それと、今回はいつもより文字数が多いです。
ここに来る前に死体で作成した死霊騎士《デス・ナイト》を連れカルネ村に行ってみると、そこでは先程殺した兵士と同じ鎧を着た派兵士たちが村人たちを蹂躙していた。その光景に嫌気の指したハデスはすぐさま死霊騎士《デス・ナイト》とアズリエルに抹殺命令を下した
「死霊騎士《デス・ナイト》、アズリエルよ5分だ。5分で終われせてこい。」
「畏まりました。しかし、ハデス様5分も要りません。2分で十分です。」
そう言い残すとアズリエルと死霊騎士《デス・ナイト》は、地面を力強く踏み込み駆けて行った。
その地面を見てみると地面が抉れ、小さなクレーターができていた。
その場に残されたハデスは兵士たちが蹂躙されているところを目を逸らさずに見入っていたが、エモット姉妹はお互いに抱き着きながら見ないようにしていた。
すると、少し離れた場所から兵士たちの悲鳴が聞こえて来た。
「ギャァァァァァァァァアア」
「お前たちは何者だ」
「お前たちに答える気はない」
目の前の兵士たちは突然自分たちの身に起きた最悪の悲劇が理解できずに泣き叫んでいる中一人の兵士が口を開いたが、アズリエルは彼の疑問を泣き叫んでいる兵士の腕や脚を引きちぎりながら答えていた。
もちろん、引きちぎられた兵士は何回も失神したり、漏らしたりしたがその都度痛みを与えて意識を覚醒させていた。四肢の分裂が完了すると、今度は持ち前の何の効果もないナイフで兵士の皮を剥ぎ取り始めた。その様子を見ていた先程の兵士は表情はドンドン青褪めていき次第に逃げようとしたがアズリエルに足を踏まれ動けずにいた
「今、逃げようとしましたね?そうですよね?私から逃げるウジ虫には罰が必要ですね」
「ひ、ひぃ・・どうか許して・・ください・・」
命乞いをする兵士にアズリエルはニッコリと笑顔を向けながら、兵士の足首を踏み砕いた。踏み砕かれた兵士はその場でゴロゴロとのたうち回っていたが、そんなことは気にも留めず皮を剥ぎ続けた。
数秒して剥ぎ終えると何かを思い出したようにハッとしていた
「いけない、こんなことしている場合じゃなかった。さっさと殲滅しなきゃ!時間は・・あと10秒か~急がなきゃ!」
アズリエルには欠点があった。それは自分の好きなことに夢中になると時間を忘れて周りのことが見えずに満足するまで終わらないことだった。それが原因で彼女はユグドラシルで一回死にかけたのだ。
だから、今回みたいに途中で手を止めて我に返るのはとても珍しかった。しかし、時間を確認すると既に残り時間が10秒しかないことに気づいた。ハデスには5分と言われたが2分と言ってしまった手前2分以内で片づけることは僕たちにとっては当たり前のことだ。ましてや、自分が言った時間に終わらなければ同僚や上司、ハデス様からお叱りを受けることにも繋がってしまう。そんなことになれば『幻夢城』での自分の立場が無くなってしまうのだ。
彼女自身も何人もの同僚や部下を叱ってきた身。だから、このことは嫌と言う程理解している。
それからというものの彼女の動きはとても速かった。目にも止まらない速さで兵士たちを殺さずに無力化し、ものの2、3分で全て殲滅とまではいかないが完了した。殲滅が完了すると今度は死霊騎士《デス・ナイト》に指示を出した。
「死霊騎士《デス・ナイト》よ、ここら辺に横たわっているオモチャを人目の付かない場所に持って行っておいて。絶対に気づ付けるなよ?私はハデス様に報告に行ってくる」
「ウォォォォオオ」
指示を受けた死霊騎士《デス・ナイト》はすぐに兵士たちを離れた場所に持って行った。その働きぶりを見て満足したアズリエルは急いで敬愛するハデスの下に向かった
「ハデス様、殲滅完了しました。」
「ご苦労様。でもアズのことだ、無力化しただけで全員殺してないんだろ?」
「なんのことですかね?そ、そんなことは・・ありませんよ?」
ハデスの質問が的を得ていたためアズリエルは目を逸らしながら惚けることにした。すると、ハデスはアズリエルを手招きした。
なんだろうと思い近寄ってみるとー
「アズ、素直に言わないともう甘やかしてやらんぞ?」
と耳元で言われてしまい顔を赤くしながらプルプルと震えていた。
すると、すぐに謝罪した
「申し訳ありません。実はハデス様の言う通り無力化しただけで、オモチャはあとで楽しむために生かしております。どうかお許しください!」
「はい、素直に言えました。別に怒ってんないから安心しろ。ただ、俺はアズに素直になって欲しいだけよ。ほら、遊んでおいで」
