あまりにも溜まっていたようだった。
だから予定変更して、先にトイレでスッキリしてきた。
この魔法使いには美少女とのシャワー混浴はあまりにも刺激が強すぎたよ。
記憶が鮮明な内にという理由だけでなく、これから華琳ちゃんの下着を洗わなければならない。あのままだったら、その下着さえ汚してしまった気がする。
賢者な今なら普通に洗えるはずだ。
……コンカで俺の見たのを画像として出力する機能、本気で欲しいな。念写スキル探してみようか。
今までよくも病院でいっしょのベッドで我慢できていたなあ。
欲情も空腹みたいにステータス異常扱いで治療されていたのかも。
でなきゃいくら殺される可能性があっても、ちょっとくらいは暴走してたかもしれない。
念入りに手をよく洗ってから華琳ちゃんの服を洗濯。一着だけで洗濯機を動かすのはもったいないので、俺の洗い物といっしょに洗濯しちゃうけど怒らないでね華琳ちゃん。
華琳ちゃんの下着は洗濯ネットに入れるか迷ったが、やはり手洗いすることにした。
洗面器でぬるま湯に洗剤を混ぜ、下着をつける。
洗う前ににおいをかいだり、かぶったりはしない。そんなことをしたら、下着を片手にトイレに直行しそうだったから我慢我慢。
しばらくつけたら、生地を傷めない様にあまりこすらず軽く洗って、水ですすぐ。
タオルで水気を切って、干す。
無人なので誰も盗むやつはいないだろうから、窓の外に干しても大丈夫だろう。
部屋干ししたら、ずっと眺めていそうだし。
……もし盗まれちゃったら、華琳ちゃんははいてない状態がしばらく続くのだろうか?
まだ寝るには早い時間だ。
久しぶりにネット巡回と、録り貯めてあった深夜アニメでも見るかな。
携帯のアンテナは立たないけど、テレビは普通に映る。ここの電波状況どうなっているんだろう?
「その前にメールしておくか」
最大MPがかなり増大したおかげで自然治癒時のMP回復の量も増えている。
もうメールしても問題ないくらいにMPが貯まっていた。
涼酒君たちどうしてるかな?
『だいぶMPが増えました。今はアパートに戻っています』
2人にメールした。
3人がそれぞれの担当世界に行って別行動になったりしたらチャットかTwitterの方が便利だな。それとも掲示板?
『いまだお巡りさんゾンビがみつからんわい』
『こっちは火事になって大変だった』
ほぼ同時に2人からメールが返ってきた。コンカメールは思考入力だから速いよね。
でも火事ってなんだろう?
返事を書こうとしてやっぱり同時に2人とメールするのは面倒だと感じる。
そばにいるんだからどっちかのコンカのみでやってくれればいいのに。
……名前も書いたし、他人のコンカは使えないのかもしれない。
こうなったらチャット試すか。コンカにチャットルームを用意したいと念じる。
『第49初期本拠地荘会議室を起動します』
……あ、できちゃったみたい。
煌一さんが入室しました。
煌一>てすと
MPの消費は……そんなに大きくないな。リアルタイムに減っていきそうだけど、様子を見てみるか。
『チャットできそう。部屋名は第49初期本拠地荘会議室。試してみて』
これをメールした。
剣士さんが入室しました。
柔志郎さんが入室しました。
柔志郎>こんばんは
煌一>こんばんは。そっちも夜なんだね
そういやこのチャット、時間が表示されてないな。時差のある担当世界もあるのかも。
剣士>こう使うんか?
剣士>できたぜよ
煌一>おめでとう。MP消費はどう? 使えそう?
書き込んだ時も消費してない。接続中ずっと消費し続けるタイプか。
柔志郎>この消費ペースなら大丈夫。全然減ってない
剣士>たぶん会議室用意したやつが一番消費するタイプぜよ
煌一>そんなのあるの? まあMP増えたから余裕だけど
柔志郎>助かります
剣士>次からもまかせるぜよ
ホスト担当にされてしまった。問題ないか。
……Twitterもどきもできるかもしれないけど、しばらく様子を見てからがいいか。もしそっちも担当任されたら、常時立ち上げてなきゃ駄目だろうし。
煌一>火事ってどうしたの?
柔志郎>剣士のやつがやらかしました
剣士>ちょっと火炎剣の火力ミスっただけじゃ!
火炎剣? 武器とスキル、どっちだろう? やっぱり刀身が燃えるのかな?
でもそれで火事になったのか。酸欠や一酸化炭素中毒等も考えると室内じゃ使いにくそう。
ダンジョンとかあったとしたら別の系統を使った方がいいだろう。
柔志郎>おかげで拠点付近が焼け野原に
剣士>そこまで酷くはないじゃろ
煌一>拠点?
剣士>WPがあってゲートから移動できる場所じゃ。敵は入ってこれんから安心ぜよ
柔志郎>アイテムでポータルを開いて戻ってくるのもここ
WPとかポータルみたいなワープ移動も当然あるのね。
煌一>火事になっちゃって大丈夫?
