真・恋姫†有双……になるはずが(仮)   作:生甘蕉

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47話 天と地のはざまに輝きをほこる

 小さくなってしまった俺をガッチリと強く抱きしめる女神ワルテナ。

 細腕ながらも戦神だけあってその力は強く、幼くなった俺ではとても抜け出せる気がしない。

 さらに、今の俺の身長ではちょうど彼女の胸に顔が埋まってしまう。

 柔らかな爆乳といい香りに包まれて、俺の意識は遠くなっていった。

 ……つまりは気絶した。

 

「ん……」

「ああーっ!」

 朦朧とした意識が叫び声で目覚めさせられた。

「な、なに!?」

 ここはアパート1階の大部屋のようだけど、どうなってるんだろう?

 

「もう起きちゃったッスか」

「しゃあないなあ」

 柔志郎と智子が頷きあってる。さっきの声は智子だよね?

 レーティアとクランは残念そうな顔をしてるし、いったいなにが?

 

「つまり、寝ている俺を起こす役をかけてジャンケンをしていた最中だったのか。そんなに立候補者がいたの?」

「そりゃね。眠れる姫を起こすのは口づけだと昔から決まっているでしょ」

 ワルテナも2面に帰ってなかったか。これで話が聞けそうだ。……口調が違うな。

「誰が姫だっつの。華佗に気付け薬とか聞けばよかったじゃん」

「華佗は駄目だろ。あんたの呪いがかかっちまう」

 まあ、梓の指摘通り華佗は美形だけどさ、俺には祝福封じのアイテムが……ってあれ?

 たしか、おニューの眼鏡、まだ効果時間切れてなかったよね?

 

「俺の眼鏡知らない?」

「ごめんなさい。エロ坊に会えてちょっと興奮しちゃって……」

 おずおずとワルテナから差し出されたのは、握り締められたのかレンズが割れたおニュー眼鏡。フレームもバッキバキだ。

 ……この力で俺が抱きしめられたのか。

「手、だいじょうぶ?」

 恐怖を誤魔化すようにワルテナに聞いた。これで少しでも切ったりしていてくれれば安心できるだろうか?

 

「怒るよりも先に私を心配してくれるなんて、やっぱりエロ坊はいい子よ!」

 再び俺を抱きしめ、嫁さんたち総出で止められる戦女神。

「また気絶させるつもり?」

「ちょっとおとなしくしてろよ」

 あろうことか、女神が後ろ手に縛られてしまった。

 バチとか当てないで下さい。……素直に縛られてくれたからそれはないかな?

 

「だってぇ、エロ坊が可愛くて。てへっ」

 てへぺろで誤魔化そうとしてるけど、いつもの「ですわ」じゃないたぶん本来の口調のワルテナ。

 そんなに嬉しいのかな。

「なあ、さっきからエロ坊って呼ばれてるけど、あんたなんかした?」

 半眼(ジトめ)で俺を見る梓。君の巨乳も立派だけど、女神のそれはさらに上回っていたよ。

「俺にもさっぱり。たぶんこの姿のせいじゃない?」

「え? ……もしかしてエロ坊じゃない?」

「やっぱり勘違いしていたか。いや、この場合は勘違いじゃないのかな? ママの大親友さん」

 彼女がそんなことを口走っていた記憶がある。

 この女神の大親友って、もしかしたら、さ。

 

「なるほど。煌一君だったのですわね」

 今さら口調を戻されても……。

「そんなに似てるの? そのエロ坊って子に」

「そうですわね。とてもよく似ておりますわ」

 ならたぶん、エロ坊とやらが俺に憑いているという神と見て間違いなさそう。

 ……でも、俺の子供の頃の顔とあまり違わない気もしてたんだけど。

 

「エロ坊神の母親が、俺に呪いをかけた女神であっている?」

「鋭いですわね。そうですわ。貴方を祝福したアっちゃんがエロ坊のママですわ」

 アっちゃん? それが俺の世界の主神か。

 ビニフォンを取り出して、インターネットで検索をかける。この大部屋にも無線LANの中継器を用意しているので、俺の部屋の回線が使えるのだ。

 

