【完結】月闇絶唱シンフォギア   作:ネガ

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2週間以上更新出来ずにすみませんでした。
仕事が忙しくてなかなか執筆スピードも上げられなくて…
今回でXVの10話にあたる部分になり、アニメパートも終盤に差し掛かってきました。

そういえば上條さんが右手だけ革手袋しているのは闇黒剣月闇の未来をもう見たくないからそれを絶縁体としているのでは無いかと思ってます。

いつの間にかお気に入りが1200を超えました!ありがとうございます!




第88話 神の下婢は、完全なる怪物。

一連の事件の黒幕である風鳴訃堂を逮捕すべく、風鳴邸の家宅捜査が行われた。しかし、八紘が銃弾に倒れ命を落としてしまう。その一方で洗脳された翼はようやく正気を取り戻し、アマルガムも認可が下り、訃堂は永遠の闇へ葬られる事に。同時に囚われた未来はノーブルレッド達にて解放されたが…

 

 

 

 

天へ伸びる強い光を見るカリバーと翼、そして弦十郎。一体何が起きているのか。

 

「何だ…こいつは…ッ!」

 

「首輪をつけて神を飼い慣らそうとした外道の報いが来たか…」

 

「何ッ!?」

 

カリバーの発言に、まさか神の力を訃堂が狙っていたと知り驚いた。

 

「風鳴の祈り、護国の願いが潰れて果てたという訳だ。」

 

やがて光の柱は次第に大きくなり、光も強くなっていく。すると、地下から巨大な何かが地響きを立てて姿を現した。

そして、マリアとエージェントの肩を貸す緒川もやって来る。

 

「ッ!?」

 

「あれは…」

 

その物体には地下から上へ赤い液体が流れている。しかし、この物体だけでも問題だが、その物体にある人物が立っていた。

そう。ノーブルレッドによって解放された未来だ。だが…

 

「小日向未来…ッ! 解放されたのか…ッ!」

 

「不敬である。道具風情が我を使役しようとは…」

 

今の人格は、シェム・ハが支配している。

 

「道具? 僕達の事をッ!?」

 

「焦ったい。道具の用いる不完全な言語では、全てを伝えるのもままならぬ。」

 

「どういう事だッ!?」

 

「もはや分かり合えぬという事だ。あぁ──── それこそが、忌々しきバラルの呪詛であったな。」

 

シェム・ハは分かり合えぬと言いながら、夜空に浮かぶ月を見た。

そして、黄金の光球を生成すると、カリバー達に投げつける。そこへ…

 

「Seilien coffin airget-lamh tron」

 

マリアがギアを纏い、カリバーと共に光球を弾いた。

 

「ここは任せろ。」

 

「司令達は、避難しパパさんをッ! …容疑者はッ!?」

 

カリバーとマリアは翼と弦十郎達に避難する様呼びかけ、シェム・ハへ向かって行った。

 

「上條…マリア…」

 

「マリア君ッ! 話は後だッ! 翼ッ! ここは退くぞッ!」

 

【ランプドアランジーナ!】

 

【ジャアクリード!ジャアクアランジーナ!】

 

「これに乗れッ!」

 

弦十郎に言われ、翼は共に魔法の絨毯に乗り退却していった。

シェム・ハは空中へ浮かび上がり、カリバーとマリア目掛けて光弾を放つ。

 

カリバーとマリアは走りながら光弾を弾き、先にマリアが蛇腹剣で光の刃を連続発射し、カリバーが闇黒剣月闇から斬撃波を放つが、シェム・ハは光弾を大型化させて防ぐ。

 

その間に緒川と翼が八紘の亡骸を絨毯に乗せて運ぶが、最愛の父の死が翼の心に重く突き刺さっていた。

 

 

「笑止なッ!この身を傷つけまいと、矛盾思考に刃が鈍っておるぞッ!」

 

シェム・ハは、攻撃を避けつつカリバーとマリアが攻撃していても、身を傷つけないようにしている事を見抜いていた。

当然だ。この身体は未来の物。下手に傷つけてしまったら元も子もない。故に怪我をしないように力を調整しなければならないのだ。

シェム・ハは更に4発の光線を放つが、2人は弾く。

 

「測るに能わずッ! 全力で来いッ!」

 

2人に全力で来いと言いながらシェム・ハは2人に銀色の光線を放つ。カリバーとマリアは避けるが、放たれた光線は地面を伝う。

すると、何と木や地面が銀になったのだ。

 

「何ッ!?」

 

「銀の…輝きッ!?」

 

あまりに予想外の能力に驚く2人。

シェム・ハの力は勿論指令室にも映し出されていた。

 

「物質変換ッ!?」

 

「組成構造を書き換えてッ!?」

 

「埒外物理学…ッ! 錬金術とはまるで異なる強引なやり方で…」

 

エルフナインは戦慄していた。錬金術とは異なる能力。これが神の力なのか。規格外過ぎる。

 

 

 

 

「舐めた真似を…ッ! 小日向未来を返してもらうぞ…ッ!」

 

【オムニフォース!】

 

【ジャアクリード!ジャアクスペシャル!】

 

【闇黒剣月闇!】

 

カリバーは自身をさらに死へ近づける事を覚悟しながらも、囚われた未来を傷つけずに助ける為にオムニフォースを起動、闇黒剣月闇にスキャンして邪剣カリバードライバーに装填、ページを開く。

 

【オムニフォース! FEAR IS COMING SOON!】

 

赤黒い煙と黄金の光に包まれカリバーはオムニフォースへ姿を変える。

 

【OMNIBUS LOADING!】

 

【SOLOMON BREAK!】

 

カリバーは手から稲妻を纏わせたエネルギー光球をシェム・ハの腕輪に向けて放つ。それを見たシェム・ハも光線を5発放ち、エネルギー光球を相殺した。

 

「……我と同等の力を感じる……が、不完全の様だな。」

 

「ッ!?」

 

(見抜かれているッ!?)

