真・恋姫†有双……になるはずが(仮)   作:生甘蕉

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100話 固有原理

 夏休みの終わりが見えてきた今日も開発部に通う。

 ロボが気になると、ついてきた嫁さんたち多いな。

 ベルゼルガ完成してるかな? ……気が早すぎるか。

 

 AT(アーマード・トルーパー)。装甲騎兵ボトムズに登場した人型兵器(ロボット)

 4メートル前後という巨大ロボットというには些か小さいサイズで、構造もシンプル。

 作品中でも安価な量産機として扱われていた。

 だからこそ成現(リアライズ)のコストも安くなると思ってチャレンジしたんだけどね。

 

「やはり問題は人工筋肉(マッスルシリンダー)か」

「うむ。スキャンで組成はわかってもまだ作り出すことができん。スキルを使って精製するか、複製(コピー)するしかない」

「そんなスキルあるの?」

「生産スキルにな。だが、GPが掛かりすぎる」

 そうだった。生産スキルはGPを使うものが多いんだった。でも、そのスキルは後で教えてもらおう。

 

「仕方ない、か」

 スタッシュから新しいプラモを取り出す。

 EPは作成中に注入済みなのですぐに成現する。サイズ的に屋外での成現作業になった。

 ……MPをかなり持ってかれるな。ベルゼルガも特殊な機体でその分が割り増しになっていたのに、今回はそれ以上だ。今の俺の最大MPなら時間制限を短くすれば余裕ですけどね。

 

「ほう、オーラ・バトラーか」

 現れた巨体を見て開発部の連中が騒ぎ出す。けっこう外に出てきているな。

「でもよう、ゲドかよ」

 不満そうなヘンビット。

 ゲドが嫌なのではなく、ザクじゃないのが不満なのだろう。

 

「オーラバトラーならこれが一番コストがかからないだろ。それに内蔵武器なんてないから構造の再現もしやすいはずだ」

 ゲド。『聖戦士ダンバイン』に登場したロボット。

 主役メカであるダンバインによく似ているが、初めて開発されたオーラバトラーで、全てのオーラバトラーの原型(プロトタイプ)といっていい機体だ。まあ、劇中では活躍しなかったけどね。

 全高は約6.7メートル。ATよりは大きいが、それでも巨大というには物足りない。その分成現コストは低くなっているけどさ。

 ドラムロとどっちにしようか迷ったんだけど、あっちは内蔵火器もあるからゲドにした。武器は剣のみという漢らしいロボである。

 

「おや、こいつは4本指だったのか」

「うん。コンバットさんたちと同じだね」

 早速スキャンを始めるドワーフたちに答えながら、俺もゲドを観察する。

 茶褐色の地味なボディカラーで、ダンバインのような角もなく、バッタのような頭部。

 背中には大きなコンバーターと蜻蛉のような4枚の翅があって、これで飛ぶんだよな。

 前に2本、後ろに1本のY字に爪を生やした鳥のような足。

 人型でありながらパーツのおかげで虫っぽいイメージなのがオーラバトラーだ。……後の方になると怪獣っぽくなるけどさ。

 

「ベルゼルガは諦めるつもり?」

「いや、こいつの部品は強獣っていう巨大生物から作られているんだ。科学技術が必要な部品よりは参考になるんじゃないかと思ってさ」

 オーラバトラーを知らないらしいチ子たんに事情を説明する。

 

「げっ、こいつのコンピューターって生物の脳を利用してるのか……」

 デコードを使用したエルフの1人が嫌そうな顔。そういやオーラバトラーのバイオコンピューターってそうだったっけ。

「エルフはやっぱりこういうのは駄目か?」

「全く駄目ってわけじゃないけど、前にも言ったでしょ。生物の脳ってのはワンオフのコンピュータみたいなもんだって。知能が低い生物でも解析は面倒なのよ」

 なるほど。けどこっちにはペストXさん量産の副産物で高性能CPUもあるから、無理して脳を使う必要もないでしょ。それにオーラバトラーは今回のメインではないんだし。

 

