真・恋姫†有双……になるはずが(仮)   作:生甘蕉

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132話 SRWJ

 俺の救済担当世界の拠点で特殊な粒子が検出された。

 

 有名な1号のバイク……はサイクロン。6本マフラーがイカスよね。

 DTなのはエイトロン。今じゃ別の連想されそうなネーミングだ。

 正義の超ロボット生命体集団でもなく。

 

 サイトロン。

 拠点が月っぽいことから考えるに『スーパーロボット大戦J』に出てきた粒子かな。

 スパロボJの敵組織『フューリー』の機動兵器(ロボット)はこれで動かしているんだったような。ゲッター線みたいなもん?

 

 Jにはオルゴンってのもあったな。特殊攻撃の時に結晶化する物質だったはず。

 サイトロンが燃料でオルゴンが火薬? それともどっちも同じ物? よく思い出せない。

 

 って! 俺の担当世界ってスパロボJなのか?

 高難易度(ハードモード)なのは覚悟してたけど、スパロボって時点でかなりしんどいな。

 Jもプレイはしてるけど何年も前だから記憶に自信がない。やり直すべきか。時間ないんだけどなあ。

 

 まずさ、拠点でそれが検出されたってことが大問題なんだよね。

 スパロボJだと月でサイトロンを扱っているとなるとフューリーの施設だろうが、機器が地球式だったので違う。

 となると、フューリーが機動兵器の開発に利用していたアシュアリー・クロイツェル社の可能性が高い。

 そこは、女性主人公のルートだとゲーム開始前に破壊されていたはずだ。

 

 拠点は専用のアイテムを使用されない限り簡単には破壊されなかったはずだから、拠点の部屋だけ残して他は破壊されてしまっているのか、それともまだ機動兵器の開発中でフューリーに攻撃される前なのか。

 

 ……まずいな。部屋から出れないんで先送りにしていたけど、のんびりしてる場合じゃなさそう。

 

 

「スーパーロボット大戦J?」

「うん。その可能性が高い」

 嫁さんたちに相談することにした。

 せめて学園祭が終わるまでは俺の内にとどめておくか正直かなり悩んだが。

 心配事なんかなしに楽しみたかったんだけどなあ。

 でも黙ってて手遅れになってから話して、嫁さんたちに嫌われるのはもっと嫌だし。

 

「あの部屋から出られないのは?」

「サイトロンが関係してるのかもしれない。機器が動かせないのはサイトロン適性がないからで」

 もしかしたらサイトロン・コントロールの訓練施設? だから粒子が検出された?

 フューリーの機動兵器はサイトロン・コントロールで制御されているからそんなものがあってもおかしくはないけど。

 

「ふむ。その適性があれば機器が操作できると」

「ゲームの女主人公はサイトロンに長い間触れ続けたせいでサイトロン適性を持っていたはず」

 だったよな、たしか。男主人公は遺伝だったっけ。

 夜を統べるハーレム主人公だから彼も要注意人物なんだよなあ。まあ、俺は嫁さんを信じてるけどさ。

 

「ならばあの拠点に長い時間いた方がよろしいのでしょうか?」

「それなんだけどね、あそこは危険なんだ」

 俺はスパロボJのデータをセットしたビニフォンで、女主人公編のプロローグを空中に投影する。

 ……あんまり大きくするとドットが荒いな。昔のゲームだから仕方がないか。

 出だしすぐだからほとんどプレイする必要はない。

 

「この、突然の襲撃で壊滅したってドームがあの拠点の可能性がある」

「開始時でもう、いきなり壊滅してるの?」

「うん。だからいつあの拠点もそうなるかわからない」

 みんなの表情が曇る。

 難易度高すぎるっての、まったくもう。

 

「サイトロンをもっと採取してきて、別の場所でサイトロン適性の入手訓練をするしかなさそうですね」

「拠点の機器が動くように改造するのとどっちが早いかだな」

「あの部屋を出れたとしても外の状況がわからないのでは動きづらいわね」

 軍師たちが解決策を相談し始める。

 

「サイトロン……煌一の能力では再現できないの?」

「謎物質だし、粒子レベルじゃちょっとイメージが……」

 ゲームでもどんなものかよくわからなったような。スパロボJを何周かすればイメージも若干補正されるだろうけど、そんな時間あるかな。

 

 ……スパロボJで主人公機のサイトロンの補給ってどうしてたんだろう?

 触媒みたいな感じで消費されないのかな? それとも機体が生成してた?

 むう。ならばフューリーのロボを成現(リアライズ)すればなんとかなるかな?