 

シェム・ハは一瞬だけニヤリと笑みを浮かべカリバーの持つオムニフォースの力を自身と同じ力と感じながらも不完全である事を見透かしていた。

神だからこそ見抜けたのだろうか? それもあるが、隼人の身体の状態も悪化しており、力を調整しないといけないのだ。

すぐにシェム・ハは手から青い魔法陣を出すが、すぐに消えてしまう。

 

「銷魂である。今の馴染みではこの程度…それともユグドラシルの起動に力を使い過ぎたか?」

 

シェム・ハは後ろに鎮座する起動したユグドラシルを見る。

その時、隙をついてマリアの蛇腹剣がシェム・ハの右腕を捕らえた。

 

「ッ!?」

 

 

 

「マリアさん、シェム・ハを捕らえましたッ!」

 

「これで動きを止められれば……ッ!」

 

シェム・ハは歌いながらマリアのアガートラームのガントレットを見る。

 

「その左腕…フッ……驚愕だ。貴様、面白いものを身に纏っているな。エンキの末にあたる存在か?」

 

「ユグドラシルとかエンキとか、さっきから、訳の分からない事をッ!」

 

すると、シェム・ハは不意打ちで閃光を放ちマリアを引き剥がす。吹き飛ばされたマリアだが、すぐに体制を立て直す。

 

「くッ…ッ! こうなったら…ッ!」 

 

「ッ!?」

 

マリアが何か仕掛けようと動いたその時、カリバーが何かに気づき、動き出した。

 

【OMNIBUS LOADING!】

 

【SOLOMON STLASH!】

 

三方向からテール・アタッチメントと大型化した両脚、ロケットパンチがマリアに迫る中、3本のカラドボルグを空から出現させ、マリアを守るように囲んで攻撃を防いだ。

 

「招かれざる客達が来たぞ…ッ!」

 

「えッ!?」

 

カリバーの言う招かれざる客…シェム・ハを護るようにカリバーとマリアの前に立ちはだかったのは、シェム・ハを解放したが倒されてしまったノーブルレッドだった。

 

「ノーブルレッド…ッ!」

 

「うん…? あれは…ッ!」

 

だが、何かおかしい。彼女達の額に赤い紋章が浮かび上がっている。

 

(あの紋章…ッ! 奴の奴隷に成り下がったか…!)

 

 

 

 

 

「あいつら…ッ!」

 

「司令以下、各員の撤退を確認ッ!」

 

「もう十分ですッ! マリアさんも戦線を退いて下さいッ!」

 

藤尭と友里も弦十郎達の撤退を確認すると、マリアにも戦線離脱を命ずる。

 

「えぇ。そうさせてもらうわ。」

 

「出直すぞ。」

 

【OMNIBUS LOADING!】

 

【SOLOMON BREAK!】

 

「ッ!?」

 

カリバーも手から衝撃波を放ち、シェム・ハが光線で相殺して爆煙が立ち込める。視界を遮ったその隙にジャアクドラゴンを召喚してマリアを乗せて撤退した。

 

「トロ臭い。あれで逃げてるつもりなんだゼ?」

 

「追わないでありますか?」

 

「理解に苦しむ。世界樹ユグドラシルシステムが屹立した今、どこに向かおうと人類に逃げ場などありはしないというのに…」

 

やがて地響きは激しくなりユグドラシルは更に勢いを増して天へと伸びていく。

ノーブルレッドを傀儡にし、ユグドラシルを起動した先史文明期の神、シェム・ハの狙いとは。そしてエンキとは何者なのか。戦いは終焉へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「親不孝者め…ッ! 弱きを束ねるは神の力と宵闇の剣士…ッ! 歌で世界を救うなどと世迷言を…ッ! 」

 

カリバーによって闇の世界に葬られた訃堂はそこにいてもなお、神とカリバーの力が弱きを束ねると豪語していた。

しかし、これから訃堂はその老いさらばえた体で、死ぬまで永遠の闇の世界で過ごす事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.指令室では翼に取り付けられた手錠が外されていた。

 

「全ての調査、聞き取りは完了した。現時刻をもって、行動は解除となる。」

 

「調査と聞き取りだけ? あの、アマルガムの不許可使用についての処断は…」

 

翼は政府からアマルガムが認可が降りていることを知らない。処遇についてはどんな罰も受けると覚悟していたが、その必要は無いのだ。

 

「翼さんが発動させる直前、使用許可が下りています。八紘氏が、かねてより進めてこられていたのです。」

 

「お父様がッ!?」

 

「兄貴の葬儀に間に合わせられなかったこと…本当にすまなかった。」

 

そう。八紘の手引きで認可が降りていたのだ。だが、調査と聞き取りで葬儀には出席出来なかった。

 

「敵に付け入られた不徳です。何より───手錠をかけられたままでは、合わせる顔が無いと申し出たのは私です。」

 

「そうか…」

 

手錠をかけられたままの自分に最愛の父に顔向け出来なかった。翼自らが欠席を選んだのだ。更に…

 

「それに、上條に手を汚させてしまいました。何故彼は私達の為に手を汚すのか…」

 

「翼達の未来の礎になると言っていた。でも、隼人君には未来を生きて欲しいと俺は思う。ようやく前に進めた隼人君にはもうこれ以上泥を被って欲しくなかった。だが…」

 

弦十郎は隼人が自ら泥を被り訃堂を闇に葬った瞬間を見た。だが、隼人に手を汚して欲しくなかった。大人として、息子として父親を逮捕し、どこにでもいるただの人間として裁くはずだった。なのに未来ある若者に手を汚させてしまった。それが心残りだった。

 

「どうして上條が手を汚さなければ……ん?」

 

俺の未来は…とっくの昔に無くなっている…

 

その時、翼の脳裏に隼人の言葉と、手や口元についていた血、疲労していた顔が浮かんだ。

そして、ある疑念が浮かぶ。

 

(あの時の上條…何故血が…それにあの言葉……)

 

「翼さん?」

 

「どうした?」

 

「あの、上條は───」

 

「翼さんッ!」

 

翼が隼人の事を弦十郎と緒川に言おうとした瞬間、指令室のドアが開き、制服に着替えた響やクリス達とエルフナインが駆け込んで来た。

 

「…ッ! 立花……私は……」

 

「全部聞きました。未来の事、翼さんのお父さんの事も、隼人さんの事も。正直、今はまだ頭の中にぐちゃぐちゃで混乱しています。」

 

「───ッ!」

 

響の言葉に顔を逸らす翼。

 

「だけど、1つだけハッキリしているのは……、翼さんが帰って来てくれて、本当に良かった。嬉しかった。」

 

「──立花…」

 

「分からない事は、これから考えていきたいです。だから明日や明後日、その先の事をこれからを───また一緒に。」

 

翼に手を差し伸べる響。

全てを聞いた。でも戻って来てくれて本当に良かった。だからこれからまた一緒に手を取り、共にこれからを考えていきたい。

 

「あなたと私…、また一緒に…?」

 

「翼先輩ッ!」

 

「翼さんッ!」

 

「翼。」

 

「あたしら全員とあいつ、このバカと手を繋いで来たんだ。先輩だけ無しだけなんて許さねえからな。」

 

