だいぶ手加減にも慣れてきたかな?
でも隣に寝てる4人は設定改変で処女化しちゃったから、本当の意味では初めてじゃ……いやいや、俺が初めての男なんだ! その前の経験はノーカウント。4人とも俺の嫁さん!
うん。俺のテクニックが上がってることにしておこう。
もしかしたら手加減スキル覚えているかもしれないな。スパロボみたいだね。魂は恋が覚えるかな、呂布だし。
ビニフォンでステータスを確認する。最大MPの数値から、その増加分を計算して、と。
俺の新たなスキル、『大魔法使い』は名前こそすごいが、以前の隠しスキル『魔法使い』とたいして変わらないっぽい。
たぶんレーティアの
ともかく、最大MPの上昇率と魔法スキルの習得率も相変わらずで、そろそろマジで巨大ロボットを
まずはその準備でEX-ギアのサンプルを開発部に渡した。あれなら、他のロボットにも搭載できればある程度の操縦系の統一ができると思う。ロボごとに違う操縦を覚える必要がなくなれば、いろんな機体を試せることにもなるしね。
さあ、どのロボから始めようかな?
パイルバンカーがあるからベルゼルガができたら桔梗にいいいかもしれない。『青の騎士ベルゼルガ物語』のATH-Q63-BTSにして、左肩の文字を『酔』に変えれば……うん。いい感じだな。後でキットを調整しておこう。
あ、でもEX-ギアの量産と操作に慣れる方が先か。卵を使ってお約束するんだったよね。
俺も鬼モードでの力の制御訓練でやってみるかな。急激に筋力が増加するもんだからスキル名が『鬼制御』でも、まだまだ力を持て余している。精神的な鬼が暴走しないってだけなのかな? もしくはレベル? どちらにせよ訓練しないと駄目そうだ。
卵は無駄にならないように料理するとして、ケーキでも作ろう。
エロ神モードの訓練もしないといけないな。スキル『愛神化』は、ちっちゃくなって翼が生えるだけとも思えない。……レベルが上がったら黄金と鉛の2つの矢を使えたり?
でも、恋心を操る矢なんて使いたくはないんだよなあ。鉛の矢なんて特にさ。あれって俺の呪いのようなもんでしょ。こんな不幸を与える矢ってのはねえ。
……まてよ。もしかして鉛の矢は俺の呪いを矢に移して発射するスキルなのだろうか? だったら呪われても意味がないような、たとえばゾンビ相手に使いまくれば呪いが解ける?
なんてね。手に入ってもいない能力で妄想してもしょうがないか。それともまさか俺の妄想で矢を成現しろってこと?
むう。矢の作成関係ならアーチャーに話を聞きたいところだけど、まだ忙しいみたい。弓の訓練なら嫁さんたちに聞いた方がいいだろうし……。
夏休みで時間があるようで、そうでもない。やることが多すぎるんだよな。鍛える方向性を決めて一点集中しないと、どっちつかずで強くなれなさそう。積みプラモ作時間も必要なのに。
一番使ってるのが『双頭竜』のスキルだって言うのは考えちゃ駄目な気がする。……もう、レベルアップしてるけどさ。
夏休みといえば、トウキョウの解放も発表されちゃったことだし、いい加減、嫁さんの実家に挨拶しに行かなくちゃいけないんだよな……。ううっ、胃が痛い。恋姫†無双の嫁さんにそれがないのがせめてもの救いか。
「なにを朝っぱらから渋い顔をしてるのよ」
眠そうに目をこすりながら雪蓮が聞いてきた。
「あ、おはよう雪蓮。いやね、親御さんへの挨拶って大変だなと思ってさ」
「おはよ。ふあぁぁ……親御さん、ねぇ」
大きなく欠伸をしながら挨拶を返し、起こした上体を再び寝かせる。
「なーんか、ふらぐっぽい……」
小声でそんなのが聞こえたので続きを待って耳をすませていたら、寝息が聞こえてきた。二度寝っすか。
「雪蓮が言うと洒落にならんな」
「ああ、勘だっけ? っと、おはよう冥琳」
「おはよう。雪蓮の勘もあるが、もしも文台様が生きていたら煌一は洒落ではすまないだろうという意味だ」
いや、ますますフラグっぽいんですが。華琳が異世界で別の華琳といっしょに孫堅にも会っているという話も聞いているんだから。
「も、もしもさ、雪蓮たちの母親が出てきたりしたらさ、俺ってどうなっちゃうかな?」
「ふむ。雪蓮たちが選んだ男だ。いきなり殺されたりはしないだろうが、試されはするだろうな……結局殺されるか」
認められないこと前提なのね。試すってどんな方法でさ?
