ナザリック地下大墳墓第9階層の奥部屋ー
「う~ん、なかなか上手く操作できないな・・」
現在、この部屋では支配者であるアインズが
「そんなことは、ありません。アインズ様」
そんなアインズの言葉を否定したのは、執事長のセバス・チャンだ。彼はアインズの書斎に仕事の報告をしにきたのだが、アインズが「今から遠隔視の鏡《ミラー・オブ・リモート・ビューイング》を使い周囲の状態を確認する」と言ってきたので、そのまま残り一緒に確認することにしたのだ。そして、周囲の状態を確認しているとガチャという音を立てながら大きく重そうな扉が開かれた。
「よぉーアインズいるかー」
そんな気さくなで且つ敬意を払わない言葉を言いながら部屋に入って来たのは我らの至高の支配者と同じく至高の42人の一人である『幻夢城』城主ハデスだった。前までは、自分たちナザリックの者が仕えるに足らない人物であると思い特に敬意を払わなかったが、ある賭けをしハデスと階層守護者たちで戦い、仕えるに足りる人物であると認識しなおした人物だ。普段は、威厳なんか感じないがやるときはやる、そんな人物だ。実力的には、片手間で階層守護者全員をあやせる程だ。そんな人物がノックもせずにズカズカと入って来た。だが、アインズは遠隔視の鏡《ミラー・オブ・リモート・ビューイング》に集中しており、ハデスが来たことや呼ばれていることに全く気付いていない。しかし、ハデスはアインズがいることに気づくとドンドン近づいていきー
「なんだ、アインズいるじゃねーか。無視すんなよ」
と言いながらアインズの肩に手を置いた。すると、アインズはビクッとしながら後ろを向いた。
「ハ、ハハハハデス様!?いつの間に!?」
驚きすぎてイスから落ちてしまったアインスだが、ハデスはそんなのお構いなしに「何をしていたんだ?」と疑問をぶつけた。その疑問にアタフタしながらもなんとか質問に答えようとしていた。
「あ、今は遠隔視の鏡《ミラー・オブ・リモート・ビューイング》を使って周囲の状態を確認しているんです」
「遠隔視の鏡《ミラー・オブ・リモート・ビューイング》ね・・」
アインズが質問に答えると、ハデスは暫く考えたような素振りをし遠隔視の鏡《ミラー・オブ・リモート・ビューイング》を勝手に操作し始めた。その操作はアインズよりもスムーズに行えており、すぐに村を発見することができた。その様子を見ていたアインズは少しばかりショックを受けていた。しかし、発見した村は見たこともない鎧を着た兵士によって蹂躙されており既に何軒か家や畑が燃やされていた。違う箇所に目を向けてみると女性が何人かの兵士に犯されていたり、嬲られていたりしているのが映った。
「なぁ、これ祭りをしている風に見えるか?」
「いや、これは侵略行為じゃないですか?」
ハデスの問いかけに先程までテンパっていたアインズがいつもの口調で答えていた。そんなアインズは今度セバスに「お前はどう思う?」と問うてきた。しかし、その質問の意味がいまいちわからなかったセバスは「どうとは?」と問い直した。すると、先程から口を閉じていたハデスが今度は「これは祭りに見えるかどうかということだ」と聞いてきた。そういうことかと理解したセバスは正直に「いえ、これは虐殺をしているように見えます」と答えた。
「だよな・・」
「どうします、ハデスさん」
「・・・」
アインスの問いにどうしようかと考えていたハデスは暫く唸っていた。が、その時遠隔視の鏡《ミラー・オブ・リモート・ビューイング》に2人の兵士から逃げている姉妹の姿が映った。これを見たハデスは『チッ!』と舌打ちをしながら、どうするか決めた。
「このまま殺されるのを黙って見届けるのは気分が悪いから助けに行く。セバス、すぐにルシファーに『アズリエルに完全武装で来い』と伝えろ」
「了解しました」
ハデスはセバスに言伝を任せて、自分の目の前に
★★★★
人目についてはいけないだろうと思ったハデスは目的地よりも少し遠い場所に転移門《ゲート》を開いた。現場に着いたハデスは、先程遠隔視の鏡《ミラー・オブ・リモート・ビューイング》で見た姉妹を探していた。暫く探していると近くから<キャァァァァァアア>という悲鳴が聞こえて来た。すぐさま悲鳴が聞こえた場所に走った。
「頼むから間に合ってくれよ!」
ハデスが走っていると、背中を切られ大量の血を流している姉とそれを見て泣いている妹を発見した。ハデスは、すぐさま彼女らを庇うように目の前に立った
すると、自分の楽しみを邪魔されたからなのか、背中を切った兵士は機嫌を悪くしながらこちらに質問してきた。