「・・・!!ありがとうございます!」
ハデスが怒っておらず、遊んでおいでと言われた喜びからアズリエルはその場をすぐにでも離れようとしていた。が、ハデスに呼び止められてしまった
「あ、ちょっと待って。アズ、そのオモチャの中に隊長みたいなのいた?」
「はい、隊長かどうかはわかりませんがやけに派手な鎧を着て騒がしい人物ならおりました。お連れしますか?」
「お願いできるか?すまんな、せっかくのオモチャを取ってしまって」
「いえいえ、お気になさらずに。一人減ったところでなにも変わりませんから。少し待っていてくださいね」
そう言い残し、アズリエルは言われた人物を持ってくるために離れて行った。数分して戻ってくると要望していた人物が渡された。その人物を受け取るとハデスは隊長と思われる人物を引きずりながら人が一ヵ所に集まっている所に歩き出した。が、ここであることに気づく。それは今の自分の姿が悪魔であること。このまま行けば、村人たちに恐怖を与えてしまう。そう考えたハデスは部分隠し《ハイド・セクション》で角や尻尾を隠し、幻術魔法で肌色を人間に近い色に変えた。村人たちはこちらに向かってくる人物に警戒しながら見ていた。すると、奥から村長らしき人が出て来た。
「貴方がこの村の村長さん?」
「はい、私がこの村の村長です。この度はこの村を助けてくださり、ありがとうございました。」
「いえいえ、当たり前のことをしたまでです。それで、この兵士さんどうします?」
「お任せしますよ」
そう言いながら村長は負傷した村人の元に歩いて行った。
しかし、ハデスは兵士の処遇をどうしたらいいのか迷っていた。
(ん~こいつらどうしようかな・・・アズのオモチャにする?それとも、ナザリックに持って行って拷問して情報引き出す?それとも、恐怖公行き?いやいやいや、最後だけはないわ・・)
ハデスは悩みに悩んでいたが、遂に決意したのかパンと手を叩いた。そして、なにも言わず目の前に《転移門/ゲート》を開き、隊長格の兵士を放り投げた。放り投げて満足していると、
<ハデス様、この人間どうするんですかぁ~?>
<そいつをお前の好きなように拷問して情報を聞き出してくれ>
<そういうことでしたらお任せくださ~い>
ハデスはなにも詳しいことや経緯を話さずに思念伝達《メッセージ》を切ったが、切る間際に向こう側から既に悲鳴が聞こえた気がした。だが、ハデスは敢えて聞くことはしなかった・・・
思念伝達《メッセージ》を終われせると、今度は村の周りを警戒させていた
<どうした、なにかあったか?>
<はい、実はその村に向かって先程の襲撃時とは違う鎧を着た集団が向かっており、その反対側ではまた別の
この不可視蝙蝠《インヴィジブル・バット》はレベル50と低いものの偵察や情報収集、隠密行動に優れハデス自身がユグドラシル時代に作成した蝙蝠なのだが、名前にもある通り常に不可視化しているため目で見ることはできず、攻撃も物理攻撃も魔法攻撃も全て通さないと言った鬼畜チートな性能を兼ね備えている。それに加え、彼らには目というものが存在せず基本的に体温や嗅覚・音で識別している。そんな彼らだが、実は倒す方法は1つだけある。それは、作成者自身による命令だ。つまり、ハデス自身が「消えろ」もしくは「死ね」と言えば彼らは消滅するのだ。
そんな彼らが至急ハデスに報告したということは、それほど危険か予想外の出来事というわけだ。
<ふむ、なるほどなるほど。それはこっちで対処する。報告ご苦労だった>
<はっ!では、失礼します>
その場で佇んで動かないでいたハデスを見ていつの間にか戻っていたアズリエルは「ハデス様?」と声をかけてみることした。が、ハデスは聞こえなかったのか急に村長のいることろに向かって歩きだした。その姿に気づいた村長は自らハデスの元に向かい「いかがなされましたか?」と聞いてきた。
「実は少し前まで人里付かない場所で魔法の研究をしていてだな、ここら辺の地図や情報には疎いのだよ。よかったら、情報を貰えないか?」
「そういうことでしたら、こちらへどうぞ」
ハデスが嘘の説明をすると、そういうことならと村長はハデスを自分の家に招き入れた。そして、村長との話で分かったことがある。
・この村はリ・エスティーゼ王国領であり、リ・エスティーゼ王国はバハルス帝国と現在戦争中であること。戦争といっても、年一回カッツァ平野でやっているため今の所人的被害も建築被害もないとのこと。
