真・恋姫†有双……になるはずが(仮)   作:生甘蕉

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115話 予言

 特撮ヒーロー番組『魔弾戦記リュウケンドー』。

 簡単にいえば、最近の技術で作った昭和の王道ヒーロー、だろうか。

 この昭和チックな4面の主である剣士が気に入るのも当然。

 

 主人公である鳴神剣二は『魔弾剣士リュウケンドー』に変身。

 姉弟子が婚約者だったり、花屋のお姉ちゃんに惚れていながら最終的に同僚とフラグを立ててるっぽいギャルゲ主人公体質。鹿児島で剣術を修行という共通点がなくても、一刀君にその武器であり相棒である魔弾龍『ゲキリュウケン』を使わせたいというのはわかる。さすがワルテナさんだ。

 

 剣二の先輩である不動銃四郎は『魔弾銃士リュウガンオー』に変身する。

 赤くて銃使いなのにヘタレじゃないが、おっさん呼ばわりされている。設定年齢が25歳なんだから、おっさんではないでしょうに。

 変身アイテムで相棒な魔弾龍は銃型の『ゴウリュウガン』。不動によく「愛している」と言われていた。

 ちなみにこのゴウリュウガン、DVDの特典映像では少女とのシンクロ率も高かったりする。剣士が柔志郎を選んだのは名前のせいだけじゃないかもね。

 

 で、追加戦士の白波鋼一は『魔弾闘士リュウジンオー』に変身。

 登場した当初は主人公たちと仲が悪かったが、話が進むにつれてわかりあったツンデレさん。

 魔弾龍は斧(?)型の『ザンリュウジン』。斧……なのか? 鎌というか、ツルハシというか……わかりやすくいうとグレンダイザーのダブルハーケンによく似た武器だ。弓にも変形する。性格は軽い。

 

 さらに魔弾戦士は『獣王』という、龍の戦士と共に戦う地球の精霊を召喚する。獣王はメカメカしい外見で乗り物や強化パーツに変形する獣。

 リュウケンドーは主人公らしく4体もの獣王がいて、ライオンの獣王『ブレイブレオン』、ゴリラの獣王『ファイヤーコング』、サメの獣王『アクアシャーク』、ワシの獣王『サンダーイーグル』。それぞれ個性があって、一番性格がいいのがサメだったりする。

 ……ライオン、ゴリラ、サメって、剣士がほしがっていたファミリアもこれからだったのね。既にいるワシの名前もサンダー(イナズマ)だし。

 

 リュウガンオーのは狼の獣王『バスターウルフ』。

 柔志郎のファミリア、カシオペアも狼。カードのガチャで入手したって聞いたけどこれも剣士がなにかしたんだろうか?

 

 リュウジンオーのは烏の獣王『デルタシャドウ』。

 バイクと飛行パーツに変形する唯一の3段変形の獣王だ。

 俺がファミリアをガチャで入手しようとしたら烏のカードを手に入れていたのかもしれない。

 

 そして、リュウケンドーとリュウジンオーはパワーアップして獣王も強化されていた。

 それぞれ玩具が出ていて『マダンキー』が付属している。

 マダンキーは魔弾龍で使用するもので、変身やモードチェンジに獣王の召喚、武装や必殺技を使ったりするためのアイテムだ。

 このマダンキーを一刀君のゲキリュウケンで使えるように成現(リアライズ)してくれって頼まれているんだよね。予想以上に数が多いな。

 

 ベースとなる玩具の入手は4面の本拠地のグレードアップがおわらないとできそうにないし、いっそのことスクラッチするか?

 ……魔弾龍やマダンキーの龍の意匠がめんどくさそう。武器の方は真桜に協力してもらうか?

 まあ、明日には完成してるはずだから焦ることもないか。

 

 昼食の準備のために一時鑑賞を中断して、梓たちと料理しながらそんなことを考えていたら、ビニフォンの着信音。

「完成したぜよ!」

 通話に切り替えると、いきなり大きな声が聞こえてきた。剣士だ。嬉しいのだろうがいきなり用件を話し始めないでほしい。

 

「完成したって本拠地か? もうちょいかかるんじゃなかったのか?」

「だって昨日儲かったじゃろ。ワシんとこにもGMがけっこう入っておってのう」

「だからって数時間くらい我慢できなかったのか……」

 ビニフォンの通話でも聞こえるように大きくため息。

「じゃって煌一さん、本拠地ができんとゴッドゲキリュウケンができんと言うちょったぜよ!」

 チッ。今度は舌打ちをしてみる。ちゃんと聞こえたかな。

 俺の不用意な発言のせいみたいに言わないでくれ。

 

