最悪の悪魔   作:カワイイもの好きのスライム

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どういうこと!?

20××年、世界は滅亡の危機に瀕していた――

 

以前まであった木々などは全て枯れ、空の青さもなくなった――

あるのは、損壊し崩れた瓦礫の山と幾つかの企業となぜか大量にある工場だけ・・

それに加え、空気が汚染されているためガスマスクを付けないと日常生活ができないレベルなのだ

 

こんな腐りきった世界で社畜のように扱われながらも懸命に生きているサラリーマンがいた

彼の名は『鈴木 悟』。

そんな彼に1つだけ楽しみがあった――それは『ユグドラシル』というDMMORPGゲームだ

彼は、そのゲームに課金するためだけに仕事をしているといって過言ではない廃課金ゲーマーなのだ

 

しかし、そんなある日いつも通り家に帰りユグドラシルにログインしようとすると運営から重要なお知らせと題されたメールが来ていたことに気づいた

その内容は本日の24時をもってユグドラシルのサービス提供を終了するといったものだった・・

 

「なんだってー!そんな大事なことは前もって言ってくれよ!」

 

大慌てでゲームにログインをしたが、自分以外来ているメンバーは居なかった

しかし、今の彼にそんなことを気にしている暇はなかった。すぐさまウインドウを開き『アインズ・ウール・ゴウン』のギルドメンバーに「今日がユグドラシルサービス最終日みたいなんですが、良かったら最終日ぐらいみんなで過ごしませんか?」と言う趣旨のメールを一斉送信した

 

それからと言うもの来たのは数名だけで、今まで自分たちがゲットしてきた武器やアイテムをギルド長であったアインズに預けに来たり、NPCのことを頼みに来たりする者が殆どで数分してログアウトして行ってしまった・・・誰もサービス終了時まで共にいてくれる人はいなかった――あの最も仲の良かったヘロヘロさんだって、すぐにいなくなってしまった

 

そのことにアインズは深い溜め息を吐いていた

 

「なんで、みんなそう簡単にいなくなるんだよ・・俺は、このギルドのことを本当の家族のように感じていたのに貴方たちは違ったのか!いや、それは違う・・・彼らだってこのギルドを愛していたはずだ・・ただリアルが忙しかったり、結婚して家庭を持ったり、夢を叶えただけだ・・・ただ、俺にはそれが無かっただけのこと・・・」

 

 

頭じゃモモンガだってしっかり理解はしているが、心がそれを受け入れられないだけだ

だから、こうやって自分の中に溜まったフラストレーションを発散しなければならなくなるのだ

 

そんな風に愚痴を溢していると、サービス終了まであと1時間もなくなっていたことに気づいた

 

「もうこんな時間か・・なら最後はナザリックにいるNPCたち全員を集めて命令でもするか」

 

そう呟きながら玉座の間から退出しNPC全員を呼びに行った

 

 

 

 

                                           ★★★

 

 

 

時間は少し遡り、アインズが玉座の間で愚痴を溢している間にもう一人この世界にログインした者が居た

彼の名は『黒野 真朱(まじゅ)

モモンガと同じとある会社のサラリーマンだった男だ。しかし、今日限りで会社は倒産し現在失業中の身である

そんな彼のアバターはガチガチの悪魔だ。背中に8つの漆黒の羽根を生やし、頭部には二本の角、衣装は黒のズボンに黒の服、更には指や首には様々なアクセサリーが付いており目は左が緑色、右目が紫色というオッドアイという見るからに悪魔の容姿を詰め込んだ感じだ――その名をハデスという

 

そして、凄いのはこのナザリックに存在するNPCの内殆どがハデス自身が創ったのだ。そんな彼は、自身で作り上げたNPCたちで凄まじい戦力を有している

保持戦力で見ればナザリック随一だろう・・・

そして彼自身戦闘力が高い。もし仮にこのナザリック内最強の階層守護者シャルティア=ブラッドフォールンと戦っても楽に勝てるだろう・・・

 

その悪魔が来た理由は、自分の根城である『幻夢城』に向かうためだ

その幻夢城には自身が今まで丹精込めて創り上げて来たNPCたちや武器、金銀財宝の全てが収められている

 

「しっかし、ここは相変わらずキレイだな・・ゲーム内の世界とは言え、流石に埃や塵ぐらいは積もるだろうに・・・モモンガさんが掃除でもしてくれてたのかな?」

 