・この村の周りには、リ・エスティーゼ王国、バハルス帝国、スレイン法国といった三大国家があり、その周りに幾つもの小さい国が存在する。
・この世界ではユグドラシル金貨は使えず、純金と同じ価値しかない。そして、人類が到達できる最高魔法位階は第6位階までであり、現在第6位階魔法を使えるのはバハルス帝国にいるフールーダ・パラダインだけということ。
など様々な貴重な情報を貰いお礼を言おうとしたところで、村の警護を任していたアズリエルがノックもせずに入って来た。
どうやら、先程報告に上がった、別の兵士が到着したようだ。どんな人物なのか村長と一緒に見に行ってみると、そこには馬に乗った何の効果も無さそうなよりを着た騎士がいた。
「私は、リ・エスティーゼ王国騎士団戦士長、ガゼフ・ストロノーフその人である。我が王から王国から離れた村々が襲われているとの報告を受けやってきたのだ。村長と話がしたい。」
ガゼフは、高らかに自分のことを紹介し始めたがハデスはその紹介を聞いている間笑わないようにするのが精一杯だった
(なに、あの弱そうな装備を付けてるのが周辺国最強の人なの?マジかwありえないでしょw)
村長の話にももちろんガゼフのことはあったが、ハデスはもっと厳つくて鎧も立派でいかにもな人物を想像していたため思っていたイメージと違うガゼフを見て笑いそうになっていた。
すると、村長が彼の前に出ていき簡単に紹介をした
「私がこの村の村長です。」
「そなたが村長殿か。実はー・・・」
ガゼフが今周辺の村で起きていることを説明しようとした時、村長の後ろにいる人物に気づき、「村長、彼らは?」と尋ねていた。その質問に村長が答えようとするとハデスは手を上げ止めさせた。
「自分はハデスという旅人です。で、こっちがアズリエル。実は旅をしているときにたまたまこの村が襲われているのを見かけまして助けに来たのですよ」
「そうであったか、それは何とお礼を言ったらよいか!カルネ村を救って頂き感謝する」
ハデスの言葉を信じたのかガゼフは乗っていた馬から降りて、こちらに頭を下げた。
その行動にガゼフの部下たちはザワザワしていたが、彼は頭を下げ続けた。暫くして、襲われていたときの事情聴取をするために村長を連れ、村の方に消えていった。
村の方に消えてから数十分が経過すると村長とガゼフが戻って来た。そのまま帰ろうとした時、周囲を双眼鏡で確認していたガゼフの部下が反対側から何者かが進行してきているのを捉えた。
「戦士長殿、向こうから
「なに!?どこの国の者だ?」
「アレは、スレイン法国の者です。」
「なんで、スレイン法国が・・」
ガゼフは本来ならいるはずもないスレイン法国がいることに疑問を感じたが、考えるころをやめすぐに彼らの元へ馬を走らせた。
★★★★
ニグンは焦っていた。
今回の任務は、ガゼフ・ストロノーフの抹殺だった。そんなことをすれば人類守護を謳う意味がなくなってしまう・・しかし、彼らも軍の、それも自国の6つの軍の1つ陽光聖典に所属する騎士。上の者には逆らえない、逆らえるはずもない。本来ならニグンは今回の任務はしたくなかったが、やるしかないと腹を括り自国を出発した。王国領に向かっている最中に考えた作戦だったが、我ながら完璧な作戦だと思い込んでいた。まず、少数の先発隊を送り適当に村人を殺したら戻ってくる。そして、出て来たガゼフを天使を使って叩く。こういう作戦だった。だが、先発隊からなんの音沙汰もない。村人を嬲るのに楽しんでいるに違いないと最初は感じていた。しかし、いくら待っても先発隊は戻って来ず連絡もない。これはおかしいと感じた陽光聖典隊長のニグンはすぐに部下を集め急遽作戦を変更して直接乗り込むことにした。
すると、なんと嬉しいことに目的の人物が自らこちらに向かって来ているではないか。これはチャンスと思ったニグンはその場で馬を止めた。それに合わせて部下やガゼフ隊も馬を止めた。
「私は、リ・エスティーゼ王国騎士団戦士長、ガゼフ・ストロノーフその人である。なぜ、法国の者がこの地にいる!理由を教えてもらいたい!」
しかし、ニグンたちは馬から降りただけでしゃべろうとはしない。それとは、逆にニグン隊はすぐに天使を召喚した。その光景を見たガゼフは、法国の狙いが自分自身であると瞬時に理解した。部下たちも理解したのか、すぐに馬から降りて戦闘態勢に入った。戦闘は熾烈なものだったが、人数的にも装備的にも歩は相手側(スレイン法国)にあった。なにせ、自分の装備はいつもの戦に出るような装備ではなくどちらかと言えば鍛錬中に使う装備なのだ。王に進言しても、他の貴族の賛同が得られず持ち出すことができなかった。これらのことからガゼフはここが死地になるのだろうと覚悟を決めた。すると、先程ハデスから渡されたお守りが急に光出した。