「どうやらこいつの筋肉は生物のそれを特殊な溶液に浸しているようじゃの」

「もうそこまでわかっちゃうのか。スキルレベル高いなあ。オーラ・セイバー・リキッドって溶液だよ」

 参考資料として持ってきたダンバイン本やプラモの組立て説明書を渡しながら説明する。

 

「ふむ。大型生物の筋肉を加工して腐敗しないようにしてから利用しているのか」

「オーラ・マルスのこの技術なら人工筋肉も作れないかな……?」

「そのままというのは難しいかもしれん。動かしているのは『世界の固有原理』だろう」

 アニメの設定通りにやれってのは無理があるか。

 でも固有原理ってのは初めて聞くな。

 

「世界の固有原理というのはその世界のみで働く理屈だ。それを使っている物や術は、他の世界では本来の力を発揮できん」

「この場合はオーラ力が世界の固有原理ってやつになるのか。もしかして動かない?」

「……お前さんのスキルが規格外なのはそこだ。こいつは世界の固有原理を内包しておる」

 どゆこと?

 俺の固有スキル、成現が非常にレアなものだってのは前に聞いた気がするけどさ。

 

「煌一の『作品』は他の世界でも力を失わず、元の世界の理屈を発揮できる。無茶苦茶よね」

「それは初耳なんだけど」

「そう? ま、あの駄神はそこまで知らなかったのかもしれないわね」

 ありうる。剣士は使用説明書を読まないタイプだ。

 俺の固有スキルの使用コストが馬鹿高いのはその辺が理由なのかな。

 

「残念ながらこいつをコピーしても、内包された世界の固有原理まではコピーできん」

「そうか……」

「だが、腐敗や腐食、劣化を防ぐ加工のスキルはある。魔剣や聖剣等に使う必須の加工だ」

「なるほど。何百年も持つ伝説の武器には必須っぽいスキルだね」

「それなりにGPがかかるんだがな」

 ……生産系はGPがないとやっていけそうにない。

 でも、スキルは教えてもらうつもりだけどね。

 

「つまり、巨大生物の筋肉を加工して使う、か」

「それが一番手っ取り早そうだな」

「あてはあるのか?」

「巨大生物がうろつく世界を担当しているやつは、けっこうおるぞ」

 そうなのか。それはそれで凄いな。定番のドラゴンやロック鳥だろうか。それとも巨大昆虫?

 

「狩りね」

「狩りだな」

 チックウィード(ロリエルフ)十三(ドワーフ)の目が輝く。

「開発ばっかで鈍りそうだったんだ、ちょうどいいぜ!」

 カミナもやる気だ。

「私も異世界の生物には興味があるのだ!」

 クランは今でこそ大江戸学園の生徒をしてはいるが、元は女子大学生だ。しかも飛び級で大学に入学した才媛で異星生物学者(ゼノバイオロジスト)。趣味は昆虫採集で、この前ニホン本土に行った時はいつのまにか鈴々ちゃん、美以ちゃんたちとカブト虫を取ってきていた。

 

「……恋も」

「れ、恋はまだ夏休みの宿題が残っていたよね?」

 動物好きの恋の場合は、狩りに行ったはずなのに生きたまま連れて帰ってきそうなのが不安だ。異世界の巨大生物なんて飼えないって。

 

「う……」

 季衣ちゃんや鈴々ちゃんといったロリっ子たちもそれにたじろいだ。彼女たちも狩りに行きたいが宿題が終わってないようだ。

「美味しそうなの捕まえたかったのにー」

「鈴々たちも狩りに行きたいのだ!」

「うーん。宿題が先かな。そろそろ終わらせておこうよ。夏休みも残り少ないんだからさ」

 いや、俺もひとのこと言えないんだけどね。まだ残ってるのよ、宿題。

 

