気合を入れてゲートから跳んだ俺たち。……といっても精神コマンドというわけでもなく気力が150になったりはしない。
むこうでなにかあった時のために小隊毎に分けて移動するのが正しいんだろうけど、見送りがいたから勢いとカッコつけもあって一気に全員で移動しちゃった。
ゲートも拠点も全員入れる大きさだったしさ。ギリギリだったけどね。
転移した担当拠点はいつのまにか『煌一担当世界拠点1 月面』という選択肢に変わっていた。
月なのが、しかも内部じゃなくて月面なのが確定だ。
「さすがにこの人数だと狭いわね」
「そうだね」
スパロボだと狭いはずのブリッジに何十人もいることがあったりするけど、実際には体験したくないなあ。
というか、主人公たちの所属する部隊には関わりたくない。無茶させられたり危険すぎる。
整備や補給を気にしないで済むのなら、俺たちは独立した組織でいた方がいいはずだ。
そりゃ、生で見たいキャラはいるけどさ。戦場では会いたくないかも。
「さ、煌一、動かしてみてくれ」
サイトロン適性のスキルは入手している。
そのためにを
稼動させてサイトロンを精製、それを何度か摂取することで俺をはじめとした何人かがスキルを覚えた。他はスキル習得の必要GPが高価だったの上に金欠状態ということもあり、GPでは覚えていない。
サイトロンは『気』に近い物質なのか影響を与えるのかは不明だが、摂取中はCPの回復が早くなる。
オルゴンエクストラクターを設置したのは2面のヴェルンド工房のそばだ。ドワーフたちが、携帯しやすいように小型化を目指すと言っているので、邪魔な物を作ってしまったと気が引けないで済んでいる。
エルフたちはサイトロンを使ってCP回復用のポーションを作るらしい。
「動いてくれよ」
この拠点に存在しているはずのサイトロンを吸収するかのように深呼吸して気持ちを落ち着かせ、デスクと一体になっている端末に触れると、ヴゥンと小さな音を立てて起動した。
「っ?」
キーボードに触れた指先からだろうか、操作方法が頭に流れ込んでくる。
「……これがサイトロン・コントロールか……」
拠点に設置されていた端末が次々と勝手に起動していき、ついには正面の壁にまでその少女が表示される。
『Hi-ORu粒子は使えるようになったようね、煌一クン』
「なっ!?」
思わず背後の華琳に振り向く。
画面の少女は衣装こそ違うが、華琳と瓜二つだったのだ。
「君はいったい? ……ってか、俺は真玉橋じゃあないし、サイトロンもHi-ERo粒子でもない!」
「
画面の少女は通信ごしでもわかるほどにため息。
……いつのまにか双方向で通信している? カメラはどこだ?
「まだ? ……もしかして君は……華琳ちゃん?」
そのネタを知ってるってことは華琳じゃなくて華琳ちゃんの可能性が高い。
嫁さんたちには時間がなくてスーパーロボット大戦OGムーン・デュエラーズもやってないはずだし、健全ロボダイミダラーも観せてない。
危険だからね。華琳あたりが自機の操縦席をダイミダラー2型のおさわり形式にと要求しそう。もちろん、自分がさわる方で。
実際、華琳ちゃんはさ。
「これならサイトロンを制御できるはずよ」
「サイトロンとHi-ERo粒子は違うってば」
「サイトロンと密接なオルゴンは
そうなの? いつの間にそんなことを調べたのさ。
「サイトロンもオルゴンも気と同じなら、房中術的な物で発生してもおかしくないでしょう」
「そんなこと言われても」
「試してみる?」
……なんてことがあってさ。