「……わかった。説教は新しい本拠地を見てからにしよう」

「説教!?」

 当然でしょ。使うにしてもせめて相談はしてくれないと。できれば貯まったGMは他に回してほしかった。

 あいつを教育するいい方法はないものだろうか。教育係……先生か。

 

 駄目な生徒向きの先生といったら……ルナ先生。

 剣士が死んじゃう。ますます駄目になりそうだな。

 落ちこぼれに慣れてるといったら土井先生か。

 それだったら、きりちゃんの方が財布の紐を締めてくれる気もする。

 

 ゴッドゲキリュウケンを成現して相談役になってもらった方が早いな。彼の言葉なら素直に聞いてくれそうだし。

 

 昼食中、午後の予定変更をみんなに告げる。せっかくの新本拠地だ、家族全員でいってみたい。

 璃々ちゃん用のゲート承認アイテム、食べたらすぐに買ってこよう。もし使い捨てだったら、あとでいくつか成現すればいい。

 

「DVDの続きは気になるけどあとでね」

「剣士に会ったら作戦車両の相談もするッスよ」

「そうか。運営のシステムで似たようなものがあるかもしれないか」

 移動拠点とかあったら便利だ。

 

「あんまり大きな物だとスタッシュに入らないのではないかしら?」

「そこは車両ごとに分割すればいいッスよ」

「いや何両編成にするつもりさ? ……ん」

 分割収納?

 それで思いついたアイディアに思わず俺は叫びをあげる。

 

「それだ!」

「え? もしかして先頭車両だけのつもりだったッスか? 機関車は1両目は客室ないッスよ」

 そりゃそうだ。ついでにEXATも運搬できるような車両もつける予定だった。そうなると、機関車、作戦指令車両、格納車両で最低でも3両はいる。武装車両もほしいな。

 

「そうじゃなくて、大型のロボの収納だよ」

「大型ロボ?」

 EXATは某ロボシミュでいえばSサイズの小型機。広げる(レベルアップ)の必要がある娘は多いけど、スタッシュにも収納できる大きさだ。

 だが、MSサイズとなるともっともっとスタッシュスキルのレベルを上げなければいけない。

 

「開発部では次はもっと大きな機体にチャレンジするだろうから、それを収納できるかって悩んでいたんだ。スタッシュに入らないとなると置き場に困るでしょ」

「ならさ、本拠地を秘密基地にすればいいんだよ!」

 秘密基地か。輝の案も魅力的ではある。彼女自身も大魔神の置き場がほしいのかもしれない。たしか残骸は回収したんだよな?

 

「いちいち本拠地から呼び出すのか?」

発進シーン(ワンダバ)は基本だよね」

「それはわかるけどさ、使い回しのバンクで尺を稼いでばかりだと不評をくらうぞ」

 某総集編アニメは酷かったなあ。

 

「えーっ、露天風呂を割ってその下からロボがせり上がってくるのをやろうよぉ」

「そんな落ち着かん風呂いるか!」

 梓が怒鳴る。自分んとこの旅館をイメージしてたのに、そんなギミックは仕込まれたくないのだろう。

 大魔神だけじゃなくてマジンガーもチェックしてたか輝。……そういや大魔神我ってボツ企画あったな昔。

 

「だから、各自がスタッシュのレベル上げ頑張るのは当然として、それでも入らない巨大なロボをさ」

「分割するワケやな!」

「いや、分離合体させる」

「ラガンとグレンみたいに?」

 グレンラガンもいいけどね。あれはグレンが大きすぎる。もう少し各機のバランスを取りたい。

 

「リュウケンドー観おわったら、そっち系も勉強だな」

 ゲッターか超電磁、勇者、エルドランシリーズ……戦隊なら星も喜びそうだ。

 っと、合体ならアレを忘れちゃいけないな。

 

「輝、真桜、コレを」

 俺はスタッシュからプラモを出して渡す。

「ずいぶん多いんだねえ」

「合体マシン5号~8号って、4号まではどうしたんや?」

「1号から4号までは別のロボットになるんだよ」

「……それにしたってコレはデカルチャー過ぎな気がするのだ」

 箱絵(ボックスアート)を見たクランが呆れた声を出す。

 

 5号がロボの頭部の生えた戦車。ボトムズでもATの3連レンズをつけて頭部が生えてるみたいな戦車があったからそれを先取っているともいえなくはない。

 7号は翼から腕が生えているという戦闘(?)機。武器はその腕が持っている剣やロケットパンチだ。

 この2体だけでもインパクトが凄すぎる。色んな意味で実際に動くところが見たいマシンだ。

 

