ブドウ型ノイズを倒した翼と響は白い鎧を纏った長い銀髪の少女と出会う。そして、翼はそれを見て言葉を漏らす。
「ネフシュタンの…鎧…!?」
その頃、二課の指令部では…
code:Nehushtan
モニターに映し出された文字を見て、弦十郎は声を上げる。
「馬鹿な…!現場に急行する!何としてでも、鎧を確保するんだ!」
それを聞いた了子も頷く。
「へぇ…?てことはあんた、この鎧の出自を知ってんだ?」
銀髪の少女は翼に向けて言う。
「2年前、私の不始末で奪われた物を忘れるものか!何より、私の不手際で奪われた命を忘れるものか!」
翼の脳裏によぎる、2年前の事件。ライブと平行で行われたネフシュタンの起動実験でかけがえのない相棒を失った事を。翼は少女に向けて大型化した刀を構える。そして少女も笑みを浮かべて身構える。
「奏を失った事件の原因と、奏が残したガングニールのシンフォギア …時終えて、再び揃って現れるという巡り合わせ…!だがこの残酷は、私にとって心地いい!」
「やめてください翼さん!相手は人です!同じ人間です!」
響が翼に抱きついた。目の前で翼と少女が傷つくのを見たく無かったのだ。
「「戦場で何をバカな事を!」」
翼と少女の言葉が重なった。
「むしろ、貴方と気が合いそうね。」
翼は笑みを浮かべて少女に言った。
「だったら仲良く戯れ合おうかい!」
少女は言葉と共に翼に向けて鞭を払う。それを翼は響を突き飛ばし、ジャンプで避ける。翼に突き飛ばされた響は吹っ飛んでしまう。そして翼は刀を払い、蒼ノ一閃を放った。しかし少女はそれを鞭で薙ぎ払い、斬撃波を左へ逸らし、爆発させた。それを見た翼は着地し、刀で斬りかかるも、少女はそれを素早い動きで全て避け、受け止める。そしてニヤリと笑みを浮かべると、鞭で刀を弾き、翼の腹に蹴りを入れて吹っ飛ばした。
「これが、完全聖遺物のポテンシャル…!」
「ネフシュタンの力だなんて思わないでくれよな!私のテッペンはまだまだこんなもんじゃねーぞ!」
少女はそう言うと、大きくジャンプし、翼に向けて鞭を放った。翼も負けじと少女の攻撃を避ける。
「翼さん!」
響が声を上げる。
「お呼びではないんだよ!コイツらでも相手してな!」
そう言うと少女は手から光弾を出す。そして地面に着弾すると、何と4体の鳥型ノイズが現れたのだ。
「そんな…ノイズが操られてる!」
響はノイズが操られてる事に戦慄した。今までそんな事は無かったのに。そしてノイズは響に狙いをつける。響は逃げ出すも、嘴から粘液を出し、響を拘束した。
「そんな…嘘…」
翼は少女に向かって斬りかかるが、少女も鞭で受け止める。
「その子にかまけて私を忘れたか!」
翼は少女の足を蹴り、足に装着された剣で回し蹴りを喰らわせようとするも、少女は腕で受け止める。
「おたかく止まるな!」
少女は翼の足を掴み、投げ飛ばす。投げ飛ばされた翼は地面を転がり、少女は素早く移動して翼の頭を踏みつける。
「のぼせ上がるな人気者!誰も彼もが構ってくれるなと思うんじゃねぇ!この場の主役と勘違いしてるなら教えてやる。狙いはハナっからコイツを掻っ攫う事だ!」
「!?」
少女は響を親指で指して言う。ハッとする響。
「鎧も仲間も、あんたには過ぎてんじゃないのか?」
少女は翼を嘲笑いながら言う。しかし、翼は少女を睨んで言う。
「繰り返すものかと、私は誓った!」
翼は空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させる千ノ落涙を放った。それを見た少女は避けるも、翼は少女の足から脱出した。一方、ノイズに拘束された響の目の前でいくつも爆発が起きている。
「そうだ!アームドギア!奏さんの代わりになるには、私にもアームドギアが必要なんだ!それさえあれば!出ろ!出てこい!アームドギア!」
しかし、幾ら唱えてもアームドギアは出ない。
「何でだよ…どうすれば良いのか分からないよ…」
途方に暮れる響。そして奥では相変わらず爆発が起きている。そこでは少女と翼の鞭と剣が迫り合いになっている。
「鎧に振り回されている訳では無い…この強さは本物…!」
「ここでふんわり考え事か?」
少女は翼に蹴りを入れようとするも、翼はそれをバク転で避ける。すると、少女が右手に持った杖から光弾を放ち、ノイズの群れを召喚した。翼はそれを刀で斬り伏せたり千ノ落涙で倒すと、更にノイズと少女に蒼ノ一閃を放つ。爆風と共にノイズは炭素化するものの少女は翼に鞭を払う。そこからは2人の接近戦が始まった。翼は少女に小太刀を投げつける。
「ちょろくせぇ!」
しかし少女はそれを鞭で薙ぎ払う。そして助走をして飛び上がり、鞭から白と黒のエネルギー光球NIRVANA GEDONを放った。それを刀で受けた翼だか、受けきれず、吹っ飛ばされる。
「フン、まるで出来損ない。」
少女は翼を罵る。
「確かに私は出来損ないだ。」
「あん?」
「この身を一振りの剣と鍛えてきたはずなのに、あの日、無様に生き残ってしまった。出来損ないの剣として、恥を晒してきた。」
翼は地面に剣を突き立て、立ち上がる。
「だが、それも今日までの事…奪われたネフシュタンを取り戻す事で、この身の汚名を濯がせて貰う!」
「そうかい?脱がせるものなら脱がせ…?!」