『やっと気づいたのね。まったく、妻の顔を忘れるなんてどうしょうもない夫ね』
「え?」
あれは、あのオリハルコンの輝きは……。
「煌一、なぜ彼女が結婚指輪をしているのかしら?」
「ウチたちが合成する前にはしてなかったはずやろ」
華琳の疑問に霞が追随する。
同じくカードになっていた
「そもそも本当にあれが華琳ちゃんなの? まだそこにいるはずよね?」
そう、華琳ちゃんはまだファミリアカードのまま、俺の結婚指輪に収納されているはずだ。
「……うん、華琳ちゃんはまだここにいる」
この結婚指輪はスタッシュとは微妙に違う、カードやぬいぐるみ用の収納領域も持っている。そこからこっちを覗くことも、指輪の持ち主の意思でその窓をふさぐこともできるのだ。
その収納には華琳のカードしかセットされていない。他の無印恋姫ぬいぐるみたちは成現して俺の嫁さんたちと合成しているからだ。
「どうなってるんだ? 華琳ちゃんに聞こうにも寝てる場合じゃないだろうし……」
カードとなった人物と会うには契約空間入りするしかない。だが俺の場合は寝ることで擬似契約空間に入ることもできる。
あ、擬似じゃない方のなら、周りと時間の感覚が違うから一瞬で確認できるか。
指輪から華琳ちゃんのファミリアカードを取り出そうとする俺を、画面の華琳ちゃんが止めた。なぜか頬が赤い。
『雪蓮、あなたが華琳ちゃんと呼ぶのは2人きりの時だけという約束ではなかったかしら?』
「ごめんね、つい」
てへぺろ、と誤魔化す雪蓮。
華琳ちゃん、雪蓮にまでちゃん呼びされて恥ずかしかったのね。
……雪蓮、もしかして華琳ちゃんまで狙って?
大喬といい、美羽ちゃんといい、このロリコンめ!
『あの時ザンギュラに負けなければ……』
「あ、その賭けを知ってるってことは本当に華琳ちゃんなのね」
『また!』
ゲームでちゃん呼びを賭けていたのだろうか。
またも大きくため息をついてから、画面の華琳ちゃんが告げる。
『時間が惜しいわ。さっさとこっちにきなさい』
それと同時に拠点の魔法陣の上にポータルが開いた。
『あなたたちなら使えるようになってるわ』
使用者を設定できるってことは、華琳ちゃん(仮)のポータルスキルのレベルが高いようだ。
「どうする?」
「さっさと行きましょ」
「だが、干吉たちの罠という可能性もある」
華琳ちゃん(仮)を華琳ちゃんと信じた雪蓮がポータルに向かうのを冥琳が止めた。
また干吉たちが連れてきた外史の曹操という線もあるんだよな。
『時間がないと言ってるでしょう。これを見なさい』
画面表示が切り替わり、映されるのは白と青に塗装された細身のロボット。
「ベルゼルート。やっぱりこの世界は……」
スーパーロボット大戦Jの主役機の1体だ。
「それだけじゃないよ、まだいるみたい」
その機体を発見したのは意外にも桃香だった。
月面地表にいる、大きな右腕を持つ赤い機体。もちろん、見覚えのある機体だ。
「エクサランス・ストライカー? じゃあこの世界はOG? でもベルゼルートがいるMD時はガンストライカーなんじゃ……」
『詳しいことを説明する時間はないわ』
どうやらポータルを使うしかなさそうだ。
振り向くと、みんなも頷いてくれたので俺たちはポータルにとびこんだ。
「ここは?」
ついた先はなにやら大きな施設の中だった。
周辺の機械からすると格納庫のようにも見える。あのクレーンなんて巨大ロボを運ぶのに使いそうだ。
「この艦は……その説明は後にしましょう。まずは現状の認識が先ね」
画面に映ったのと同じ衣装の華琳ちゃん(仮)がそこにいた。他には誰もいないのか?