 あ、最終面かその付近で基地の動力炉みたいのあったよな。

 それを成現するか。動かせなくてもスキャンして構造を調べることぐらいはできるはずだ。

 

「サイトロンに関しては調べなきゃいけないけど、生成できるかもしれない」

「そう? なら、生成されたサイトロンで適性を入手次第、あの部屋を脱出、ドームを制圧しましょう」

「制圧って……」

 物騒だな、雪蓮。

 

「でも、月にドームを作れるほどの技術を持った相手よ。簡単に制圧できるかしら」

 華琳、制圧することには反対じゃないのね。

「兵器を開発してるんだから、銃火器はあるだろうな。下手したらロボも」

 そもそも俺、人間を相手に戦いたくないんだけどなあ。化け物や死体には躊躇しなくなったけどさ、まだ生きてる人間を相手にして戦えるかどうか。

 学園の不良生徒のように半殺しですませればいいけど。……スパロボ世界じゃそんなこと言ってられないだろうなあ。

 

「その手の作戦は私たちの出番よ」

「ゆきかぜちゃんがやりすぎると、ドームが危険だってば」

 発電能力レベルアップしてるもんなあ。触媒の2丁拳銃もそれに耐えられるように強化済みだ。

「できる限り施設は壊さずに戦わないと、こっちが危険でしょ。外は月面だろうし」

「宇宙服と、できれば宇宙船の用意も必要でしょうねー」

「月なのにか?」

 風の言葉に首を捻る春蘭。

 

「ないと呼吸ができないし、他にもいろいろと危険なのだ、姉者」

「そうなんですか?」

 季衣ちゃん、君もか。

 あとでみんなにも月や宇宙について勉強してもらわないといけなさそうだ。

 

「宇宙服については、パイロットスーツ兼用にしてFXギアが装着できるようにした方がいいだろう。ISS船外活動用宇宙服のプラモがあるから成現してスキャンして、そのデータを元に適当な服をみんな用に成現しようと思う。対魔忍スーツをベースにできるかな?」

 もちろんみんなには対魔忍スーツを着用してもらって、ピッタリしたのを用意しよう。

 成現後はあそこまで極薄にするつもりはないけど、成現する前は調整のために撮影したり触ったりして異常がないか確かめるのは必要だよね。やましい気持ちなんて……もちろん大有りだ!

 

 ただ、FXギアはEXギアのロケットエンジンを、魔法式の飛行装置に変更してるから宇宙空間で飛べるかがわからない。

 ……イメージ元にしたのがナチスのUFOやケロロ軍曹のソーサーだから、反重力や重力制御っぽいはずなのでだいじょうぶかな?

 

「宇宙船に関しても成現するしかなさそうだけど、間に合わなかったらスーパーあじあの同型になるかな?」

「マクロス級じゃないのか?」

「でかすぎるし、操艦の人員が足りない」

「SA子のように人工知能にすればいいじゃろう?」

 光姫ちゃんのアイディアで真っ先に浮かんだのは頭マスターズの巨大司令官だった。あれは宇宙船じゃなくて基地だったけどさ。

 

「人工知能は性格から考えないといけないから、モデルが必要なんだよ」

 モデルなしで俺のイメージだけだとどうなるかちょっと不安だ。半オリジナルのマサムネであれなんだから。

 俺が性格考えないですむとなると、アルカディア号(トチロー)ジェイアーク(トモロ)あたりか。

 

「私たちが操艦するとなると……かなり勉強しなければいけないわね」

「ええーっ」

「でも、どの道方舟を用意しなければいけませんので、覚える必要はありますよ」

 蓮華の決意に嫌そうなシャオちゃん。それを穏がなだめる。

 

「最終手段として、GPを消費してロボや艦船の操縦スキルを入手すればいい。FXギアまではみんな覚えたんだから、それの派生スキル扱いで少しは入手コストが安くなってるはずだ」

「さいとろん適性はGPで覚えられへんの?」

 霞に指摘されてビニフォンで調べてみるも、購入できるスキル一覧にはなかった。

 たぶん、うちの誰かが入手しないと開放されないのかもしれない。

 

「もし、サイトロン適性がGPで覚えられるとしても、よっぽど安くないとちょっとGPは足りないかも」

 以前よりははるかにGPを稼いでいるけど、オリハルコン買うのでけっこう使っちゃったからなあ。あっぱれ世界では俺たちが有名になっちゃったせいで火事場ど……現地調達もしにくくなっちゃったし。

 

「武器や道具は煌一の能力でなんとかなるから、GPはスキル習得や上達に回すべきだろう」

「そろそろスキルを覚えるのに使用した方がよいかと」

 冥琳と亞莎の言う通り、GPを使うかな? 使わなくても頑張ればマスターできるんでケチってたけど、そんなこと言ってる場合じゃなさそう。

 

「まずは必要なスキルとポイントを計算しましょう」

「操縦以外ではスタッシュの派生スキル、スタッシュ大は必要かと」

 そんなスキルあるのか。

 今の俺のスタッシュのスキルレベルは6。共有スタッシュのシナジーもあるおかげで18メートル級のMSは入りそうだ。

 大だとどれぐらいのものまで収納できるようになるんだろう。

 