当然だ。誰一人翼を責める者はいない。大切な仲間だから。皆がそう思ってくれている。

 

「───ッ……」

 

響達の言葉に口を手で押さえ、涙ぐむ翼。

こうして自分を温かく迎えてくれた。一度裏切った自分をまた。

 

「一緒に戦って下さい。」

 

響の言葉に対して翼の答えは1つだ。

 

「───私は…ッ!」

 

響は手を出そうとしてふらついた翼の右手をしっかり両手で包み込み、翼は思わず驚く。

 

「ッ!?」

 

響はただ翼を見据えて頷いた。翼は少し恥ずかしそうだ。

 

「わぁ…お帰りなさい、翼さんッ!」

 

「………ッ! そういえば上條は?」

 

「彼なら、撤退を手伝ってもらってからいないけど…どうしたの?」

 

「そうか…上條に聞きたい事があったんだが…また後で聞こう…」

 

翼は頭の中である推測が浮かんでいた。隼人に直接聞く為。

 

(嫌な予感がする……頼む……杞憂であってくれ…ッ!)

 

しかし、翼は勿論響達も知る由もなかった。翼の推測は杞憂でなく本当であり、隼人が刻一刻と死に近づいている事を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ…ッ!」

 

その頃、自宅に戻った隼人の症状は前より悪化していた。胸の激痛は勿論、未来予知が発動していないのにも関わらず頭痛が走り、更には吐血もする。そこへ追い討ちをかけるように…

 

「……ッ!」

 

目が霞み始めた。死への段階がもう1段階進んだと言うのか。おまけに身体が熱い。明らかに危険な状態だ。

 

「こんな所で…死ねるか…ッ!」

 

疲労する隼人を尻目に闇黒剣月闇と無銘剣虚無、プリミティブドラゴンとオムニフォースが嬉々と妖しく光っていた。

まるで、「もう少しで私達と天国に行けるよ」と言わんばかりに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「半径2キロ圏内にてノーブルレッドの発見ならずとの報告。」

 

「捜査範囲を広げろッ! 連中の逃亡速度よりも早くッ!」

 

「了解ッ!」

 

翌日、逃亡したノーブルレッドを探すべくS.O.N.G.のエージェント達が捜索にあたっていた。彼女達はどこにいるのか。実は、起動したユグドラシルの地下の地下…最深部にシェム・ハと共に潜伏していた。

 

そこでは、シェム・ハが自身を装置にかけ、スクリーンにある女性の姿を無数に映し出す。この女性こそシェム・ハの本当の姿だ。

 

「それは…」

 

「面白かろう? 我を拘束せしめた戒めより、我の断片を逆流させている。我は言葉であり、故に全てを統治する…」

 

「これもまた、シェム・ハの力───」

 

目の前でシェム・ハの力を見せられているヴァネッサの中に、ある疑問が浮かび上がる。それは…

 

(あの時、確かに私達は殺されたはず……、現代に解き放たれた、超抜の存在に……)

 

しかし、今自分達はこう来て生きている。一体何故なのか。

実は、殺された後に跪くヴァネッサ達はシェム・ハによってある事を施されて蘇っていた。

 

『遺憾よな。我が力、かつての万分の一にも満たぬとは…』

 

シェム・ハは自分の力がかつての力よりも発揮出来ず、完全では無い事を悟った。すると…

 

『ふざけたこと…言わせないゼッ!』

 

ミラアルクが立ち上がり翼を広げると、突然自分の意思では無いはずなのに両腕と両脚が大型化した。

 

「何ッ!?」

 

『ミラアルクちゃんッ!』

 

『一体…どういう訳だゼ…? 身体に漲るこの力…まるで本物の──』

 

自分でも分からない。どう言う事なのか戸惑うミラアルクの額には紋章が浮かび上がっていた。

その答えをシェム・ハが答える。それも残酷な…

 

『まるで本物の怪物とでも? あぁ、そうさな。歪な形であったお前達を完全な怪物へと完成させたのは、我の力の一摘まみよ。』

 

『完全と…完成…』

 

『まさかそれって、もう……人間には戻れないって事なのか?』

 

そう。シェム・ハは不完全な怪物だったノーブルレッドを自身の力で完全な怪物へと完成させた。これにより、彼女達は二度と人間に戻れなくなったという訳だ。

 

『愚問である。完成させるとはそう言う事だ。』

 

『『あぁ……くぅ……うぅ……』』

 

膝をつき、涙を流す絶望のどん底に突き落とされた。非人道的な人体実験で怪物にされ、人に戻る為に大勢の人間を殺し、神の力を求めたのに、訃堂に使い捨ての手駒になったのに。

これが自分達が成して来た結果。因果応報と言うべきか。

人間に戻る為に神の力を求めた彼女達が、その神の力で完全な怪物にされたのは何という皮肉だろう…

 

『人の群れから疎外される恐怖と孤独は、もはわ癒されることはなく…』

 

絶望しながらヴァネッサは右手から様々な刃物を展開した。

 

『あぁ、怪物はとうとう、何処までも異物に……』

 

『気鬱たるッ! ならば我に仕えよ。』

 

シェム・ハに自分に仕えと言う言葉に顔を上げるヴァネッサ。

 

『この星の孤独も疎外も、全て我が根絶やしにしてくれるわ。』

 

『神よ…』

 

そういった経緯で彼女達は、シェム・ハの手駒として蘇り、今に至るという訳だ。

 

「……」

 

「ヴァネッサが神と仰ぐなら、私もミラアルクも従うであります。」

 

「……」

 

エルザの答えは1つだった。例え怪物になってもヴァネッサがシェム・ハが神と仰ぐなら自分達も従うだけだ。

エルザの決意に笑みを浮かべるヴァネッサ。

 

「で? 神様はどうやって、ウチら怪物の孤独や疎外感を拭ってくれるんだゼ?」

 

「知れた事。この星の在り方を5000年前の形に戻すのだ。」

 

「5000年前…そいつは先史文明期ぞっこん期だゼ…ッ!」

 

2045年現在のこの世界をそんな大昔の形に戻すとは一体どういうつもりなのか。

 

「申し付けたものはどうなっている?」

 

「これで…ありますか?」

 

エルザがシェム・ハに渡した物は、テレポートジェムに似た2つの魔法石だった。

 

「傾聴せよ怪物共。これより使命を授けてしんぜよう。」

 

果たして、シェム・ハが完全な開発となったノーブルレッドに授かる使命とは…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「現在本部は、鹿児島県、種子島に向かって航行中。」

 