「ふむ。アトランジャーね」

「合体ロボといったらコンVとコレを抜きには語れない」

 コン・バトラーVの実際に合体できるデザインとその玩具。

 そして、それに先がけてアオシマが生んだオリジナルの分離合体するプラモ。合体時に余剰パーツが発生するが、細かいことは気にするな。

 

「ニューアトランジャーや発展型アトランジャーなんてのもあるけど、デザインはこの初代のが一番好きかな」

 TVアニメこそなかったが知名度の高いロボットである。開発部の連中ならもちろん知っているだろう。

 今買うと高いんだよ、これ。

 

「まさか、次はこれの開発するんか?」

「いや、さすがに大きすぎる。ただ、こういう無茶苦茶でなんでもアリなプラモも楽しんでもらっておいた方が開発や成現のイメージ籠めに役立つと思ってさ」

 あえて言おう。自由なのはガンプラだけじゃない! 輝と真桜はなんとなくガンプラよりもパチモンプラモの方が好きそうだし。

「なるほどねぇ。おいらの大魔神も復活させる時に分離合体できるようにしようかい」

 それなんて重装改。剣も蛇腹剣にされそうだ。

 

 昼食後、後片付けはまかせてその間にゲート承認アイテムを買ってきた。

 思ったよりも小さな宝珠(オーブ)だった。ドワーフたちが言うにはアクセサリーに加工しやすい大きさらしい。加工は後で考えるとして、とりあえず璃々ちゃんの指輪を入れているお守り袋に一緒にしまった。

 使用回数はなく、何度も使えるようだ。

使徒(プレイヤー)が登録した人間しか使えないみたいだけど、なくさないようにしてね」

「うん。ありがとう、おとーさん」

 嬉しいのか抱きついてすりすりしてくる璃々ちゃん、可愛いなあ。もっと早く買ってあげればよかったよ。

 

「そうだ、ポータルも使えるようになるから、ついでにポータルカードもあげる」

 マジックカードならMPを消費しないから使徒やファミリアでなくても使えるはずだ。

「わあ、ありがとう!」

 渡した何枚かのカードをキラキラした目で見ている。あとでホルダーを用意してあげよう。それともステッキかな。魔法のカードを使うとなると智子のチェックが入るかもしれん。こにゃにゃちわー。

 

 

 

 

「すごいな……」

「だろ」

 設計を知っていたとはいえ、ニュー本拠地の予想以上の立派な建物に驚く俺。対して梓は得意気だ。

 夏休みに泊まったニホン本土のホテルよりも上かもしれない。

 名前も第49初期本拠地荘から4面本拠地本館となっていた。

 

従業員(モブ)さんもいるみたいでよかった」

「そこはちゃんと注文したぜよ」

 ロビーで待ち構えていた剣士もドヤ顔である。従業員は作務衣っぽい制服を着ているので他のモブとは見分けがつく。

 

「ホントに旅館みたいだねぇ」

 声をかけてきたのは白いワンピースに麦藁帽子の少女……いや、男の娘。

 スカートまではいてくるか。

「ポロりん?」

「ほら、あのぬいぐるみのやつらを売る、言うちょったろ? じゃから呼んだんじゃ!」

 ああ、貂蝉と卑弥呼のことね。でも、人身売買みたいに言わないでくれ。それに見せびらかしたくて呼んだんでしょ。

 

「たしかに素晴らしいですわ」

「ワルテナまで……」

「ワルテナ姉ちゃんには世話になっちょるからのう」

 今までボロアパートだっただけに自慢したくてしかたないんだろうなあ。

 

「温泉もすごいんじゃ!」

「もう入ってきたのか?」

「1番風呂はもらったぜよ!」

 くっ。なんか悔しい。こうなったら女風呂の方の1番風呂を……ってのは無理か。みんなと一緒に混浴なんて嬉しいけど恥ずかしすぎる。

 

「それは楽しみだねぇ」

「楽しみですわ」

 この2柱(ふたり)も入っていくつもり?

 別に入るなって言うつもりはないけど、ポロりんはちゃんと男湯に入ってくれるのだろうか?