「女神……エロ……エロス……これか!?」

 検索候補にあがったのを調べていく内にそれっぽいのを発見した。

 エロ坊というのはたぶん、ギリシア神話の愛の神エロースのことだろう。有翼ってのもあっている。

 ローマ神話だとクピードー(キューピッド)。ラテン語だとアモール。オメガの魚座か。

 

 そしてその母は美の女神、アプロディーテー(アフロディーテ)。……やっぱり魚座か。

 ローマ神話だとヴィーナス。まさか女神の代名詞ともいえる存在が、俺の世界の神様だったとは。

 俺がビニフォンを操作するのをじっと見ているワルテナ。

「便利ですわねえ」

「アっちゃんってのは、愛と美の女神であってるな?」

「正解ですわ」

 

 やっぱりか。

 俺んとこってビッチ女神が管理していた世界だったなんて……。

 鍛冶の神ヘーパイストス(ヘファイストス)の妻でありながら浮気を繰り返す女神。

 まあ、アテナっぽいワルテナと仲が良いらしいから、ギリシア神話のアフロディーテそのものじゃないんだろうけど。

 そんなのが俺に呪いをかけたのか。

 

「俺に呪いをかけた女神の正体はたぶん、このアフロディーテに似た存在だと思う」

 ビニフォンの画面をみんなに見せる。

「アっちゃんですわ」

 ワルテナは仲が良い神は愛称呼びか。剣士も剣坊だったしな。

 アフロディーテだからアっちゃんなんだろう。アポロンやアルテミスはどう呼ぶのかな?

 

「アフロディテ様?」

「ヴィーナスやろ」

 クラン、様はいらない。智子、セーラーな金星とは重ねないでくれ。

 

「で、その息子がエロース」

「エロス? いやらしいのか?」

「ええと……エロティックの語源だろうけど、愛の神だよ。キューピッドとも呼ばれてるって」

 エロースも凶悪だよね。

 原初神の頃は最強の神っぽいけど、アフロディーテの息子となるとキューピッドのイメージそのものの最凶の神。

 イタズラに恋の矢を操り、神々や人を不幸にしていく。

 だが、この神のなにが性質が悪いって、自分はちゃっかり幸せになっていることだ。

 不幸な物語が多いギリシア、ローマ神話系には珍しい。

 

「エロ坊はいやらしくなんてありませんわ。とっても可愛い、いい子なんですのよ!」

 ……その性悪神に似た存在が、俺に憑いている?

 思い当たる節がないわけではない。

 設定改変で一刀君や華佗の好みを変える時に、そんなに悩まなかった。後で後悔はしたけど、仕方ないって割り切ることができている。

 金や鉛の矢を使うエロースの影響が出ていたのかもしれない。

 

「それで、美の女神がなんで煌一に呪い、いえ、祝福を?」

「アっちゃんはエロ坊のママで、息子を溺愛してるのですわ。かなりのムスコンですの」

 うん。アフロディーテはエロースの話でもそんな感じだな。面倒な姑になってそうだ。

「エロ坊は血の繋がっていないヘパさんに懐いていたんですの。そのおかげで、別れたいと口癖のように言うアっちゃんも別れなかったぐらいなんですわ」

 ヘパさん、ヘパ、ヘパ……ヘファイストスのことだろうな。

 それにエロースが懐いていた?

 っていうかエロースの父親って誰さ?

 ……アレース? ゼウス?

 どっちにしても碌なやつじゃないな。

 

「アっちゃん女神の旦那か」

「見た目はあれですけれど真面目な神ですわ。彼の影響でエロ坊も物作りが大好きでしたわ」

 まさか、俺のプラモ好きもそっからきてるの?

 ……へー。ヘファイストスってパンドラさん創ったのか。泥からってことは粘土(ファンド)製?