そんなことを考えながら長い廊下を歩いていると第10階層にある厳つい扉の前まで来ていた

一応、余談としてこのナザリックは第1~10階層までの作りになっていて第1~第3階層の『墳墓』を真相(トゥルーヴァンパイア)のシャルティア=ブラッドフォールンが第4階層の『地底湖』をガルガンティアが第5階層の『氷河』を蟲の武王コキュートスが第6階層の『大森林』をダークエルフで姉のアウラ・ベラ・フィオーラと弟のマーレ・ベラ・フィオーレが第7階層の『溶岩』を悪魔のデミウルゴスが第8階層の『荒野』をアークエンジェルのヴィクティムが守護している。その各階層守護者たちをまとめているのが守護者統括のアルベド(サキュパス)なのだ。そして、第9階層はギルドメンバーの居住区、第10階層が娯楽施設やバー、食堂、スパリゾートナザリック、ハデスが守護する『幻夢城』が存在している

 

その扉を開けると先に広がっていたのは部屋ではなく、また別の世界・・・想像するならアニメや漫画なんかで出てくる魔王城とか悪魔城といった景色がわかりやすいだろう。今まさにその光景が目の前で広がっている

 

「相変わらずいつ見てもこの城はカッコイイ!」

 

自分が作った城を自画自賛しながら中に入ってみると、目の前にはすぐに階段があり、その階段の上には玉座がぽつんと置かれている。そして、その玉座の左右にも階段が二本存在しその先には幾つかの部屋が存在する。また、玉座前の階段横にも幾つかの部屋が存在し、そこがメイドたちの住処となっている。他にも手下には魔獣やガーゴイルなどがいるが彼らは外で生活し、ドラキュラやサキュパスなんかには専用の城を作り住まわせている

 

暫くこの場で思い出に耽っていると、サービス終了時間まであと数分しかないことに気づいた

 

「(まぁ、ギリギリにログアウトしても大丈夫でしょ・・・)」

 

そんな甘い考えをもった城主は、時間ギリギリまでNPCたちの設定を見たりしてさらに思い出に耽っていた

さて、そろそろログアウトしようかと思いウインドウを操作しようとしてもウインドウが出て来ず、GMコールさえ出てくることはなかった

この状況を見て、思い当たるのは3つだ――

 

 

①ユグドラシルのサービス終了が延期になった

②何らかの理由で『ユグドラシルⅡ』が開始された

③ゲームの世界が現実になった

 

しかし、①の可能性は低い。なぜなら、あの運営はやる!といったらやるから

すると②か?いや、それも違う・・・そんな告知はなかったから・・

残ったのは③だが、これは――あまりにもしっくりくる

 

「マジかー異世界転移ってやつかー・・・まぁ、リアルに未練ないからいっか」

 

自分が異世界転移したのは大問題のはずなのに城主ハデスは、あっさりとその問題を片づけてしまった

 

 

 

 

 

 

一方、玉座の間にNPCたちを集めたアインズはというと終止パニックになていた

 

「(これはどういうことだ?サービス終了時間過ぎているのにログアウトできない!しかも、GMコールすらないだと!?まさか、ゲームが現実になったのか?)」

 

そんなことを考えているとモモンガの横に佇んでいたアルベドがモモンガの様子がおかしいことに気づき声をかけた。すると、返って来た返事が「胸、触っていいか?」だった

流石に始めは驚いたが、至高の御方が私を求めていると思うと羞恥心より嬉しさの方が大きかった

 

さぁ、私はいつでも準備完了ですわ!

 

胸を揉みやすいように両腕に胸が乗るようにして至高の御方の前で待っているとモモンガ様が壊れ物を扱うかのように恐る恐る胸を鷲掴みしてくださいました

なんということでしょう!!!!!!!!!!!

 

「(ふむ、胸を触ってもセクハラアラートは鳴らないか・・・普段なら鳴るのだがな・・・そして、最も謎なのがアルベドが意思を持って言葉を発している点だ。普通NPCに自我は存在しない。それ故話すことさえできないはず・・・これはゲームが現実世界になったことで決まりだな)」

 

考え事に没頭していると、アルベドから艶めかしい声が聞こえてきていた

何事かと前を見ると、自分がまだアルベドの胸を鷲掴みしていたのだ

咄嗟に手を引いたが、アルベドの顔は赤味がかかっていた

 

「すまない、アルベド」

 

「いえ、御方がお望みならいつでも差し出しますわ」

 