エクサランスがいたってことは、この華琳ちゃん(仮)は未来からきた華琳ちゃん、もしくは華琳の可能性がある。スパロボRでエクサランスはタイムスリップをしたからね。
確認しようと華琳ちゃん(仮)を鑑定するも失敗。くっ、隠蔽スキルのレベルも高いようだ。
「時間がないとか言ってたわね」
ヨーコの質問に頷きながらビニフォンを操作する華琳ちゃん(仮)。スマホ型ではないあの形からすると俺たちのと同じく最新ロットのタイプだ。
最新ビニフォンによって立体表示されるのは先ほどの2体のロボット、ベルゼルートとエクサランスだ。
エクサランスはスーパーロボット大戦Rの主人公機で、ベルゼルートと同じくOGにも登場している。
「この2機は現在、
「ああ、どっちも軍に売ろうとしてたって話があったな」
エクサランスの方は資金のために、ベルゼルートの方は地球の軍に売るというのを隠れ蓑にしてフューリーのために開発してたんだっけ。
「競合試作、あなたがわかりやすく言うならYF-19とYF-21のようなものね」
「わかりやすすぎて助かる」
マクロスプラスか。
それにしても連合軍ってことはOGじゃないのか? OGのは連邦軍だったはずだけど。
「そして、グランティード、クストウェルの2機もこちらの手引きで脱出、目的地へ向かっているわ」
「目的地?」
グランティードとクストウェル、どちらもスパロボJの主人公機だ。クストウェルはOGMDじゃ強化型しか出てなくて、しかも敵メカにされてる。
俺の問いに無言でビニフォンの投影画面を変更する華琳ちゃん(仮)。
映されるのはやはり月面と思わしき上空に浮遊する1体のロボット。重装甲のその機体は。
「グランゾン……」
スパロボ界屈指の敵ロボだ。たまに味方になったり主役になったりするけどやっぱり敵な印象が強い。
なんでここに……いや、パイロットの中の人が干吉と同じだからか?
「干吉はこの世界そのものを破壊しようとしているわ。フューリーの母艦の装置とエクサランスのエンジンを利用して」
「そんなことができるのか? ……グランゾンならなんでもアリな気もするけどさ」
オルゴンエクストラクターかラースエイレムか? それと時流エンジンを利用?
無茶苦茶でっかい縮退砲でも撃つんだろうか?
「あなたたちはあれを止めるために出撃しなさい」
「いきなりラスボス戦?」
……そりゃ戦えるぐらいの準備はしてきたけど、実戦経験が少なすぎるから不安だ。
「おかしいわね。あなたは本当に私なのかしら? そんな重要な戦いを他人任せにしようなんて」
ずっと華琳ちゃん(仮)を睨んでいた華琳が彼女を指差す。
たしかに華琳ちゃん(仮)以外に味方がいなくても、自分で戦いそうな気がする。
「私だって、できることなら自分でやりたいわ。けれど、そうもいかない事情がある」
黙祷するかのごとく数秒、目を瞑る華琳ちゃん(仮)。
「許可するわ。私を
視ろって……やっぱり可愛いなあ。胸やその他の大きさも華琳と同じようだ。
「そんな……お前はいったい?」
華琳ちゃんが不快そうに眉を寄せる。え? もしかして華琳よりも華琳ちゃん(仮)の方が胸が大きかったりした?
全く同じに見えるけど。
「鑑定しなさい」
ああ、視ろってそういうことね。
華琳ちゃん(仮)が隠蔽スキルをOFFにしてくれたのか。
鑑定スキルで視てみると……うん、今度はちゃんとビニフォンに表示されるな。
「華琳・ブーン?」
「そう、それが今の私」
え? 名前が曹操から変わってるよ。どうなってるのさ、これ。
「私はこの作戦に失敗して
失敗って、やはり未来の華琳ちゃんなのか?
「誰かと合成したの?」
「ふふ。あなたたちもこの作戦に失敗すればわかるわ。名は体を表すという言葉の意味を」
名は、か。カリン・ブーンってどっかで聞いたよな。なんだっけ?
うーん、アニメかゲームのキャラクター名と同じなんだけど、その人と華琳ちゃんが合成された?