柔志郎>北綾瀬駅は無事です
剣士>拠点は滅多なことでは壊れんわい
煌一>拠点って駅なの?
剣士>他の拠点はまだ見つけておらんがこの世界はそうらしいのう
他の拠点てあるんだ。WPで拠点間を移動できるのかな?
北綾瀬か。インターネットも使えるしちょっと調べてみるか。
へえ、環七沿いの駅なんだ。……あれ?
煌一>焼け野原ってどれくらい?
剣士>そこまで酷くないぜよ!
煌一>いや、俺の世界の北綾瀬駅調べたらさ、近くに警察あるんだけど
柔志郎>え?
煌一>環七行ったすぐ先に綾瀬警察署がある
剣士>おっさん、この辺詳しいんか?
煌一>ネットで調べた
柔志郎>ネット繋がるの?
煌一>うん
柔志郎>俺んとこは繋がりません
剣士>ネットってなんじゃ?
おや? 俺の部屋だけなの?
どうなって……回線の問題?
煌一>田斉君のとこの回線は有線? 無線?
柔志郎>スマホだから無線です
剣士>じゃからネットってなんぜよ?
柔志郎>剣士ちょっと待て
田斉君って涼酒君にはキツイかな。
でもなんかわかってきた気がする。
煌一>電話は使える?
柔志郎>そっちも駄目です
煌一>テレビは?
柔志郎>テレビは見れます
煌一>テレビはちゃんとアンテナ線で部屋の外に繋がっているよね。たぶんそのせいだと思う
電気ガス水道みたいに部屋の外に繋がっているのは大丈夫。だけど神様の不思議パワーでも無線は駄目なんだろう。
……ということは固定電話なら使えるのか。
煌一>俺のとこの無線LAN使えば、そのスマホでもネットはできるかもしれない。
柔志郎>本当ですか!
剣士>ワシもネットつうのをやりたいぜよ!
古いノートパソコンをあげるか。でも涼酒君に説明するの大変そうだなあ。スマホみたいな方がいいのかな?
でも、俺だって今だにガラケーだし……。
ヒキコモリの俺にはパソコンあればそんなもん必要なかったもんなあ。
……むこうの世界のスマホでも使えるかな?
煌一>地図見たら警察の先に大型電気店あったよ。涼酒君に使えそうなパソコンかスマホ探してみるのもいいかも。あと、無線LANの中継器とケーブルがあったらそれも。俺のとこの外には無線LANの電波届かないかも知れないから
柔志郎>なるほど
剣士>ふむ。電気屋さんじゃな
剣士>おっとその前に警察ぜよ。鉄砲手に入れるんじゃ!
柔志郎>そうだった
地図とか見せてあげたいけど、チャットじゃ無理か。メールに添付できればいいけど。
あ、そうか。
煌一>まず本屋に行って、地図を入手した方がいい。
剣士>本屋さんで地図が買えるんか。ワシの担当世界じゃ地図なんて売っちょらんからすっかり忘れてたぜよ。コンビニカードで足りておったしのう
柔志郎>出陣後だと行ったことのある場所しか表示されないから不便だって
オートマッピングあるだけでも便利だと思うけど。
煌一>カードじゃない方のコンビニにも地図あると思う。小さいの
剣士>なんじゃと。あそこは缶詰とかカップ麺があるだけじゃなかったんか
そういうの食べてたのね。スタッシュに入れとけば傷まないし、食料の心配はあんまりしないでいいのかな。
剣士>これで今後の見通しが立てやすくなったぜよ
柔志郎>今日は悩まずに寝れる。いい夢見れそう
煌一>夢っていえば、同じ夢ばっかり見るんだけど使徒になったせい?
剣士>どんな夢ぜよ?
煌一>なんにもないとこでぬいぐるみと会話してる夢
美少女と、なんて書き込んだら欲求不満と思われるのがオチだ。
剣士>そりゃ夢じゃのうて契約空間の可能性があるぜよ
柔志郎>ああ、たしかにあそこはなんにもない
煌一>契約空間?
剣士>そこでファミリアと契約するんぜよ。あそこは一種の精神世界なんじゃ
煌一>ファミリア?
柔志郎>使徒の仲間。俺のは犬です
剣士>ありゃ狼ぜよ
ファミリアねえ。魔女の使い魔のことじゃなかったっけ? それが使徒の仲間でいいの?
でももしもあれが契約空間だとしたら、華琳ちゃんが俺のファミリアになってくれるの?
煌一>ファミリアになるとどうなるの?
剣士>ほぼプレイヤーと同じじゃな。ステータスやスキルが成長しやすくなるんじゃ。死んでもカードになるだけじゃし、復活も簡単ぜよ
煌一>カード?
柔志郎>ファミリアカード。俺はゲームコーナーで入手しました。
そういえば、涼酒君が勧めていた気がする。
それだったら最初に言ってくれればよかったのに。
犬より美少女の方がいいから全然問題ないけどさ。
煌一>どうやって契約するの?