その頃、S.O.N.G.本部は鹿児島県の種子島へある任務の為に太平洋を潜航していた。

 

「種子島だぁッ!?」

 

何でそんな所まで行く必要があるのかという顔をしながらクリスが驚いた。しかし、その答えはすぐに分かる。

 

「そうだ。目的地は、種子島宇宙センターとなる。」

 

何故宇宙センターに向かうのか。キーボードに指を走らせるエルフナインが答える。

 

「先だって風鳴邸付近に出現した巨大構造物、ユグドラシルと呼応するかのように月遺跡よりシグナルが発信されているのが確認されました。」

 

実は、カリバーが修復した月の部分から離れた場所に鎮座する月遺跡から浮上したユグドラシルに呼応しているかのように信号が発進されていた事が判明した。

 

「まさか、私達に…ッ!」

 

「月遺跡の調査に行けと言うのデスか?」

 

未来の救出とノーブルレッドとの戦いもある中、月遺跡の調査に行けと

いうのは少し無理があるのではと調と切歌が言うが…

 

「検討段階ではそう言った話もありました。ですが、今回月に向かうのは特別に編成された米国特殊部隊となります。」

 

「確かに、あのユグドラシルを放ってはおけないものね。」

 

「だからって、こうも簡単に都合つけられる物なのか? 探査ロケットって。」

 

そんな簡単に上手くいくのかとクリスが言った瞬間、指令室のモニターにアメリカの新大統領が入電して来た。

 

『ミスター・ヤツヒロの置き土産だ。』

 

「お父様の…』

 

「プレジデントの判断と対応には、感謝に堪えません。」

 

『先の反応兵器発射や、カリバーによるこれまでの行為の告発による国際社会からの孤立を躱せたのは、ミスター・ヤツヒロが提案した日米の協調姿勢によるところが大きい。その象徴であった月ロケットを活用しない訳がない。』

 

そう。アメリカは反応兵器発射やカリバーがこれまでの行為を全世界に公開された事で国際社会から孤立寸前だった所を八紘の仲介で提案された日米共同プロジェクトに乗ったのだ。

八紘の行動に思わず涙を浮かべる翼を見る響。

 

『これまで散々横槍を入れて来た罪滅ぼしになるか分からない。だが、今頼れるのは君達だ。頼んだぞ。』

 

新大統領は通信を切り、弦十郎はため息を吐いた。

 

「諸君らの任務は、3日後に発射が迫る月遺跡探査ロケットの警護であるッ! 敵の襲撃は十分に予想されるッ! 各員、準備を怠るなよッ!」

 

「「「「「「はい(デス)ッ!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして3日後、種子島宇宙センターにて。周辺住民には避難命令が出され住民達は不安を抱きながらも避難していた。

種子島・港湾部では、S.O.N.G.の本部の他にも海上自衛隊の護衛艦が派遣された。

 

「定時報告。こちら、異常無し。」

 

倉庫付近には翼とマリアが配置につき、異常が無い事を報告。

 

「こちらも異常ありませんッ!」

 

響とクリスは森林付近に配置が付いており、調と切歌はロケット発射場で警護に。

 

「発射予定時刻まで、あと24時間……、引き続き警戒にあたります。」

 

「それにしても、近くで見ると、でっかいデスね……」

 

切歌が日本とアメリカの国旗が描かれたロケットを見上げる。

 

「うん……内緒だけど、ちょっとだけ月に行けるかもと期待しちゃった。」

 

「アタシもなのデスッ!」

 

どうやら2人は月に行ってみたかったらしい。そこへ…

 

 

 

「いつか行けるといいな。」

 

「「?」」

 

調と切歌が声のする方向を振り返ると、声を変えたカリバーがやって来た。闇黒剣月闇の未来予知を見てやって来たのだ。調と切歌はカリバーに駆け寄る。

 

「隼人さん…来てくれたんだ…ッ!」

 

「隼人さんがいれは心強いデスッ!」

 

「……」

 

(言えない…俺がどうなるのかなんて…口が裂けても言えない…)

 

実は、カリバーはここに来る前…いや、訃堂を斬る前からある未来を見ていた。それは、響達には口が裂けても絶対言えない未来だ。

自分はこの世界にそもそも必要ない虚無の存在なのに響達に信頼され、目の前の調と切歌には心強いと言われている。

複雑な気持ちの中、カリバーが納刀した闇黒剣月闇のグリップに手を掛けると、未来予知が発動した。

 

「ッ!? ……来たぞ……ッ!」

 

「え?」

 

カリバーの言葉と共に突如、上空に3体の巨大アルカ・ノイズが襲来。地上にアルカ・ノイズを解き放ち始めた。

 

『アルカ・ノイズの反応を検知ッ!』

 

『装者各員は、施設防衛にあたってくださいッ!』

 

藤尭と友里から通信が入り装者達は防衛を命じられた。

 

「行こうッ!」

 

「デスッ!」

 

カリバーは闇黒剣月闇を抜刀し、調と切歌も宇宙センターとロケットを守る為迎撃に入る。そして…

 

「Various shul shagana torn」

 

「Zeios igalima raizen tron」

 

青空に2人の聖詠が響き渡り、調と切歌はギアを纏った。

 

【エレメンタルドラゴン!ゲット!】

 

【エレメンタルドラゴン!エレメントマシマシ!キズナカタメ!】

 

エレメンタルプリミティブドラゴンに変わったカリバーは闇黒剣月闇を手に斬り裂き、炎や水流を発射して駆逐していく。

調もΔ式 艶殺アクセルを繰り出し、縦横無尽に駆け巡りヨーヨーで粉微塵にし、出血大サービスと言わんばかりにβ式 大三巨輪でバラバラに斬り刻む。

 

「ふッ! はッ! てやッ!」

 

切歌も鎌で武士型アルカ・ノイズを斬り刻んでいく。

その様子は勿論指令室にも映し出されている。

 

「カリバー、シュルシャガナとイガリマ、エンゲージッ!」

 

「各施設付近に配備された装者達も、迎撃を開始しましたッ!」

 

モニターには、ギアを纏った響達が映し出された。

 

「まずは、こちらの読み通りですね。」

 

「うむ……、そうだな…」

 

ここまでは想定範囲だ。だが、弦十郎はある事が頭の中で引っかかっていた。それは、シェム・ハが風鳴邸に姿を現した時…

 

 

 

『あぁ…それこそが、忌々しきバラルの呪詛であったな。』

 

「敵がバラルの呪詛を語るのなら、そこからの予測と対策は不可能ではない。あとは打ち上げ施設を守りきれれば…」

 