「特異点となった
「特異点ってまさか時空振動弾? いや、グランゾンも特異点だったはず……私たちって他にも?」
「もっと話していたいけれど、時間がないわ。行きなさい」
華琳ちゃんがポータルを開いた。かなり大きい。
「グランゾンの付近に繋いだわ。出撃しない者たちはこっちへ。通信設備があるわ」
さらにもう1つポータルが。ポータルの複数起動とか、レベル高えな、オイ。
「いきなりな展開だけど、どうする?」
「あれが本当に干吉というのなら倒すまで」
華琳にしてみれば因縁浅からぬ干吉だ。他に選択肢はないか。
「悩んでる時間もなさそうよ。どうするかは戦ってから考えましょ」
思考中の冥琳の隣でさっさと決断する雪蓮。
「桃香さま、私たちは出撃します。その間に朱里たちは情報を集めてくれ。護衛は残す」
愛紗も出撃するつもりらしい。
「出撃メンバーが決まったら、ロボを出して準備してくれ。俺たちは小隊を編成しないと」
ポータルでの移動のために小隊を編成する俺と君主たち。
俺は分身を2人出す。全部で3人。1人はこっちに残って2人は出撃。
「ザンリュウジン!」
右腕にセットされた金色のデバイスを外し、龍の顔の意匠の左右、2つある穴の1つに指を入れてくるくる回しながら起動コマンドを呟く1人の俺。
『ようやく出番かい煌一ぃ!』
モバイルモードから武器(?)に変わったそれが目を点滅させながら話しかけてくる。
悩んだ末に結局成現した魔弾龍、ザンリュウジンである。こんなに早く使うことになるとは俺も思っていなかった。
「リーロン?」
「あれ? ヨーコはザンリュウジン初めてだっけ?」
ザンリュウジンはグレンラガンの漢女と中の人が同じだったね。
「グランゾンをスキャンする。ロボではスキャンのスキルが使えないから変身して俺がやるしかない」
いきなり攻撃して爆発されても困る。それに、せっかくの機会だからスキャンしたいというのも勿論ある。
「それなら俺も!」
同じくゲキリュウケンをモバイルモードから剣に戻す一刀君。
「いや、スキャンは俺の方が早いし正確だ。烈風もあるしな。一刀君はみんなの護衛を頼む」
烈風ってのは神速やクロックアップみたいな超速の技だ。魔弾戦士ではリュウジンオーだけが使っていた。
護衛の方は室内じゃロボも使いづらいだろうから、変身ヒーローがいてくれれば安心できる。
……嫁さんたち生身でも強いけどさ。用心に用心を重ねておきたい。
「リュウジンキー」
マダンキーを高く掲げる俺。みんなが注目してるので赤面している。トイレの個室で変身した回があったけど、今ならあの気持ちもわかる!
変身用のマダンキーをザンリュウジン中央の龍の口(?)に差し込んで頭をスライドさせてセット。
「発動!」
『CHANGE RYUJINO』
「斬龍変身……はっ!」
普段の軽い口調とは違う機械音声っぽい台詞とともに
「リュウジンオー、ライジン!」
魔弾スーツを装備してポーズを決める俺だが、やはり慣れてないせいでどことなくぎこちない。
『おいおい、だいじょうぶかよ煌一』
「問題ない」
魔弾スーツじゃなくて強化外骨格を成現した方が恥ずかしくなかったかな?