少女は気づく。自分の体が動かない事に。足元を見ると、影に小太刀が刺さっていた。そう。相手の影に小太刀を打ち込み、動きを封じる技、影縫いだ。
「こんなもんであたしの動きを!…っ!!まさか…お前…!」
少女は翼の狙いに気づく。空には満月が登っている。
「月が除いてる内に…決着を付けましょう…。」
翼は怪しげな微笑みを見せた。
「歌うのか…絶唱…!」
そう。翼の狙いは絶唱だ。
「翼さん!」
響が声を上げる。そして響に振り返り、強く言う。
「防人の生き様、覚悟を見せてあげる!!」
「あなたの胸に焼き付けなさい!」
翼は響に刀を向けて言った。
その頃、カリバーは、ガトライクフォンがノイズとは違う反応を検知している事に気がついた。
「これは一体…?ここからだと近い。とにかく行ってみるか。」
カリバーは反応のする方向へ向かった。
その頃、ノイズに囲まれながら、翼は命を燃やす歌を歌おうとしていた。
「ええい!やらせるかよ!好きに…勝手に…!ハッ…!」
少女は動こうとするも、動かない。そして手遅れかの様に翼を見た。目の前では翼が目を瞑り、刀を天に掲げている。それも、かつて命を燃やした天羽奏と同じだ。
「Gatrandis babel ziggurat edenal 」
翼は刀を降ろし、ゆっくりと少女に向かって歩んでいく。
「Emustolronzen fine el baral zizzl 」
「この歌は…。」
その頃、都心の林に着いたカリバーは、翼の絶唱を耳にする。そして中へ入っていった。
「Gatrandis babel ziggurat edenal 」
少女は杖からノイズの群れを召喚するも、気が付けば目の前に翼がいた。
「Emustolronzen fine el zizzl」
そして少女の肩に手を置き、顔を近づけた。翼の目はどこか優しげで、そして切ない目をしていた。そして歌い終わった翼の口から血が流れた。
「あああああああああああああ!!」
少女の絶叫と共に翼から巨大な衝撃波が放たれた。その衝撃波はノイズを炭素化し、響も拘束から解き放たれた。
「ぐぅぅぅぅ!」
あまりの威力に奥からそれを見ていたカリバーも目を腕で遮る。
「うわああああ!!」
衝撃と共に少女は吹き飛ばされ、ネフシュタンの鎧は砕けた。そして地面叩きつけられた少女の鎧はボロボロになっていた。横たわる少女の皮膚に傷口から何かが蝕む。
「あぁぁ…!あぁ…!ぐぅぅ…!…チッ!」
それを見た少女は舌打ちをし、空へ飛び去っていった。
一方、絶唱を歌った翼の周りには巨大なクレーターが出来ていた。
「翼さーん!翼さん!あぁ!」
響は翼に駆け寄るも、足を引っ掛けて転んでしまう。
「翼!大丈夫か!」
その直後、弦十郎が運転する車がやってきて、中から弦十郎が降りた。
「私とて…人類守護の務めを果たす防人…。こんな所で…折れる剣じゃありません…!」
翼が振り返る。鎧はボロボロでヒビが入り、胸を紅に染め、目や口からは血が滴り落ちている。
「!!」
「……。」
血塗れとなった翼を響は目の前で、カリバーは遠くから見ていた。その直後、翼が倒れる。駆け寄る弦十郎。響は目を見開き、絶望の表情を浮かべた。
「翼さああああああああああああん!!!」
響の叫び声が、夜空に響いた。
絶唱を歌い、病院に緊急搬送された翼は、すぐに医師によって緊急手術を受けた。医師曰く、「辛うじて一命は取り留めたものの、容態が安定するまで絶対安静、余談を許されない状況」だと言う。その後、弦十郎達は鎧の行方を追う事にした。廊下で意気消沈してる響に緒川はコーヒーを奢り、翼が奏を失ってから恋愛や遊びを捨て、がむしゃらに戦ってきた事を話した。
「不器用ですよね。ですが、それが風鳴翼の生き方なんです。」
緒川が話している内に夜が明け、朝日が登り始めた。緒川の話に響は泣いていた。
「そんなの…酷すぎます…。」
「そして私は…翼さんの事を何にも知らずに…一緒に戦いたいだなんて…奏さんの代わりになるだなんて…」
響は自分が翼に言った事を悔やんだ。彼女の過去を知らずに、軽い気持ちで奏の代わりと言ってしまった。自分が情けなく思えた。そんな響に緒川は言う。「翼の事を嫌いにならないで欲しい」「翼を世界に独りぼっちにさせないで欲しい」と。
「はい。」
「たのも〜う!!」
その後、響は自分自身のまま強くなる為、守りたい物を守る為、戦い方を教わる為に、弟子入りをした。アクション映画をを見たり、夜のジョギング、厳しい筋トレを行った。やクラスメート達のカラオケも装者の彼女にとってはトレーニングだ。そしてスパーリングを行い、沢山食べた。彼女の大好物はごはん&ごはんと自負する程、食欲旺盛だ。
立花響は強くなる。奏の代わりではなく、立花響として。
その頃、隼人は家で考え事をしていた。翼が絶唱を歌った日、空へ飛び去る何かを一瞬だけ見ていたのだ。ただでさえ疑問があるのに更に疑問が増える。
「あの時空にいたあの女…あれば一体誰なんだ…ノイズの出現と関係あるのか…?奴から聞き出せば、分かるかもしれない…。」
いかがだったでしょうか?今回は主人公の出番は少なめです。展開上端折る部分があるかもしれませんが、多目に見てくれたら嬉しいです。今回はここまでです。感想お待ちしています。