風譜バッテリー   作:群武

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2球目

私の進学先である「祇園高校」は女子野球の名門校だった。

 

何故、過去形なのかと言うと、ここ最近の祇園高校は甲子園に出るどころかベスト4にも残れていない。

それに加え一昨年に部活動内での暴力事件が発覚。

野球部は休部、噂によれば有望な選手達は転校してしまったらしい。

そんなこともあり今では女子野球よりも男子の野球部の方が有名で「男子の祇園、女子の宮川」と呼ばれるようになっている。

 

とこれから3年間通う高校について少し考えながら鴨川沿いをランニングしているといつの間にか分岐点に差し掛かっていた。

今までは向かって右側の高野川沿いを走るが、今日は少し気分を変えるために賀茂川沿いの方へと走ってみる。

 

「こっちの方が走りやすいかも」

 

いつものルートは人通りは少ないが、あまり塗装がしっかりされておらず少し走りにくい。

賀茂川沿いは塗装はしっかりされている分、結構人通りが多く走りにくそうなイメージがあった。その為、今までは避けていたが、実際に走ってみるとその評価は改めないといけない。

 

「やっぱりこの時間だと人通りも少ないしこれからはこっちにしようかな」

 

高校になるのと同時に3年以上走っていたルートにお別れを告げ新しいルートを走り出す。

 

それから20分ほど走ると段々と川原が広くなっており、いつの間にか運動が出来るくらいの広さになっていた。

 

「トレーニングも出来そうな所も丁度あっていいね」

 

私はその広場で日課のトレーニングをこなしつついつもと違う景色を楽しんでいた。

土手の上には桜の木が並んでおり、満開に近かったが少し散り始めていた。

その為、風が吹く度に木々が揺れ桜の花びらが落ちる。

ベンチに座りながらそんな桜吹雪を眺めていると、対岸で素振りをしている少年が居ることに気づいた。

 

「中学生くらいかな?こんな早い時間から練習なんて感心。感心」

 

ついこの間まで中学生だった事なんて忘れてそんな事を言いながら少年の素振りを眺める。

 

「それにしても凄く良いスイングしてる」

 

遠目から見ても分かるくらい鋭いスイングを繰り返す少年に目を奪われる。

 

(私だったらどうやって抑えよう…)

 

いつの間にか私は脳内で勝手に少年と勝負を始めてしまっていた。

 

ひとしきり少年との勝負を楽しんだ後、時間がヤバくなっていたので帰路に就く。

 

 

「さてこれからどうしよう」

 

入学式やクラス発表を終えてのんびりとした放課後の時間が流れる。

クラスメイト達は部活に向かう人や連絡先の交換に勤しむ人など各々が新生活のスタートに対してアクションを起こしている。

私もクラスメイト達と連絡先を交換してから少し窓の外を見るとすぐ近くに野球用のグラウンドがある事に気付く。

 

「ん?誰かいる?」

 

一瞬男子の野球部かと思ったが、遠目から見ても女子生徒なのが一目瞭然だった。

グラウンドには茶髪の少しチャラそうな子がバットを持ち、黒髪ロングの真面目そうな子はグローブをつけていた。

 

「キャッチボールする訳ではないんだ」

 

一体2人が何を始めるのか興味が出た為、私は教室から出てグラウンドへ向かった。

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