魔法科高校の星光の殲滅者   作:狩村 花蓮

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Oh・・・・・・・・まさかここまでの人に読んでいただけるとは。私今泣きそうです!ほんとにありがとうございます!まぁそれは置いておいて本編行ってみましょう!


第八話 入学編 Ⅳ

 三人称side

今、何が起こった?そこにいた人のほとんどがそう思ったことだろう。何故、試合が開始した瞬間達也の姿が”消え”その瞬間に服部が床に倒れたのか?もし開始した直後に自己加速術式を使ったなら、その速度はもう一科生と勝るに劣らない。

 

ではなぜか、それは開始する前から展開したとしか、彼女たちには説明がつかなかった。たつやはCADを片付けるためにケースの方へと向かう。しかしそれを止められた。

 

「まて、君はあらかじめ自己加速術式を展開していたのか?」

「そうでないことは先輩が一番お分かりになると思いますが?」

 

そう、摩利はこの試合で不正が行われないように、全力で魔法の兆候を見ていた。しかしその摩利が試合をやめさせなかったということは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ではあの動きは何だ、突然消えたように見えたが?」

「あれは正真正銘、自分の身体的技能ですよ。」

「バカなっ!あの動きはそれこそそういうものを習っている人間にしか・・・・・・・・まさか、君は・・・・・・・・」

 

そこで深雪が口を挿む。

 

「えぇ、兄と姉は、忍術使い、九重八雲先生のもとで修業を受けているのですよ。」

「あの九重先生のもとでか?」

「えぇ、そうです。」

 

そこで真由美は一つ疑問を抱いた。

 

「では、あの攻撃に使った魔法も忍術ですか?私にはただサイオンの波動そのものを放ったようにしか見えなかったのですが。」

「いえ、生徒会長。達也が使ったあの攻撃は、振動系の基礎単一系術式。サイオンの波動を直接撃っただけです。」

「シュテル!大丈夫なのか?」

「えぇ、問題ありません。渡辺委員長。」

「ですか、それではんぞー君が倒れた理由がわからないんですが・・・・・・・・」

「それはですね、酔ったんですよ。」

「酔った?いったい何に?」

「魔法師というのは、魔法を扱う上で、サイオンを可視光線や可聴音波のように”知覚”します。ですから、自信が予期しないサイオンの波にさらされると、まるで船酔いのような感覚に錯覚するんです。」

「そんな・・・・・・・・魔法師は常にサイオンを浴びています。ましてや魔法科高校という魔法を専門的に扱う場所などでは特にその傾向が強い。その魔法師を倒れさせるほどの波を一体どうやって・・・・・・・・」

 

そこで鈴音が口を挿む。

 

「波の合成、ですね。」

「そのとおりです。先ほど達也は、振動系の術式を三回に分けて、それぞれ別々の出力で、その波がそれぞれ同じ場所、今回は服部先輩のいる位置で重なるように放ちました。」

「ですが・・・・・・・・それだと達也君が二科生である理由が説明できませんが。それだけの処理速度があれば、一科生と勝るとも劣りませんが・・・・・・・・」

「あのぉ―、もしかして司波君のCADはシルバーホーンではありませんか?」

 

まさかのタイミングで、おどおどしていたあずさが達也のCADを見て言う。

 

「あーちゃん、シルバーってあのトーラス・シルバーのシルバー?」

「そうです!」

「中条先輩のCAD談義が始まりそうなので、ここで私が簡潔に説明します。」

「!?ひどいですよシュテルちゃん!」

「それはさておき、達也のCAD、シルバーホーンには”ループキャスト”を行える機能があります。簡単に行ってしまえば、同じ魔法を繰り返す機能です。」

「しかしそれでは、並みの合成などは不可能なのでは?出力なども変数などで、変更しているならできますが・・・・・・・・まさか、それを行っているのですか?」

「えぇ、多変数化は、ここでのテストでは問われない、というか無視される項目ですからね。」

 

達也は何のためらいもなくそれを言った。周りは驚いているような顔をしていた。すると後ろの方で声が聞こえた。

 