「鈴々、赤点組は課題も多く出されていたろう」

「あ! 忘れていたのだ!」

 義妹の台詞に愛紗は大きくため息。

「煌一殿」

「うん。俺たちは狩りは今度にして、今日は宿題を終わらせちゃうか」

 ロリたちも渋々納得してくれた。

 

「学生は大変だな」

「全くだよ。楽しいことは楽しいんだけどね」

 ビニフォンで恋やロリたちを小隊に編成しながら十三に答える。

「俺たちは適当に狩ってくるから完成を楽しみに待ってろよ」

「すっげえデケえの仕留めてくっからな!」

 カミナとヘンビットが武器の手入れを始めた。ヘンビットのはごっつい弓だ。

 カミナか。さっきの話だと螺旋力で動くガンメンは無理そうだけど、ベルゼルガができたら外見だけでもグレンっぽくするのもありかもしれないな。操縦はEXギアなら……って。

 

「EXギアの方は?」

「あっちはなんとかなりそうね。動力のほとんどはモーターだし、一番面倒そうなロケットエンジンはあんたの掃除機に置き換わってる」

 そうか。EXギアは世界の固有原理ってやつを使ってないのか。

 マクロス世界の固有原理となると、フォールドまわりだろうな。フォールドクォーツ、高くつきそうだ。

 あ! サウンドエナジーシステムもそれかもしれない。EXギアに内蔵するのは駄目か。……完成したら俺の成現で追加すればいいだけか。

 

 その後は学園島に戻って宿題開始。華琳たち宿題が終わっていた嫁さんたちは狩りについていった。はいはい春蘭、泣く前に宿題終わらせようね。

 心配でもあるけど、武器はいろいろと渡してあるしモトスレイブもあるからきっと大丈夫だろう。

 

 

 

「つかれたー」

「もう計算はしたくないです……」

「……」

 卓袱台につっぷすロリたち。恋は寝ちゃったのか?

 かわりにねねちゃんが恋の宿題をやっている。いいのかなぁ?

 春蘭は秋蘭が個別指導しているのでここにはいない。鈴々ちゃんは逃げようとしたところを愛紗に捕まってお説教中だ。

 

「かなり進んだから、今日はこの辺にしとくか」

 休憩も昼食の時だけだったし、これ以上は集中力が持続しそうになさそう。

 契約している俺が隊長になっていたから、小隊のファミリアになっている彼女たちの熟練度の上がりもよくて、勉学系のスキルレベルも上がっている。……『さんすう』や『りか』ってひらがななのがちょっと気になるスキル名だね。

 俺の方も教えながらだったせいか『教師』スキルを入手していた。0レベルだけどさ。

 

「恋殿、部屋に戻って寝るのです」

「……うん」

 眠そうに恋は起き上がり、ねねちゃんといっしょに行ってしまった。それを美以ちゃんと南蛮兵3人が追う。

「美以たちも寝るにゃ」

「お昼寝にゃ」

「えあこんさいこーにゃ」

「すー」

 シャムちゃんが置いてかれたので、抱えて俺も追う。大人に戻ってよかった。前だったら大変だったよ。

 

 案の定、恋の部屋に美以ちゃんたちもついていったので、そこにシャムちゃんを寝かせて自室に戻る。季衣ちゃんたちは相変わらずつっぷしていた。

「お疲れさん。明日からも頑張ろうね」

「うぇええ」

「……はい……」

 真面目な流琉ちゃんまで辛そうな表情。気持ちはわかるけど、最終日や終わってから慌てるわけにもいかない。なにがあるかわからないから、余裕がある時にやらなきゃね。

 

「ご褒美があるなら、シャオも頑張るんだけどー」

 途中からこっちにまざって宿題をやっていたシャオちゃん。

 蓮華は厳しすぎるって愚痴っていた。そんなことないと思うけどなー。

 

「ご褒美? おやつぐらいなら……」

 菓子でも買ってくるか? それとも作るか。俺も気分転換したい。たまには菓子作りにチャレンジしようかな。

「ボク、肉まんが食べたい!」

 ……肉まんがおやつに入るかどうかは別としても、この暑さでそれはないなあ。

 