剣士>ファミリアシートに名前を書いてもらうんぜよ
柔志郎>契約空間なら持っているはずです。犬みたいに字が書けないやつは契約するって納得させてからシートに触れさせるだけで大丈夫
剣士>じゃから狼ぜよ!
ファミリアシート? 持っていた覚えないけど、やっぱりあれは契約空間じゃなくて夢だったのかな。
またあの夢見たら探してみるか。
煌一>ありがとう。参考になったよ
剣士>お互い様じゃ
柔志郎>こっちも助かりました
剣士>それじゃこの辺でお開きにするかのう
柔志郎>おやすみなさい
柔志郎さんが退室しました。
剣士>おやすみぜよ
剣士さんが退室しました。
俺が『おやすみ』を書き込む前に2人とも退室してしまった。
一応俺もおやすみってしてから退室。チャットルームも閉じた。MPの消費はこんなもんか。かなり便利な機能かも。
今のところ画像をアップできないのは不便だけど、ゾンビ画像見せられそうだしいいか。
あ、くるくる用の美容器具頼むの忘れてた。電器店ならあったはずなのに。
涼酒君にメダルのお礼するのも忘れたな。この2つは忘れない内にメールしておこう。
メールを終えたら、チャットの内容が気になって深夜アニメ見るどころではなかったので、すぐに寝てしまった。
契約空間だっていってたけど、他に入り方わからなかったからね。
「またこの夢なのね」
夢でもやっぱり裸ワイシャツな華琳ちゃん。嬉しいことにちゃんと人間状態。
さっきはあんまり見れなかったから、今度こそじっくり堪能しよう。
「なんかね、夢じゃないかもしれないんだって。ここ」
布団から起き上がって、ファミリアシートを探す。
といっても本当に布団以外、なんにもない空間なんだけど……あ、布団の下から紙とペンが出てきた。
じゃあ本当にここが契約空間なの?
「契約空間?」
「うん。夢じゃなくてそういう精神世界だって聞いた」
説明しながらもファミリアシートを確認する。ほとんどプレイヤーシートと同じみたいだ。
違うのは記入欄。プレイヤー名とファミリア名の2ヶ所になっている。プレイヤー名には俺の名前が記入済みだった。
「ふぁみりあという煌一の部下になる契約を行う場所なのね」
部下、でいいのかな。
布団の上に女の子座りする華琳ちゃんにファミリアシートを渡した。気に入らない、って破られちゃうかもしれないけどそれはそれで構わない。
無理強いはよくないと思うしね。まだ。
俺がなってほしいのはファミリアじゃなくて別のものだからさ。
「いいわ」
「いいの!?」
「なにをそんなに驚いているのよ」
そりゃ驚くでしょ。こんな美少女が俺の使い魔になってくれるって言うんだもの。
「約束通り私があなたのモノになるだけ。ここで契約を完了したら、煌一は皆を助けることを止めることはできない」
か、華琳ちゃんが俺のモノ!?
……なるほど。前払いってワケなのね。
「俺が踏み倒すとかは考えてないの?」
「それはないわ。煌一の人となりはだいたいわかったもの」
俺の性格もう読まれちゃってるの?
たしかに単純だろうけどさ。
「俺、弱いから逃げたり諦めちゃったりするかもしれないよ」
現にこうやってなんとか逃げ道つくろうとしてるし。そりゃみんな助けたいとは思うけどさ、確約なんて荷が重過ぎる。
「弱いなら鍛えてあげる」
ニヤリと不敵に笑う男前な美少女。
……逃げ道塞がれたか。
「不束者ですがよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく、ご主人様」
イタズラっぽくそう呼んでくれたので、俺は顔が熱くなりながらもペンを渡した。
華琳ちゃんが「ここね?」や「変な筆ね」等と言いながらも小さな手でスラスラとファミリア名欄に曹操と記入。途端にシートの未記入欄も自動的に埋まった。
「これが私の能力、なのね」
チラリと覗くと処女の二文字が目に映る。なんでこう目立つとこにそんな項目があるかな?
もの凄く嬉しいけどさ!
「ふむ。文字は半分くらいしかわからないわね」
「見せて」
なんの躊躇もなくファミシーを渡してくれた。BWHのサイズまで記入されているんだけど、華琳ちゃんはそんなの気にしなさそうだからいいのかな。
「……すごい」
無茶苦茶ステータスが高い。MP以外は俺のの何倍って能力値ばっかりだ。オール5の通信簿を見せられた気分。
あと気になったのは固有スキル。『覇王』ってなってるけど解説がない。
マスクデータってことはレアで強いスキルなんだろう。
「それでご主人様、お願いがあるのだけれど」
「ご主人様は勘弁して」
涼酒君たち2人が戻ってきた時にそう呼ばれたら困る。
「そう? 煌一でいいのね」
あなた、とかダーリンの方がいいとは言えないシャイな俺。
「うん。それでお願いって?」
そのお願いは予想外だったが、ある意味当然のことだった。
赤くなりながらお願いする華琳ちゃんにちょっぴり……かなり興奮しちゃったよ。