「お前はだれだ?すぐにその場からどけ」
「退く気はない。それにお前たちに名乗る名なんかない!」
返答を聞いた兵士は遂に逆上し、ハデスを切り殺そうとしたが「しょうがない・・」と言いながら
「た、頼む・・助けてくれ・・なんで、も・・するから・・だから・・」
「・・・」
兵士はハデスに懸命に命乞いをするが、助ける気のないハデスは手で心臓を握り潰す動作をすると、口から血を吐きながら倒れ静かになった。その兵士が静かになると空間に黒い穴が出現し、中から漆黒の鎧を着た人物が出て来た。
「ハデス様、遅くなって申し訳ありません。アズリエル到着致しました。」
「うむ、忙しい時にすまんな。お前の好きな虐殺ができるぞ」
「本当ですか!?」
ハデスからのお言葉を聞いたアズリエルは目をキラキラさせながら口元から涎を垂らしていた。そんな彼女を見ていた姉妹はまたしても怯え、足元に水溜まりを作っていた。そのときだ、ようやく自分と主人であるハデス様以外の人物がいることに気が付いた。
「ハデス様、ここにいる下等生物も殺していいのですか?」
「ひぃ!どうかご勘弁を・・」
「いや、そいつらは違う。お前がやっていいのはそこの死んだ兵士と同じ鎧を着た者だけだ。というか、今回の目的はこいつらの救助と村の奪還だ」
「招致致しました。」
アズリエルに大まかなことを説明するとハデスは姉妹の下に行き姉の背中にポーションをぶっかけたながら「それで、お前たちは大丈夫か」と足元の水溜まりを見ながら質問していた。その質問の意味が分かったのか姉は「はい///」と顔を赤くしながら返事をしていた。それを見ていたハデスは(このままだと恥ずかしいよな・・はぁ、服でもやるか)と思い何もない空間に手を入れ中から小さな笛と2人分の服を出した
「とりあえず、そのままじゃ恥ずかしいだろうからこの服に着替えてきなさい。笛の説明はそのあとだ。」
「はい///」
姉はハデスの言葉通り2人分の服を取り妹と一緒に茂みに向かって歩いて行った。その間、ハデスはさっき殺した兵士の死体を使い
死霊騎士《デス・ナイト》を創造し終えると、着替え終わった姉妹が茂みから出てきてた
「助けて頂きありがとうございました。あの、お名前は何というのですか?」
「別に感謝されるようなことはしていなさ。名は、ハデスだ」
「ハデス・・・あ、私はエンリ・エモットと言います。で、こっちが妹のネム・エモットです」
エンリがハデスのことを呼び捨てにしたことにアズリエルは一瞬イラついたが、主人の前でキレるわけにもいかないため我慢していた
しかし、エンリはハデスと言う名前に聞き覚えがあった。それは、昔妹ネムに読み聞かせて本の中に登場した人物の名と同じだったのだ。だから、エンリはつい呼び捨てにしてしまったが、これはマズイと感じすぐに自分たちの紹介をすることでなんとか誤魔化した
「そうか、エンリとネムか良い名だな」
「ありがとうございます//」
「さて、我々は今から村を奪還しに行くがお前たちもついてこい。その前にその笛についてだが、自分が危険だと感じたときに吹くと下級悪魔が出てくるようになっている。出て来た悪魔は呼び出した者に忠実になるから叛逆するような心配もないぞ」
「はい!何から何までありがとうございます」
「(まぁ、下級と言っても出てくるのはレベル50程度の悪魔なんだけどね)その力で村人や妹を守ってやれよ」
「はい!」
しかし、1つだけ疑問が残る。それは、人間嫌いのハデスがなぜ人間を助けるのかと言うことだが間違いの起こらないように1つだけ言っておこう。ハデスは全人類が嫌いなわけではない。懸命に働いている者や良き行いをしている者など善行者は好きだ。しかし、人身売買や人殺し、麻薬、仲間や部下に手を出した者なんかは基本的にどうでもいいと考えている。それこそ、奴隷にしようが人体実験しようが・・・
そう言い残しハデスはアズリエルと死霊騎士《デス・ナイト》を連れ、村の方へ向かい歩いていった。その後をエモット姉妹が付いて行ったのだった。
今回出て来たアズリエルの性格ですが、基本的には虐殺や拷問が好きな女悪魔です。基本的に人間は下等生物であると見下しており叛逆や歯向かう者には容赦ないですが、従属や気に入った者、奴隷には壊さないようにしています。そんな一面のある彼女ですが、自分のことしか考えられなくするように調教したりするのも好きです。ですが、一番好きなのは主人であるハデス。ハデスの頼みや命令であれば、一切断ることなく全て成し遂げます。たとえそれが自害や裏切りであっても・・・