怖くて聞けやしないけど。
「い、いくらなんでも殺されるってのは言いすぎなんじゃない?」
「考えてもみろ、雪蓮だけならまだしも蓮華様や小蓮様まで傷物にされているのだ。眼鏡にかなわねばそうなるのは当然だろう」
ぐっ。雪蓮以上に豪快な人らしいし、ありえるか。あと傷物って言い方はやめてね。
「万が一のためにもっと鍛えておいた方がいいか」
鬼モード強化一択だな。身体を鍛えよう。再生能力も。
……ご機嫌取りのために、上等なお酒とツマミも用意しておくか。
「しっかし、こんなにも音楽やってる人っていたんだな」
校舎番号と演奏予定の書かれたパンフレットを手にため息をつく。
「学園祭の音楽祭には出ないグループも出ていますから」
詠美ちゃんが赤ペンでチェック済みのパンフを再確認しながら、こちらを見もせずに教えてくれた。彼女は音楽好きで特にメタルがお好みらしい。
「そうはいってもさ、帰省中の子だって多いんだよね?」
「そこは執行部がちゃんと生徒たちに連絡を届けたということでしょう」
生徒大将軍に返り咲いた徳河吉彦がそれだけ有能だってことなんだろうか。
かっこいいところを見せて恋人をつくり、夏休みの残りをエンジョイしたいという者たちもいるんだろうな、やっぱり。
「兄ちゃんたち、早くテントたてないといい場所とられちゃうよ!」
「いい場所っていってもさ、どっちにしろ校庭だからそんな違いはないって」
大きな石があったり、変な傾斜があったりするなんてことはないだろう。
ちなみにテントも執行部が用意した。災害時用の備えとして保管されているものらしい。実際に使って動作確認と訓練も行う、というのが今回の建て前だ。
開始は午後からだというのに、ちびっ子たちはテント設営に張り切っている。プチ音楽祭よりもキャンプが楽しみのようだ。……恋姫組は野営経験者ばかりだと思うけど、どっか違うの?
「校舎のそばだとトイレ等も近くて便利ですけどその分、人通りも多くて落ち着かないかと思われます」
「それはあるか」
トイレや水道は校舎のものを使うことになっている。料理は校庭に調理場が設置されたのでそこを使用。
メニューは無難に定番のカレーだ。お米とルーも配給された。非常食として保管された一部。もちろん、その分は新たに補充されている。
俺たちが大江戸学園にくる以前、五人組という商人たちによる物流支配事件があっただけに、その備蓄には力を入れているらしい。
具材は各自持ち寄り。まあ、カレーには家庭ごとにコダワリがあるだろうからね。
俺の場合はカレールーを数種類とカットトマトの缶詰をたっぷり使うのがコダワリといえばコダワリか。残りの具はオーソドックスに人参、ジャガイモ、玉ネギ。肉は鶏肉。今回はオクラやナスなどの夏野菜も使おう。
俺以上にコダワリがあるのは凪。
激辛担当の予定だ。スパイスも独自ブレンドらしく、楽しみである。俺も辛いの好きだからね。凪にはほどほどの辛さでって頼んでるけどさ。余ったら他の生徒たちにもチャレンジしてもらうことになるだろう。
愛紗と春蘭もつくって勝負するって言ってたな。勝負って誰か審査員するのかね?
カレーならそんなに失敗はないだろう。ないよね?
でも、梓と流琉ちゃんは乙級の子たちの料理監督するらしいから、注意は俺がしてなきゃ駄目か。
……カレーか。クルル干吉が現れなきゃいいけど。いや、クルルカレーも食べてみたいけどさ。
カレーといったらやっぱり、眼鏡で尻で先生な先輩でしょ。あ、彼女もパイルバンカー使いだったっけ。
テントは家族まとまって近くにたてた。一応、用心のためにテント自体にも結界符を貼る。上から見たら俺たちのテント配置が特殊な形になっているように見えるかな。
で、俺は小さなテントで独り寝。さすがに他の生徒のいる場所で、夜の新婚生活は危険だよね。……悔しくなんかないやい。ちょっと寂しいだけで。
「お兄ちゃん、そろそろ始まるみたいだよ」
「そうか、どこからいこうか。って唯ちゃん?」
「今日は、ねずみやもあんまりお客さんがきそうにないのでお休みなんです」
結花まで。
彼女たちの保護者ってどうなっているんだろう? 父親で、剣魂の開発者だった子住義光はすでに亡くなっている。母親の話もあんまり出てこないんでもしかしたら故人なのかもしれない。誰に挨拶にいけばいいんだ?
