「ジラーチが現れたんですか?」
突然のスクープの匂い。俺の記者としての嗅覚がビンビンに反応した。
大手新聞社チューブタイムズ。このチューブ地方随一の新聞社である。日夜スクープの為記者達が奮闘する中、入社2年目の俺は事務所で電話番をしていた。
「……今日も暇だな」
ポツリと呟いてみるものの部屋には誰もいない。
「俺はどデカいニュースを拾ってきて世間をあっと言わせるために、この会社に入ったんだ!電話番なんてガキでも出来ることをする為に入社したんじゃねぇ!」
叫んでは見たものの誰もいないため再び静寂に包まれる。
この会社に入ってから、記者らしいことは何もしていない。張り込み、聞き込み、調査……etc, 俺が想像していた様な仕事は一向になく、事務作業員のように扱われる日々。入社して1ヶ月目に取材相手の州知事のカツラを暴いてから、俺の待遇はアイアント以下のチンケな物になった。汚名を返上するため、どデカいスクープでも見つけたいのだが、如何せん事務所でゴロゴロしているだけでは情報も得られない。
こうやって今日もただタレコミの電話を待ちながら一日が終わるのか……
そう思ったのも、つかの間。1本の電話がかかってきた。
「はい、こちらチューブタイムズ。ご要件は?」
「面白い話があるんだけど、買ってくれない?」
あーはいはい。たまにいるんだよねこういう輩。根も葉もない自作の話を売り込んで小銭を得ようとするヤツ。
「まぁ話の内容によりますね。情報の大きさ、信ぴょう性等で判断させていただきます。」
「幻のポケモンの話なんだけど」
「幻のポケモンのどのような話ですか?」
「現れるんだって」
「現れる?」
「チューブ地方にさ」
この時点でこいつの話は信頼性に欠ける。まず話し方が気に食わない。こちらの反応を見るかのように話を小出しにして本質に全然触れない。こちらの食いつきを見ているのだ。
内容が全然進まない話し方にイライラしてきた。端的に話せ
「あの……どんな幻のポケモンが何故何処に現れるって言うんです?まとめて話して頂かないとこちらと致しましても判断に困ります。」
「あぁ悪かった……ジラーチだよ」
こいつ……全然わかってない……。
ん……?ジラーチ??
「ジラーチが現れたんですか?」
ジラーチといえば、1000年に7日だけ目覚め、心を通わせた人間の願いを何でも叶えてくれるという伝承だ。チューブ地方じゃ子供でも知っている御伽噺。
「いや、現れるって話だ。イガッタタウンでもっぱら噂になってる。もう時期現れるんだって」
「……」
イガッタタウンにジラーチが現れる。聞いたことがあるぞ。なんでもイガッタタウンは昔からジラーチが眠るに丁度いい気候なんだとか。
しかし例えジラーチがイガッタタウンで眠っているにしても、前回のジラーチの目覚めから何年経過したか分かっていない。ただ御伽噺として残っている。
……幻のポケモンが現れるという与太話。だが、それがジラーチなら話は別だ。
ココ最近起きている異常現象、頻繁に流れる流星群、野生のポケモンの活発化。
ジラーチはポケモン達に敬意を示されるような偉大なポケモンで、流れ星にも密接な関係があると言われている。
この時期にジラーチ……これは……
俺の嗅覚が言っている
『あるぞ』
「とりあえず会ってお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
物語のスタートって世界観の説明とか、起承転結の「起」を始めるための話とかつまらないシーンがずっと続いてしまうのが完全に実力不足……
前書きが長く、登場人物も名乗っておらず、ポケモンも出てきていない状況ですが
ここから盛り上がる予定なのでもう少々お付き合い下さい。