 嫁さんの浮気を疑ったりするし、なんかエロースよりもこっちの方が俺に憑いているんじゃない? 俺としてはかなり親近感が湧いて嫌いじゃない神っぽいし。

 アフロディーテと離婚したって話もあるのか。

 でも、ヘパさん神は俺んとこの管理神とは別れていない、と。

 

「アっちゃんはエロ坊が成長しないのをよく嘆いていましたわ。そうそう、ヘパさんがなにかしてるんじゃないかとも疑っていましたわ」

「えっ、エロ神って懐いてたのにヘパさん神に嫌われてたの?」

 そんな疑われるような関係だったの?

 嫁さんの愛を一身に受ける血の繋がらない息子が憎かったってやつ?

「そんなことはありませんわ。ヘパさんもエロ坊を実の子以上に可愛がっておりましたわ。ただ……エロ坊が成長したらアっちゃんの毒牙にかかるんじゃないかとは心配しておりましたが」

「まさか。だって実の息子でしょ」

「アっちゃんの愛にはタブーはありませんわ」

 げっ。そういや神話には母親とやっちゃうマザコン神もけっこういたっけ。

 ビッチ女神ならありえるのか。

 

「……もしかして、その成長しないってのが俺に憑いている原因?」

「さあ? そこまではわかりませんわ。でも、あなたの祝福は、あなたに悪い虫がつかないようにという親心からのものですわ」

 自分が狙ってるエロ神が他のやつの手に渡らないように、って俺の作った貞操帯(チョーカー)と同レベルの理由なんじゃないの?

 しかしそうなると、俺がエロ神にとり憑かれたのって、俺が呪われたのと同時期か、それよりも前ってことになるはず。

 若返りの薬の効果でエロ神が表に出てきてしまったってこと?

 

「剣士は俺にエロ神が憑いているって理由、知ってる?」

「知らんぜよ。煌一さんに憑いちょるってのも初耳なんじゃ」

 むう。……剣士に相当する神ってなんだろ? アフロディーテの弟って……ないな。

 まさかこいつの方が正体不明になるとは。修行中の未熟神だからメジャーじゃないだけなんだろうか?

 

「俺の身体からエロ神に出ていってもらうことはできないか?」

「無理ですわ」

「無理ぜよ」

 即答かよ。少しは悩んでくれよ。

「……いったん死んでスピリットの状態になって、GPで身体を作り直せばエロ神は前の身体に残ったままにならないか?」

 おお、さすが天才だレーティア。

 それなら上手くいきそうかも。俺まだ死んだことないから、試してないし。

 

「無駄ですわ。煌一君の魂とエロ坊の欠片はもはや強く結びつき、混ざり合っておりますわ。ブレンドして淹れたコーヒーをモカとブルーマウンテンに分けるようなものですわ」

「駄目か……欠片?」

「人の身に神の全てを降ろせるはずもないですわ。煌一君はエロ坊の分身を内包しているようなものなのですわ」

 ふむ。ワルテナや剣士のような分霊(アバター)にされかかってるってことなんだろうか。

 

 自分でもビニフォンを操作し、情報を集めながら華琳がため息。

「女神の目的がわからないと、これ以上打つ手はなさそうね」

「剣士の修行に付き合わされているのにも、なにか理由があるんだろうか」

「どうじゃろなあ。ワシはかなり無理言って借りてきたんぜよ」

 アっちゃん女神の計算じゃないのかな?

 考えてみればこのサイコロ世界にきたおかげで、結婚できたんだよなあ。……本当の初夜はまだだけどさ。

 きっとそれは女神の計算外だと思いたい。

 ……あとで俺の嫁さんたちが、プシュケーみたいに嫌がらせ受けなきゃいいなあ。

 女神の管理世界に戻らなきゃいいか。

 

「とりあえずはこうして……」

 魔法で、翼のない姿に変身する俺。

 シャツの背中の翼用の穴は開いたままだ。変身魔法のレベルが上がれば、服の交換も同時に行えるようになるんだろうか?