バラルの呪詛と言うなら、敵の狙いは月か。ならば対策は立てられる。打ち上げ施設を守り切れば勝機は見えるが…

 

 

 

【月闇居合!読後一閃!】

 

カリバーが闇黒剣月闇から斬撃波を放ってアルカ・ノイズを一掃する。そこへ、大型化したテール・アタッチメントで武装し身体を包み込んで独楽の様に高速回転しながらエルザが突っ込み、調を吹き飛ばした。

 

「うわぁぁぁぁッ!」

 

「調ッ! 大丈夫デスかッ!」

 

「やはり来たか…ッ!」

 

そして、エルザが姿を現した。

 

「流石のカリバーとシンフォギア。こちらの行動を先読みしていたでありますか。ですが、超越人知の力の前には無駄な事でありますッ!」

 

エルザの額に紋章が浮かび上がった。

 

「何…ッ!?」

 

「その姿はッ!?」

 

「複数の武装を1度に……」

 

(前戦った時と雰囲気が違う…ッ! これは一筋縄ではいかない…ッ!)

 

カリバーは前にエルザと空母で調と切歌と共に戦った事があるが、今までとは違うと読んでいた。すると…

 

「「「ッ!?」」」

 

突如、離れた場所から爆発が起きた。その場所で翼とマリアが戦っているのは、ミラアルクだ。彼女もまたこれまでとは様子を見せていた。何故なら…

 

「シェム・ハから授かったこの力…もはや賢しい手段もッ! 全血製剤もッ! ダイダロスエンドもッ! お前達を倒すのに、必要無さそうだゼ?」

 

卑劣な手段も、血液も、哲学の迷宮ももう必要ない。この力が自分達を完全な怪物と引き換えに強くしてくれた。もう負ける気がしない。正面からぶつかれると豪語するミラアルクの額にも紋章が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「く……うう……ッ!」

 

別の場所では、響とクリスがヴァネッサと戦闘に入っていたが、強化されたマジックハンドの猛攻に響は防戦一方を強いられていた。

 

「ウフフフ…」

 

「くそッ! ちょこまかとッ!」

 

離れた場所からクリスが短銃でヴァネッサを撃とうとするが、素早く動き回る為、狙いが定まらない状態だった。

 

「ヴァネッサさんッ! みんなと仲良くなりたいってッ! だったらこんな事───」

 

ヴァネッサの猛攻に耐えながらも響は説得しようとする。だが…

 

「ええッ! 仲良くなりたいわッ! でも、怪物と人間が仲良くなることなんて出来ないのよッ! だから──ッ!」

 

ヴァネッサは目を見開きながら近づき、腕から巻尺を伸ばして響の腹に巻き付けた。

 

「うは……ッ! うわッ!?」

 

思いもよらない展開に顔を赤くする響だが、持ち上げられてしまう。と、そこへ…

 

「今だッ!」

 

隙を見たクリスが発砲するが、ヴァネッサのアームから出現したエネルギー光球が弾丸を防いだ。

 

「私達はみんなを怪物にする事にしたのッ! 」

 

「怪物ッ!?」

 

その瞬間、ヴァネッサの腕や腰に脚から銃弾が響に向けて発射され、響に向けて発射され、爆発が起きた。

 

 

 

「装者、ノーブルレッドに圧倒されていますッ!」

 

「このままでは交戦域にロケット発射台が巻き込まれてしまいますッ!」

 

「──くッ、近づけさせる訳にはッ!」

 

このままではロケットが戦闘に巻き込まれ、大破してしまうのは目に見えている。

発射台にはカリバー、調と切歌がエルザと対峙している。

 

「邪魔はさせんぞ…ッ!」

 

「ロケットに手は出させないッ!」

 

「好きにはさせないのデスッ!」

 

「月の遺跡に調査隊など、派遣させないでありますッ!」

 

エルザは飛び上がると、スーツケースの中から更にテール・アタッチメントを取り出し尻に装着。肩の装甲と合わせて獣の手と口を思わせる4つを装備し、襲いかかる。

カリバーは炎と風を発射、調はγ式 卍火車、切歌は切・呪りeッTぉをエルザに放つ。爆発が起き、煙が立ち込める。

 

「今ので仕留めていないな…ッ!」

 

「気をつけて…ッ! 切ちゃん、隼人さん…ッ!」

 

「合点デスッ! きっとこれしきの攻撃では…ッ!」

 

煙が晴れると、エルザの姿が消えていた。

 

「いないのデス…ッ!」

 

「…ッ! 後ろだッ!」

 

「「ッ!?」」

 

気配を感じ取ったカリバーが叫ぶ。同時に後ろの地中から銀色の獣の様な装甲を纏ったエルザが飛び出して来た。

そう。地中に潜って攻撃を回避していたのだ。

 

「地中を掘り進んでッ!」

 

「やり過ごしたデスかッ!」

 

装甲が開き、中からエルザが姿を現した。

 

「オールアタッチメントッ!Vコンバインでありますッ!」

 

エルザは一心不乱にロケットへ突っ込んでいく。

 

「そのまま行けッ!真っ直ぐだゼッ!」

 

「月への足をへし砕いてッ!」

 

ミラアルクとヴァネッサがエルザに叫び、Vコンバインは四つ足でロケットに向けて走り出す。

 

「私めらはノーブルレッドッ! 決して卑しき錆色などではないでありますッ!」

 

雄叫びを上げ、ロケットへエルザは向かっていく。

 

「させるかッ!」

 

カリバーが阻止せんとエルザを追いかけようとしたその時…

 

「ッ!? ぐぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

まるでカリバーを邪魔するかの様に、強烈な激痛と共に闇黒剣月闇の未来予知が発動。再びシェム・ハの災いが啓示され、走り出したカリバーは頭痛に悶絶し、転倒してしまう。

カリバーの元へ調と切歌が駆け寄る。

 

「大丈夫ッ!? まさか…ここで未来予知ッ!?」

 

「空気読めデスよ…ッ!闇黒剣月闇…ッ!」

 

その隙にエルザはロケットを螺旋状に回転しながら駆け上がり、ロケットを発射台ごと破壊してしまった。

猛烈な爆音とともに爆発が起き、ロケットは木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

「「ッ!!」」

 

「やったゼッ!」

 

「してやられたッ!」

 

「流石はエルザちゃんッ! 優等生ッ! 」

 

拍手しながら爆破されたロケットの爆煙を眺めるヴァネッサ。

その様子は勿論指令室にも映し出されていた。

 

「月遺跡…探査ロケットが…ッ!」

 

