それを確認するとシュテルは深夜の方を向く。

 

「それでお叔母様。私はあなたのことをなんとお呼びすればいいのでしょうか?」

「そうねぇ・・・・普通にお母さんでいいわよ。」

「分かりました。お母さま。」

「もう。別に様付けはいらないのに・・・・・・・・」

「いえ、いくら血のつながりがあろうと、四葉家現当主、四葉真夜の姉である深夜様をお母さんと呼ぶのは出来かねます。これは信用問題にかかわることです。」

「・・・・・・・・もう、分かったわよ。あなたの好きに呼びなさい。」

「お心のままに。」

 

シュテルはその後、深夜のガーディアンである、桜井穂波の案内のもと、達也と深雪のところへと向かった。その実シュテルにとって達也と深雪に会うのは初めてである。兄妹のことは映像でしか見たことがなく

 

実際に面と向かって話したことはない。シュテルは内心楽しみにしていた。シュテルは二人がいる部屋へと足を踏み入れた。するとやはりというべきか、達也に”全く興味を示していない”深雪の姿を見た。

 

「こんにちは、深雪に達也。シュテル・ヨツバ・スタークスです。急な話ではあるのですが、私はあなたたちの兄妹の一員となるそうです。義理の関係ではありますが、どうかよろしくお願いします。」

「こんにちわ、シュテル・ヨツバ・スタークスさん。司波深雪です。ご当主様からお話は聞いていました。これからよろしくね。私は深雪でいいわよ。私もシュテルって呼ぶから。」

「分かりました。改めてよろしくお願いしますね。深雪。して、達也のことは何と呼べばいいのでしょう。」

「自分は何と呼ばれても構いません。」

「分かりました。では達也とお呼びします。あなたも砕けて、シュテル、と呼んでください。」

「・・・・・・・・お前はその喋り方がデフォルトか?シュテル。」

「そうですね。小さいころからこの口調でしたので。まぁ、癖のようなものです。」

「そうか、改めてよろしく頼む。シュテル。」

「はい、達也。よろしくお願いします。」

 

達也とシュテルが話しているのを見て深雪が顔を膨らませていたのは言わないでおこう。すると達也が口を開いた。

 

「そういえばシュテル。お前のホウキを見せてはくれないか?特殊な形状をしていると聞いた。」

「それは私も気になります。誠に不本意ではありますが。」

 

どうやら深雪も気になるようだが、自分の兄と考えが被るということが嫌なのだろう。不機嫌そうに言った。

 

「えぇ、構いませんよ。」

 

そう言うとシュテルはポケットから青い水晶を取り出した。

 

「起きてください、”ルシフェリオン”」

 

するとその水晶の形が見る見るうちに変わっていき、それはすぐにシュテルの身長程度まである”杖”へと変わった。

 

「これがお前のホウキか?シュテル。」

「えぇ。私の愛機、ルシフェリオンです。まぁしかし、これはあまり外で使うものではありませんから、私自身、この子の性能の限界を知りません。」

「では、普段使っているCADとはまた別なのか。」

「はい、いつもはこっちを使っています。」

 

彼女が取り出したのは、短銃身の拳銃のようなCADだった。

 

「これはどこの会社のものだ?」

「これは、私のオリジナルです。名前はデストラクター。四葉の技術者と一緒に完成させた汎用型です。」

「シュテルはCADを自作できるんですか?」

「えぇ、まぁ完全オリジナルという訳ではないですが。何なら深雪のも作りましょうか?」

「いいの!?」

「えぇ、暇ですから。」

 

その後日、深雪用のCADが完成した。彼女はノリノリでそのCADにセッティングをしてもらい、発動してみると、あまりの処理速度の速さに驚いていた。

 

そして、シュテルが正式に司波家に入ってからしばらくした頃、三人は沖縄へと、来ていた。家族旅行である。相変わらず、達也の扱いは変わらなかったが

 

一つだけ、変化したことがある。それは、達也がシュテルと楽しそうに話しているということだ。達也は魔法以外のことに関しては超がつくほどの秀才である。

 

学業では、シュテルと肩を並べるほどの頭を持ち、運動能力もすごい、さらに深雪のガーディアンということもあって、格闘技にも精通している。人を殺したこともあるらしい。

 

それはシュテルも人のことを言えないので何も言わない。とにかく、シュテルにとって達也に勝てるものと言えば、CADの話ぐらいなものである。しかも、それすら最近達也に負けつつあるのだから

 

彼の研究者心はとんでもないものなのだろう。今日も今日とて深雪とその母親、深夜の荷物を持ちながら、シュテルとCADの話で盛り上がっている。深夜はそれを事実上黙認している。それは妹である

 

真夜からのお願いがあったからだ。なんでもほぼ人と接することなく育ったために、同じ話で盛り上がれる人ができたらなるべく邪魔しないでくれ、ということらしい。しかし、この話を素直に聞く深夜もまた