「なるほど・・・・・・・シュテルが言ったことは本当のようだ。入試は実力を示せない。全くどうして、そのことに気づかなかったのか。いや、気づこうとしなかったからなのだろうな。」

 

服部は先ほどのダメージが抜けきっていないのか、朦朧としながらも立ち上がった。

 

「はんぞーくん?大丈夫なんですか?」

 

と、真由美はそんなことを服部に聞く。本人としてはほんとに心配して聞いたのだろうが、まずその顔立ちでそんなことを聞かれたら男子は全員顔を赤くしてしまうだろう。服部でさえそうなのだから。服部は顔を赤くしながら

 

「大丈夫ですっ!」

 

と、恥ずかしさをこらえるような言い方で言った。その時思いっきり真由美から視線を外していたのは言うまでもない。そしてそのままシュテルたちの方へと近づいてきた。そして

 

「申し訳ない。狂った目をしていたのはこちらの方だった、司波達也のことを悪く言い、君たち二人も馬鹿にしてしまったことを謝罪する。」

 

頭を下げてきた。潔い人ですねと思ったシュテルはその謝罪を受け入れた。

 

「いえ、こちらもあなたにひどいことをしてしまい、申し訳ありません。」

 

その後二人は和解をしたのか、とりあえず後腐れはなくなったとだけ記録しておく。しかし、シュテルは思っていた。

 

(私はやっぱり、メンタルが弱すぎる。あれだけであんなことになるなんて・・・・・・・・)

 

そう、問題なのはシュテルのメンタルが”弱すぎる”点である。元がただの一般人であることを加味しても、四歳のころから、人を殺すことにかかわってきた少女にしては、メンタルが弱すぎたのだ。

 

しかしそれは、存外簡単な方法で解消するのであった。シュテルは部屋を出ようとするが

 

「待て、シュテル君は残ってくれ。」

 

と、摩利から止められる。

「なんでしょうか?」

「いや、これは本来私が介入することではないのだろうが、ちょっと”お節介”を焼こうと思ってね。真由美、もうひと試合、頼めるか?」

「えぇ!?できないことはないけどどうして!?」

「シュテルの”弱さ”を直す荒治療だよ。」

「はぁ、分かったわ。そうなったらあなたは止まらないものね。いいでしょう。試合を認めます。」

「え?あの、渡辺先輩?姉様に何をするつもりなんですか?」

「ごめんな深雪君、君にはちょっと辛いかもしれんが、私はこんなことしかできないからな。という訳でシュテル、全力でかかってこい。」

 

突然のことにシュテルと深雪は何が何だかわからなかった。が、途端に摩利から発生した敵意を感じシュテルは理解した。

 

(この人、私を本当に完膚なきまで叩き潰すつもりなですね・・・・・・・・)

 

そう、疑いようもない”敵意”。そして全力でかかってこいというあのセリフは、私と全力の戦い(殺し合い)をしようと、そういうことなんだろう。シュテルはそう思った。だからこそ彼女は

 

「・・・・・・・・達也、私のCADはありますか?」

「シュテル!?その体では危険だ。やめておけ!」

「いいんです!だから早く!このままでは渡辺先輩に私が()()()()!」

 

達也は殺されるではなく壊されるといったシュテルの言葉を理解し、レイジングホーンを渡す。そしてシュテルはスタートラインに立つ。すると真由美がルールを説明してきた。

 

「ルールは単純明快、どちらかが試合続行不能になるまで終わりません。即死など、本当に殺してしまう術式以外なら何を使っても問題はありません。」

「会長!?」

「深雪!」

 

ルールがあまりにも”実戦に近い”ことに深雪が反論しようとするが、それをシュテルは止めた。

 

「これは完全な実戦。そういうことですよね?()()()()。まぁ、死という結果がない分こっちの方が難儀ではありますがね」

「そういうことだ、シュテル・シバ・スタークス。問答はいい、かかってこい」

「では遠慮なく・・・・・・・・」

 

そのとき、シュテルの目が変わった。絶対零度な目と似て非なる、戦いの目。それだけ、彼女は殺気を帯びているし、摩利もまた猛烈な殺気を放っている。まさに一触即発

 