でもアレ、激痛らしいしなあ。
その頃、通信設備があるという場所に向かった俺たちは、かなり見覚えがある場所にいた。
「ここは……マクロス7の艦橋?」
「人和、正確にはバトル7のブリッジかな。でもちょっと違うみたいだ」
ポータルで移動した先はマクロス7で視たバトル7のブリッジによく似ていた。
でも、あそこが艦長席だとしたら、その前方のメインオペレーター席は2つだったはずなのに、もっと多い。
「想像どおり、ここはブリッジよ」
「やっぱり新マクロス級なのか?」
「真・マ
正面の大型ディスプレイに文字を表示して説明してくれた。
でもさ、真・恋姫†無双みたいにしないでくれ。短剣符(†)をクロスって読ませるのも無理矢理感がすごいんですが。
画面は艦の全体像に変わった。やっぱりバトル級のマクロス艦みたいだね。
「艦名はバトル・エロース」
「え?」
「マ†・エロースのバトル級空母よ。これなら名前がカブる心配もないわよね」
そりゃオリンピアやオデュッセウスならともかく、エロスなんて艦名のマクロスは出てこないと思うけど。
「あなたたちは出撃する者たちとの通信を開いて。わかるでしょう? その間に煌一クンはこの艦をスキャンとデコードしておきなさい」
「いいの?」
まあ、駄目って言われてもこっそりスキャンするつもりだったけどね。
嫁さんたちが適当な席について、端末を操作してる横で、俺はスキャンを開始する。本当にバトル級なら巨大な艦だけど俺のMPならスキャンするのは可能だ。分身の俺は最大MPも3分の1だけど問題はない。データはビニフォンに直接転送すれば脳に負担もかからないだろう。
「……ブリッジはバトル7風なのに、全長がバトル・フロンティアよりも大きいのか」
バトル7とバトル・フロンティアは同じバトル級なのにバトル・フロンティアの方が大きく、重い。さらにそれよりも大きいなんて真の名は伊達じゃないのかもしれない。
「バトル7風の方がオペレーターのお尻がよく見えるでしょう?」
そういう理由なの?
バトル7の艦長席の前のメインオペレーター席は椅子というより、太い棒。それに横座りするので、たしかに艦長席からはオペ子のお尻がよく見えるだろうけどさ。
この艦も同じく、艦長席前のオペレーター席は棒椅子。しかもその数がバトル7よりも多い。エロス艦の名も伊達じゃないのか。
……蓮華が出撃組じゃなかったらあの椅子に座ってもらうのに! 流琉ちゃんや真留ちゃんも捨てがたいな。
「は、はわわわ……この椅子、緊張感が保てるようにって設計じゃなかったのですか……」
「で、でも朱里ちゃん、お尻なら私たちでも……」
朱里ちゃんと雛里ちゃんがその席に座っていたけど、こっちの話が聞こえたのか目に見えて慌てだした。
うん、2人のお尻もいいな。
「ゆ、月?」
空いてる棒椅子に月ちゃんが座って、それに付き合う形で仕方なさそうに詠も座った。
「へぅ」
月ちゃん、耳まで真っ赤になっているということはさっきの話を聞かれていたんだろう。でもなんでその席に?
もしかして見てもらいたいの?
……いかん、スキャンに集中しないと。
でもやっぱり見ちゃう。
くっ、ビニフォンがデータ記録中という作業してなかったら撮影しておくのに!
俺がエロス艦のデータを集めている内に、出撃組との通信ができるようになっていた。
そして
「コールサイン?」
「あんたが分身して何人もいるから混乱するからよ! あんたなんて蛇、接続器、種無しで十分なのに!」
「ありがとう桂花。でもその呼称はやめて。特に種無し! 子供ができないのは担当世界の救済がおわってないからだから!」
そのおかげで避妊を気にしないで済むのはある意味助かっているけどさ。
「ここにいる煌一殿はファイヤーです」
稟が告げた呼称なら言わねばなるまい。
「これで俺はファイヤー煌一!」
でもなんでファイヤー?
「ロボに乗ってるのがホワイトなのです」
「変身したのがキングだぜ」
残りの俺のを風と宝譿が教えてくれた。
ファイヤーにホワイトにキングか。俺のイメージじゃないんだけど。
「火と白と王か」
「ああ、煌一の名前を分解したのね」
ぽんと手を叩く地和。合体漢字が俺のコールサインらしい。
『ちなみにリュウジンオーだからこっちがキングなんだぜ』
通信でザンリュウジンが割り込んできた。
リュウジンオーは龍刃王だったね、たしか。
「その理屈だと俺が熱血で、ホワイトの髪が真っ白になりそうだ」
「あら、わかってるじゃない」
「ええ?」
未来を知ってるはずの華琳ちゃんが言うと怖いな。俺が熱血? 華佗みたいになっちゃうの?