日本とアメリカ、2つの国の共同プロジェクトであり、八紘が遺した最後の希望が、跡形もなく破壊されてしまったのだ。

燃え盛る爆炎の側に立つエルザは、ある事を思っていた。

 

「私めらは、ずっとずっと……、壁に囲まれて、疎外感に苛まれてきたであります……利用されて、裏切られて……、それでもいつか孤独を埋める方法が見つかると信じて……」

 

ずっと非人道的な実験を受け続け、解放された時から人に戻る為に訃堂の手先となった。だが、使い捨ての手駒にされ、挙げ句の果てに完全な怪物へ変貌させられた。

気がつけばエルザの目からは、涙が流れていた。

 

「ウォォォォォッ!」

 

「「「ッ!?」」」

 

突然、狼の様な遠吠えをあげるエルザにカリバーと調と切歌が注目する。

 

「不可逆の怪物と成り果てるなら、優しさなんて知らなければ良かったでありますッ!」

 

泣き叫ぶエルザは自身を隠し、襲いかかるが3人はかわす。

手始めに切歌が災輪・TぃN渦ぁBェルでエルザを攻撃するが、雄叫びを挙げたエルザが切歌を弾き、歌で攻撃しようとするが、カリバーが闇黒剣月闇で、調が非常Σ式 禁月輪で防ぐ。

 

「調ッ!隼人さんッ!」

 

調は切歌を姫抱きし、エルザの攻撃を交わす中、カリバーが地中移動からの水流で怯ませた隙に調がヨーヨーで拘束。カリバーと切歌が鎌で斬りつけようとするが、力づくで拘束を解いて調と切歌を吹き飛ばしてしまった。

 

 

 

 

一方、翼とマリアはミラアルクと交戦していたが、弾かれてしまう。その時、翼は響と背中合わせとなる。

 

「翼さんッ!」

 

「ありがとう立花…一緒にと繋いでくれた手は暖かく、嬉しかった。」

 

翼の言葉に笑みを浮かべた響は、ヴァネッサの元へ向かう。

 

 

 

「シェム・ハの企てもッ! 私めらの悲しみもッ! もはや止められないでありますッ!」

 

シェム・ハも自分達を止められないと叫ぶエルザは装甲を赤く発光させて猛スピードで加速していく。

 

【エレメンタルドラゴン!】

 

カリバーは自身を炎や水流に変化させ、調と切歌を包みながらエルザの高速攻撃を回避していく。そして、姿が見えなくなったと思いきや、エルザが上空からの奇襲を仕掛け、周囲を爆発させた。

 

 

「調さんッ! 切歌さんッ! 隼人さんッ!」

 

 

エルフナインが叫ぶ。だが、煙が晴れると、プリミティブドラゴンとエレメンタルドラゴンがエルザの攻撃から3人を守っており、調と切歌は黄金のバリアを生成し、シュルシャガナとイガリマをアマルガムへ移行させていた。

 

「そのギアは…ッ!」

 

「制限が解除された…」

 

「アマルガムデスッ!」

 

「反撃の狼煙は上がった…ッ!」

 

調と切歌は拳を天へ掲げ、黄金の光で切歌は緑と金の鎌、調は盾を思わせる大型のヨーヨーへ変化させた。

 

「こしゃくなであります…ッ!」

 

エルザは再び高速移動で3人を撹乱しようとするが、残像をカリバーと切歌が斬り裂き、調がヨーヨーを放つがエルザが受け止める。だが、カリバーが炎で牽制して腕から離れた所で、ヨーヨーが調を模した黄金のロボットへ変形し、一撃を与える。

エルザは雄叫びを上げ、身体を高速回転しながら3人に迫るがカリバーが水流を放って妨害される。

そこへ調が、歌いながらが光の糸を生成し、ギアを変形。切歌が鎌を投げ2つのアームドギアが1つに。まるで、獣を仕留める罠の様に。

 

「ハァァァァァッ!」

 

「「Ready Go!」」

 

雄叫びを上げながら一心不乱に迫るエルザをカリバーが地中移動で

空中へ投げ上げ、そこへ調と切歌のアームドギアがエルザを捕える。

 

【ピーターファンタジスタ!】

 

【ジャアクリード!ジャアクピーターファン!】

 

更にカリバーが闇黒剣月闇の切先から鎖付きフックを伸ばしてエルザの動きを封じ、2人のアームドギアが回転し始め、カリバーが鎖付きフックから6属性のエネルギーを送り込む。

 

「ッ!?」

 

「いくらなんでも、そいつはやばいゼッ!」

 

「エルザちゃんッ!」

 

ミラアルクとヴァネッサが気づくが、時すでに遅し。

 

【必殺読破マシマシ!】

 

カリバーはプリミティブドラゴンのページを2回押し、闇黒剣月闇にエネルギーが蓄積されていく。

 

【エレメンタル合冊撃!】

 

「───ツインハァァァァァッ!」

 

エレメンタルドラゴンを頭部を模した6属性のエネルギーが放たれ、エルザに食らいつく。

2人の歌声が響く中、カリバーのエレメンタル合冊撃と調と切歌の合体技、ポリフィム鋏恋夢がエルザにとどめを刺し、大爆発が起きた。

 

「これで話は…」

 

「「終わりッ!/終わりデスッ!」」

 

エルザに宣告するカリバーの言葉と共に調と切歌はそれぞれのアームドギアを手元に戻す。

煙が晴れると、エルザはボロボロになっており息も荒げていた。

 

「風鳴訃堂の手駒になり、今度はシェム・ハの手駒になり、貴様らは何がしたい?」

 

「孤独を埋めるのに、心を怪物にする必要は無いデスよッ!」

 

「あなたの心にある壁は、誰かを拒絶する為じゃない。それはきっと誰かの想いを受け止める為にッ! 優しさを忘れないでッ!」

 

「ッ!?」

 

調の言葉にハッとするエルザ。だが、直後に気を失いミラアルクが受け止め、ヴァネッサもやってくる。

 

「やってくれるッ!だが、痛み訳なんて思わない事だゼ?」

 

「月遺跡への探査ロケット破壊というこちらの目的は既に果たされています。」

 

ヴァネッサは撤退を判断したのか黄色いテレポートジェムを取り出した。

 

「あいつらまたッ!」

 

そこへ、翼が脚部ブレードを展開してヴァネッサ達に迫り、刀でテレポートジェムをヴァネッサの手から引き離す。

 

「そいつを使えば、貴様たちの喉元に食らいつけるのだろう? 」

 

「翼ッ!」

 

「この命に代えても、小日向は必ずッ!」

 

そして、テレポートジェムが割れ足元に魔法陣が展開されて転移が始まる。

 

「お前だけ行くのは許さんッ!私達も行くぞッ!」

 

「翼さんを1人ぼっちにさせるなッ!」

 

「デスッ!」

 

カリバーと響の言葉で全員が翼とノーブルレッドの元へ駆けて行き、そして全員がその場から消えた…

その様子は指令室にも映し出されていた。

 

「皆さんッ!」

 

「カリバー、反応消失ッ! ギアからの信号、検知できませんッ!」

 

「スキャニングエリア、拡大中ッ! ですが…ッ!」

 

「世界からの消失…? まさか、そんな事が…ッ!?」

 

反応は完全に消失。一体カリバーと響達は何処へ行ったのだろうか? 果たして、未来を救う事が出来るのか?