「あのさ、お盆で墓参りするんだったら、俺もいっしょにいっちゃ駄目かな?」
「え?」
「娘さんを貰いますって、墓前に報告しなきゃいけないよね?」
もしかしたら霊視で親父さんの幽霊を見ちゃうかもしれない。まだ声は聴けないけど、紙に書いた50音を指差してもらえば、意思の疎通はできるだろう。あれ? これってコックリさん?
「な、なにを言ってるのよ!」
結真ちゃんが真っ赤になって俺をバシバシ叩く。照れ隠しなんだろうけど、けっこう痛い。助けを求めようにも結花も頬を染めてぼおっとしていた。
「うん。ボクたちをお嫁さんにするってちゃんと報告しないとね」
ボクたち? 唯ちゃんの台詞、なんか違和感があるけどつっこんだらいけない気がするのでスルー。
「結花姉も満更でもなさそうだよね。今だって自分が言われたって思っちゃったんでしょ?」
……追撃がありました。スルー失敗しちゃった。
唯ちゃんと結花にも元に戻った――本当の年齢よりは若返っちゃった――俺の姿を見せている。家族だから本当の姿を見せたかったからね。というか、戻れたのが嬉しくて見せびらかしたが正しいんだけどさ。
そしたら、結花の反応が前と変わったんだよね。もしかして……いや、まさかね。俺の正体がショタじゃなくてガッカリしてるだけだよきっと。うん。
「都合のいい日教えてね」
「は、はい」
やりにくい。以前はもっとお姉さんって対応だったのに。……妹2人の面倒見なきゃっていつも気張っているから、年上の男性に甘えたいのかもしれん。ここは
「さ、それじゃいこうか、結花ちゃん」
今までは呼び捨てだったのに、ちゃん付けしてみた。これで俺の読みが勘違いだったらきっと子ども扱いするなって怒られるだろう。
「もう、煌一さんたら」
むう。微笑んでいるだけか。これはどう解釈したもんだろうか……。
「煌一、妾の歌は見事だったであろう!」
歌い終わった美羽ちゃんがステージ衣装のまま抱きついてくる。まあ、アレンジの入った巫女服なんだけどね。
「すごいよかったよ。前よりうまくなってる。美以ちゃんたちのダンスもとってもよかった」
「とーぜんなのにゃ!」
さっきのステージでは、美羽ちゃんと七乃が歌うそばで美以ちゃんたち南蛮勢が踊っていた。バックダンサーだね。
彼女たちも練習していて、息の合った動きを見せてくれた。
「つかれたにゃ」
「おなかへったにゃ!」
「すー」
運動量もそうだが振り付けを間違えないように気を使うので疲れたっぽい。シャムちゃんなんかもう寝ちゃった。
「熱中症にならないようにちゃんと水分取ってね」
冷えたスポーツドリンクを渡して、次の会場へ移動しないと。
「待つのじゃ、レーティア姉さまのところへ向かうのであろう。妾も行くのじゃ!」
疲れて動きたくないという美羽ちゃんを背負って全力疾走し、レーティアの歌の順番になんとか間に合わせた。途中で外見が変わらない程度に鬼パワーを使ったのは内緒だ。もっと鍛えないといけないな。
「これはあざとい」
「だがそれがいい」
ステージでは璃々ちゃんと大江戸探偵団、それに華雄が演奏していた。楽器はもちろんリコーダーだ。
「なかなかのものでしょう。皆、練習をがんばりましたぞ」
「うん。桔梗が教えたのもよかったんだよ」
「なんのなんの」
カラカラと笑う桔梗。萌将伝のイベントであるように過去のトラウマで人前での演奏を嫌っていたけど、それはすでに克服している。
ただ、俺としてはもうちょいミスがあった方がちっちゃい子らしくていいのだが。それはそれであざとすぎるか。
その後、しすたーずや稟と焔耶だけでなく冥琳の琴までもが演奏されて、その都度うちの嫁さんたちは評判がよかったようだ。身贔屓抜きだよ、たぶん。
あっぱれのファンディスクに出ていた仕打ち人の2人のは、嫁さんたちのとバッティングする別会場だったんで聴きそびれたけど、詠美ちゃんがその素晴らしさを熱く語ってくれた。
「疲れた……」
みんなの相手をするために時間ごとにいっしょに行動する嫁さんを決めて動いていたんだけど、分刻みのスケジュールは無理があった。
ステージが幾つもあったのも疲れる原因だな。会場がばらけすぎで、嫁さんたちの全部聴こうと走り回ったし。