 

親バカなのかもしれない。こうしてシュテルたちは別荘へと足を運んだ。

 

 

今回、シュテルたちが来たのは恩納瀬良垣に深夜の夫が急遽買ったものだ。なんでも深夜が静かなところがいいというので買ったらしい。シュテルも一回あったことがるがその時の第一印象が

 

「お金で愛情がどうにでもできると思ってる。こいつは嫌な人種だ。」

 

であった。箱入り娘的な立ち位置にいたシュテルでさえそう思ったのだ。家族だったらどう思うか。そんなことを考えなら別荘につくとその玄関が勢いよく開いた。

 

「奥様、お待ちしておりました。」

 

その人物は深雪たちにとって、すでに家族のような人物だった。

 

「穂波さん!」

 

彼女は桜井穂波。司波深夜のガーディアンである。しかし、ガーディアンである傍らで、メイドのような仕事もやっている。例えばこのように先に現地入りして、場を整えるとか。

 

「お疲れ様。掃除は終わっていて?」

「はい、午前の内にすべて滞りなく終わりました。奥様。」

「そう、やはりあなたは私の誇るべき部下だわ。」

「そんな、私は奥様の役に立ててうれしいのです。ご命令とあらばこの桜井穂波、ガーディアンからメイドまで、すべての業務を滞りなく終わらせて見せましょう!」

 

穂波はとても張り切っていた。そんな彼女は達也の方へとよっていき、達也の持つ荷物を一つ、代わりに持った。

 

「手伝いますよ達也君。」

「いえ、気にされなくても。自分でやれます。」

「まぁまぁそう言わずに。私も一応ガーディアンなんだから、同じもの同士、ね?」

「・・・・・・・・お気遣い、痛み入ります。」

 

二人の仲は良さそうだ。深雪はそれを見ていかんともしがたい表情をしている。

 

「どうしました深雪。顔色が優れませんが。」

「ううん、なんでもないの。ただ、兄と穂波さんを見てると、なんだか変な気持ちになるの。」

「ふむ、深雪。それはひょっとすると嫉妬というやつかもしれません。」

「私が嫉妬?」

「はい、どっちに嫉妬しているかは分からないですが。」

 

この時深雪は初めて?穂波さんに嫉妬した。

 

その後一通り持ってきた荷物を一通りとき終わった段階で私ことシュテルは、穂波さんに声をかけられた。なんでも、深雪たちが散歩に出るからついて行ってやれということらしい。

 

勿論承諾した。今の私にとって、彼らと一緒にいる時間こそ唯一の楽しみだったのだ。断るはずがない。こうして私は達也と深雪と三人で散歩に出かけることになった。

 

その道中、深雪はあまりの気まずさに耐えられなかったのか、私に声をかけてきました。

 

「そう言えばシュテル。あなたにご兄弟はいるのかしら?」

「いえ、いませんが。それが何か?」

「別にこれといった理由はないわ。昔あなたによく似た使用人の方に魔法を教わったのを思い出しただけ。」

 

間違いなく私のことだった。

 

「成程。私によく似たですか。それはとても興味がありますね。」

「でしょう?」

 

私たちは笑いながら話していた。その時間は私にとってとても有意義な時間で、とても楽しかった。だからこそ、その時間を破った彼らがどうしようもなく許せなかった。

 

達也たちと散歩をしている最中、私たちに絡んでくる輩がいたのだ。それは沖縄でも有名なレフトブラッドという元外人兵士だった。相当鬱憤が貯まっていたのか、まるでチンピラのごとく深雪に絡んできた。

 

その瞬間、私の中で何かが切れました。私は、その男の眼前まで迫ると、ルシフェリオンを起動しました。そして

 

「バリア・・・・・・・・バースト。」

 

魔力で練ったシールドを展開しそのシールドをわざと爆発させ、相手を吹き飛ばしました。その男はギャグマンガもかくやという吹っ飛び方をし、その取り巻きの男たちはまるで死神を見たかの如く

 

逃げて行きました。後ろでは深雪が涙を浮かべています。

 

(これは、絶対に嫌われましたね。まぁ、あれだけのことを一瞬のうちに行ったのです。怖がってしまうのは当然でしょう。)

 

そう考えた私はただ一言

 

「帰りましょう。二人とも。」

 

そう言って、別荘へと帰りました。

 

 

私は初めて、シュテルを怖いと感じてしまいました。本当は分かっているのです。シュテルが私にされたことに対してとても怒っているということに。しかし、彼女の纏う雰囲気に私は怖気ついてしまいました。

 

その時の私の顔は泣いているようだったと聞きました。本当に私は、ひどいことをしてしまいました。

 




今回はここまでです。ちなみに追憶編は基本的に漫画の内容を原作を照らし合わせながら進めていきますが、どこか齟齬が出ると思うので、そこにはご容赦ください。ではまた次回。
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