「おやつならねずみやでいいでしょ。それより、ボクもほしいのあるんだけどなー」

「唯ちゃん?」

 唯ちゃんは昼食後、助っ人として呼んだ。季衣ちゃんたちと同じ年齢で頼りになるからね。

 

「まだ晩御飯までには時間あるわよね」

「この人数でもだいじょうぶじゃないかな?」

 小蓮ちゃんと唯ちゃんがなにか企んだ微笑み。

 そして、季衣ちゃん、流琉ちゃんと内緒話を始める。

 

「い、今からですか?」

「チャンスは今しかないわ」

「えっと、機を見るに敏ってやつだよね!」

「すごい、間違ってない」

 目の前でやってるんで話の内容が丸わかりなんだけどね。季衣ちゃんがあってたのは勉強の効果が出たのかな? ファミリア契約者である俺が隊長で小隊編成しているから熟練度等の貯まりもいいから。

 

 後で蓮華や春蘭たちにどう説明するか考えると逃げた方がいいんだけど、このメンバー相手に逃げるのは不可能でしょ。

「兄ちゃん!」

 俺はあっさり季衣ちゃんに捕まって。

 流琉ちゃんが手際よく卓袱台をかたし、布団をしいて。

 基礎講習等を既に終えている唯ちゃんが部屋の扉を魔法で施錠(ロック)して。

 

「んふふー」

 小蓮ちゃんが下着姿になっていて。

「あ、ずるい!」

 季衣ちゃんたちもそれに続くように脱ぎだす。

 

「シャオ、その下着、最初っからこのつもりだったでしょ?」

「シャオはいつだって準備オッケーだったもん。唯だって、それ勝負下着でしょー?」

 2人の下着はたしかに年齢的には背伸びした感じのセクシー系だ。

 それでも似合ってる気もするのがさすがは小悪魔系美少女といったところか。

 

「……じ、実はわたしも……」

 流琉ちゃんまで。2人ほど冒険したデザインではなく、ただのお気に入りっぽいけど可愛い下着だ。

「勝負下着?」

 ひとりスポーツブラな季衣ちゃんが首を捻る。それはそれでアリですよ、俺は!

 

「え、ええと……」

「ここまでさせたんだから次はわかっているわよね?」

「……いいの? 初めてがこんなおっさんで?」

 俺以外に彼女たちを渡すつもりなんてないのに、つい聞いてしまった。

 肯定してくれるのがわかっているのにさ。ずるいよね、俺。

 

「兄ちゃんじゃなきゃ嫌だ!」

 意外にも即答してくれたのは季衣ちゃん。

「はい。兄様がいいです」

「シャオは煌一以外となんてしないもん!」

「もうボクたちはお兄ちゃんのお嫁さんなんだからね」

 わかっていても嬉しいよね。やっぱり不安だったからさ。おじさん泣きそう。

 

「でも、唯ちゃんはお姉さんたちとじゃなくていいの?」

「うん。シャオだってあの2人といっしょじゃないでしょ」

 シャオちゃんに気を使っているの? けっこう仲がいいのか。

 

「兄様はわたしたちとは嫌ですか?」

「そんなことはない!」

 ちょっと彼女たちのお姉さんたちが怖いだけで、不満なんてあろうはずがない。

 ロリカルテットなんて、こちらからお願いしたいくらいだ。

 不安そうな流琉ちゃんの頭をなでて、それから優しくキス。

 

「ボクも!」

 季衣ちゃんが抱きついてきたと思ったら小蓮ちゃん、唯ちゃんまでも。

 ロリたちに抱きしめられて、なんて幸せなんだろう。

 

 ……その後、俺が脱ぐのをみんなに見られるのは妙に恥ずかしかったけどね。

 

 




番外編に手間取ってしまい、遅れてすみませんでした

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