魔法科高校の星光の殲滅者   作:狩村 花蓮

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第九話 入学編 Ⅴ

 三人称side

シュテルは未だ、摩利との戦闘によるダメージが抜けきっておらず、立って歩くことすら困難なほどになっていた。しかしその顔はとても清々しい笑みを浮かべていた。

 

「摩利先輩。動けますか?」

「いや、私はまだ動けないよ。クタクタだ。」

「私もです先輩。ですが、何故か清々しい気分です。」

「そうか、それは良かった。吹っ切れたようで何よりだよ。」

「はい。私はもう、逃げません。しっかりと立ち向かっていきます。」

「そうか・・・・・・・・ならば私が言うことは何もないな。迷ったらまた言ってくれ。力になろう。」

「はい・・・・・・・・ありがとうございます。摩利先輩。」

 

2人はフラフラになりながらもその場に立ち、握手を交わした。そんな中、あずさがシュテルに声をかけて来た。

 

「そう言えばシュテルさんのCADはシルバーホーンに似ていますね」

「えぇ、達也がたまたまシルバーホーンの初期モデルを持っていたのでそれをもらって、私が使える魔法を組み込んだ特化型CADです。

名前はレイジングホーン。これは私がハンドメイドしたものなので、世界中でも私しか持ってないですよ」

「ちょっと触ってもいいですか!?」

「えぇ、どうぞ」

 

シュテルはその手に持ったCAD、レイジングホーンをあずさに渡した。あずさはまるで新しいおもちゃを買ってもらった子供の如く興奮しており

 

何かぶつぶつ言っていた。これはしばらく止まらないなと思ったシュテルは、摩利の方へと視線を移した。

 

「渡辺先輩、そろそろ風紀委員会本部に行きませんか?いろいろとお聞きしたいことがあるんですが」

「おっと、すっかり忘れていたな。分かった、では行こうか、二人とも」

「分かりました。深雪、あとであずさ先輩から私のCADを返してもらっておいてくださいね?」

「分かりましたお姉様。」

 

シュテルと達也は摩利に連れられて、風紀委員会本部へと向かった。

 

「ここが風紀委員会の本部だ。基本的に集まるのはここで、出動の際はここか、自分のいるところから行ってもらうようになる。という訳で風紀委員会について説明するぞ。」

「渡辺先輩、私から質問いいでしょうか?」

「なんだいシュテル?」

「何故、私が選ばれたのでしょう?ほかに適任がいたのでは?例えば森崎とか・・・・・・・・」

「あぁ、その質問はもっともだな。いいだろう、説明しよう。シュテル、君の想像通り、本来であれば1-Aの森崎が選ばれる予定だった。しかし、入学二日目であの騒ぎを起こしたんだ。

当然、その選出は白紙になった。そして魔法ありきとはいえ、正確に相手のCADを吹き飛ばし、術式解体(グラム・デモリッション)という大技を使えた君が選出対象になったという訳だ。」

「なるほど、そういうことだったんですね。それなら仕方がないです。目を付けられてしまっていた以上、辞退することもできなかったでしょうしね。」

「そういうことだ。」

「それで風紀委員の話だが・・・・・・・・といってもほぼしてしまったな。」

「そうですか。では渡辺先輩、いいでしょうか?」

「なんだ改まって。言ってみろ。」

「では・・・・・・・・この部屋を片付けてもいいでしょうか?」

 

達也はそう言うと辺りを見回す。するとその部屋の惨状はひどいものだった。雑多なものは机の上に散らばっており、書類も投げ出されていた。

 

シュテルと達也は部屋の片づけをした。書類をまとめ、CADを棚に入れ、不必要なものは箱に入れて捨てる準備をする。こんな単調な作業をしている。

 

「摩利先輩。どうしてこんなに散らかってるんですか?片づけぐらいできると思うのですが・・・・・・・・」

 

シュテルがもっともらしいことを聞く。人数がいるのだから、それなりに部屋は片づけられるはずだ。しかしこの部屋はそんなことを微塵も思わせないほど絶望的に汚い。

 

かろうじて足の踏み場があるぐらいのスペースしかない。ほとんどが物で埋まっているのだ。

 

「あはは・・・・・・・・うちは男所帯だからな。どうしても片付けができないのだよ。」

 

そう言う摩利先輩の顔はとても引き攣っている。シュテルはそれを聞いて思った。

 