そして、カリバーと響達は予想を遥かに覆す場所へ来る事となる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけエピソード

 

04話 あなたが、持っている物。

 

 

12月下旬。南極での任務から数日後、クリスマスも明け今年もあと僅かの日。翼とマリアは出場する紅白歌合戦についてS.O.N.G.のレクリエーションルームで話し合っていた。

 

「今年の紅白歌合戦、私は紅組で、マリアは白組か。」

 

「えぇ。日本の歌手と歌で競い会えるなんて、とても楽しみね。」

 

マリアは日本の紅白歌合戦に出場は早々から決まっており、ネットでは大盛り上がりだ。すると…

 

「トップスターも大変だなぁ。装者と歌手の二足の草鞋を履いてるんだからな。」

 

声のする方向を見ると、隼人がいつの間にか机に座ってコーラを飲んでいたのだ。

 

「上條ッ!?」

 

「おう。」

 

「おうじゃ無いわよッ! どこから入って来たのよッ!?」

 

「ブックゲートだけど? これ使えばセキュリティとか関係なしで入れるから。」

 

「不法侵入じゃないッ! 捕まるわよッ!?」

 

と、マリアとのボケとツッコミを流しつつ隼人はいつもの様に暇潰しで来たのでは無いのかと翼に言われ、やる事がないから来たという相変わらずの自由っぷりを見せた。

 

「やる事が無いから来たって結局暇潰しじゃないッ! あなた普段何してるのか凄く気になるんだけどッ!」

 

「ちょっと何言ってるか分かんないな。」

 

「何で何言ってるか分かんないのよッ!」

 

そんな2人のやりとりを見ながら、翼が口を開いた。

 

「上條。せっかくだ。今年もあとわずかだから少し私達と話さないか?」

 

「そうね。もう少し聞きたい事もあるし。」

 

「そういえばまだお前達とあまり話してなかったな。面白そうだからそうするか。」

 

こうして隼人は、翼とマリアと話す事にした。

たわいもない会話の後、翼が隼人に質問を投げかけた。

 

「上條、立花や雪音から聞いたんだが…お前は…その…ニートなのか?」

 

「そうだけど?」

 

「即答ッ!? 否定しないのね…」

 

何と、隼人は自分がニートである事を隠さず、否定せずに即答した。ちなみにニートはニートでもロイヤルニートだが。

 

「働いたら負けだから。」

 

「名言みたいに言わないでッ! 全然かっこよくないからッ!」

 

「お前はどうやって生活してるんだ…?」

 

「いや金なら腐る程あるから。それで生活してる。どれだけあるか教えてやろうか? 耳貸してみ。」

 

隼人にそう言われ、翼とマリアは耳を近づけ隼人は翼とマリアに耳打ちで金額を教えた。すると…

 

「…ッ!?」

 

「そ…そんなに…ッ!?」

 

隼人に金額を教えられ、翼とマリアは驚愕の表情を浮かべた。

2人はますます隼人が何者なのか気になるのだった。

 

「じゃあ私からも質問させてもらうわ。 ずっと前から聞こうとしていたんだけど、あなたはどうして私達に手を貸すの?」

 

「…?」

 

マリアが質問したのは、隼人が今まで響達を含めて何故自分達に手を貸して来たのかだった。

 

「協力しないと言っておきながら、私達に結局協力してる。人を信じず、組織を信じなかったあなたが。」

 

「立花と手を繋いでからは自ら協力する様になっていたな。お前が前に進む事を決意した事もあって。それまで暗闇を彷徨い、繋がることを拒絶していた時は、私達を巻き込みたく無いという気持ちが感じられた。一体どういう事なのだ?」

 

翼とマリアの質問に隼人は黙り込む。

 

「……何でだろうな。俺にも分からん。」

 

「私達にも分からないけど、これだけははっきりと分かるわ。それは、あなたが優しいって事。前に言ったけど、変身しているあなたはいつもは冷酷無情な振る舞いをしてる。でも、それは私達には思いやりの裏返しじゃない? 」

 

マリアは、これまでの隼人を見て敵に見せる冷酷無情な振る舞いは自分達への思いやりなのでは無いのかと問う。

 

「どういう事だ?」

 

「特に立花に対してはやたらと気にかける。もしかしたら、立花や私達に思いやり…いや、あ──」

 

「ちょっと何言ってるか分からないな。飯食いに行くから帰るわ。」

 

「あッ! ちょっとッ!」

 

翼の言葉を遮り、隼人はそのままブックゲートを開いて帰ってしまった。

 

「あの感じ…もしかしたら…持っているんじゃない?」

 

「あぁ。本当に素直じゃないな。」

 

どうやら、翼とマリアは隼人が自分達に対して持っているのは何なのか見抜いていた。

 

(上條…お前が持っている物は…私達は分かった。本当に、素直になれないのだな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、慌てて自宅に帰った隼人は、翼の言葉で自分が響達にあるものを持っているのかと考えていた。

そんな時に、ある事を思い出していた。生前に大切な存在と過ごした思い出。もしかしたら。いや、そんな事は無い。

 

「まさか……な。俺があいつらに……」

 

そんな隼人が響達に対して持っている物が何なのかを知っているかの様に、ジャオウドラゴンが光っていた事を隼人は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけエピソード

 

05話 雨の日は、聖剣の手入れを。

 

 

「あぁ〜ッ!もう最悪だッ! 雨に降られるなんてッ!」

 

10月上旬。雨が降る中隼人は濡れながら走っていた。外食に出掛けて帰る途中に急に雨が降り出し、傘を持ってきていなかったので急いでって戻っているのだ。

 

「ヤバいッ!雨が強くなってきたッ!」

 

雨足が強くなる中、とりあえずいつもの路地裏に駆け込みブックゲートを開いて隼人はワンダーワールドの自宅へ帰宅した。

 