「そんな方法で誤魔化してたらMP消費が大変ですわ」

「ご心配なく。この程度なら余裕ですので」

 現在の最大MPのとんでもない数字も、神が憑いてるせいなんだろうか。影響が全くないとはいえないだろうなあ。

 いくら『魔法使い』のスキルがあったとしても、上限はもっと低そうな気がする。

 もう兆を超えてるなんてやっぱりなんかおかしいのだろう。

 

「そこまで最大MPを鍛えてましたのね。さすがはエロ坊ですわ」

「エロ坊はやめて」

 言いながら、スタッシュから前の眼鏡を取り出してかける。

 やはり大きいけど、壊されたのがこれじゃなくてよかった。

 

「あとで、素材用の眼鏡を用意しないといけないな」

 この際、大量に確保しときたいとこだけど、あのタイプのってなかなかないんだよなあ。

「アニキにはもっと似合う眼鏡があるッス!」

「俺のはお洒落でかけてるワケじゃないからさ」

「なら、似合う眼鏡で祝福封じを作ればいいッスよ!」

 食い下がるね。……眼鏡フェチでもあったんだっけ。

 ずっと俺の眼鏡が似合わないとか思ってたんだろうか。

「顔が隠れないと安心できないから、EP籠めにくいんで無理」

 そんなガッカリした顔しないでもいいでしょ。

 

 

 せっかくだからとワルテナもいっしょに夕食をとる。

「エロ坊は昔、お姉さんと結婚する! って言ってくれたんですわ。けれど私は処女神。泣く泣くお断りしたら大泣きされて、あの時は本当に困りましたわ」

 戦女神にプロポーズとかませたガキなんだな、エロ神って。

 ……なんで嫁さんたちが不機嫌そうな顔になるのさ。

「いや、俺のことじゃないから。エロ神のことだってば」

「だってもう同一化しているのでしょう?」

「や、やっぱり大きなおっぱいがよかったのだな、エロ煌一!」

 名前繋げるの禁止。

 俺とは別モノなはずなんだけどなあ。

 

「そうなると、剣士は煌一の叔父さんってことになるわね」

「俺じゃなくてエロ神のでしょ」

 この駄神と親戚とか勘弁して。

「華佗、剣士のことを頼むよ……そうだ! 華佗なら俺のこと治せない?」

「さすがに若返りを治せというのはよくわからんな。……はあああああああああああっ! ……病魔も見えない」

 病魔探しで気合を入れたのか。ビックリしたよ、もう。

「食事中に急に叫ぶな!」

「す、すまん!」

 そりゃ梓も怒るよ。

 でも、そうか。病魔扱いで呪いが見えたりしないかと期待したけど、駄目だったか。祝福カテゴリーらしいもんなあ。

 

「なら、セラヴィーのとこで薬作りを手伝ってもらう方がいいのか。元々剣士担当の世界なんだし」

「魔法薬か。興味はある」

 明日の基礎講習2日目で回復魔法も覚えるはずだし、回復役としてはかなり頼りになるはずだ。

 まだ訓練以外で大怪我したことないけどさ。

 

聖鐘(ホーリーベル)の話はどうなったのかしら?」

 俺は自分のことでいっぱいになっちゃって、すっかり忘れてたよ。さすが華琳。よく思い出させてくれた。

「申請は通ったんぜよ。けど、聖鐘が手に入るには時間がかかりそうなんじゃ」

「まさかまた例の運営のフラレ男が?」

 瀬良さんの上司って、アっちゃん神にふられたってことは不倫しようとしたんだよな。

 処女神ならともかく、人妻のそれもビッチな女神にふられて弟にやつ当たりって、どうしようもないやつだ。

 

「いえ、その男はもう、ここの担当から外されましたわ」

 にっこりと微笑んで続ける戦女神。

「剣坊への妨害工作や職務怠慢、目に余りましたもの」

 どうやら、ワルテナが運営の上の方にかけ合ってくれたらしく、降格と左遷の憂き目にあったらしい。

 その代わりに瀬良さんが支部長代理になったそうだ。

 