ニグンは、違和感を抱いていた。
周辺国最強と謳われるガゼフがあまりにも弱すぎたのだ。よく見れば彼の装備は資料で見た物とは違い、みすぼらしい格好をしていた。こんな脆弱な戦士長を殺すのかと心が痛んだが、考えないようにして任務に励んだ。ガゼフを殺すことだけをひたすらに考えて・・あと少しでガゼフが殺せると思ったニグンは少し気を抜いていた。気を抜いていると、急にガゼフの腰に付いているお守りが光り始めた。その光に抗えずに咄嗟に目を閉じてしまった。暫くして目を開けると、そこにいたのは先程までいたガゼフではなく冴えない顔をし黒の法衣を着た青年に近い男と漆黒の全身鎧を着た女がいた。
「お前たちは何者だ!ガゼフをどこにやった!」
「俺は、ハデス。いや、なにさっきまでアンタの話を彼を通して聞いていたがどうにも彼じゃ勝算低いみたいだから代わりにやってやろうと思ってな」
「ほう、大層な口を利くな小僧。自分ならば我ら陽光聖典に勝てるとでも?馬鹿にしおって!今すぐにでも死ね!」
ニグンは自分たちがバカにされたと感じたのか、天使たちで一斉攻撃を行った。彼の姿は土煙に覆われ見えなくなったが、死んだと思った・・しかし、実際土煙が晴れていくとその場には人影ができ始めた。それをみてニグンたちは「まさか!」と口に出していた。
「きかないな。そんなものか?」
土煙の中から出て来たのは、無傷のハデスだった。ハデスは首を手で撫でているが、実を言うとハデスに魔法は全く当たっていなかった。それは、魔法が当たる直前自分の魔法と相打ちさせ爆発させていたのだ。仮にもし、魔法が当たってもハデスには完全物理無効化Ⅷと魔法攻撃完全無効化Ⅸがあるため全くダメージを負うことがないのだが・・・彼にダメージを与えるには超位魔法か第10位階魔法を使うしかないのだ。
驚きを隠せない陽光聖典はその場でフリーズしていたが、ハデスはそんなのお構いなしに脚に力を入れ一瞬で彼らとの間合いを詰めた。そして、なんの魔法を使わず身体能力だけで操作者である兵士を沈め、邪魔してくる天使をも沈めた。その光景を見ていたニグンは自分の隊が一方的にやられていく姿に呆気を取られ、切り札として渡された魔封じの水晶のことをすっかり忘れてしまっていた。粗方兵士を沈め終わったハデスはゆっくりとニグンに向かって歩きだした。
「く、来るな・・ば、バケモノ・・・」
「・・・」
ハデスは自分がバケモノ呼ばわれしたことに内心怒っていた。(確かに俺はあくまだよ、バケモノだよ!でもな!今は人間風に見えるだろ?あー、なんかイライラが収まらん!いっそのことこいつらの国滅ぼしちゃえ!!)
ニグンは恐怖で動くことはできなかったが、なんとか口だけは動かすことができた。しかし、ハデスはどんどんニグンに向かって歩みを進める。が、急に後ろからドンという音が聞こえた。こんな平野に岩があるはずもないと感じたニグンはすぐさま後ろに視線を向けた。すると、そこには先程の漆黒の全身鎧を着た女が立っていた。
「な、なんでも・・す、する・・だから・・命だけは・・」
そう命乞いをするも彼らの耳には届かず、急に痛みが襲ってきた。何事かと痛みの先に視線を移すと、自分の左右の手が切り落とされていた。ニグンには理解できなかった・・いつ切られたのか、どうやって切られたのか が・・だが、至って簡単なことである。後ろにいたアズリエルが魔法で疑似的な剣を創り出し両肩から切断しただけである。その後は、作った剣を消しただけだ。ニグンは、このとき死を覚悟したが言われた言葉は意外な物だった。
「おい、スレイン法国に行くぞ」
「は?」
「聞こえなかったのか?だから、スレイン法国に行くぞ。それと、アズはそこのオモチャで遊んでていいからな。でも、悪いな虐殺させてやれなくて・・」
「なにを仰いますか!遊び道具をくれただけでも感謝していますよ?」
「そうか」
と返事をしたハデスは目の前に≪転移門/ゲート≫を開いた。一方、ニグンはと言うと彼らの会話から人間のことを遊び道具としか思っていないことも驚きだったが、目の前の急に現れた黒い穴にも驚いていた。しかし、驚いている暇もない。ハデスは、ニグンを≪転移門/ゲート≫に放り込んだ後自分も潜って行った。
ーこれにより、悪魔が訪問することになったが、スレイン法国民には知る余地もなかった。