「そ、そうか。それよりアルベド1時間後に第4、第8以外の階層守護者を連れて第6階層に来い。アウラとマーレには私から連絡しておく」

 

「畏まりました」

 

「次にセバス!お前には外の偵察にソリュシャンと行ってもらう。もし、知的生命体と遭遇した場合ソリュシャンを盾にして情報だけでも持ってこい。話し合いが可能なら私の前まで連れてこい」

 

「「畏まりました、モモンガ様」」

 

セバスとソリュシャン、アルベドに指示を出したアインズはすぐさまアウラとマーレに連絡し、自室に戻った

 

しばらく頭の中を整理していると、すぐに時間が過ぎ気づけばあと五分しかなかった

大体の現状を理解できたモモンガは先程よりかは冷静を取り戻していた。そして、そのまま第6階層に転移して行った

 

現地に着いてみると既に各守護者たちが闘技場に来ており、跪いていた

 

「遅くなってすまなかった、面を上げろ」

 

モモンガの命令に従順な守護者たちは、面を上げモモンガを凝視していた

 

「今回、お前たちを呼んだのは今現在このナザリックにおいて何者かに転移させられてしまったという問題が起きたからだ。」

 

その言葉を聞くと守護者たちは驚きの表情をしていたが、そんなのお構いなしに話を続けた

 

「その調査に先程セバスとソリュシャンを先程行かせた。まずは、その報告からだ」

 

「はい、まずナザリックの周囲には生体反応はございませんでした。村すらもです。それともう1つ。ナザリックの周囲は普段なら毒沼なのですが、今回は周囲は平原でした。以上です」

 

すると、その言葉を聞いていた守護者たちはまたもや驚きの表情をして口をポカンと開けたままだった

 

「今の報告どおり、ナザリックが転移された。よって、こ「誰でありんす!その扉の向こうにいるやつ出てくるでありんす!来ないならこっちから行くでありんすよ?」」

 

モモンガがこれからの方針を話し合おうとした最中、シャルティアが扉に向かって急に大声を出し始めた

するとキィィィィという音を立てながら出て来た人物に驚いた

 

 

 

『幻夢城』をでたあと、ナザリック内を歩いていると闘技場から話し合いが聞こえたから扉の前で聞き耳を立てているとシャルティアにあっさりバレてしまった

どうしようかと悩んでいると、シャルティアに宣戦布告されたため仕方なく扉を開けると守護者やモモンガ、セバスまでもがこっちを見ていた

 

「おぉー、ハデス様じゃないですか!!」

 

「久しいな、モモンガ!元気にしてたか?」

 

「おかげさまで!」

 

そんな支配者同士の会話に置いてけぼりを喰らった守護者たちだったが、ハデスに対する彼らの警戒心は依然高いままだった

だが、ずっとポカンとしているわけにはいかないためアルベドが代表して関係性を聞いてみた

 

「あの、モモンガ様、其方の方はどなたでしょうか?」

 

「ん?あぁ、お前たちは知らないのか。この悪魔は、私たちのギルドの神様だよ。といっても、種族的にはデミウルゴスと同じ悪魔だがな・・」

 

その言葉を聞いて守護者たちは至高の御方よりも高位の方がいることにビックリしているようだった

 

「自己紹介が遅れたな、俺はハデス。10階層にある『幻夢城』の城主だ。よろしくな」

 

自己紹介を聞き守護者たちは考える――

 

本当に自分たちが仕えるべきかどうか・・・

なぜ、至高の御方が様を付けて呼ぶのか・・

 

御身の前なのにそんなことがグルグルと守護者たちの頭の中を巡りに巡っている

すると先程の悪魔が口を開いてきた

 

 

「俺のことをまだ信じ切れていない者も多いだろうよ。だから、俺たちの話が終わったら俺一人VS守護者全員で手合わせしないか?なにせ、このナザリックにおいて力こそが全てなのだから!その手合わせ後に俺のことを教えてやるよ」

 

信じられなかった・・・

確かにこのナザリックにおいては力こそが全ての組織だ。そのことは理解している・・・

しかし、あの悪魔は一人でフル装備の守護者全員を相手にするつもりのようだ・・・

舐められたものだ、なにせこの中には階層最高のシャルティアがいるというのに・・・

 

 

 

 

あぁ、本当に舐められたものだ・・・




初めての投稿ということで張り切って多めに書いてしまいました。

読み切るのに時間がかかるかもしれませんが、感想などを貰えると嬉しいです。
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