「スタッシュが大きければ、おやつがいーっぱいしまえるのだ!」

 鈴々ちゃんたちのスタッシュは食べ物でいっぱいだもんなあ。

 スパロボJにも居候オバケに例えられた大食いの子がいたっけ。3人のヒロインの中じゃ一番好みだったなあ。能力的にも強かったおぼえがある。

 

「スパロボ世界となるとロボもいろいろ出てくるから、UHの他にももっと大きなロボも収納できるようにしておかなくちゃいけない」

 適性訓練しながらプラモ作らないといけない。真桜だけじゃなくて春蘭、七乃にも協力してもらわないと。

「あ、真桜の機械関係のスキルもレベルアップしておかなくちゃ」

「ホンマか?」

「必要だろ。でもそれだけじゃメカニックが足りないような……スパロボ世界なんだから修理能力持ちやHP回復アリのロボもいけるか?」

 成現コストはかかりそうだけどなんとかイメージしないと。Jにはいなかったはずだけどナノマシン持ちならメンテも楽になるかな?

 

「なっ……」

「どうした桂花?」

「インターネットで調べたら、スーパーロボット大戦Jの女主人公の愛称がカリンじゃない!」

「えっ?」

 俺もビニフォンで調べてみると、最近出たOGシリーズのだとカルヴィナ・クーランジュがそう呼ばれているみたいだ。

 あのヤンデレがカリン……? いやいや華琳はカットインじゃ揺れないってば。というか揺れてはいけない!

 

 影の薄かったフューリーの皇女、シャナ=ミアが月ちゃんならまだわからでもないのにね。

 

「ファンからの愛称はカルビだったはずなんだけどなあ」

「……おいしそう」

「今日は焼肉ですね、恋殿!」

 焼肉か。豪華旅館となった本拠地でも美味いのが食べられるんだけどGPかかってしまう。みんなの食費のためにもGPは無駄使いできないんだった。

 むこうだと越後屋に肉頼まないと足りないだろう。……忙しいはずの生徒大将軍も匂いをかぎつけて屋敷にきそうで怖い。

 スパロボの『補給』で食料も補給できたらいいのになあ。

 

 やってる時間ないのにチェックしなければいけないものが増えたか。また華琳ちゃんに頼むしかないかも。

 とりあえずJのことだけでもついでに調べながら話すか。

「ナデシコとSEEDにはかかわりたくないなあ」

 ナデシコはメインクルー以外は不幸になるイメージがある。というか幸せなのは艦長だけ? ルリルリ以外はどうでもよかったんで記憶がいい加減だけどさ。

 劇場版? ルリルリ育っちゃったから観てないんだよね。

 SEEDも危険だ。スワッピングするつもりはないんで巻き込まれたくない。種じゃなくて1stだったらヘンビットが大喜びだったろうに。

 

「ゲームのメインの連中にはできるだけ接触せずに、なんとか救済するしかないか」

「待ちなさい。美しい女性も多いのでしょう?」

「そ、それは救済後に接触してもらえれば」

 ゲーム画像や調べたデータを見せたのがまずかったか。華琳にもプレイしてもらって我慢……逆効果か?

 

「そうね。救済後に華琳がよそで楽しんでくれてるなら、わたしたちはゆっくりと子作りできるわねぇ、蓮華?」

「しぇ、雪蓮姉様!」

 蓮華が真っ赤になって慌ててる。

「そっか。あの世界を救済できれば煌一さんの赤ちゃんができるんだよね。がんばろう、愛紗ちゃん鈴々ちゃん!」

「おうなのだ!」

「鈴々まで!?」

 担当世界の救済がおわるまでは使徒とそのファミリアは子供ができないんだよね。それもあって今は避妊をしないですんでいる。

 でもさ、できるようになったからってすぐに子供を作るわけにもいかないよね。育てられる環境ができるまではちゃんと避妊をしないと。

 

「煌一の子か。へへ」

「へぅ。煌一さんの赤ちゃん……」

「兄様とわたしの……」

 なんで妊娠もしてないのにお腹に手をあててるかな?

 避妊するなんて言える雰囲気じゃないよね。

 

 がんばって救済完了前に子育てできるように準備しないと!

 

 でもなあ、スパロボ世界ってのがなあ。Jならまだしも、もしもOG世界だったとしたら戦いが延々と続いて、子育てなんてできなさそうだ。

 ……戦いが続いている間は救済がおわらないのかな?

 

 それともゾンビタウンのようにスパロボの戦いとは全く関係のない救済が必要なんだろうか?

 

 全てはあの部屋を出た時にわかるはず。

 

 

 ……わかるといいなぁ。

 

 




本編嘘予告

 あまりにも巨大なゴールデンハニーを前にマインは装備スワップを使用する。
「verändert sich」
 マインが身に纏ったのは煌一の作った新たなる装備。
 その名も艤装ビスマルク。モデルはもちろんあれである。

「オルガニックフォーメーション!」
 その強力な一撃によってゴールデンハニーは粉砕された。



 だが、その機能はないはずのマインが涙する。
「マイスター、星銃士(こっち)じゃありません……」


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