「あぁ〜もうずぶ濡れだよ…」

 

髪も服も濡れ、文字通りずぶ濡れの隼人はとりあえず服やズボンはどういうシステムで使えるのか分からない洗濯機に放り込む。

 

「とりあえず風呂でも入るか…」

 

風邪をひいてしまうのでとりあえず風呂に入り温まる。肌寒くなってきたこの季節は秋。隼人の好きな季節でもある。

 

 

 

『明日は一日中雨となるでしょう。近畿、東海、北陸でも発達した雨雲が──』

 

「明日も雨かよ…ここ最近雨ばっかだな。」

 

天気予報を見ながら雨ばかりの日が続く事をぼやきながら隼人はコーラを飲んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日。ワンダーワールドは晴れだが、現実世界は天気予報通り雨だったので隼人は自宅で1日を過ごす事に。

ふと、何気なく闇黒剣月闇と無銘剣虚無を見つめある事を考える。

 

「そういえば手入れしてなかったな…暇だし手入れでもしてみるか。」

 

実は今まで聖剣の手入れをした事が無かった隼人。そんなこんなで初めてだの聖剣の手入れをする事に。しかし、ある問題が発生する。

 

「どうやってやるんだろう。何かいるのかな…」

 

そう。どうやってするのか分からない。剣なので何か研ぐ物もいるだろう。

 

「無いかな〜聖剣研ぐ道具とか方法載っている本とか…でもあるわけ無いよな…」

 

隼人は部屋に聖剣を研ぐ道具やその方法が載っている本が無いか探し始めた。

しかし、そんなものが都合よく見つかる訳が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけちゃったよ…」

 

あった。ライダー文字で書かれているが、表紙には「聖剣の研ぎ方」と書かれた本と、明らかに剣を研ぐに用いる道具があった。

 

「とりあえず、やって見るか。」

 

隼人は本を開きながら、聖剣の手入れを始める事に。ライダー文字に関しては解読表を自作した為簡単に読む事が出来る。

まずは闇黒剣月闇からだ。

本に載っている研ぎ方を見ながら道具を使い隼人はまずは闇黒剣月闇を研ぐ事に。

 

 

 

 

 

「なかなか骨が折れるな…」

 

思った以上に骨が折れる作業だ。まさかここまで聖剣を研ぐ事が大変だとは思わなかった。しかし、隼人は作業を続ける。

そして、開始から3時間後…

 

「やっと出来たぁ……」

 

見事、闇黒剣月闇を手入れを完了させた。

 

「聖剣研ぐのって大変なんだな…でも、達成感は大きい。これからは定期的に手入れしてやらないと。」

 

隼人には研いだ闇黒剣月闇が見た目は変わらなくても研ぐ前よりも力を発揮しそうに感じた。

 

「さて次は…無銘剣虚無いくか。」

 

闇黒剣月闇を研いだ隼人は、無銘剣虚無も研ぐ事にした。研ぎ方のコツも掴んで来たので手が進む。

これからも使う事になるからしっかり手入れはしてあげなければならない。そして、作業開始から合計5時間後…

 

「終わった…」

 

無銘剣虚無の研磨も完了したのだった。そのついでにワンダーライドブックの手入れもし、気がつけばもう夕方。夕飯の時間だ。

隼人は夕食に居酒屋で済ませた後、買い出しをして帰宅。早めに入浴を済ませて寝る事にした。

ベッドに横になり、明かりを消す。眠気が徐々にやって来て瞼が閉じ始め、うとうとし始めたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

布団の中からゆっくりと手が伸び、艶かしい手つきで隼人の頬に触れたのだ。布団の中から顔を出したのは紫色の響に瓜二つの少女。

少女は隼人を愛おしい目で見つめ、妖艶な手つきで隼人の頬を撫でると、今度は胸に抱き寄せて隼人の頭を撫で始めた。すると、今度は隼人の横に未来に瓜二つの青白い少女が布団から顔を出して静かに抱きつき、隼人の腹をトントンと優しく叩き始めた。まるで我が子を寝かしつける母親の様に…

それだけじゃない。オレンジ色と赤色の少女も現れ、ベッドに潜り込み、隼人に寄り添ったのだ。

彼女達の体温でベッドの中が暖かくなったのか、更に眠気増し、やがて隼人の瞼が閉じる。そして…

 

「スゥ……スゥ……」

 

そのまま隼人は寝息を立て、眠った。1日聖剣の手入れをした隼人に響に瓜二つの少女が耳元で囁く。

 

「おやすみ、隼人。」

 

眠る隼人を愛おしく見つめ、そのまま少女達も隼人に抱き付き、寄り添いながら眠りについたのだった。

なお、隼人には少女達の姿は一切見えていない。だが、そんな彼女達がどういう事なのか、エネルギー体から肌がくっきりと色づき、実体化の兆しが見えつつある事を、ジャアクドラゴン、ジャオウドラゴン、そしてエレメンタルドラゴンだけが知っていた。

 




いかがだったでしょうか? 更新が遅れてすみません。アニメパートも終わりに近づいてきました。
シェム・ハがオムニフォースの力を不完全と見抜くシーンですが、いくら全知全能の書の力でも不完全なのでアヌンナキのシェム・ハなら見抜けてもおかしくないかなと思いました。
セイバーの劇中でもソロモンが最光に攻撃を防がれたり、サーベラの狼煙霧虫で攻撃が中断されたり、ブレイズやエスパーダの攻撃を受けてダメージを受けていたので。後は隼人の状態もあって、不完全なオムニフォースが本物の神を圧倒したらいくらなんでもずるいので、神殺しのガングニールと違って、あくまでも張り合えるという形にしようと判断したからです。
納得出来なかったら申し訳ありません。


さて、翼が隼人の異変に感づいてますが、装者の中で翼だけに見えたヤンデレ共が関係しています。
南極の時と響がアマルガムを発現させた時に見えたヤンデレ共は、隼人に死が迫っている比喩
なので、翼だけ見えたのは隼人の異変に翼だけが気づき始めるという事です。
もし響達が隼人に死が迫っている事を知ったらどうなるのか…


今回のおまけエピソードは2本立て。お蔵入りにした「隼人が聖剣を研ぐ話」と「翼とマリアと交流」です。

アニメパートも次回を入れてあと4話となりました。
終盤に差し掛かって来たので最終話に登場予定のスペシャルゲストのヒントを出していこうと思います。

その1「スペシャルゲストは仮面ライダー

完結まであと6話。今回はここまでです。感想お待ちしています。

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