(あぁ、この人も後片付けが苦手なんでしょうね・・・・・・・・)

 

彼女が物を入れていた箱は今にも溢れそうになっていた。適当にものを詰めたという証拠である。その時不意に入口の扉が開いた。入ってきたのは2人の男子だった。

 

「ハヨーッス」

「おはようございます!」

「おっ?姐さん、いらしてたんですかい。」

 

姐さん。そのいかんともしがたい呼び名を聞いたシュテルは、これは摩利先輩のことなんでしょうと思ったのであった。

 

すると、姐さんといった方の男子が頭を丸めたノートでひっぱたかれた。

 

「ってぇ!」

「姐さんというなと何度も言っているだろう!お前の脳みそは飾りかっ!」

 

摩利は何度も何度もその男子生徒のことを叩いていた。その様子はまさにもぐらたたきのそれだった。

 

「そ、そんなポンポン叩かねぇでください。」

 

その男子もさすがに参ったのか弱々しいそう言った。その隣にいた男子も真顔で立っていたが、肩が若干震えている。

 

そんな中、その頭を叩かれていた男子がシュテルたちの方を向いた。そして制服の袖、エンブレムが入っているところを見ると、口を開いた。

 

「それで姐さん。そいつらは新入りですかい?」

「あぁ、紹介する。1-Aのシュテル・シバ・スタークスと1-Eの司波達也だ。二人とも今日から配属となった。」

「・・・・・・・・紋なしですかい。しかももう片方はか弱き乙女と見える。」

「辰巳先輩、先ほどの発言には違反的内容が含まれています。ここは、二科生というべきかと。重ねてか弱き乙女という発言は、差別及びセクハラに該当する表現が含まれている可能性があります。

気を付けたほうがいいかと。」

 

その二人は言い方こそ冷静そのものだが、心の奥では値踏みしているような、何とも言えない悪意のようなものがあった。そこに摩利が口を挿む。

 

「二人とも、実力を知らないからといって油断していると足元をすくわれるぞ?ここだけの話、先ほど実際に服部が足をすくわれたばかりだ。」

「なっ!?負けたんですかい?あの入学以来負け知らずの服部が?」

「あぁ、私が審判を務めた正式な試合でな。それに、もう一人は私と”全力”での勝負で私と互角に戦った。結果は引き分け。審判は真由美が務めた。これもまた正式な試合で、だ。」

「なんとっ!?委員長と互角に渡り合うとは・・・・・・・・すさまじいですね。」

「姐さん・・・・・・・・こいつは逸材ですね!」

 

先ほどまで避けるような眼をしていた二人は、それを聞くなり目の色を変えてシュテルたちの方を向いた。シュテルと達也はそれに驚きながら摩利の方を向いた。

 

すると摩利は少し笑った後口を開いた。

 

「私はね、ブルームだウィードだと変な肩書で優越感に浸り劣等感に溺れるやつが大嫌いだ。正直うんざりしていたんだよ、私は。だから今日の試合を見てちょっとばかし痛快だったんだよ。幸いにも

真由美や十文字は私がこんな性格だと知っているからね。風紀委員にはそういう思想の低い奴を選んでくれている。優越感がゼロとまでは言わないが、ちゃんと実力を評価できる奴ばかりだ。

だから、ここは君たちにとって居心地がいいところだと思うよ。」

 

摩利はそう言った。そう、彼女はしっかりと達也とシュテルの実力を評価していたのだ。他の生徒や教師とは違い、しっかりと実力を見て、それに見合った対応をする。恐らく二人にとってここほど居場所がいい場所はないかもしれない。

 

すると先ほどの男子二人が達也たちの前に来た。

 

「3-Cの辰巳鋼太郎(たつみこうたろう)だ。腕の立つ奴は大歓迎だ。よろしくな司波、そしてシュテルの嬢ちゃん。」

「2-Dの沢木碧(さわきみどり)だ。君たちを歓迎するよ。司波君、シュテルさん。」

 

こうしてシュテルたちは正式に風紀委員会へと入ることとなった。この後に起こる騒動に巻き込まれるとはいざ知らずに。




今回は短くてすいません。次回は割と長くなりそうです。なのはたちを出すのは次回ぐらいになりそうです。出され方に納得いかない方もいるかもしれませんがどうかよろしくお願いします。という訳でまた次回にお会いしましょう。
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