そこに、開始のゴングはうたれた。

 

「始め!」

 

まずはお互いに自己加速術式を発動、互いに接近しつつ摩利はその右手を手刀の形に変えシュテルに襲い掛かる、シュテルはそれをいなし、摩利の鳩尾に掌底突きを当てようとした。が、その瞬間彼女の記憶からフィードバックされるのは

 

過去の忌々しい自分。感情を抑えられずに暴走し、以来彼女がそういう事柄に弱くなってしまったあの事件。彼女の手はそのせいでで寸でのでのところで止まってしまった。摩利はその機を逃すまいと、シュテルの足を払い、そのままサッカーボールを蹴るが如く

 

シュテルの腹の部分に硬化魔法で固くしたブーツによる蹴りを入れた。満足に受け身を取れなかったシュテルはその蹴りをもろに受けてしまい、そのまま吹き飛ばされる。

 

「シュテル、お前がどういう経験をして、なぜそのトラウマを抱えたかは知らんが、お前は自分を受け入れられてない。魔法そのものを受け入れられていない。けどな、魔法という一種の技能を持った以上、それを受け入れろ。お前は服部に対して言ったな。

魔法は技術だ。基礎だけができていても、応用ができる魔法師相手には基礎なんて効かないと。そうだ、魔法は技術だ。誰にでも使えるわけではない唯一無二の才能だ。そのことを分かっていながらお前は、魔法を持って生まれた自分を認められていない。

お前はただ、自分が魔法という訳の分からないものを持って生まれたことに戸惑っているだけだ。魔法という異能にも等しいそれを受け入れられず、魔法を使う自分が異質だと、歪な思想を持っているから弱い!お前に足りないのは、自分を肯定し

信じることだ。だからなシュテル。もう悩む必要はないんだ。もう少し自分を信じたらどうだ?お前が持つ魔法を、魔法という技能を、信じてみろ!」

 

その時、シュテルの中でくすぶっていたものが、突如なくなった気がした。気持ちが落ち着いてきたのかその顔は先の絶望に浸ったような顔ではなかった。

 

「・・・・・・・・渡辺先輩。言ってることがめちゃくちゃです。何を言っているんだか私にはわかりませんよ。」

「でも、吹っ切れたんだろ?」

「えぇ、私は、どこか歪です。そのことをどこか・・・・・・そう、無意識のうちに嫌悪していたんでしょうね。」

「今はどうだ?」

「もう、そんなことはどうでもよくなりました。私の過去がどうであろうと私は、今の私はシュテルです。魔法科高校の高校生、魔法師シュテル・シバ・スタークスです!渡辺先輩。もう遠慮はしませんから、お願いしますね。」

「フフッ、任された!」

 

それからの二人の戦いは、壮絶といっていいほど苛烈に、そして鮮烈に、その場にいたもの全員の目に焼き付けられた。

 

その後、二人はサイオン切れによる同時負け、すなわち引き分けで終わった。二人は演習室の床に仰向けに横たわるという、女性としては少々恥ずかしい格好でそこにいた。

 

「どうだ?吹っ切れたか?」

「えぇ、少なくとも、魔法を扱うものとしての自覚はできたつもりです。」

「ならば良し。では風紀委員会室に行こうか。これから風紀委員について説明をしなければなのでな。」

「了解です。渡辺先輩。」

 

先の戦いを通して、摩利とシュテルの間にはある種の、友情が芽生えていた。それを見ていた深雪は、達也にその疑問を投げかけた。

 

「あの、お兄様。お姉様はあれでよかったんでしょうか?」

「あぁ、多分あれでよかったと思う。人間そうそうトラウマを克服できるものではないが、あれだけ”人間味が溢れる”姿に変わったんだ。それだけでも、シュテルには大きな一歩になったと思うよ。」

 

過去を振り切ったシュテルの姿に、残りの兄妹は只々安堵するのみだった。




という訳で今回無理やりですが、シュテルさんの過去を振り切らせて?いただきました。メンタルが弱いというお声があったので、これを通して、メンタルが強いシュテルんをお送りできればいいなと思っています。ではまた次回!
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