 

「部屋の数は人数分以上あるんだろ?」

「もちろんぜよ。あと、前の部屋の物はそのまま移動されちょるぜよ」

「なら、こっちでもインターネットできるか試して、できるようならまた配線しないといけないな」

 俺の生まれた世界にはもう帰れないけど、インターネットとTVの電波は繋がっていてほしい。通販もしたいし。

 

「まずは部屋割りを決めておいてくれ。俺の部屋は決まってるみたいだから、みんなが決めている間にポロりんの用事を済ませておくよ」

 それを聞くと、嫁さんと娘たちは部屋の確認へと向かった。

 俺も一応、自分の部屋を確認する。

 

「……豪華だ」

 前のアパートよりも大きくなっている。部屋数は同じだが、1部屋が大きい。大浴場があるにもかかわらず、部屋風呂もついている。しかもでかい。台所なんかオープンキッチンだ。

「そうなんじゃ。なんか落ち着かんのぜよ」

「俺が注文した壁面収納もたっぷりあるし、前の家具いらないかもな」

 この部屋に似合わない本棚等はスタッシュに収納していく。

 

「っと、部屋の整理よりも先に、成現しちゃうか。剣士」

「これぜよ」

 2つのぬいぐるみを渡される。ついにこいつらを解き放つ時がきてしまったか。

 

 

 

「あらあら、動けるようになったのねぇん」

「む? 復活したのか?」

 俺のスキルとポロりんに提供されたGPによって元に戻った巨漢のオカマ2人。……わかってはいたが、実際に見るとキツイ。設定変更で衣装だけでも変更しておけばよかったか。

「貂蝉、卑弥呼!」

「華佗ちゃん!」

「だぁりん!」

 華佗が2人に抱きついて喜びを表している。嬉しいのはわかるけど、暑苦しい。よそでやってくれないかなあ、せっかくの新居なのに。俺の部屋で成現するんじゃなかったか。

 

「ふぅん、この2人が僕のになるんだね」

 ポロりんは漢女にも動じていないのか?

「う、うん、よろしく頼むよ」

 

「わたしをほしがっているのかしらぁん。あらぁん、よく見れば可愛い子じゃない。わたしたちと趣味が合いそうねぇ」

 ……大きなくくりでいえばオカマ同士? でもポロりんは両刀っぽいんだっけ?

「まて貂蝉、こやつ、只者ではないぞ」

 卑弥呼がぬぅぅぅと唸りながらファイティングポーズを……って。

 

「ストップ! この部屋で戦うな! ポロりん、さっさと契約しちゃってよ。契約空間なら多少暴れても問題ないんでしょ?」

「そうだねぇ。えいっ」

 可愛らしく言いながらも素早い動きで貂蝉と卑弥呼に触れるポロりん。うまく説得してくれるといいけど。

 

 

「はい。契約かんりょー」

 すぐにポロりんが動き出してVサイン。

「儂らがファミリアになるとはのう」

「たまにはいいわよん」

 たまにはって、止め方知ってるのか?

 ……この2人なら知っててもおかしくもないか。

 

「さて、それじゃ僕のファミリアも増えたことだし、裸の付き合いといこうか」

「きゃあ、お風呂があるのぉん?」

「だぁりんも入るのであろうな!」

 ポロりんの入浴宣言に乗り気な漢女たち。

 華佗もいっしょに入るみたいだ。

 

「いってらっしゃい。ちゃんと男湯に入ってね」

「あれ? 煌ちんは入らないの?」

 ……煌ちん? もしかして俺のこと?

「なんか鶏みたいなんでやめて」

「ええー。じゃあ、煌ちゃんでいい?」

「……それでいい。風呂は部屋の整理してから入るよ」

 漢女と入るなんてちょっと怖いし、双頭竜のスキル使いっぱなしだからあんまり見られたくないんだよね。

 スキルOFFにすると華琳に怒られるからあんまり切るわけにもいかないし。

 

「そっかー、残念だねぇ」

「気にしないで入ってきていいよ」

「つまんなーい。今度は見せてね、双頭竜」

 げっ、知ってたのか?

 

「み、見せるようなもんじゃないから」

「むー、あ、そうだ。君たちに伝えることがあったんだ」

「伝えること?」

 急にポロりんは真剣な表情になった。重要なことなのだろうか。

 

「煌ちゃんの担当世界、かなり大変なことになるよ」

「もしかして予言?」

 ポロりんはアポロン。神託を授ける予言の神でもある。

 

「君たちは心残りと遭遇することになるだろう」

「心残りって?」

「君たちは絆を確かめることになるだろう」

 まだあったのね。

「君たちは方舟(はこぶね)を用意しなければならない」

 箱船?

 大洪水でもおきるのかな? それとも比喩的な表現でなにか別のもの?

 

 




活動報告であんなことを書いたのがフラグになったのでしょうか?
全く動かなくなってしまいました


PCのキーボードが


マウスとタッチキーボードでなんとか動かして
通販で新しいキーボードを注文したのですが
連休を挟んだせいか、届くのが遅かった……

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