それともファイヤーバルキリー乗り? ……音痴だからそれはないか。あれも好きなバルキリーなんだけどね。
「もう1人出したら、ワン? それともファーストとどちらでしょう?」
『ワンよりもニャアの方がいいのです!』
穏と明命の通信がこっちにも漏れてくるし。
その時はファーストの方が無難そうだ。
『準備はできたかしら?』
ガリルナガンの華琳からの通信。
ほとんどの嫁さんたちに何種類かのロボを渡しているが、華琳は黒系、というか悪役側のロボを選ぶんだよなあ。
ガリルナガンの武器は大鎌っぽく見えないこともないから、そこがよかったのかな? 斧らしいんだけどね。
とにかく数を作りたかったからプラモや超合金があるので成現したんだけど、これはデカール貼りが面倒だったよ。
パイロット的には
スパロボ定番の洗脳も強化チョーカーがあるから大丈夫だろう。
『このまま出撃しちゃっていいの? 出口はどこ?』
マイザー・デルタプラスの雪蓮はバーチャロンのようなカタパルトを探しているみたいだ。
雪蓮たち孫姉妹の機体はマイザー系列の改造機。蓮華がイータカイ、シャオちゃんがガンマカイに乗っている。
第3世代なのにVアーマーを持つというチート設定。その内マイザー・デルタカイも造りたい。
「愛紗はそれでいいの? グランゾンはMSよりも大きいんだよ」
『これが一番慣れていますから』
ハウリング・ベアの愛紗に聞く。H級とはいえATなのでスパロボだったらサイズSだ。ネオになっちゃうとサイズLになるグランゾンの相手はちょっときつくないか?
『それにこの方がキング殿のサポートに向いているはずです』
ああ、でかい機体だとリュウジンオーと一緒に行動しにくいと思ったのか。
「ありがとう愛紗」
『ウチもおるで!』
霞がハウリング・ベアなのは愛紗とお揃いだからでしょ。
出撃組のみんなが思い思いの機体に乗り、華琳ちゃんたちと通信して準備を整える。
低重力下でって、戦闘どころか訓練すらやったことないけど、操縦スキルで対応できるんだろうか?
「用意ができたならポータルで跳びなさい。その後は指示に従って移動、グランゾンと遭遇したらこれを破壊しなさい」
格納庫に華琳ちゃんがポータルでやってきた。
「ポータルで出撃か。まあ、カタパルトなんて使ったことないからそっちの方が助かるけどさ」
そもそもロボの種類が多いから、非接触型のカタパルトじゃないと使えないだろう。あ、バトル7なら電磁カタパルトが艦橋付近にあった。このエロス艦にもついてないのかな。
ファイヤーからのテレパシーっぽい情報共有でわかったけどこれがマクロスもどきとは……まさか俺が成現したってことはないよな?
「もしも失敗したら、まずは各員、状況の把握と付近の仲間との合流」
『あれを逃すつもりはないわ』
華琳ちゃんのアドバイスに割り込む華琳。
「……そうね。ならばあとは任せるわ」
華琳ちゃんもそれ以上は続けずに、ポータルを開いて転移してしまった。分身からの情報でもブリッジにいったわけでもないらしい。
「グランゾンへのを残してポータルも消えちゃったし、華琳ちゃんは完全に俺たちに任せてくれるみたいだ」
『そうだな。流されるままというのは気が進まんが、今はやるしかなさそうだ』
ブリッジのレーティアが発令する。
『全機、出撃!』
Tu be continued in 大有双
真・恋姫†有双……になるはずが(仮) は、これで終わります
本編(大有双) に続いてます
プロローグだったはずなのにこんなに長くなってしまったので本編と分けます
スパロボ世界に恋姫キャラ(+その他)が現れる下準備だけの予定だったのに……
嘘じゃない本編予告
「知らない天井だ……」
目覚めた煌一、ホワイトと呼ばれた男。
「って、天井っていうかカプセル? 閉じ込められてた?」
自分が寝ていた装置に戸惑う彼の前に現れる白い羽扇を持った少女。
「はわわっ! ビッグ・ファイアさまがお目覚めしちゃいました!?」