夕食の準備でも気が抜けなかったもんな。心配だった愛紗と春蘭のもなんとか許容範囲におさまった。カレーの懐の広さに感謝だ。
……というか、凪カレーを先に食べたせいで、2人の作品の味がよくわからなかった。
明日のトイレが痛そうで不安だ。俺も腸洗浄のお世話になる時がついにくるのかもしれん。
食後はまだテンション高くて踊ってる連中もいた。
オクラホマミキサーやマイムマイムはキャンプの定番かもしれんが、俺にはトラウマでしかない。女の子誰も手を繋いでくれさえしなかったからね……。
ラジオを聞きながらのんびり洗い物をすませる。聞こえてくるのはずっとトウキョウ解放の続報ばっかりだけどね。
「ここにいたのね。遊びにきてる数名がうちのテントに泊まることになりそうだけど、問題ないわね?」
「前から仲良かった子たちだろ? 結界内に入ってこれてるし、コーヒーに使った聖水も平気ならだいじょうぶじゃないかな?」
「敵は異世界魔族だけとは限らないわよ」
それもそうか。とはいえ、人間ならうちの嫁さんたちには敵わないだろう。文官や璃々ちゃんたちには護衛もついているし。
「これでおわり、っと。テントに戻ろう」
「季衣、食器をお願い」
「はーい」
いっしょに洗い物をしていた季衣ちゃんたちが洗いおえた食器を入れたかごを持ち上げる。
「華琳? テントに戻らないの?」
「ついてきなさい」
なんだろう。華琳が校舎裏に向かいだしたので黙ってついていく。
念のために感知をONにしているが、その先に2人ほど反応があるんだけど。俺に会わせたいやつでもいるのかな?
まさかまた不良の呼び出しじゃないよね?
悩んでる俺に振り向いた華琳は人差し指を立てて口に当てていた。
ん? そして姿勢を低くして、さらについてこいとハンドサイン。俺も腰を屈めてついていく。その先には……。
って、お楽しみ中じゃないですか。
「こ、これって」
「しっ!」
小声で注意されたので、俺も声を潜めて聞く。
「む、無理矢理されてるんじゃないよね?」
「ええ。同意の上のようね」
こんな場所でよくやるな、テントの中ですればいいじゃん。そう思ったら、女の子の嬌声が上がる。
「ばっかおめえ、声がでけえって!」
「だ、だってぇ」
それでも続けるのね。あんな声が出ちゃうからテントじゃ駄目なのか。
「煌一」
「は、はい?」
やばい! 女の子の方、ガン見しすぎていたか?
「見ているだけなの?」
「え?」
華琳はお楽しみ中の2人を見て振り向きもせず黙ったままだ。
見ているだけ……あの2人を止めろってことじゃないよね?
俺は音が立たないようにそっとスタッシュから仮設トイレを出すと、華琳を引きずりこんだ。
「ふう」
「どういうつもり?」
「我慢できなくなっちゃった」
ここはあくまで、俺が我慢できなくなったってことにしておかなきゃまずいよね。実際、俺のパイルバンカーも反応してるし。
「わざわざこれを使うの」
「だって、華琳の身体を他のやつに見せたくない。あんな声を聞かせたくない」
いくら真でも萌将伝でも華琳のプレイスポットが屋外だったからって、俺がそれに合わせるつもりはない。
「まったくたいしたものね、独占欲だけは。……いえ、性欲もかしら?」
華琳の視線は俺のダブルパイルバンカーに。
「ちょ、ちょっと待っててね、双頭竜スキルOFFにするから」
華琳だけなら
よく考えたら女の子1人だけ相手にするのも、双頭竜をOFFにしてするのもはじめてだ。
「かまわないわ」
「へ? で、でもさ」
「その程度、私が受け止められないとでも言うつもり?」
いや、華琳ちゃんちっこいし無理がありそうなんだけど。言っても引いてくれなさそう。
同じはじめてでも、2本同時の方を先にすることになろうとは……。
せめて優しく、手加減しないと。
手加減スキルほしいなあ。
華琳をお姫様抱っこしてテントに向かいながらそう思う。
翌朝、校庭でみんなでラジオ体操をして朝食の準備中、紫が走ってきた。
「シャンハイに孫策が現れた」
え、えっと、孫堅じゃなくて孫策? あれってフラグじゃなかったのか……。