「彼女もかなり忙しいようで、帰りが遅れてしまいましたわ」

 仕事も増えただろうし、当然だろう。

「瀬良さんの仕事が落ち着くまで聖鐘を待つってこと?」

「いや、聖鐘は在庫切れらしいんじゃ。ゾンビタウン対策のためだけじゃのうて、安いうちにって、大量に確保しようとしたやつもいたらしゅうてのう」

 神でもそんなのいるんだ。転売目的じゃないだろうな。

 

「一応、優先的に回してもらえる手はずですが、すぐに完成するものでもないのですわ」

 物がないんじゃ仕方ないか。

「GPは足りそう?」

「それは大丈夫ぜよ。あの世界の救済もちゃんと認められたんじゃ!」

 それはよかった。これもワルテナが手を回してくれたのだろうね。

 今日のエロ神情報も合わせて、お礼しないとなあ。なにがいいだろう。

 とはいっても、俺ができるのって、情報で返すぐらいしかないんだけどさ。

 

「それは本当ですの?」

 俺の情報に驚きの表情を隠せないワルテナ。

 知らない人だったら信じないようなマル秘情報だもんね。

「うん。DVDも出てるはずだから確認してみて」

「……まさか彼が戦死していたなんて」

 そう。オタ知識による戦没者情報。

 俺がワルテナの能力だったら復活させる男の情報だ。もし本当に復活したら会ってみたい。

 ワルテナ帰宅後、確認したのだろう、『師匠と呼ばせて』とのメールがきてしまった。なんの師匠なんだか……。

 

 

 その夜。自室にて熟女たちの設定改変。

 変身魔法は、スキル持ちや軍師レベルじゃないと覚えるのが大変そうなので他に選択肢はなさそう。

「薬は無理そうだから、変身能力追加するね」

 ぬいぐるみたちに言い聞かせる。契約空間もどきではないので彼女たちからの返答はないが、おかまいなしに念を送った。

 彼女たちの年齢を下げることをイメージする。この際、今の俺と同じくらいに、いやいやそれはマズイかと葛藤しながら。

 次にクランの固有スキル、巨大化の別バージョンみたいな感じで……MPを消費して元の姿に変身(アダルトチェンジ)する能力追加。

 MP消費で少女に、ではないのはMPが切れたら元に戻ってしまうから。

 少女の姿を基本にした方がいい。大江戸学園で生活することを考えたら、ね。

 年増やしの魔法薬が完成したら、飲んでもらえばいいわけだし。処女化するより問題ないでしょ。

 

「これでいいか」

 どれぐらい若くなったかは、十兵衛からの連絡がきて、みんなを戻した時じゃないと俺にもわからない。上手くいってるといいけど。

 やはり、EP低下によるネガティブ思考があまり発生しなかった。これが若さか。

 

 ぬいぐるみを返して、今夜の当番のクランと203号室に戻ってくる。

「ええと、この身体じゃさすがにあれは無理かと」

 早く変身魔法のレベルを上げなければ!

「かまわないのだ。私は煌一の身体に興味があるのだ」

「え? クランってショタコン?」

「ち、ちがうのだ! 生物学的にあの翼が気になるのだ!」

 ああ、クランはそっちにも詳しかったっけ。

 俺は寝巻きとシャツを脱いで変身魔法を解除した。

 

「ふむ。やはり興味深いのだ」

 いつもとは逆に身体をなで回される俺。

「ひゃん」

「へ、変な声を出すなっ」

 そう言われてもね、若いせいか前以上に敏感なのよ、この身体。

 声まで女の子みたいだしさ。クランの顔が赤いのも仕方ないよね。

 

 翼だけでなく、色んなところを見られ触られて弄ばれた幼い身体の俺。

 でもこれでミシェルよりも関心を持ってもらえると信じてそれに耐えた。

「なんだかクランに開発されちゃったな……」

「人聞きの悪いことを言うなぁーっ!」

 

 




今話タイトルは聖闘士星矢の瞬の台詞(アオリ文句?)
「天と地のはざまに輝きをほこる美の戦士! 魚星座のアフロディーテ!!」
から

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